「光琉が行ってみたい学校はある?」
「う~ん。同じ学校だと、美雪ちゃんは嫌かな?」
学校には行きたいけど、1人で放り込まれるのは寂しい。
しかもエリートの集まりに。
「嫌じゃないけど…」
「けど、やっぱりちょっと嫌かな?」
「美雪は別に…」
「美雪が側にいてあげなさい」
「アリス姉、そういうのやめてってば」
僕のことになるとアリス姉は最優先に考えてしまう、もう少し下の妹を可愛がってあげて欲しい。
「だって…光琉が心配だから…」
圧が強い割に打たれ弱いのか、僕がきつく言ったら隣で泣きそうな顔をしてしまったので、謝って頭をナデナデした。
アリス姉が悲しんだり怒ったりすると、これで結構何とかなると最近覚えた。
「あっ…」
美雪ちゃんが小さな声を漏らして羨ましそうな顔をした。ように見えた。
もしかして、恥ずかしいだけだったりするのかな?今度さりげなく撫でてみようかな。
桜蘭学園に決まりそうなのでパンフをパラパラと捲る。
部活動も盛んそうだし設備も充実している。シンポジウム?高校生が?私立って凄いんだな。
制服が全員スカートだった事に少し懸念を示すと、大抵の高校はどこも過ごし易いスカートだと言われてしまった。
スカートを履いたゴリラみたいなパイセンとかいるのかな…。
そういう世界ならば慣れるしかないけど、見たくはない。
入学金と学費も見えてしまったが、前世の僕なら払うのは難しい額だ。
…特待生の学費免除は…厳しいよなあ。
つい美雪ちゃんを見てしまい、首を傾げられた。
優秀な妹に期待してしまう残念な兄。
「模範生…。国家体系維持法7条適格生徒って、これは何ですか?」
「光琉は気にしなくて良いわ」
「と言うことは、精子絡みですか?」
言いたくなさそうなクリス姐から聞き出した内容をまとめるとこうだった。
1.性育学習における、被験者回数が年間規定達成(平均週1回)
2.献精活動における、OG訪問回数が年間規定達成(平均月1回)
もしもしポリスメン?
学内外でセックス沢山したら学費が安くなる。
要するに政府と学校主導の売春でしょこれ。
そう感じるけど、向こうの状況に合わせて作られた法律でこちらの常識を語っても仕方がない。
この世界において、性は国家の存続に関わってそうな話だし、15歳は社会奉仕ができる年齢という価値観なのだろう。
犯罪と合法のラインなんて社会都合で引いてるのだし、あまり思考を引っ張られないようにしよう。昔の日本なんて10歳の少女が爺さんに嫁いでたし、前世の常識が何でもかんでも正しい訳ではない。
「模範生というのは建前で、実際は社会的に蔑まれたり不名誉にあたる行為なんですか?天内家の格を下げてしまったり」
「良い事だと評価する人が大半よ。強い反発を示す団体はあるけどね」
人権保護団体とかかな?
まあ、良いことなら僕の選択肢には入る。アリス姉の負担も軽くなるし。
「これ、男子生徒はどう捉えているんでしょう。別にSEXが嫌いな訳ではないんですよね?」
「そうねえ」
クリス姐は、アリス姉と美雪ちゃんにも話をふり、あなた達も習ったわよねと確認しながら教えてくれた。
初潮を迎えた女子は毎日したい。排卵期だと四六時中疼いている子も多い。
男子もやろうと思えば毎日できるけど、性欲(精子の回復)がついてこないので射精もしにくくなる。
週に1~2回、心を許した恋人と興奮剤などの薬なしで、気持ちよくSEXしたいのが正常な感覚。
『心を許した』が重要で、見ず知らずの女とSEXに及んで、精巣口を責められたり、洒落にならない直接吸引に怯えながら射精するのは難しい。
『気持ちのいいSEXは好きだけど、乱暴にされるのは怖い』が男子の気持ち。
精神的・肉体的な負荷が高いので模範生になるのは難しい。
実際、奥を責められた、責めていないの言い合いで訴訟問題になることも多いという。色んな女性に抱かれたい男もいるにはいるが少数派。
美雪ちゃんは頷くだけで何も言わないけど、偶に僕の様子を伺っている。
「何か聞きたいことがあるの?いいよ?」
「…大丈夫」
気になるなぁ。
「それに、自分の愛人を疎かにすることにもなるから、嫌でも薬に頼ることが出てくるわ」
「愛人?彼女や恋人とは違うんですか?」
「愛人は定期的に子作りするパートナーよ。15歳から愛人を作る義務があるから」
「義務で恋愛するんですか?」
「恋愛で作るのは恋人、学生なら彼氏彼女ね」
彼女を愛人に登録する、もしくは全く関係ない相手を愛人に登録するかは自由。
高校生だと1年生の6月までに1名、2年からは2名、3年からは3名の愛人登録が義務化されていて、本人が登録しない場合、国や学校から任意の女性が割り当てられる。
子作りの義務は1人につき月に1度、女性の排卵期に合わせて行う。
最低3名の愛人義務は40歳まで続き、45歳で2名、50歳で1名に減る。
相手は何度変わっても問題はないけど、月に1度のSEX義務からは逃れられない。
男は重婚可能。大抵は愛人の誰かと籍を入れるが、愛人3名、結婚相手2名のように5名分のSEX義務を背負うのは自由。
「つまり僕は、高校に行ったら早く彼女を作って、誰かに愛人になってもらわなきゃいけないんですね」
「必要ない。私が愛人になるもの」
やはりそう来るか。
「姉弟で愛人登録ができるの?」
「血縁関係がないし問題はないわよ」
クリス姐が普通の顔で答える。
「私がいるから心配ないよ?」
隣のアリス姉はにっこり笑ってテーブルの下で僕の手を取り、自分のおチンチンを撫でさせた。
なんで?意味がわかんないんだけど?
「アリス姉は僕の側に居たいだけじゃなく、僕の子供が欲しいの?」
「当たり前でしょ。私はお姉ちゃんなんだから」
うん。やっぱり分からない。
そして手がおチンチンから逃げられない。
告白されたし、家族として打ち解けたとは思うけど、出会ってまだ2ヶ月くらい。
異性の愛というよりも、姉としての使命感が捻じ曲がってる気がしてならない。
そもそも告白にOKはしていない。
「弟としてはやっぱり、姉さんには素敵な男性と結婚して欲しいって思うんだけど」
「私は光琉がいい。光琉より素敵な男なんてこの世にいない」
「いや沢山いるでしょ…」
「アリス、その話をするのは先だと言ったでしょう」
脱線しかけたところでクリス姐が止めてくれた。
「愛人の話よね。アリスを選ぶとしても2年生からよ」
「ママ!」
「駄目よ。自分でした約束は守りなさい」
「………」
アリス姉が考え込みながら何度も僕を見てくる。反論が見つからないみたい。
約束ってなんのことだろう。
そしてスカート越しに手コキさせる力が強まったのはなんで?
「将来美雪を選ぶ時は、妊娠後に潜性抑制薬が処方されるわ」
「しないよ。選ぶわけ訳ないでしょ?」
「………っ、……ぅ、……グズっ」
ずっと黙って聞いていた、愛しのリトルシスターが俯いて泣きだしてしまった。
何でっ!?
…じゃ、ないな。あぁくそ、僕のバカ。少しイラッとして言い方が悪すぎた。
「違うよ?美雪ちゃんに魅力がないとかじゃないよ?嫌だとかそういう話じゃないからね?」
「………ぅ、…別に」
「ごめんね、言い方が悪かったよね」
「………ぐずっ、…美雪は別に…ぐずっ、愛人なんてなりたくない」
それっきり、美雪ちゃんは『もういい』としか返してはくれなかった。
オワタ…