「ひかる、起きてよ!?…そんな、いや、ひかる…ぐず…」
「どうしたの!」
「ママッ!?ママどうしよう!?どうしよう…私、…私、ひかるに酷い事っ…」
「大丈夫、大丈夫だから落ち着きなさい。光琉?聞こえる?光琉?」
「っ、救急車!救急車呼んでくる!」
「落ち着きなさい!」
「………はれ?…ねーさん、なんで?」
遠くの騒ぎ声が近づいてきて、視界と意識がはっきりしてくると、クリス姐が僕の頬を抑えて覗き込んでいるのに気がついた。
「光琉!?大丈夫!?私が分かる!?」
「………アリス姉。…僕、そんなにトんでたの?」
泣き叫んでいるアリス姉を見て、やってしまった事を理解した。
「ずっと、ずっと目が覚めなくて…、良かった、良かったぁ…」
ずっと?いつもは十数秒のはずなんだけど。
クリス姐までいるし、この泣き方、結構長かったのかな。
「1分か2分よ?痛いところはある?頭は気持ち悪い?」
「……大丈夫です。…もう、意識もはっきりしてきたので、まだちょっと…腰が震えてるけど」
クリス姐の質問に答えながら、泣いてるアリス姉の頬に手を伸ばして涙を拭った。
二人の不安そうな顔が晴れないので、震える上体を無理やり起こして無事だと分からせてあげる。
奥を攻められると叫んでしまう事、精巣を刺激されるといつも失神してしまう事を教えて、いつもの事だから心配しなくていいと伝える。
ずっと謝っているアリス姉に、追い討ちをかけるようにクリス姐が怒り始めた。
あれほど言っていたのに、なぜ奥を攻めて射出したのか、直接吸引したのか、そんな感じだ。
どうやら事前に駄目だと、何度も確認しあっていたようだった。
下半身に目をやると、大量の精液と愛液で酷い有様だ。
ベッドを汚してしまったし、部屋の中の匂いも酷い。
それでもマンコはまだ疼いていて、もう一回したがってる。
見渡していると視界の端に、美雪ちゃんを捉えてドキリとする。
…見られてしまった。
ドアの前で不安げな表情で立ち竦んでいる姿に、申し訳ない気持ちになり気持ちがどん底に沈む。
「…美雪ちゃん、騒がしくしてごめんね」
美雪ちゃんを見ながら謝罪するも、言葉は返して貰えず、ただ視線だけが僕の顔と下半身を移動する。
「すぐ片付けるから。汚い物見せてごめん…」
視線に気付いて、股を閉じてさっと手で隠したけど、充満している匂いは隠しきれない。
美雪ちゃんは小さな声で「大丈夫ならいいの」と言い残して、さっと自分の部屋に戻って行った。
僕が拭くものをお願いすると、アリス姉へのお説教が止まって後片付けが始まった。
「残りはやっておくから、二人はシャワーで流してきて。階段には気をつけてね」
「…はい」
「アリス、聞いてる?ちゃんと支えてあげなさい。出来るでしょ?」
「…うん、ちゃんとやる」
お風呂場に着いてもアリス姉はまだ立ち直れていなくて、僕のマンコに触れるのを怖がっているようだったので、座って自分でシャワーを当てる。
立ったままだと甘イキで腰が砕けるから危ないんだ。
確か精巣に愛液を流し込むのは、良くないんだよな。
病院で教わった事を思い出しながら、垂れてくる精液と愛液を掻き出すように流す。
少しすれば何とかっていう排出反応が起こる。腹痛に襲われながら、半日射精が続くはずだ。時間が経つほど精子の質が落ちていくので、異物として断続的に排出されるとか。だから愛華さんと御堂さんは一度も奥に愛液を射出しなかった。今日はオムツを履いて寝た方が良さそうだ。
「アリス姉も洗ってあげる」
「っ、自分でするから!…光琉は、先に出て服を着てて…」
おチンチンを洗おうと手を伸ばしたら拒否されてしまい、悲しい気持ちになりながら先にお風呂を出た。
一人で体を拭いてオムツを履いて、換えのパジャマを着る。
終わって一人で突っ立っていると、ツーっと涙が流れた。
何度も経験しているのに、全然成長しない自分に嫌気がさす。
淡々とこなそうと思っていた癖に、実際の行動はそれに全く伴わない。
シャワーの音が止まった。
涙を拭いながら逃げるようにリビングに向かうと、クリス姐が降りてきて僕の体調を確認した。
二、三言葉を交わすと、安心した表情で洗濯機に向かう姐さんの手には、僕のもので汚れたシーツがある。
乾燥付きの洗濯機ではなかったので、この時間から洗って脱水して干すとなればかなりの手間だろう。
「ごめんなさい」
シーツを洗濯機に突っ込んできたクリス姐に頭を下げる。
「謝る事なんてないわ。アリスも初めてだから、上手にしてあげられなかったの。許してもらえない?」
「許すも何も、悪いのは全部僕です」
「光琉は悪くない…グズっ、私が…」
アリス姉も着替えが終わってリビングに現れて自分を責め始めた。
クリス姐は僕にここで待つ様に言って、アリス姉を2階の部屋に連れて行った。
15分ほどでクリス姐は戻り、今日は私と寝ましょうと僕を一階の寝室に入れてくれた。
元々は母さんと寝ていたベッドに、今は僕とクリス姐が横になる。
この部屋も女性の匂いはするけど、性的な感じがしなくて安心する。
クリス姐は横向きになって、僕の胸に手を置いて小さく、トン、トンと優しく叩き続けた。
「アリスと部屋にいて、どんな気持ちだったか教えてくれる?」
「………アリス姉の、女性の匂いが強くて、興奮が止まりませんでした」
「アリスはどんな風に声を掛けたの?」
クリス姐は、部屋で僕らがどんな会話をしたのか。
そうした会話で僕はどんな気持ちになって、どんな風に行動したのか。
している時はどんな気持ちだったのか。
一つ一つ納得するように、僕から話を聞いた。
クリス姐はさっき僕が涙を流していた事に気づいていて、終わった後でどんな気持ちになったのかも聴き続けた。
オムツを履くみっともなさ、そんな状況になるほど発情した自分への嫌気、早々に妹を失望させた情けなさ、行為とは関係のない人に掃除をさせる申し訳なさ。
アリス姉に拒絶されて、病院では事後もイチャイチャしていた事を思い出した寂しさ。
話しているとまた涙が流れて、言葉が何度も詰まったけど、クリス姐はそれらを一つ一つゆっくりと頷きながら聞いてくれた。
病院にいた時はここまでの罪悪感を感じていなかった。
快楽を楽しんでいた。
でも今日のこれは、家族を巻き込む精処理なのだと思い知った。
搾精とは本来、こういうものなのだと痛感した。
いつの間にか僕は、クリス姐の胸の中で眠っていた。