※この作品はR-18です。

『八男なんてそれはないでしょう』ヒロインたちの別物語   作:時田士郎

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08『八男って、それはないでしょう!』ヒロインたちの別物語

第8話:聖女エリーゼと憧憬

──導入──

聖騎士として訓練の場へと急いでいた少年は、意図せずにある部屋の前を覗き込んだ。扉が開かれたその部屋では、一人の女性が神に祈っていた。姿勢の良いその横顔に、少年は見惚れた。

「美しい人だなあ。」

自分に見惚れて立ち尽くす少年に、祈りを終えた彼女は笑いかけた。

「こんな所で油を売ってはダメでしょう。訓練にお励みなさい。」

その声は鈴の音の如き清らかなものと、少年には思える。

「はい、失礼します。」

教会の偉い人なのだろう、と妥当な判断を下しスクワイアの少年は聖女の前から走り去った。

「で、どうかな。」

物陰から姿を現した枢機卿が尋ねる。聖女の意中を知り、この場で祈る聖女が候補者の幾人かと鉢合わせするように仕向けたのは彼である。

「決めました。あの子が良いでしょう。」

「ちと、幼い。いや、若すぎるのではないか。」

枢機卿は懸念を発した。これまで加護の儀を受けたものは、聖騎士になるに相応しい年齢を待っている。しかし、だ。このやり方は限界に来ていた。まず候補者が枯渇した。聖騎士になってしまえば、スクワイアの数は減る。

そして聖女が拒否権を発動する率がそれなりに高かったのである。無礼、顔が醜い、清潔感がない、彼女をモノとして扱う。聖女も人である。そして聖騎士には、一定の基準を設けたのだ。

「迷宮探索は魔族の邪魔が入ります。これは教会とヤツらとの争奪戦。人手は幾らでも欲しいが。」

「それなら、悩まれる必要などないかと。」

聖女はこれぞ神のご意志とばかりに晴れやかな顔で告げた。

「まずは一人、先ほどの少年で様子を見ましょう。」

(些か若すぎる、いや幼いほどだが聖女がそういうのならやむを得ん。)

枢機卿は悩む。だが、あの迷宮(ダンジョン)に眠る聖遺物(レリック)こそ魔族の手に渡してはならない。あれは教会こそが持つべきものなのだ。



聖女エリーゼ加護の儀②幼き憧憬
第8話:第一章 聖女への幼き憧憬


──聖女専用祈祷室──

 

僕は、教会の一番奥にある、聖女様専用の祈祷室へ呼び出しを受けていた。枢機卿様直々に告げられたのだ。『聖女様が、お前を加護の儀の対象に選ばれた』と。

 

(あの日見かけた、あの“美しい人”が)

 

用向きの内容は分からない。でも、選ばれた事がただひたすらに嬉しかった。

 

(なんでも、言われた通りにしよう。)

 

僕はそう決意していた。気に入られたら、会う時間が増えるかもしれない。

 

僕は恐る恐るノックした。厚い扉が内側から開かれた。エリーゼ様は、白い聖衣をきちんとまとったまま立っておられた。それはあの日見た清らかな印象のままだった。

 

灯火に照らされた長い金髪。彼女の輪郭は閉ざされた暗い部屋の中で浮き上がり、柔らかく光っている。そして穏やかな微笑みが、僕の方へ向けられていた。

 

「来てくれたのですね。」

 

その声は優しく、そして僕に会えた嬉しさを孕んでいるように感じられた。

 

「はい。……聖女様」

 

僕は深く頭を下げた。聖女様の気配を感じて、僕の心臓はうるさいくらい活発に動いていた。こんな近くにいていいのかと、そればかり考えてしまう。何か“間違い”を犯してしまいやしないかと心配になる。

 

「恐がらなくていいのですよ。」

 

聖女様は緊張する僕を見て柔らかく微笑むと、僕を中に導き入れてくれた。

 

「これも神のお導きです。あなたを見た瞬間、それが分かりました」

 

重い扉を閉めて、聖女様はかんぬきを下ろした。

 

「聖女様、あの」

 

「私は、エリーゼです。」

 

「あの、エリーゼ様。僕はどうすれば良いでしょうか。」

 

「じっとして、そのまま動かないで。」

 

エリーゼ様はゆっくりと立ったまま待つ僕に近づいた。そして僕の頬にそっと指先を添えた。それは冷たいようで、すぐに熱を帯びてくる指だった。

 

「迷宮へ赴く聖騎士には、特別な力を与える為の“加護の儀”が必要になります。」

 

エリーゼ様が、どこか熱っぽい目で僕を見ていた。ほんの少しだけ触れた指先から、彼女の中の熱が僕の中に流れ込んでくる気がする。これが“加護の儀”で僕に与えられる力なのだろうか?

 

「この私の体を通して、あなたに聖なる力を分け与える特別で秘密な儀式なのです。でも、」

 

彼女はそこで言葉を区切り、囁くように僕に告げる。

 

「ただし、まだ幼いあなたでは一度では難しいでしょう。今日は門を開くだけです。だから怖がらず、安心していなさい。」

 

そしてエリーゼ様は、僕の目を覗き込んだ。

 

「加護の儀で授けられる力は、あなたが考えるよりずっと多いのです。しかし多くの物は、自分で限界を決めてしまうのです。だから……あなたは何も知らなくていい。ただ、私を見ていてください。」

 

僕は自分が何が分からないのかすら、まだ分からなかった。ただ、エリーゼ様にただ見ていればいいと言われたことが僕の心を落ち着かせていた。

 

 

 

 

──接吻──

 

エリーゼ様は僕の両手を取ると、ご自身の胸に静かに重ねた。気がつくと、僕の両腕は彼女の両胸を掴んでいた。聖衣の厚い布越しに、わずかな温もりだけが伝わってくる。

 

「目を閉じてください」

 

言われるまま、僕は目を閉じた。額に、柔らかなエリーゼ様の唇が触れた。熱くない。ただ、きれいな感触だった。その小さな接触から、彼女の微かな吐息が漏れる。

 

「口を、少し開けて」

 

分からないまま従うと、今度は僕の唇と彼女の唇が重なった。そして舌先が、僕の唇の内側をゆっくりとなぞる。何をすればいいのか分からず、僕はただ立ち尽くしていた。

 

エリーゼ様は僕から離れず、何度もキスを重ねてくる。浅く、それから少し深く。僕の舌に、彼女の舌が触れた。彼女が唇を離す。

 

「……ん。次はキスをしたままでそのまま、吸ってみてください。」

 

再びエリーゼ様が僕にキスをしてくれる。僕は言われた通りにしようとした。長いキスが、途切れ途切れに続いた。二人は息継ぎのようにキスの合間で喘ぎ、更に次のキスを深くした。深くなるたび、興奮が腹の方へと広がる。

 

「それでは、服を脱いでください。今日は貴方だけが裸になるのですよ。」

 

(僕だけが?)

 

僕は混乱した。それはいずれエリーゼ様も裸になると、そう言っているように聞こえてしまったからだ。しかし、彼女の前で裸になる事はとても恥ずかしい事だった。けれど、どこかひどく興奮させられていた。僕の中の何かが、“加護の儀”を通じてエリーゼ様により急速に目覚めさせられているようだった。

 

 

 

──口淫──

 

僕は言われるまま、服を脱いだ。エリーゼ様の視線を感じる。本当は後ろを向きたかったが、そうしてはいけない気配も強く感じていた。

 

まず上着を脱ぎ、傍の椅子の上に置く。続いてシャツと肌着を脱いで上着と重ねた。サンダルから足を外し、ズボンを取り外す。エリーゼ様の視線は、僕の下腹部に集中していた。

 

(そんなに見ないでほしい)

 

羞恥しながらも、僕は下履き一枚となる。

 

「まぁ」

 

エリーゼ様は僕の前に膝をついた。白い聖衣のまま、床に跪く聖女様。その光景が、あまりにかけ離れていて、目が逸らせなかった。

 

エリーゼ様は僕の手を取り、ご自身の頬に当てた。それから、その手を導いて、聖衣の上から潜り込ませた。僕の手は、エリーゼ様の胸の膨らみを撫でる。先ほどとは違い、服に遮られない大きな柔らかさ。下着の上からではあるが、エリーゼ様の乳首先がすでに硬く尖り、厚い生地を内側から押し上げているのが分かった。

 

「私の身体はどうですか?」

 

上目遣いでエリーゼ様が尋ねる。その瞼にはこれまでに見たことのない色が、大人達が艶と呼ぶものが込められていた。エリーゼ様は、僕に色目を使っていた。

 

「……分かりません。熱いです。エリーゼ様」

 

「それでいいのです。分からなくていい。熱いと思うことが、すでにあなたの中の魔力の入り口を開いています」

 

エリーゼ様は僕の下履きに手をかけ、静かに下ろした。僕の股間が初めて外の空気に触れる。恥ずかしいというより、何が起きているのかが追いつかない。エリーゼ様はそれを見ても表情を崩さず、白い指で僕の先端をそっと包んだ。温かい。滑らかな掌が、何も知らない僕のものを、丹念に上下する。既に先端から溢れていた透明なものが出て、彼女の指を濡らした。

 

「準備は、良いようですね。」

 

エリーゼ様はそれを見て、小さく息を吐き、指先を唇に持っていった。それから、僕の顔を見上げる。

 

「まずは貴方の中に、私の魔力を通す入り口を開きます。あなたは、私を見るだけにしてください。」

 

僕はエリーゼ様を見ていた。見ないではいられなかった。聖衣のまま、金髪を耳の後ろに掻き上げ、彼女は僕のモノに熱い息を当てる。次に、舌が先をゆっくりと舐めた。花の香りが、間近で濃くなる。僕は思わず腰が引けそうになる。その動きを、エリーゼ様の手が押さえた。

 

「動いてはいけません。これは神聖な奉仕です。」

 

言葉の意味を理解するより先に、熱い口が僕のモノを含んだ。それは僕を包み込む。浅く、丁寧に。歯を当てず、舌で裏をなぞり、時折深く沈めては、ゆっくりと離す。白い聖衣の肩と、伏せた金髪と、その先で僕のものを含んでいる唇。

 

僕の心が快楽に染められる。この光景を見ているだけで腹の奥が疼く。疼きと一緒に、熱いものが太腿から腰骨へ、さらに奥へ沁みる。

 

(これが加護の儀?)

 

溢れてくる力には、熱と快楽の境がなかった。だから初めての官能に、僕は身を震わせた。

 

エリーゼ様は急がない。根元まで手で支え、先だけを何度も舐め、含み、離す。僕の腹が震えるたび、一度口を離し、唇で先を軽く吻んでから、また含む。そのたびに上目遣いで僕の顔を確かめる。その様子はどこまでも艶美だった。

 

僕の反応を確かめながら行われる、緩急のリズム。僕の股間の奥底が熱く疼き、腰の奥が自然とせり上がってくる。

 

(なんか出ちゃう。)

 

エリーゼ様はそれを察したように、一度深く含んだまま動きを止め、目だけを上げて僕を見た。

 

「出してください。口に。」

 

言われるがままに、僕の力が抜けた。熱いものが、聖女様の口の中へと直接溢れ出す。それは僕には避けようがなかった。

 

(聖女様になんて事を。)

 

聖女様に僕の吐き出したモノをぶつける。それはとてもいけない事をしている気分で、僕は縮こまった。

 

だがエリーゼ様はせり上がるものを避けず、受け止めてくれた。そして喉を小さく鳴らしながらその全てをゆっくりと飲み下した。

 

その後も、僕のモノにまとわりつくように残ったものを丁寧に舐め取り、先を唇で軽くキスするように清めてくれる。そしてようやく口を離した。

 

「……綺麗になりましたね。」

 

笑顔を見せるエリーゼ様に、僕は腰が抜けたようになっていた。まだ自分の力で立っていられる。でも、かなりギリギリだ。

 

「今夜は、ここまでです」

 

エリーゼ様は立ち上がり、脱がせた服を僕に着るように促した。彼女の聖衣は一枚も乱れていない。ただ、唇だけがわずかに潤んで見えた。

 

「残りの儀式は明日、行います。少し痛みが出ても気にしないで。宿舎へ戻り、よくお休みなさい。」

 

僕は服を着て、深く頭を下げた。そして逃げるようにその場を後にした。部屋を出るとき、エリーゼ様は微笑んでいる気がした。何が起きたのかは、まだよく分からないままだった。ただ、明日また呼ばれることが、怖いようでいてとても待ち遠しかった。

 

 

 

──初体験──

 

翌日の夕方、僕は再び祈祷室へ呼ばれた。

 

(あの“続き”をするんだ。)

 

その事を思うと、僕は興奮するのを抑えられずにいた。聖女様の柔らかな唇の感触。あの締め付け具合は、僕の身体に忘れ得ぬ刻印を刻んでいる。僕の手のひらには乳房の重みが、耳にはあの息遣いが残っていた。

 

(どんな“先”があるんだろう。)

 

それは気持ち良いに違いない、との確信がある。生まれてきた意味を思い知らされるような行為。その事に僕は耽溺し始めていた。

 

「お入りなさい。」

 

ノックの音に応える声は、昨夜のあの人の声に間違いない。

 

「失礼します。」

 

 

扉の向こうは、昨日と同じ薄暗さに包まれていた。恐らくは彼女の体臭であろう、花のような香りも違いはない。ただ違うのは、香りが少し濃いことだ。そして聖女様が、怖いくらいに真っ直ぐに僕に目を向けて逸らさないことだ。

 

「よく来ましたね。昨夜は、眠れましたか?」

 

柔らかな問いかけに安堵して、僕は正直に答えた。

 

「……なんだか身体が熱くて、少し寝苦しかったです。」

 

眠ることは眠れた。しかしその眠りは、浅くどこか息苦しさが感じられたのだ。

 

「それでいいのです。あなたの身体が新たな環境に順応した証拠ですから。」

 

聖女様がその細い指を、ツッと僕の肩に走らせる。その行為は、僕の体を疼かせた。

 

(“欲しい”)

 

内心で何を欲しているか。それが自分でも分からないまま、僕は自然に前のめりになる。

 

聖女様は昨日と同じ白い聖衣のままだった。彼女は僕に身を寄せると、僕の額に短いキスを落とす。母親がよくするようなキスでありながら、それはどこか官能を惹起した。

 

その小さな接触だけで、昨夜の興奮がすぐに蘇る。僕の胸の奥が、熱くなる。

 

「顔を上げて。」

 

言われるがままに、僕は顔を上げた。聖女様の美しい顔が目の前にある。

 

「ん……。」

 

長いキスが、始まった。昨日より長く、より深い。唇を離すたびに、釣り上げられた魚のように口をパクパク動かして呼吸を求めてしまう。

 

唾液が、二人の口腔内を行き交う。それが少しも嫌でないのは、彼女がやはりとても美しく可愛らしいからだ。明らかに年上の奥様なのに、とても年上には思えない。

 

僕にキスをする聖女様は、薄目で僕の反応を確かめながらキスの回数を重ねた。

 

「分かっていますね。今日は交わりの日ですよ。」

 

「えっ。」

 

僕は聞き逃したのでも、知らなかったのでもない。本当にそう言われたのか信じがたかったのだ。聖女様は僕の問いかけを、説明を求めるものと解釈したように言葉を連ねる。

 

「この私の中を通して、あなたに加護の力を授けます。」

 

僕はコクリと頷いた。これから何があるにせよ。準備はもう出来ている。むしろここで終わりと言われたら、聖女様に『やめないでください』と泣いて縋って喚き散らしていただろう。

 

「さあ、その服をお脱ぎなさい。」

 

優しく促され、僕は服を脱いだ。今日はもう、一糸も纏わぬ裸になる覚悟ができていた。

 

「では、こちらへ。」

 

聖女様は僕の服を畳むと、僕をベッドへ導いた。僕は仰向けに寝そべる。僕の視線は聖女様に釘付けのままだ。

 

彼女は裾を摘むと、聖衣のまま僕の上に跨るようにして立った。その足が何の布にも覆われていない素足である事に、僕は初めて気がついた。

 

彼女は裾だけを両手で摘んで、軽く持ち上げるようにした。生地の下には何も付けていない。柔らかな股間の下生えからその先の胸の先端まで、僕は一瞬で全てを見ていた。僕の股間が痛いほどに硬く膨らむ。

 

「私が、動きます。あなたはそこで耐えているのですよ。」

 

聖女様はニコリと微笑んだ。僕が耐えるのは痛みではなく、快楽。エリーゼ様の笑顔がそう告げていた。

 

「では。」

 

聖女様は手で僕のものを掴む。少しだけ手で擦り、その感触を確かめてから自らの秘所へと誘った。

 

「昨日は上のお口でした。でも、女は下にも口があるのですよ。」

 

妖艶としか称するしかないような笑みを浮かべ、エリーゼ様は自らの熱い入り口に僕の男根を宛がった。聖衣に隠れて見えてはいない。だが、紛れもなくその感触が伝わった。

 

「えいっ」

 

エリーゼ様の掛け声と共に、僕の先端が沈む。それはまるで境界が溶けてしまったかのように、熱く轟く感覚の只中にあった。

 

ぬるりと、先端だけが飲み込まれたところで、エリーゼ様は動きを止めた。

 

「少し、動かないでそのままで。すぐに果ててしまいますからね。今は少し、この感触を楽しみなさい。」

 

「はい。」

 

言葉にされた“果てる”という感覚が、どういう事なのか僕に伝わる。この我慢、耐えている感覚を続けられなくなる事。気持ちいいが続かない。そんな事は嫌だった。

 

昨夜の“上のお口”とは違う。エリーゼ様の下の“お口”はどこまでも従順にやわらかく包んでくれている。その密着感たるや、言葉にはできない。

 

「さ、動きますよ。」

 

聖衣の重い裾が僕の腹に落ち、その下で大きな胸の柔らかさが布越しに押し当てられる。そして僕に伝わるのは、聖女様の中を自らが貫いていく感覚だった。

 

半分まで沈んだところで、エリーゼ様は小さく眉を寄せた。それでも動きが止まらない。彼女の息遣いに合わせるように、僕のものも脈打っている。僕に呼応するように、彼女の中が小さく締め返す。

 

「さ、今は私を見ていて。」

 

僕がエリーゼ様の中にゆっくりと埋まる。根元まで埋まった瞬間、とんと彼女の股が僕の股にタッチした。エリーゼ様の中は熱い。締めつけが、先から根元まで一続きになっている。

 

(こんなに美しい人が、僕を迎え入れてくれるなんて。)

 

どうなっているか目では分からない。聖女様の聖衣に全てが包まれ覆われている。それでも淫らな感触や気配が、二人の股間から立ち昇っていた。

 

「これでいいでしょう。」

 

呟くようにそう言ったエリーゼ様は、一度深く息を吐いた。そして顔を寄せて僕とキスを重ねた。

 

エリーゼ様とつながったままのキスは、熱かった。唇の奥まで熱が通る。

 

(魔力を通されているんだ。)

 

その事を僕は直感した。僕がすぐに“果てて”しまわなかったのは、きっとその事が関係をしているのだろう。

 

「良い具合ですね。そうやって、耐えているのですよ。」

 

耐えている僕を見て、淫らに笑った聖女様は腰を動かし始めた。最初は浅い。僕が抜ける寸前まで腰を浮かせ、またゆっくり沈める。濡れた音が、聖衣の裾の下で小さく立つ。

 

花の香りが汗の匂いと混じり、淫らなものに変わる。エリーゼ様の内側は、動くたびに形を変えた。僕は咥えられたままで掴まれて捻られた。魔法による強化が無ければ、降伏して白旗を挙げていただろう。

 

でも聖女様の加護の力が、僕を聖騎士に近づけてくれている。

 

浅いところは柔らかく絡み、深いところは熱く咥え込む。エリーゼ様が腰を沈めるたびに、僕の先端が奥の柔らかい場所を押す。押すたびに、彼女の喉が短く鳴った。

 

「んあっ……あ。そこ。」

 

(聖女様が感じてる。いや違う、これは魔力の話の筈だ。これはだって、加護の儀なんだ。)

 

 

女としてのエリーゼ様が僕にひれ伏している訳じゃない。勘違いしてはならない。これは加護の儀式の中で、互いに魔力を流しあい高められた官能の反射に過ぎない。

 

(でも、そうだとしても。)

 

これが実力でなくても、魔力により強化された僕がエリーゼ様を翻弄しているのだとしても。僕が彼女を昂らせている。その事実に変わりがないように思えた。

 

(なら、僕だって。)

 

僕は自ら少しだけ腰に動きを加えた。聖女様に呼応するような、より深く彼女を抉るような動き。僕に貫かれたままのエリーゼ様は、官能の吐息を漏らす。

 

「もう、いけない子ですね。」

 

エリーゼ様は騎乗位のまま、腰を大きく回し始めた。円を描くように中を擦られ、それから一気に落とされる。重力で奥まで届く感覚が、何も知らない僕の腰を勝手に浮かせた。

 

浮かせると、より深く沈む。より深く沈むと、エリーゼ様の内側が波のように収縮する。収縮するたび、熱が僕の骨へ染みる。染みる熱の量が、彼女を見ている深さと同じなのが分かった。

 

「分かりますか、今二人が心と体でどれだけ深く繋がってしまっているか。夫がこれを知れば、もう加護の儀を続けさせてはくれません。だから私はあなた達のために、この儀式をヴェンデリン様から隠さなくてはならないのです。」

 

僕にそう告白したエリーゼ様は時折腰を止め、つながったまま小さく円を描く。止めるのは、僕の顔色を伺う為だった。

 

「いい子ですね。大人の事情など何も分からなくていいのです。あなたは己の本分にお励みなさい。……さ。私が欲しいなら、腰を上げて」

 

僕は拙いまま、言われるがままに腰を上げた。上げた先で、彼女が重みをかけて僕を引き戻す。僕達はベッドの上で激しく体を重ねた。

 

「そろそろ良いでしょう。私を夢中にさせてください。」

 

エリーゼ様が僕に許しを与える。それと共に、僕を縛る魔力が緩められた。

 

「出ます。“果てます”!」

 

僕は腰の動きを早めようとした、しかしそれさえもはや不可能だった。

 

「ええ、私が受け止めて差し上げます。」

 

優しく僕の動きの先を促すエリーゼ様の中に、僕の子種が爆ぜる。それは奔放な傲慢さで、聖女の中を汚した。

 

 

 

 

「よく頑張りましたね。」

 

少し呆けていた僕に、エリーゼ様の優しい言葉が染み渡る。

 

「そのまま少しお休みなさい。」

 

「良いのですか。」

 

「ええ、いいの。ここで見ていてあげます。力を使い果たした貴方へのご褒美なのですから。」

 

第8話をお読みいただきありがとうございました。今回の官能のバランスについての満足度と、今後の展開で最も見たい要素を教えてください。

  • 建前を残しつつの直球エロ、最高!
  • 建前不要、完全に発情・堕落希望
  • 「儀式だから仕方なく」感が欲しい!
  • ヴェルに対するNTR要素をマシマシで!
  • ルイーゼなど別ヒロイン希望!
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