今回からある原作キャラが登場しますのでお楽しみに!
「……い……もし……起き……」
(──ん……誰だ……?)
微睡みのなかで聞こえてきた声に、悠二は意識を覚醒させた。
(……あれ? 俺、寝てた? ちょっと待て、いったい何がどうなって……?)
目を開けると、強い日差しが入り、悠二は思わず片腕で目元を庇った。
(な、なんだ、まぶしっ……? っていうか暑いのに肌寒い、ような?)
まるで素肌を風がなぞるような感覚だった。
いくら六月に入ったとはいえ、いくらなんでも暑すぎるうえにどこか頼りなさを自分の体に覚えた。
それに背中側が全体的に痛いのも気になった。
まるで裸で荒地に寝転がっているかのようだ。
「──あ、起きた?」
またそんな声が聞こえてきた。
どこか安心したような、それでいて恥じらいを感じさせる女の子の声音に、寝ぼけ眼だった悠二はようやく完全に意識を覚醒させた。
「──だ、誰だっ!?」
「うわぁっ!? きゅ、急に起きないでよ! っていうかこっち見ないで! 見せないで!」
ガバッと体を起こした悠二が声のするほうに顔を向ければ、そんな返答があった。
見れば女の子が傍らに座り込んでいたが、バッと慌ててうしろを向いた。
しかし、そのうしろ姿は、綺麗な背中はもちろん、豊かな臀部までも露わになっていた。
「なっ!? な、なんだ?!」
いきなり女の子の裸を見てしまい、悠二は顔を赤くすると逆方向に勢いよく顔を背けた。
その際に自分もなにひとつ身につけていなかったことに気づく。
「──はあぁぁっ!? な、なんで俺も裸っ!?」
「と、とにかくっ、いったん落ち着こう! ほ、ほら、お互いに背中向けとけば見えないから!」
「あ、ああ、そう、だね」
見ず知らずの女の子に言われ、悠二は背中を向けたものの局部を脚を閉じて隠した。
(い、いったい、なにが? 俺はなんで裸なんだ?)
よくよく周りを見渡すと、周囲は青空と小石が転がった地面、少し視線を先に向ければ遠くに空とは違う青──海が確認できた。
(は? は? そ、外で全裸なのもたいがいだが、ここはいったいどこだ!?)
悠二は混乱しながらも今日一日のことを思い出そうと、頭を悩ませた。
今日も普通に起きて、朝食を食べて、学校に行き、授業を受けてと、変わり映えのない退屈な、けれど平穏な日常を送っていたはずだった。
それが気がついたら真っ青な空と海のもと、裸で寝転がっていたのだ。
「──たしか、俺は……」
経緯を思い出すように目を閉じる。
昼休み、購買に向かうために教室を出て廊下をダッシュし、階段を駆け下りて──。
「……そうだ。急に目の前が光って……」
立ちくらみかと思って目を閉じ、次開けたときには、ここに立っていたのだ。
悠二は、辺りを見回すが強い日差しと小波の音、見知らぬ風景があるだけだった。
頬を抓ってみるも、痛いだけで何も変わらなかった。
(──と、となると、あとは……)
背中合わせの同じ全裸の女の子に訊くしかなかった。
「あ、あの、さ……」
「──っ!? ぅ、うんっ、な、なに?」
悠二が呼びかけると、女の子は上擦った声で応じた。
「こんな格好でごめん。だけど、俺は本当に身に覚えがなくて……決して痴漢とか変質者ではないんだ」
「う、うん。それはあたしもそう……」
悠二の誠実な声音に女の子もそう返してきた。
「そ、そうだよな。よかった……そ、それでここはいったい……?」
「あ、あたしにもわかんないよ。あたし、今日もみんなと採取に行ってたんだけど、気がついたらここでその、裸で倒れてたの。そしたら、あなたが隣にいて……あなたこそ、ここがどこかわかる?」
「い、いや、俺も気がついたらここに……」
「そ、そっか……」
お互いに困惑と羞恥を覚えながらも、情報交換をしたが現状を把握することも、打開することもできそうになかった。
「可能性としては、誘拐された、とかか?」
「なんのためにさ?」
「それはわからないけど……」
悠二も自分で言っていて半信半疑だが、女の子のほうも疑問に思いながらも真剣に悩んでくれる。
「う〜ん……クラウディアならともかく、あたしを誘拐してもなぁ……あ、もしかしてあたしを人質にして呼び出すつもり、とか?」
「そうなると、俺も可能性があるとしたら身代金か……?」
「あなたもクラウディアみたいにお金持ちのとこの人なの?」
「そのクラウディアって人のことはわからないが、それなりにな」
誘拐される可能性はあるが、それでも悠二には疑問だった。
「だが、どうやって攫ったんだろうな……?」
「たしかに、それはあたしも思った。普通に素材採取してて、仲間の誰にも気づかれないってことはないと思うんだけど……ほんとに気づいたらここにその、は、裸でいたって感じだし……」
言ってる途中で女の子は、恥ずかしそうに声を上擦らせた。
まるでページが抜け落ちた漫画のように、連続性もなく場面が転換した、そのような感覚をふたりは覚えていた。
「──あ、そうだ! 手がかりになるかはわからないけど、これ!」
女の子は何かを思い出したのか、そう言って手に取ったものを差し出してきた。
「これって言われてもな……」
「あ、そっか……ちょ、ちょっとなら振り向いていいから」
「わ、わかった」
どうしたものかと思った悠二だったが、女の子の許可を得て少しだけ振り向いて差し出されたそれを手に取った。
一瞬、見えたが女の子は、明るい茶色の髪の類い稀な美少女だった。
(なんか、どこかで見た気がするな?)
思えば声も聞き覚えがあり、悠二にはどこか引っかかるものを覚えた。
「それで、なにかわかる?」
「──あ、ああ。ちょっと待ってくれ」
女の子の声に思考を打ち切り、悠二は手渡されたものを確認する。
それは硬質の板状のもの──タブレット端末だった。
「あたしもいろいろ作ったことあるけど、見たことなくてさ」
「そう、なのか?」
女の子の言葉に疑問を覚える。
いまどきタブレットを見たことないというのは、かなり珍しいだろう。
(まあ、人それぞれか)
そういう人間もいると思い、悠二はタブレットを操作する。
「お、動いた! すごい綺麗だねぇ。なんなのこれ?」
「えっと、そうだな……いろいろな情報が詰まったもの、かな」
「へぇ、こんな本くらいのサイズみたいなのにすごいんだねぇ」
驚き、感心する女の子に悠二は、なんだか新鮮な気分だった。
幸い動作に問題はなく、認証の類いもなかった。
「なんだこれ……?」
「えっ? なになに?」
悠二の困惑の声に女の子が訊ねるが、答えに窮した。
口に出しづらい内容なため、悠二は肩越しにタブレットを差し出した。
「これ見ればいいの?」
「……ああ」
「うん、わかった」
女の子は、タブレットを受け取ると画面に目を落とす。
「──……え、ええっ!?」
少しすると女の子から驚きの声が上がった。
悠二も気持ちはわかると内心頷いていた。
「えっ、えっ、えっ!? こ、これって、ほ、ほんとに? その、い、言いづらいんだけど、あなたが嘘ついてるとか……」
「そう思う気持ちもわかるが、特に何もしてないんだ……」
「そ、そうだよね。で、でも、これは、その、どうしよう……」
「ほんとにな……」
悠二と女の子は、揃って羞恥と困惑でどうしたらいいかわからなくなっていた。
タブレット端末の画面には、こんなことが映し出されていたのだ。
──ここは異世界の無人島です
──この島で暮らすためのルールを説明いたします
⚫︎共通ルール
1.もとの世界への帰還方法は存在しない (転移系の能力なども使用できない)
2.徒らに相手を害した場合、ペナルティとして同様の傷を負う
3.互いにセックスによる病気などの心配はない
4.男女ともに老化しない
5. セックス回数(膣内射精)に応じて互いに寿命が延びる
6. 絆が深まると互いに基礎能力が上昇する
7. セックス回数に応じてポイントが手に入り、買い物することができる(特典は互いに認めたものしか得られない)
ここまでが共通のルールだった。
迂闊に相手を傷つけられないというのは、お互いに助かるのだが、他が問題だった。
表示されたことを信じるならば帰る手段はなく、なぜかセックスすることが前提として提示されている。
もちろん、拒否すればいいだけなのだが、そうはさせないとばかりに男女別のルール──特に女の子側のルールが許さなかった。
⚫︎女の子専用ルール
1. 女の子は、定期的に子宮に精液を受けねば死んでしまう(周期は個人差あり)
2. 女の子は、特殊能力を持っている場合、セックスした回数(体内に摂取した)分の使用回数を得る(使用するごとに使用回数減)
3.女の子は、妊娠期間中は上記1のルールを免除される
4.妊娠するかどうかは本人の意思によって決められる(排卵を操作できる)
つまりは、女の子は膣内射精をされなければ命を落とし、特別な力を使うことはできないということだ。
しかも、男側のルールがある逃れを許さない。
⚫︎男性専用ルール
1.女の子を無理やり犯した場合、ペナルティが生じる(場合によっては即死)
2.自慰による射精によって女の子に精液を譲渡することを禁じる
3. 女の子を妊娠させた場合、ご祝儀としてボーナスポイントを得る
男の場合はまだ軽いが精液だけ渡して女の子が自分で精子を入れる、という手は使えなかった。
──これらのルールを守り、楽しい無人島開拓生活をお送りください
最後はそんな文言で締められていた。
「「…………」」
あまりのことにどちらも言葉を失っていた。
襲われる心配こそないが、女の子にとってはあまりに重いルールだろう。
自分から望んで受け入れ、子宮に精液を出されなければならないのだ。
しかも、会ったばかりの男女なのにだ。
絆を育んでからと悠長なことをしていれば、女の子は死んでしまうのだ。
さらにその時期も書いていないのが困りものだった。
「こ、これ、どう思う?」
「ど、どうって……いやぁ、さすがに嘘でしょ。こんなことあるわけないって! あ、あたし、そんな変な体質じゃないし!」
「そ、そうだよな!」
お互いに異常な状況に呑まれかけていたが、すぐにただの脅しと考えた。
しかし、気づく間もなくこんなところに連れてこられた、という事実がそれを否定させるのを難しくしている。
そして、もし本当ならば気づいたときには、女の子は死んでいるかもしれないのだ。
悠二もそんなことになれば、流されるままにことに及ぶことよりも遥かに後悔することだろう。
「そ、それに脱出できないとは決まってないし! まずはこの島を冒険してみようよ!」
「あ、ああ。それもそうだな。だが、このままでか……?」
「えっ? ……あ、そ、そっか。あ、あたしたち、裸だったね……」
勇ましく言うが着の身着のままどころか、一糸纏わぬ状態であることに気づき、女の子は勢いが萎んでいき、落ち込む。
(まったく、どこの誰だ。こんな悪趣味な真似をしたのは……)
悠二も頭を抱えていた。
二次元には、『セックスしなければ出られない部屋』なんてものがあるが、それをより悪辣にしたものだった。
「と、とりあえず、行けるところまで行ってみない? もしかしたら少しずつでも解決の糸口が見つかるかもだし!」
「あ、ああ、そうだな」
前向きな女の子に悠二は頷く。
「あ、そういえばお互いに名前も知らないね」
「ああ、そうだな」
女の子に言われ、悠二もいまさらなことに気づいた。
いろいろと混迷する状況に名前どころではなかったのだ。
「俺は神凪悠二。十六歳の高校二年生だ」
「へぇ、その高校生? っていうのはわからないけど、不思議な名前だね? 神凪くん、が名前?」
「ああ、いや、悠二が名前で神凪が苗字だ」
日本人の名前がわからないのはまだしも、高校生を知らないというのは、悠二も疑問だった。
(タブレットといい、どこから来たんだ?)
その悠二の疑問は、他ならぬ女の子の名乗りで判明することになる。
「へぇ、ユウジくんか。あたしは、ライザリン・シュタウト。ユウジくんと同い年だよ。親しい人はあたしのことライザって呼ぶから、よかったらユウジくんもそう呼んでよ。よろしくね」
「ああ、よろしく──……ライザ?」
「え? うん。──って、こっち見ないで!」
覚えがある名前に思わず振り返ってしまった悠二だが、女の子が言うにもかまわずつい見とれてしまう。
明るい茶色の髪に髪色に近い瞳の色をした、快活な雰囲気の女の子は、たしかにその名前のとおりの見た目をしていた。
そう、女の子は秘密シリーズの主人公、ライザリン・シュタウトだった。
(まさか、これって本当のことだったのか?)
悠二は、唯一自分にしか見えていないタブレット端末の文字を思い起こしていた。
──この島には、二次元から多くの女の子が墜落ないし流れ着きます
──彼女たちと幸せな無人島開拓生活をお送りください
悠二は、ライザを見つめながらタブレット端末に書いてあったことが本当だったのだと、少しずつ実感してきていた。
To be continued
というわけで太ももの代名詞、ライザリン・シュタウトの登場となりました!
しばらくはライザひとりですが、ヒロインはどんどん増やしたいのでいずれアンケートとかします。
ちなみに島のルールはあんま気にしないでだいじょぶです。ようはエッチするための舞台装置ですからね。
でも、戦闘とかは書きたいですね。オリジナル作品の練習でもあるので。
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