あれから悠二とライザは、水浴びで体を清め、着替え終わると朝食の準備をしている途中、ロクサーヌが起きてきた。
「──お、遅くなって申し訳ありません!」
慌てて頭を下げるロクサーヌは、昨日ライザが調合した衣服を身につけていた。
「──いや、初日から無理させたのは俺だからな。気にしないでいいよ」
悠二はそれを笑って許した。
怒ってもいないし、ロクサーヌは悪くないのだが、彼女のようなヒトは、そう言ってあげたほうがいいと思ったのだ。
ロクサーヌはそのやさしさにホッとした表情を浮かべ、尻尾をピクピクと動かしている。
「そうそう。悪いのは毎回激しいユウジだからね〜」
と、ライザはからかうように言う。
その際に流し目でおなかを撫でてるあたり、先ほどまでのことを言っているのは明白だった。
実際、洗い流したあとでもまだほかほかと温かく、たぷたぷとした感覚が揺れている気がしたのだ。
ロクサーヌは、ぺこぺこと頭を下げたあと、朝食の準備を手伝った。
朝食は変わらずのきのこの塩焼きと水だが、現状ではこれが精いっぱいだ。
悠二たちは、焚き火を囲んできのこの串焼きを食べながら、今日の予定について話し合う。
「──今日は、もう少し探索の手を広げようと思う」
「うん、いいんじゃないかな? でも、そうなると丸腰ってわけにはいかないよね。ユウジは、何か欲しい武器とかある?」
「俺は……そうだな、刀とかわかるか? 片刃の剣なんだが……」
「えっと…………うん。なんとなくレシピはわかるよ。たぶん、ユウジの装備レシピが解放されてるのかも?」
悠二の話に乗り気なライザは、考える仕草を見せ、そう告げた。
どうやら悠二の武器レシピが刀のカテゴリーなようだ。
なぜ悠二の武器レシピがあるのかはわからないが、ライザの錬金術はそういうものなのだと割り切れた。
実際、ゲームでも仲間の武器レシピは、そんな感じに覚えていたはずだ。
「ならそれを頼む」
「オッケー。ロクサーヌはどう?」
「──はい。私は、木の盾を。あとは片手剣があれば。防具のほうは、ご主人さまから優先してください」
「うん、わかった。これでも仲間の武器とか作ってたから、任せといてよ!」
悠二とロクサーヌの頼みを引き受け、ライザは豊かな胸を叩いた。
それからライザは、悠二のおかげで使用回数が増えた錬金術で頼まれた武器や防具を調合した。
海岸に打ち上げられたガラクタも、ライザの手にかかればちゃんとした加工品へと変わる。
「──よし、できたー!」
調合が終わり、ライザは元気な声を上げた。
「はい、これ! 悠二とロクサーヌの分ね!」
「ありがとう、ライザ」
「ありがとうございます、ライザ」
装備品を受け取り、悠二とロクサーヌは礼を言う。
そして、さっそくそれらを身につけた。
悠二は、こういったものは初めてなため、少し手間取ったがロクサーヌに手伝ってもらい、なんとかさまになった。
左腰に刀を佩き、皮の胴鎧と帽子を身につければ、それっぽくなる。
ロクサーヌは、皮のジャケットと防具、木の盾に片手剣といった装いだ。
装備の手伝いもそうだが、その装いもさすが現地人とだけあってさまになっていた。
着られている感がある悠二とは、雲泥の差である。
「──よし、あたしも準備できたよ!」
ライザは、『ライザのアトリエ』の一作目で見るいつもの格好と杖だが、採取に役立つ道具や回復薬も腰のポシェットに入れている。
「──それじゃあ、さっそく冒険といくか!」
「お〜!」
「お、お〜」
悠二の言葉に冒険好きなライザは元気に、ロクサーヌは戸惑いながらも応じ、三人は拠点を出立した。
未探索エリアもまだまだ広い無人島だが、そもそもいまいるエリアもほとんど探索できていない。
そのため悠二たちは、まずは足場固めと洞窟のある場所よりもさらに奥の森の中を探索していた。
道中、使えそうな植物や石を拾い、悠二のアイテムボックスへとしまっていく。
「ご主人さまは、やはり探索者みたいですね」
「探索者って?」
鼻の利くロクサーヌが先頭に立ち、真ん中のライザが首を傾げる。
「私のいたところでは、迷宮に入る人を探索者といい、ジョブとして就くとアイテムボックスなどが使えるようになるんです」
警戒しながらもロクサーヌは、ライザの問いに答えた。
後方を警戒しながらついていく悠二は、そういえばそんな設定だったなと、ぼんやり思い出していた。
ちなみにロクサーヌの身体能力は、行為によって戻っており、スキルと違って精液を摂取すればもとに戻るようだ。
精気が満ちる、といった感覚だった。
そのため戦闘のたびに身体能力が低下する心配はない。
だが、どちらにしても精液を受け入れないと死ぬため、そこは変わらない。
「──止まってください」
ロクサーヌが脚を止め、そう発した。
ライザと悠二も脚を止め、警戒する。
「──どうした?」
悠二が代表して訊くと、ロクサーヌは前方を注視していた。
「…………」
「ロクサーヌ?」
答えないロクサーヌに悠二が声をかけるも、返答はない。
「どうしたの?」
うしろのライザが肩を叩くと、ロクサーヌはようやくハッとした様子だった。
「──も、申し訳ありません!」
「いや、それはいいんだが……何があるんだ?」
「い、いえ、それが……ご主人さま、ライザ。ここは本当に異世界、なんですよね?」
「……ああ、少なくとも俺たちにとってはな」
困惑した様子のロクサーヌは、前方を見ながら言う。
「で、ですよね……ですが、あそこにあるものは、私の世界で見られたものなんです」
ライザと悠二は、顔を見合わせたあと、ロクサーヌの視線の先を見つめた。
そこには、土が大きく盛り上がり、ぽっかりと穴が空いた洞窟のようなものが確認できる。
「あれはなんだ?」
「あれは……迷宮です」
悠二の問いにロクサーヌは、真剣な表情で応じた。
To be continued
というわけでふと思いついたギミックのひとつが登場させられました!
短くてもこうしてストーリーを進めらるのは、少しだけ上達したのかな?と自惚れてみたりします。
それではまた次回!
少しでといい、おもしろいと思っていただけたら、お気に入り登録、高評価、感想のほどよろしくお願いいたします!