13時から始まったこの面談も、既に16時を回っている。
流石に疲れてきたぞ。
退出していた武藤大臣、九条先生も戻り最後調整。
このままリハビリを続けて5~8週間を目処に退院。
退院後も1年間は、月に1回通院。
再来週から家族との面会を週に1、2回予定。
「やはり、家族と会わない方向には出来ませんか?」
「突然一緒に暮らすわけじゃないのよ?少しずつ面会を重ねて、どうしても嫌だったらまた考えましょう?」
おばちゃん大臣が必死に諭す。
「嫌とかではなくてですね…、新しい戸籍を作ってもらう事は出来ませんか?」
「お話は聞いたけど、二重人格だからと言って戸籍は発行できないわ。それに、戸籍を変えてもあなたはあなたよ?」
「そういう意味ではなくてですね…」
どうしよう。
ここまで酷い事件だと思っていなかったから、駆け引きや腹芸の準備は何もない。
国家保安委員会に厚生健康省大臣。
これほどの上役が赴いて、これほど時間を割いている理由は、僕の記憶がそこまで重要だったからだ。
ファーストチルドレンとして、数百本の上級国民のチンポをもてなした体だ。
思い出す内容次第では、早急な対処が必要になる。
そして、僕は思い出した。
総理は常連の一人だった、僕にペニバンをつけて自分を掘らせるのが好きなど変態。アナルに黒子がある。
草加部も顧客の一人だった、僕のアナルを掘る側のど変態。右腿に大きなが火傷がある。
武藤佳苗は別の児童の顧客だった、踏まれて罵られながら撮影されるのが大好きなど変態。リスクに興奮する癖があって撮影記録の一部が宝来邸の庭に埋められているを僕は知っている。
「他にも…」
バンッ!
「ふっ、ふざけんじゃ無いわよ!貴方たちまで!!」
ッフー!ッフー!!
例え話の途中で九条先生がテーブルを叩いて立ち上がり、物凄い形相になっていてギョッとする。
僕は慌てて訂正して九条先生を座らせる。
これは例えばの話だと、必死に宥めながら。
このような情報を突然思い出して触れ回り、証拠に繋がるような物が出てきたらどうする。
家族という多人数や、周囲の大人に相談されたら、政府や保安はどう対処するのかという話だ。
やっぱり九条先生の様子がおかしい。
容疑者や顧客に知り合いが居たのか?そういえば医者もいたな。
上半身を無理やり抱き込んで宥めていると、今度は泣きじゃくってしまった。
どうしよう、九条先生が完全にヘラってる。
こんな姿は初めてだ。
「護衛は事実だと思ってますけど、監視と観察、いざという時は口封じも兼ねてますよね」
「…」
草加部さんは表情を変えないが、違うとは言わない。
僕の腰にしがみ付いていた九条先生の腕がぎゅっと締まる。
「陽毬さんは、もしも僕を消す指示が降ったらやりますか?」
「うん」
「ふざけるな!」
陽毬さんが即答し、司紗さんは激怒する。
「僕が何かを思い出すことはありません。
でもそう思ってない権力者が大勢いますよね?
家族を巻き込みたくありません。
死にたくもありません。
だから、天内輝は死亡で処理してもらえませんか?」
………駄目か。
「3つ、君は思い違いをしている」
草加部さんの迫力に、僕は思わず背筋を伸ばして傾聴した。
「一つ。私は君を、これ以上傷付けさせない」
「二つ。警護任務に口封じは含まれていない」
「三つ。君の家族の想い、愛情の大きさだ」
既に母の心は壊れかけているらしい。武藤大臣の表情を見ても、そのようだった。
僕の希望は聞いた。その上で検討するとのことだ。
決定事項に対しては従ってもらうと宣言されてお開きとなった。
九条先生は御堂さんが引き取ってくれた。
心配だ。
…疲れた。
心底疲れた。
ソファーではなく、ベッドにコロンと横になる。
無臭に思える自分の匂いが、ここが自分の場所だと感じさせてくれる。
この世界に転生して5ヶ月が過ぎたが、僕の居場所は未だにここだけだ。
少し、心の内を見せすぎてしまったかも知れない。
どうするのが正解だったんだろうか。
あの例え話が現実ではない保証など、どこにも無い。
夕食を食べた後、栗華さんにお願いして搾精器で多めに搾り取ってもらった。
夢を詰め込めるように。
精巣と頭を空っぽにして僕は眠った。