平然とこんな事をしているように見えるかもしれないが、僕はこれでも相当我慢している。
あの精液検査以来、生チンポに触れていないし、セックスだってしていない。
嫌だが、搾精にも器具を用いている。
僕に使われる搾精器は現状3種類。
ASE-01 直接吸引型
ASE-02 一般吸引型
ASE-03 包含型
病院としても、嬉しいのは直接吸引型なのだが、快楽廃人になるのが怖いので、1:2:3の割合でお願いしている。
「見ての通り、僕にPTSDの心配はありません。それよりも、四六時中こういう事がしたい欲求の方が辛いです」
「ふむ。そちらに関しては専門外なんだ」
「はぁ〜」
「力になれず、すまない…」
つい大きなため息を吐くと、ウォルピ女史がしゅんとしてしまった。
役に立たねえなお前、と言われた気分だったのだろうか。
目上の方なのに見下しすぎて態度が悪かったようだ。途端に申し訳なく思えてきたので、心の中でだけ謝っておく。
「僕よりも、九条先生を見てあげて欲しいんですけど」
「九条君を?どうしてだい?」
ウォルピ女史は九条先生の状況や事情は知らない様子なので、リミッターの僕に思うことが重なったのか精神的に疲弊していたと、濁して伝えた。
「──なるほど、しかし彼女にはお母様がいらっしゃる。大丈夫だよ」
ウォルピ女史は少し悩んでから、明るい表情でうんと返した。
「母親がいれば大丈夫、とはならないような」
「ああ、九条君のお母様はここ帝大の精神科局長なんだよ。私の恩師でもある立派な方だ。きっと結嘉利先生が見てくださってるよ」
医者の家系か、親子で局長とか完全にエリートだ。えっぐ。
でもまあ、なら心配ないか。
今日休んでるし、恐らくそのお母様の診察も受けているだろう。
「天内君の性欲の方だが、四六時中、というのは水無月君が側にいるからかい?離れると楽にはなるかい?」
「楽に…ですか…?…う~~~~ん。
……離れたほうが、下腹部は楽になります。でも居てくれないと、胸が苦しくなります」
あまり意識したことがなかったので、僕は真剣に思い返して答えた。
「おやおや、それはそれは」
「~っ」
ウォルピ女史がニマニマと、僕の隣で顔を赤らめる栗華さんを見る。
僕は真面目に答えているのだが、まるで恋バナのような雰囲気だ。
リラックスするように敢えてそうしたのかな、まあプロだしな。
「他の女性が居ても下腹部、精巣は疼くかい?」
「はい。でも相手と距離、香りでも変わります。
御堂さんや九条先生なら、栗華さん程ではなくても、部屋にいるだけで少し疼きます。
他の方は…、まだ出会った人は極僅かですが、至近距離で対峙したり、服の上からでも接触してしまうと疼いてきます」
そうかとウォルピ女史が顎に手をやる。
一応カウンセラーだし、真剣にも聞いてくれるようだ。
『HAHAHA、武藤大臣に頼まれたんだYO』みたいに言ってこなかったから、この人は機密情報までは知らないと思うんだよな。
言葉を選びつつ会話した方が良さそうだ。
「先程は大きな負担を掛けてしまったようだね。悪ノリして本当にすまなかった」
ウォルピ女史がぺこりと頭を下げる。
「負担?なんの事ですか?」
謝っては欲しい事は沢山あるが、どの話だ?
……あ、初っ端の入室のあれか?刺すのも覚悟で向き合ったからな。
一人で答えに辿り着くと女史が続けた。
「無遠慮に近づいてしまった。辛い思いをさせて申し訳ない」
「あぁ、そっちならお構いなく」
「気を使わなくて結構。この通り、申し訳ない」
「いえ本当に。そういえばウォルピさんだけは触られても何も感じませんでした。こんなの僕初めてです」
先ほどの自分を振り返っていると、頭を下げたウォルピ女史が、疑問符をつけた様子で顔を上げた。
「…足首を、…肌に直接触れたのに?」
「そういえば、そうですね。普段は精巣が疼いたり、膣キュンして勝手に汁が濡れるんですけど。あれ、なんでだろ?」
「ち、膣きゅ…」
ウォルピ女史はゴクっと言葉を飲み込んだ。
「…今も距離は近いと思うんだけど、平気なのかい?」
「ええ。興奮もドキドキも一切ないです。プロの心理士さんの凄さを今ようやく理解しました。非礼をお詫びします」
自分の体に凪を感じた僕は、背筋を正してウォルピ女史にぺこりと頭を下げて謝罪した。
「そ、そうかい。心理士冥利に尽きるよ。はは…」
一々身構えなくても会話できる相手だと思ったら、スッと気が楽になった。
始めは完全に不審者、もしくは変出者だったのに。ギャップ萌え理論に近い何かかだろうか?
やるな、上場廃止間際のクソ株がストップ高だ。
その後も、ウォルピ女史とは性の話ばかりした。
栗華さん達相手では実は聞きにくいことが多い。
何よりお互いにムラムラしてくるので、性感帯や具体的なプレイの話は遠慮してしまう。
気を使って本当の話をしていないのでは、とか疑ったりするのも嫌だし。
股間のテントを見ると触りたくなるのは普通なのか。
フェラチオしたくなるのは普通なのか。
イマラチオで感じて射精したのはやばい事なのか。
またして欲しくなる感情はリミッターのせいなのか。
ご奉仕したい欲求はリミッターのせいなのか。
男の性感帯は普通どの程度の状態なのか。
ビデで感じるのは普通か。
性行為に関して、男側の年齢制限はかなり緩い。
満12歳を超えて精通していれば、本人と保護者同意の上でセックス可能。
受精された事による結婚や養育費支払い義務はない。
その代わり精子提供など、他の義務が課されている。
ここまでは教わった。
今僕の保護者は九条先生になっているので、恐らく頼めば3人とは出来るはずなのだ。
でも、実際にしようとするとわからない事が多い。
妊娠目的外の行為、例えば14歳男子が成人女性に手コキしてあげるのはOKなのか。
愛液を射出させて空気だけを吸わせてしまうと体に毒なのか。
我慢汁や余った愛液は飲み込んでも良いのか。
時間が経ったマン汁を吸わせてしまったら、チンポや子宮が病気にならないか。
女性は1日に何回まで射出・吸引できるのか。
僕も処理してあげたいけど、女性にとっては不要、あるいは迷惑なのか。
生理周期が勃起や愛液射出にどう関係しているのか。
膣キュン発言で顔を赤らめたウォルピ女史だったが、全て真剣に答えてくれた。
一般的な回答になるよと前置いて、一つ一つ丁寧に。