恐竜にサーカス芸を仕込んでいる夢を見た。
意味がわからなかったが、ワクワクしてとても楽しかった事は覚えている。
楽しすぎて嬉キュンしてしまい、膣内がスパーキンしたところで目が覚めた。
トイレでナプキンを変えてビデで膣を洗いながら、昨日の出来事を振り返る。
悪夢を見なかっただけで上々だろう。栗華さんに感謝だな。
「おはよ~。ご飯は食べれる?」
トイレから戻ると、その栗華さんがダイニングテーブルに朝食を並べてくれていた。
おはようと昨晩の礼を告げて席につく。
対面で二人が限界な小さなテーブルだ。
もうベッドの上では食事をしていない。
「九条先生は大丈夫そうですか?」
「今日はお休みされてるよ」
「そうですか」
事情を詳しく知らない栗華さん。
知っていても理解していない僕。
弾まない会話で朝食を終えたところで、ブザーが鳴らずに扉から音がした気がした。
ガチャ
まただ。気のせいじゃない、誰かが無断で入ろうとしている。
僕と栗華さんが立ち上がって警戒する。
ガチャガチャ
昨日の今日で、草加部の野郎、マジかよくそ…。
咄嗟にテーブルのフォークを取って握りしめる。
ガラララー
開けられた。
全身の毛穴から汗がブワッと吹き出した。
「うぇ~い!元気してるかい?ヤングボーイ!」
「「………」」
30前後、壮年の女。
ナース服じゃないし、清潔感のない髪型におかしな第一声。
完全に部外者、しかもこれは行動が読みにくいタイプのイカれ野郎だ。
やべえ、マジでやばい。
フォークを握った手を前に出す。
「もー、呼んだら来てって言ったじゃないですか!なんで鍵持ってるんですか!」
「…え?」
「警戒心マックスでどんな顔か、確認しないと意味がないじゃな~い?」
「心臓に悪すぎますよ!」
こいつ、栗華さんの知り合い?
不審者に愛華さんが駆け寄って言い合いしている様子を見て、僕の肩の力が抜ける。
は〜〜〜、本気で怖かった。
絶対にヒットマンだと思ったし。
びびって損した。
「あら、本当に怖かった?泣いちゃう?泣いちゃうの?泣いてもいいんダゼ⭐️」
「はぁ???うっっっざ」
「うざいは駄目YO!泣いちゃう!お姉さんが泣いちゃうYO⭐️」
「呼ばれてないなら、帰って貰えますか?」
しっしと手で追い払いながら、片手に握っていたフォークをテーブルに戻す。
強く握り締めていた手が痛い、深く跡が残ってる。
手を何度もグーパーして、もう手や身体が震えていない事を確認する。
「ひどいっ、傷ついた!今のでお姉さんの心がクラーックス!」
「………」
「その目、いいわね」
「近づかないで下さい、あなたの目は怖いです。なんですか?新種の変態ですか?」
黙って見ていると、女が呟いて近づいて来た。
「っ!ならば!おめめクローーゥズ!どう?これで怖くないでしょ?」
女はバチーんと擬音を出しそうなほど大袈裟に目を瞑る。
喋りが煩い、外見も煩い、動きも煩い。
目を閉じて見えないから、両手を前に出してフラフラと歩み寄ってくる。
「飛びかかってきそうで怖いです」
「っ!なら更に座っちゃう、…ニィルダァン!これでどう!?」
女は目を瞑ったまま、膝立ちでこちらに進んでくる。
「もっと怖いです」
「くっ、それなら!最終兵器っ、…ライ、ダァーン!…っだ!」
女は叫びながら仰向けに寝転がった。
………
女は身を捩らせて、床を這うように進んでくる。
………どうしろってんだ、こいつをよう。
拘束したいけど触りたくないので、室内履きを脱いで片足で顔面を、両目を覆うように踏みつけると、この物体は止まった。
「………」
「………」
「…ちょ、テル君!何してるの!?顔を踏んじゃ駄目だよ!?」
「こ、これは君の足かいっ!?」
「栗華さん、これどうします?」
「ボーイ!?ボーイ?いいかい、人は踏んじゃいけないんだYO!」
「足首を掴まないで下さい。怖いです」
「…oh…すまない。でもね、困惑。お姉さん今、大・困・惑⭐️」
馬鹿野郎、困惑してるのは僕だ。
唾も飛んでるし。
近くのダイニングチェアを引いて腰掛け、もう片方の足で口を塞いだ。
「ふご!」
──────
「それにしても凄い経験をしたよ! まさに、新⭐️境⭐️地⭐️」
「僕には、あなたという存在が新境地です」
「ワォ、グラァド!予想できない新しい刺激やワクワク感は、脳で快楽物質であるドーパミンを増やし、恋愛感情と似た高揚感を引き起こすんだ。それに自分と違う考え方や経験を持つ人に触れると、新鮮な驚きや憧れが生まれ、もっと知りたい欲求も高まる!つまり私たちは今後どん…」
「惹かれません。というか普通に喋れるじゃないですか」
「まずはこちらがオープンにしないとね⭐️心を開いて貰うにはこれがいいのさ⭐️」
「僕の心はもう全開なので、普通に話してください」
「違うYO!君はまだ気づいていないYO!心はもっと自由だYO!」
安全な生き物だと確認が取れた後、僕たちは対面ソファーへ場所を移した。
ローテーブルの向かいには、両手でフレミングの法則を作っているイカれた陽キャ。
心理カウンセラーの明日羽・ウォルピ。
心的外傷後ストレス症の相談や、専門的なケアも行えるという公認心理士で、スイートエンジェル事件の被害児童も何人か見ているらしい。
そう。僕は今、心理カウンセリングを受けている。
受けているはずなのだ。
「いつまでそのポーズをしてるんですか?」
「君の笑顔が引き出せるまでだYO!さあ君も、ありのままを解き放つんだYO!」
YOで動かす腕の動きが、いちいち鬱陶しい。
………やめる気もないらしい。
僕は上体を左に向けて、隣に座っている栗華さんの首に顔を埋め、しがみ付くように腕を絡めた。
お尻を彼女の膝上にスライドさせて、強制的に抱っこさせる。
「テル君?明日羽さんは怖くないよ?」
栗華さんの首筋に当たった唇で、ちぅと肌を吸う。
「ぁっ♡」
舌先をほんの少しだけ肌に押し当てて、チロ、チロと動かす。
「っ♡っっ♡」
傍目には、僕は抱きついた以外に何もしていない。
栗華さんが勝手にビクンビクンと感じているだけだ。
次第に栗華さんの股間のテントが大きくなってきて、僕の臀部をピクン、ピクンと下からノックする。
「くりかさん」
「ぁっ、っ…、っめ♡」
吐息が、物理的に肌を刺激するよう、聞こえるかも分からない程小さな声で、ゆっくりと囁く。
「すき」
「ぁっ♡んんっ♡」
栗華さんの股間のテントが大きくなってきて、僕の臀部を強くノックする。
「ストップストップっ!ごめん!私が悪かった、ごめんYO!」
僕は首筋に埋めた顔を上げて、ちらりとウォルピ女史に向ける。
「もうやめるYO!君も元の位置に戻ってYO!」
フレミングは下ろされているが、その口調に僕は眉を顰める。
「…こほん、やめるよ。これでいいかい?」
それを聞いて、栗華さんから降りて腰をソファーに戻す。
「ごめんね栗華さん」
「ぁ…、うん。っんんん♡」
目を見て謝りながら、興奮させてしまったおチンチンをテントの上からナデナデする。
「も、もう謝っただろう!?それは終わり!私とお話をしようよっ?ねっ!?」
ようやく話をする気になったらしい。
気分が乗ってきた僕は、少し苛々しながら変人と向き合い直した。