※この作品はR-18です。

性器が逆転するとは聞いてない   作:momo1ng

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高校選定

平日は勉強と料理をして過ごすことが多かった。

見た目の印象通り中条寺さんが理屈派、陽毬さんが感覚派、陽毬さんもなんだかんだ教え方が巧かった。

 

中条寺さんが料理上手だったのは意外だった。

弁当を買いに行こうとしていたので、出来れば一緒に作りたいと言ってみたら引き受けてくれた。

初日はホットケーキを、自分でも焼いたりひっくり返したりさせて貰った。

翌日は焼きそばで、ピーラーでの野菜の皮剥きと毎日徐々にやれる事が増えてきた。

 

金曜日は中条寺さん監修の元、クッキー作りにも挑戦した。

混ぜ混ぜするのに僕のちんまい上腕二頭筋が耐えられなくて、陽毬さんとの合作になった。

そう言っているのに、帰ってきたアリス姉は美味しい美味しいと僕だけをひたすら褒めた。陽毬さんと仲良くなってくれる日はまだ遠そう。

美雪ちゃんはお目目をまん丸にして驚いてくれた。少しだけ友達に持って行って良いかと聞かれて、大喜びで了解したのは言うまでも無い。

 

中条寺さんがそのうち使うと言い残して置いていった、OPP袋と紐リボンが早速役に立った。

美雪ちゃんと一緒に個装のラッピング作業。まさに至福の時間。

お菓子に限らず過剰な個包装はされないため、こうして手作りでの個装は高級感も出て喜ばれるそうだ。

今使わないなら何で買ってきたんや、と思っていたが、まさかこうなることを予想していたのか?

思い出したらイケ女すぎて濡れて来た。

 

クリス姐が酒飲みだという事も知った。

一人になってから夜プシュッとやっているようだ。塩辛いものも欲しいはずなので、ツマミも作れるようになりたい。深夜に帰宅した日もあって本当に大変そうだし。

 

平日の夕食はアリス姉が作ってくれる。

今週は毎日一緒にキッチンに並んで手伝いをしたけど、包丁やガスはまだ使わせてくれない。

中条寺さんにどこまで教わったかは伝えなかった。アリス姉としての教え方もあるだろうし、ゆっくり覚えていけばいい。姉さんと一緒にご飯を作っているだけで充分楽しいし。

 

美雪ちゃんは、朝の髪型のセットを毎日させてくれた。

火曜日は三つ編みツインテに。

水曜日は調子に乗ってサイドラインの三つ編みに挑戦。

やり直して時間がかかってしまい、鏡で確認させる間もなく学校に行かせてしまった。

 

(ひたい)の横辺りから毛束を作って、10cm程度三つ編みにしたらゴムで縛る。

三つ編みから下の束を耳の裏に押し込んでヘアピンを止める。

一見単なるストレートヘアーのままだけど、正面や横から見ると髪留めを何も使っていないのに、顔のサイドラインだけが三つ編みのお洒落っぽい感じになる。

雑誌の見様見真似なので、この方法で合ってるのかはよく分からない。

次はもっと綺麗に出来るようにと、中条寺さんにマネキンになってもらい練習も始めた。

 

美雪ちゃんは学校から帰って来るなり、友達に可愛いと褒められたと嬉しそうに報告してくれた。

その笑顔で僕も嬉しい。まさか髪弄りが楽しいと感じる日が来るとは。

 

木曜日は左サイドだけ表編みにチャレンジ。

三つ編みの要領で、途中から髪を増やしていくと綺麗な編み込みが作れると聞いて試した。こちらも中々好評だった。

金曜日はハーフアップ。

こちらも三つ編みで、両耳の上からトップを取って左右から三つ編みを作って合流させて髪留めをする。

のつもりだったけど、ヘアリボンが無かったので、三つ編みの橋をかけてヘアピンで止めた。

こちらは気遣い込みで80点位の反応だった。好みでは無さそう…。

 

髪留め位は何個か欲しいよな。

今まで何で買って貰ってないのか、聞くに聞けない。

アリス姉は美雪ちゃんに厳しいし口煩い。だけどそれは本人のためと分かるものだ。嫌っているとは考えにくい。クリス姐も厳しさはあるけど優しい人だ。

となると、美雪ちゃん自身が要らないと拒否しているのだけど、そんな事があり得るのか。

 

そうそう、お小遣いはあった。

美雪ちゃんもアリス姉もお小遣いは貰っていて、僕は4月から頂けるそうだ。

だから美雪ちゃんも、買おうと思えば自分で買えるはずなんだよな。

まあ踏み込み過ぎても良くないし、これから僕がどうするかでいいか。

 

手鏡、乳液、髪留め、たまごっぴも買いたいな。

ああ、天内家にはヘアアイロンも無いんだ。

欲しいものがどんどん増える。

 

そんな感じで初めは不安だった家族生活も、気づけば心地良くなっていた。

 

 

────────

 

 

帝都学院中学校・高等学校:神道精神を基調とした教育を重んじる伝統あるエリート校。

桜蘭学園中等部・高等部:自由な校風と個性重視の教育、スポーツも強豪校。

三葉中学校・高等学校:全国トップクラスの進学実績を誇る。

 

都内の私立学校のパンフレットが並んでいる。

中高一貫校のようだ。

 

「公立か都立じゃ駄目なんですか?」

「少しでも安心できる学校にしたいのよ」

 

諸所の安全性を考慮すると私立にしたいそうだ。

ちなみにこの家は東京郊外にあり、どの学校を選んでも引越し先のマンションの方が近くなるそうだ。

 

「美雪ちゃんはどうするんですか?」

「桜蘭にも受かったからそこに通うわ。光琉の事を聞いて直ぐ、幾つか申し込んで受験しておいたの」

 

年の末に駆け込みで申し込んで、僕が帰ってくる前に受験を終え、もう合格通知は届いているらしい。

受験ってそんなホイホイできたっけ?

 

「元々はどこの中学受験を予定してたんですか?」

「ないわよ?近くの公立に行く予定だったから」

「都内の私立御三家って、こっちの紙に書いてますけど…?」

「美雪ならどこでもやれるわ。しっかりしてるから」

 

「…天才?」

「べ、別に。…普通だし」

僕が目を丸くして美雪ちゃんを見ると、そっぽを向かれてしまった。

 

この世界で中学受験がどれほど大変かは分からないけど、普通ではないのは確かだ。

お兄ちゃんとして鼻がぐんぐん伸びていく。

僕の妹、めっちゃ可愛いし、超賢い。

 

「僕はそんなに頭が良くないですよ。ここは中高一貫みたいですし。…あれ、そもそも高校受験ってもう終わってたりします?」

まさか1年お預けってオチ?

 

「男子の縁故枠ならいつでも入れるから大丈夫よ」

何それ。

エンコ?指詰め?なわけ無いよな。まさか裏口入学か。

 

 

縁故だった。どうやら紹介制度みたいなものがあるようだ。

クリス姐やアリス姉はOGではないが、中条寺さん経由で上が繋ぐから気にしなくて良いらしい。大金を積むわけでもないという。

お金に関しては大丈夫の一点張りで、卒業までは何も心配するなという。

クリス姐は大手の広告代理店に勤務しているらしいけど、一馬力で子供三人に母が入院中だよ?しかも私立。絶対大丈夫じゃないって。

 

「それに、輝宛に届いていた物もあってね。葵衣とも話して光琉の社会復帰に使わせて頂こうって」

そう言うとクリス姐は立ち上がって、神棚に置いていた箱を持ってきた。

 

アルミ缶のお菓子箱で、中には封筒がぎっしり入っていた。

差出人は書いてなくて、天内輝宛。中に入っていた手紙は取り出されていて、どれも『見舞金』の一言だけ書かれている。お金が入ったままと思われる封筒はどれも厚みがある。

 

「これはなんですか?」

「2年位前から毎月送られて来てね。この間はこれが」

 

多分これで最後という意味ではないか、と一際分厚い封筒を取り出した。

この封筒の手紙だけ『弔慰金』と書かれていた。厚みからして1本入っていそう。

 

心当たりは全くないらしく、ニュースや何かで知り心を痛めてくれた方だと思っていたそうだ。だけど輝君が死亡したと知ったなら、厚生健康省や警察、病院の関係者かもしれないと言う。

でも2年前って事件発覚前だよな。政府関係者でもないような気がする。何者だ?

 

「どなたか分からないから返せないし、ご好意を何時迄も置いておく訳にもいかないから、使ってしまいたいの。弟の光琉のためなら送り主の方もきっと納得して下さるわ」

 

これに関して、僕から言えることなど何もなく。

母さん達が考えてくれた結果ならばと、任せることにした。

神棚に戻して貰い、僕も手を合わせて輝君を偲んでくれた想いに感謝しておいた。

 

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