「栗華さん…、騎乗位が…、騎乗位がしたいです…うぅ…」
「じゃああと一回、もう一回だけ、頑張ってみよう?」
「でも…、僕には無理です…」
「諦めたら、ここでエッチはお終いだよ?」
「~っ!」
歯を食いしばってもう一度、上半身を起こす。
足に力を入れて腰を持ち上げ、栗華さんの腰骨をがっしりと掴んで、震える体を支える。
「動き、ます」
「ゆっくりでいいからね」
「ふっ、…ぐぅぅ」
ずちゅ…
ずちゅ…
「…~あぁっ!ぎもちぃ、…ぃ」
「凄い凄い、もうちょっと、頑張って」
ぬちゅ…
っ!
チュパァン!
「ア゛ガッ!!!」
僕はまた快感で腰が抜けて、栗華さんのチンポに落下した。
「ぎっ、ぃぃイぃぃグッ!!!」
落下して、チンコで串刺しになる。
口を開けて無様に痙攣してまた射精する。
ばたりと前のめりに倒れるのを、また栗華さんに受け止められた。
「凄い凄い。出来てたよ、頑張ったね~」
「はぁ、はぁ、はぁ、出来て…ないです」
女性の本能は奥を突きたがる。
でも男性の殆どは精巣口を刺激、圧迫されると余程慣れていないと痛みで暴れる、泣き叫ぶ者も多い。
女性側が特殊性壁でも持たない限り、男のその姿を見て自制心が働き、直接吸引の欲求からは免れる。
でも僕は喘いでしまう。
快感に絶叫してよがってしまう。
僕が喜んでいると相手に錯覚させて、暴走させてしまう。
セックスの主導権を僕が握らなければいけない。
そのためには騎乗位を、絶対にマスターしなければいけない。
それなのにこの体たらくだ。
「ごめんなさい。口でもう一回出しておく?」
僕は突起したまま出せなかった可哀想なおチンチンを撫でる。
「いいよ、もう今日はお休みしよう?」
「なら、お掃除します」
「そんな事しなくていいの、あんっ、もう♡」
事後は精子臭いのでしたくはないが、ジュポジュポと栗華さんのチンポをしゃぶり、根本も綺麗に舐め回す。
その後で、ウェットティッシュでも綺麗にする。
口で綺麗にする必要はない、またしてねとお願いしているだけだ。
してあげると、栗華さんが嬉しそうな顔をするから。
そうしないと嫌われそうで不安だから。
終わったら手を広げて抱き寄せてくれるのが好き。
暖かくて、柔らかくて、いい匂いに包まれて幸せなこの時間が好き。
腹部にチンポを押し付けられて、さっきまでこれで愛してくれていたのだと幸福感に包まれる。
最近、僕は自分の感情の変化を強く感じている。
初めは戸惑いが大きかったし、偶に訪れる賢者タイムで強い喪失感や虚無感にも襲われた。
それが薄れつつある。
この世界の一般的なオスとして、精神が固着していくのを感じる。
こちらの世界は、男女で肉体的な強さはさほど変わらない。
その物理的な影響もあるかもしれない。
男の場合、運動のし過ぎは精子へ悪影響があるらしく、積極的にスポーツはしないらしい。
それで身体機能が退化しているのかは知らないが、筋肉のつき易さに男女で大きな差がなく、むしろ男は運動不足で不健康体型になりがちなので生活習慣に要注意と言われた。
男性ホルモンが少ないのかな。染色体にも影響するんだろうか。
ウェルピ女史との会話でこの精神状態が普通なのだと安心した点も大きい。
男も女もよくヘラつくから、この自分を受け入れても良いのだと知った。
「もっとぎゅっとして」
「好き?」
「好きって言って?」
こういう台詞も自然と出てしまう。
それが恥ずかしいとも思わなくなってきている。
…本当にいいのか?
冷静になると、まだそう考える事もある。
精子作られすぎてて常に頭が馬鹿になってる、その可能性はまだ捨てきれない。
「明日、家族と会えるね」
「…そうですね」
栗華さんが、優しく僕の白髪を撫でる。
僕は未だに気乗りはしていない。
警護官がいるなら一人暮らしが有難いんだけど、先日の様子では期待薄だ。
寧ろこのまま栗華さんと一緒に居たい。
そんな子供じみた思いもあったが、告白する前にあっさりと振られた。
僕と結婚は考えたことがない、好きな相手と性行為で妊活出来ているだけで、今が幸せなのだと。
好きになると精子が欲しい、精子をくれるから、精子を貰ったから結婚する。
この流れは、理想の一つではあるものの一般的ではないらしい。
未成年や経済力がない男性相手であれば、栗華さんの様に距離を保った付き合いが普通らしい。
経済力が高い女性であれば、16歳になったらそのまま婿入りさせる事もあるそうだが。
なんだか寂しい。
16歳までは一年と少し。
あっという間だし、手に職持てたら考え直してはくれないだろうか。
…無理だな。社会常識すら知らないのだ。出来て男娼、でも僕にその選択は無い。
この世界の恋愛観が知りたい。
離れたくないこの気持ちは自分だけなのか。
セックスをし始めてから、幸せと同じだけ苦しさも募っていく。
「どうしたの?」
栗華さんはいつだって、幸せそうな笑顔で話しかけてくれる。
この人は今、どんな気持ちなんだろうか。
僕と同じ気持ちには、なってくれないんだろうか。
「退院したら、もう会いに来ちゃ駄目ですか?」
「さびしんぼかな〜?検査もまだ一年は通うから、お別れは暫く先だぞ~」
やっぱり、応えてはくれない。