「まず、この昆布茶は私の奢りなので気にせず飲んで欲しいです」
「は、はぁ……」
駅前のカフェ。コーヒーが何杯でもおかわりできる所に、大小分かりやすい二人が座っていた。片方は紅茶を、もう片方は何故か昆布茶が目の前にある。
「こんな所に呼び出してごめんなさいです。来ヶ谷さん。でもですね、これには深い訳が……」
「それは構わないが……何故昆布茶なんだ」
「あれ? お嫌いでしたか? 来ヶ谷さんはいつももずくを持ち歩いているので海藻がお好きなのかと思ったのですが……」
「嫌いではないのだがな……まぁいいさ、要件を聞こう。私だけしか声かけなかったのであれば、込み入った事情なのだろう」
「さすが来ヶ谷さんです、その……結構あれな、お悩みなので」
「ふむ、そういうことならおねーさんが助けになろう。クドリャフカ君の悩みであればいつだって歓迎だ」
「ありがとうございます、来ヶ谷さん。それでですね……」
クドは両手でカップを掴み、ひと口啜るとソーサーに戻し、悩みを打ち明けた。
「△△が手を出してくれないんです……」
来ヶ谷に電流走る。昆布茶に伸ばした手が止まって、顔が青ざめていくのを感じていた。来ヶ谷唯湖もまた生娘であった。
正直なところ、キスのタイミングだとか、はたまた手を繋いでみたいとかデートの場所とか。そういった悩みだろうとタカをくくっていた来ヶ谷は内心冷や汗を垂らしている。
「手を出してくれない……と、言うのは、なんだ? 手を繋いでくれないということか?」
「いえ、……その、そういう雰囲気になかなかならないといいますか」
最後の望みも砕かれた来ヶ谷は頭を抱えた。
おいどうなっているんだ◇◇。クドリャフカ君に手を出してやってくれよ。おねーさんこう言う手合いの話は面白い方向にしか持っていけないぞ。
そんな内心をひた隠し、「それは難儀な問題だな」と、クドの悩みに相槌だけは打っている。
「何度か、こちらから試してみたんです。少し服をはだけさせたり、ちょっと……その、えっちな感じでアイスキャンディーを食べてみたり、スキンシップは、もはやいつも通りですけど」
「そ、そそそうか……」
「なので、どうすれば△△が手を出してくれるのか、教えて欲しいんです」
クドの目は真剣そのものだった。確かに、あのメンバーの中で経験豊富そうで、尚且つ同性な来ヶ谷経相談に来るのは妥当だろう。
手に持つ昆布茶のカップが震える。ティーカップに昆布茶を入れるんじゃ無いぞ全く。さてどう答えたものか、と、来ヶ谷は自分の経験の無さを恨み、理樹君でも襲っておくべきだったと後悔した。
あくまで来ヶ谷は経験豊富そうなだけで、100%の耳年増なのだ。あらゆる知識を得て、女子を始めついでに理樹にもちょっかいを掛けているが、実際の所年頃のJKである。
(手を出される方法……胸でも押し付けるか? いや、でも能美女史の慎まやかなものでは意味が無い。とすればやはり)
「クドリャフカ君、君がそういうタイミングを作った時は、何時頃だい?」
「そうですね……授業間の休み時間とか、練習後とか。そんな感じですね」
「だったら簡単な話だ。据え膳を作ってしまえば良いのだよ」
「おー、ご飯ですか」
据え膳と聞いて真っ先に食事が思いつくような純情乙女がこんな悩み事を持ってくるなと言いたい気持ちをぐっと堪え、来ヶ谷は続ける。
「いや、夜中に二人きりになれる状況を作れば良い」
「よ、夜中にっ! 二人っきり!?」
「あぁ。好き同士がそうなってしまえばあとは時間の問題さ」
「た、確かにそうですね! あの時もそうでしたし、そうしてみましょう!」
あの時ってなんだ、どの時だ、おねーさんは怖いから聞くのを辞めておいた。
「でも、どうやったらそうなりますかね……あの時みたいに家庭科部室に来てとメールを送るのもいきなりですし……」
「う、うむ……であるのならば、そうだな。一つのステップとして、またパジャマパーティでも開くのはどうだ?」
「わふー! それはとっても楽しそうですね! ここしばらく佳奈多さんも自宅に帰っているようですし、誘ってみます!」
「だったらおねーさんに任せておけ。チャチャッと今日中にでもセットアップしてやろう。君は◇◇を頼む」
「らじゃー、です!」
最低限、頼られた分をこなそうとした来ヶ谷。おねーさんの力を見せてやろうと、少し年上ぶりたかっただけなのだが、これが悲劇の幕開けとなる。
『今日、◇◇を誘ってクドリャフカ君の部屋でパジャマパーティをやろうと思っている。関係の後押しにご助力願おう』
と、自分一人では手に負えないとわかったからこそ送られたメール。それ自体は極めて一般的なものだった。だが、二つ忘れていた事実があった。
一つ目は、事故の怪我で病院にいた小鞠は西園から借りていた本を熟読していたこと。そして、二つ目は、小鞠さんがクドと頼花をくっつけることに結構ノリノリな事だ。
数分後、来ヶ谷の携帯に帰ってきたメール。
『だったら、直前で皆帰っちゃって二人っきりにしちゃおうよ〜。皆にもそう伝えておくねo((*^▽^*))o クーちゃんには内緒だよ(˶◜ᵕ◝˶)』
来ヶ谷は目を瞑って、心の中でクドに謝罪した。
__
数時間後、クドが『大変ですー』とだけ送ったメールにまんまと騙された頼花がクドと合流し、またパジャマパーティかと二人で部屋に入った時、クドの携帯にメールが届く。
『ごめんクーちゃん、私達みんな補習受けなくちゃいけなくなっちゃったの( ´-ω- ) 二人っきりだね、頑張って٩(ˊᗜˋ*)و』
「こ、こ、小鞠さぁぁん!!!???」
「うおうどしたのクド」
と、クドが情報共有をしている中、変わって西園の部屋。
そこには、積み重なる本の中で、女子達がわんさとひしめき合っている。
「無事ついたみたいだね〜」
首謀者、神北小毬。
「いやー、ゆいねぇが盗聴器持ってて助かりましたナ」
工作員、三枝葉留佳。
「ここまで来てしまったのならば、もはや楽しむしかないな」
なんだかんだノリノリ、来ヶ谷唯湖。
「あまり騒がしくしないでください」
部屋提供、西園美魚。
以上の四名である。鈴には悪影響なので理樹に持ち帰ってもらった。
「さてさてー! これからいつ手を出すのかどっちが手を出すのか賭けた賭けたー!」
「☆☆にどーなつおひとつー!」
「ならば私は能美女史に賭けよう」
「えー? あのわんこにそんな度量無いってー!」
「犬だからな、意外と肉食系なのさ。秘密の道具も手配しておいた。彼女ならものにしてくれるはずさ」
「ふぇ? ひみつのどーぐって?」
「それは能美女史が発見してからのお楽しみさ」
文字通り姦しい女子達は西園の部屋で菓子パを開きながら行く末を見守る事となった。
なお、これよりガヤありバージョンが見たい場合は、次話へ向かうと、カスの副音声が着いたガヤありバージョンを見ることが出来る、閲覧は非推奨だ
__
視点は戻ってクド達。情報共有後、少し気まずい雰囲気が流れているところだ。
「あーそっかー……どうする? お開きにして後日の方が」
と、あまりに正論を放つ頼花だが、クドリャフカは一歩前に。部屋の中へと頼花を押し入れる。
「……し、仕方ないのです、今日は二人でパジャマパーティなのです!」
「結局するんだ、クドが良いなら良いけど」
思い切ったクドはパーティの強行を宣言した。頼花は二人きりを意にも返さず返答しているが、内心はびっくびくである。
クドと二人で同じ部屋だと……? な、何か計略を感じる気がする……しかしここで帰ってしまうのもクドに悪い一人にさせたくないでも二人きりはぁぁああ……。
一体二人きりのパジャマパーティとは何をするのか。二人で作れる雰囲気、しかも恋仲同士で作れる雰囲気など一つしかない。クドも同じような調子で内心ばっくばくである。
こ、小鞠さんや三枝さんならまだしも、来ヶ谷さんまで、それにこんな時間の補習なんておかしいです! 絶対に嘘です図られました!? で、ですがせっかくお膳立てしていただいた機会を逃す訳にはいきませんし……。どーしたらいいんでしょー!
二人とも考えることは大して変わらず。無言のまま、とりあえずクドのベッドに腰掛けた。頼花はここで泣いてるクドをひたすら撫でて「ごめんなさい」と誰に言っているのかも分からない謝罪を聞いたことを思い出して少し泣いた。
だが、今回はそんなしんどいムードではない。翌日は休日で、ロケット事故なんてのはとうの昔。クドは帰る場所が出来ました。つまり順風満帆の恋人達がひとつ屋根の下に居るということ。虚構世界でどれだけイチャイチャしてたとしてもそれは夢の話。二人とも身体は依然としてバージンである。
悶々とした気分を抱えたまま、二人が座ってどこか遠くを見ていると、ふと、手が触れる
「ひゃっ!?」
「わふっ!?」
お互い、ぴくんと跳ねて身体を逸らす。それがなんだかおかしくて、二人ともくすくすと笑いあった。
「なんか、意識しちゃってさ……でも、別に何も無いもんね! 今日はただのパジャマパーティだし」
「そ、そうですよ! 今日はわいわいお話してゆっくり寝るんですから、そうゆっくり……」
ゆっくり寝る、と言うワードにぴくんと反応し、俯くTシャツ。頼花急に呼ばれてパジャマなど持ってきて居ないので殆ど部屋着のままなのだ。
そして、自分の言葉を何故か復唱してしまったクドは、得意げな表情のまま顔を赤く染め上げる。
「ちょ、ちょっと顔洗ってきますっ!」
「あ、うん。行ってらっしゃい……」
取り敢えずの逃げ場と、洗面所にクドは逃げ込んだ。
__
洗面台に手を着いたクドは、台へとぜーはー息を吐きながら考える。いや考えたくないのだが、それでも考えてしまう。
これから一体……何が起こってしまうんでしょうか、何が始まるんでしょうか……? いや、何も始まらないはずです。確かに手を出して欲しい気持ちはありますが、いざその場になると胸がつっかえてしまうものなのです。そ、それにやっぱりこんなぺったんこじゃ……。
と、思った所で、はだけた自分のシャツを見てゆでダコのようになっていた頼花の姿を思い出し、そんな迷いは霧散した。
極限の緊張から生まれる不安を、クドは過去の信頼で打ち消していく。
同性でも関係ない。
私はそういう目で見られている。
私たちは恋人。
期間は十分(夢の世界合算)。
手を出してくれないのは、私のことが大切だから。
そうした信頼を重ねて行った結果。クドは良くない方向へとハンドルが傾いてしまう。
「……私から、手出しましょう」
わんこが牙を向いた瞬間だった。
__
一人取り残された頼花は、なんとはなしに周囲を見渡す。浮世絵やらパッチワークやらと、見るものに困らない部屋だと一望して気を紛らわせていると、机の上に見慣れないものがあることに気がついた。
「……なにこれ」
クドが使っている机の上には、何やら小綺麗な小箱。中を開けてみると、そこには何やらピンクのリモコンの様なものとそこからコードで繋がれている楕円形のまる……。
「なにこれ!?」
疑問ではなく、「こんなものが何故ここに?」の方のなにこれ。
JK、それも耳年増な方の頼花はそれが何であるかをよく知っているしなんなら興味津々であった。頼花はついついそれを手に取る。
「こ、これ……ロー……タ」
「ただいまなのです△△ー……」
家主帰還。クドはしっかりと、頼花が手に持つそれを見てしまう。先程までの決意はどこへやら、すっかり顔を赤らめてぷるぷる震える手でそれを指さす。
「な、ななな何持ってるんですかーっ!?」
「違うっ! 誤解なんだクド!!」
やいのやいの。パニックな二名の会話は纏まらず、五分ほどしてようやく二人は落ち着きを取り戻した。頼花が事情を説明する。
「つ、つまり……私の机の上にそれがあったと」
「そう……です。勝手に開けて申し訳ないとは思っている。私だって……その、クドの秘められた部分を暴こうとは思わないし」
「私のじゃないですから!!」
「え? 違うの? じゃあ二木さんの?」
「そ、それも違う……と、思います。ちゃんと物を置く位置は決めてますし、第一、今日の朝には無かったですしっ」
「じゃあ結局誰の……」
二人の頭上に一人の同級生が思い浮かんだ、はっはっはと高笑いしている様子だった。
「来ヶ谷さんだな」
「来ヶ谷さんですよね」
頼花は開いた物を慎まやかにしまい込み、何事も無かったようにした。
「見なかったことにしよう」
「はい」
「何も無かったことにしよう」
「そうですね」
「よし、おっけー」
小鞠さんの三段論法のようなものを駆使して、その場を無かったことにした。無かったことにはなったのだが……。
「……」
「……」
二人して赤くなったままもじもじしている、雰囲気までは無かったことにならなかった。相変わらずのガバ理論である。
二人は沈黙の中に取り残された。普段はなんとはなしに会話の内容が思いつくのだが、今日ばかりはそうはいかない。なんだかんだ2人1緒に過ごすことは多いのだが、いざこうして付き合った後に二人きりの夜を過ごすことなど一度もなかった。頼花はわざわざ自分の家に招こうとも思わず、クドの部屋には二木が居る為である。更に言ってしまえば、二人は何度か虚構世界にて交際しているが、その実幸せだった夢があまり覚えられないのと同じで、詳しいことは思い出せずにいた。あちらの初夜だって、どこでどうやって始まったかは覚えていても詳細な事は何一つわからなかった。
要するに二人は未だ生娘でバージンでせいぜい数週間の中学生カップルのような恋愛経験値しかないということだ。
たまにお互いをチラッと見ては直ぐに目を逸らす事が何度かあって、ようやくクドが声を出す。
「その、夢の中でのこと。覚えてますか?」
少し考えて、頼花は答える。
「大体は、ってくらい。クドの可愛いところはよく覚えてるよ」
と、いつものような軽口を叩いて場を和ませる作戦だ。頼花は、結局いつも通り過ごすのが、この場での正解だと信じて疑わずにいた。
「かっ、か、かわ、っいい、ところ、ですかっ!?」
しかしクド、赤面。何を想像したのかは言わずともわかるだろう。そんな面を見てしまったので、頼花も同じように。必死に言い訳を考えるが、特に何も思い浮かばずまた沈黙。
このままでは一生膠着状態が続いてしまいそうな中、頼花が意を決して一度雰囲気をリセットしようと声を上げた。
「わた、し……お風呂ちょっと借りて良いかな、さっき入ったけど、寝る前にもう一回入っときたくてー」
と、立ち上がろうとする頼花の裾を、クドが反射的に掴む。バランスを崩してもう一度ベッドに座り、頼花はクドの顔を覗き込んだ。
「クド? どしたの?」
「……い、いい一緒に入りませんかっ!」
赤い顔で涙目のまま、ぷるぷると上目遣いでそういうクドの顔は、頼花の心を射抜くのには十分すぎた。
__
脱衣所に入った二人は、ただただ立ちすくんで居た。
そりゃあそうだ、今から、自分の好きな人の前で身体を晒すのだ。その視界に、生まれたままの姿の自分が入るということだ。
とりあえず、お互いが背中を合わせて、靴下から脱ぎ始めた。それはそれでニッチな気もするが、背に腹はかえられなかった。
「あっ、そうだ。タオル目に巻いた方が良い?」
それは、頼花の気遣いの賜物であり、唯一の逃げ道だった。
「……いえ、そのままで大丈夫、です……ですっ……!」
退路は絶たれた。正気に戻ったとはいえ、一度は牙を向いたわんこ。狙った獲物を逃さなように食らいついていく。
と、言うより内心は自分の自信のなさを信じきったものだった。
今、ここで一つでも△△の気遣いに甘えてしまったら、そのままズルズルと終わってしまう……! それは、絶対ダメです!
覚悟を決めて、クドはシャツに手をかけた。衣擦れのおとをきいて、頼花もまた同じように服を脱いでいく。
出口側を向いていたクドが、浴室側をチラリと覗くと、そこには一糸まとわぬ頼花の姿があった。前回のお風呂で纏っていた無粋なバスタオルも無しに、思ったよりもある胸が背中からはみ出して見える。スラッとした背中から、小ぶりとも大きいとも言えない丁度いいサイズの双丘が顔を出す。普段は芋ジャージに秘匿された生脚は、クドには無い長さだった。
「わ、わふっ……」
小さなわんこに逆戻りなクドは、その自分にはないプロポーションに見とれていた。いや、プロポーションだけで言うならばよりよい人が居るので、きっとクドは今まで文字通り夢でしか見たことの無いその光景のリアリティに驚いて居るのだろう。
「……入ろっか」
かえって頼花は、出来るだけ恋人の小さな身体を目に入れないよう、浴室の扉を開けてクドを迎え入れる。
__
お互い、一切の会話なく身体を洗い終えた。出来るだけ互いの目に毒な肢体を見ないよう、気を使いつつ、湯船に入る。
本来は背中合わせどころかできる限り離れて入りたいところだが、浴槽の大きさの都合上、最低でも向かい合って入る必要がある。
クドは「失礼……します」とだけ伝えて、頼花の対角線へと座った。その間、頼花はずっと目を閉じて頭の中で般若心経を唱えている。
さて、場所は変わってもまた沈黙。いつまで経っても進展しない二人だが、今日のクドは一味違う。クドは、足を伸ばしひたすら瞑想している頼花の元へと近づく。
「……あ、あの」
「はいっ!? なんですか!?」
「い、いえ……えーと、そのあの……近くに行っても、良いですか?」
「……あ、お、……い、いいよ」
意味不明な嗚咽を二度吐き、何とか承諾する。
クドは頼花の膝に跨り、顔の距離を縮めた。
「……目、開けないんですか」
「だって、今開けたらさ……?」
「いいですよ、△△なら。それに、こんなのお友達同士でもよくやる事ですから」
そういえば同性同士だと言うことを思い出す。なのに、ここまで裸体を見ることを禁断的だと思うのはやはり愛とか恋のせいだろう。
詭弁で説得された頼花は、恐る恐る目を開く。
眼前には、水滴のついた頼花の恋する亜麻色の髪、熱で紅潮した頬、こちらを見据える夜明けのようなアクアマリンの瞳。それが迷いなく近づいているところだった。
ちゅ、と重なる唇。柔らかな感触は一秒か二秒かわからないくらい、だけど確かなものだった。
離れて、直ぐに過呼吸の様に息が荒くなる頼花を見て、クドは口角あげた。
「やっと、見てくれましたっ」
そう言って、頼花の手を引いて湯船から立ち上がる。頼花は半ば腰が抜けたように足腰をぷるぷるさせている。
「のぼせちゃいましたね」
そう言って、ショートした頼花の手を引き、浴室から出ていった。
__
「な、なに今の! どこで覚えてきたの!?」
脱衣所でようやく復帰した頼花が声を荒らげる。クドはバスタオルで体を拭きながら答えた。
「何処で、というのは特にありません。△△が可愛くって、ついです」
「つ、ついってぇ……」
風呂から上がったというのにまだ顔を赤くしてプルプルしている頼花にもバスタオルを手渡し、一足先にクドはドライヤーを掛ける。
頼花はやっと、クドの身体を目を瞑らずに受け入れることが出来た。やはり荒療治をしていかなければこのへたれは治らないのだ。
余裕そうに振舞っているクドだったが、その内心はいつも通り慌てふためいていた。頼花が極度のへたれであると同時に、クドもまた、スイッチが入っていなければへたれである。ドライヤーの風と音に阻まれながらも、お湯と外気の温度差で正気に戻ったクドはなんであんなことしてしまったんですかと反省会を開いていた。
しかして、二人はこうして仲が深まっていくのが虚構世界からの道理なのだ。事故、暴走、ハプニングが無ければ一生進展せず中学生カップルのままなのだから仕方ない。
__
二人が部屋着に着替えて、またベッドに座る。別段やることも無いので、取り敢えず定位置へ。
「お風呂気持ちよかったですね」
「……うん」
と、クドが雑談を切り出すと、頼花はこくりと頷いた。
この反応に、クドの一人反省会がピークまで達した時、これまで受身を続けていた頼花が、一歩分、クドへと歩み寄った。クドの手まで、自分の手を伸ばして、上から重ねる。クドは、わふっ、と声を上げて、その重なる手を見た。
「……く、クド、はさ」
「は、はい!」
「……んー……」
頼花の指が、クドの指を撫でていく、中指の先をすりすりとして、指の間を擽るように指先で少しずつ。
クドは、少しのくすぐったさよりも、その控えめな愛情表現に胸がいっぱいだった。いつもなら抱きしめたり抱っこしたり頭撫でたり、そんな大っぴらな行為しかして来なかった頼花が、今、まさに目の前で恋する乙女のような表情で私の手を撫でているのである。クドの胸が高鳴るのと一緒に、またスイッチが少し入りかけていた。
いいあぐねている頼花の指を、クドは挟み込むようにして捕まえる。そこから小さな力で抵抗する頼花の指を絡めとって、最終的には恋人繋ぎの形へと落ち着く。そうなっても、頼花の指は、親指と人差し指でクドの指を一つずつ丁寧に確認していくようにして触っていく。
「……△△」
「ん……」
「すきです」
「……私も」
「どれくらいですか」
「んー……クドの為なら命張れるくらい」
「じゃあ私も△△の為に命張ります」
「それじゃあ意味ないじゃん」
「それくらい好きってことです」
「そっか」
また、きゅっ、と手が繋がれた。
お互いがお互いの目を見る。
どちらともなく、顔が近づいていった。
二度目のキス。さっきと同じようなバードキス。小鳥が啄むように、小さく、ちゅ、ちゅ、と音をさせる。
互いが互いの事を好きであることを証明するような短いキスが続いた。
数分経って、お互いが目を開けて、恥ずかしそうに少し俯く。二人は雰囲気に流されるとはこういう事だと実感していた。
「で、でさ……クドはさ」
「はい、なんですか?」
「私と、その……えーっと……んー」
と、先程からずっといいあぐねているのは、気遣い半分と、クドと同じく自信のなさの現れなのだろう。クドはこれだけ多くの時間を共に過ごして、ようやくそれが気遣いだけでないことを悟った。
そして、その言い出せない質問の答えはこうだと言わんばかりに、ベッドに頼花を押し倒す。
「わっ、や、え、えと……クド……?」
「はい。どうしましたか?」
「な、なに……するの?」
「いえ、さっきの質問が先ですよ」
怯えと期待が混じったような目の色がクドに映る。こうなってしまえば、クドにとって頼花はわかりやすいものだった。
頼花は目を何度か泳がせたあと、遠慮がちにクドへ尋ねた。
「……く、クドは、私と……その、そういうことしたいって……思うの?」
「んー……△△はどうですか?」
「わ、私は……クドがしたいなら……うん」
「私がしたくなかったら、したくないですか?」
「そういう訳じゃ……! あ、ぁ……えーと……」
バツが悪そうに目をぎゅっと閉じる頼花の耳元に、クドは近付く、吐息が当たるような近さで、クドはまた、頼花へと尋ねた。
「△△は、どうですか?」
「ひっ!? だ、だから……クドがしたいならって」
「私は△△がしたいのか聞いてるんですよー……。目、逸らさないでくださいね。隠すのもダメです」
クドは一度、頼花の上から退けると、改めてベッドの上に座った。
そして、アオザイのボタンを外す。
ぷちっと外れたアオザイの上部がはだけて、中のキャミソールが顔を出した。
「く、クドだめだよ、風邪引いちゃうから」
「このくらいじゃ引きませんよー……△△、ちゃんと見えてますか?」
頼花は言われた通り、目を隠さずには居るが、横にそれたり、視線が泳ぎまくっている。でも、確かにはだけたクドの姿がその視界に映っている。
「女の子同士なら着替えも一緒なのに……恥ずかしいんですよね」
「……うん」
「私も同じですっ、△△と一緒に着替える時はそっぽ向いちゃいますから」
クドはアオザイをはだけさせたまま、もう一度頼花へとにじり寄る。クドが近づいてくる度に、頼花は視界の逃げ場が無くなっていく。
「もし、自分の思ってることが、好きな人と違っていたら不安ですよね。私もとってもわかります」
頼花はいつしかクドしか視界に入らないようになっていた。興奮を隠すように口元に手を当てて、アオザイから見える首筋やキャミソールへと目が奪われていた。
「だから、私が先に言ってあげますねっ」
クドはそんな頼花へと目線を合わせるようにして顔を覗き込んだ。
「私は、△△とそーいうこと、したいです。△△はどうですか?」
目を合わせられてしまった頼花は、蛇に睨まれた蛙のように竦み上がる。変なところに力が入り、全身が硬直してしまう。そして、ようやく頼花は答えを出した。
「……したい、です」
目を合わせられて言った答えは、頼花にとってたいそう恥ずかしい事だっただろう。
ちなみにクドは目を逸らしてる辺りでそりゃあそうだと勘づいていた。だって自分がそうなのだから。
__
口角を吊り上げてにぱっと笑ったクドは、雰囲気を変えるように明るく言う。
「よぅし! じゃあしましょー!」
「お、おー……」
「れっつ、ろすとばーじんですっ」
「そんな大々的に言うことじゃないってぇ……」
「しんみりしたのはあっちでしてしまったので雰囲気を変えようと思ったのですが……ダメでしたか?」
不安げに聞くクドに、がっくり項垂れた頼花が返す。
「いや、そっちの方がいい。多分いつものノリに戻れなくなる」
「……わふっ、それはそれで」
「やーだー」
「△△の可愛いところを存分に周りにアピールしたいのです」
「可愛くないからぁ……」
「ほんとーですかー?」
クドがわざとらしくじゅるりと舌なめずりすると、頼花の身体がビクッと大きく跳ねた。
「ふふふ、ちゃんと覚えてるんですねっ」
「いやでも忘れらんないっての……」
頼花は赤くなった顔を腕で隠して、目を逸らした。クドはそれをチャンスと肉薄し、頼花のシャツに手を掛ける。
「ちょ、ちょっと待ってクド」
「はい? どうしましたか?」
「わ、私が下なの、また!?」
下、とはこの場合タチネコ、つまり攻めか受けかを表す言葉である。初夜では三戦二敗と可愛そうなら戦績の為、頼花は次する時は年上でついでに体格もより高い私が頑張らねばと奮起していた。
しかし現実はそう上手くいかず、牙を向いたわんこは実は狼なのだ。
「はい!」
満面の笑みでそう言われるものだから、頼花は為す術もなく、上に着ているものを脱がせられた。
「の、のーぶらじゃーなんですね」
「だって、だって今日可愛い下着じゃないし絶対この後こうなると思ったからぁ」
「△△も期待してたんじゃないですかー」
「もくひー!」
クドも着ているアオザイとキャミを脱ぎ捨てて、頼花の膝に乗り上げてお互いがくっつくような姿勢になる。
「おー……やはり大きいですね、△△の胸」
「普通くらい、だって」
「ふにふにです……私は揉むところもありません」
「良いじゃん別に、小さい方が何かと楽だしさ」
「△△はこんなぺったんこでもえっちな目で見てるんですもんね?」
「……うー……そうだよ」
「わふー、ならこれで構いませんっ」
雑談をしながら、丹念に胸を揉むクド。頼花は、自分ってこんなに感じやすかったっけ、と思っていた。
声は隠せているが、漏れ出る吐息は隠せず、クドはその息遣いをもっと聞こうと沢山揉み込む。
「きもちいい、ですか? △△」
「んー……っ、きもちいい、のかわかんないけど、……ちょっとぼーっとしてきたかも」
などと言っておきながら、内心では、
……ちょっと濡れてきちゃったな、どれだけクドのこと好きなんだ、そしてどれだけ溜まってたんだ、
と発情を抑えきれずにいた。
クドはその要望を叶えるべく、そして西園さんの本とネットで予習していた事をしてみる。
クドが姿勢をただして、背筋を伸ばし、自分の胸の先と、頼花の胸の先がぶつかるように胸を反らせてみた。
「っ、ん!」
周囲ばかり触られていた頼花が、先端の刺激を受けて思わず声が出る。逸らしていた目をもう一度そこへ向けると、今の状況がよくわかった。
「こ、これっ、ひっ、何……?」
「んっ、しょ、こうすると、気持ちいいって書いてました」
「誰だその本っ、貸したやつ……んっ」
「西園さんです!」
「西園ぉ!!」
しばらくその不思議な感覚に耽った後、動き疲れたクドがベッドに座った。ふぅ、と一息ついた後、当然のごとく頼花のジャージに手を掛けた。
「ちょー!? も、もうちょっと心の準備を!?」
「そうですか……しょんぼり」
と、やけにあっさり引いたので、何かと思えば、クドが更に言葉を続ける。
「じゃあ、△△が自分で脱いでくださいっ」
「……おぅ」
ストリップショー開幕。クドは特等席でワクワクしながら体育座りをしていた。
「そ、その……明かり消さない?」
「いやです」
「もうちょっと雰囲気高めたあととかさ」
「『いつも』に戻れなくなりますよ?」
「あ、あぅ……」
仕方ないので、自分で脱ぐことにした。膝立ちでジャージを降ろし、片方ずつ脚を上げて、下へとずりおろしていく。そこを余さずクドはじーっと眺めていた。
クドって見るの好きだよなーとか思いつつも、恥ずかしがりながらジャージをベッドの下に脱ぎ捨てた。
「……そのパンツはいったい」
「え? だめ? これ」
「いえ……そう言えばそうでしたね」
今日の頼花のパンツは竹を膝で真二つに折っているパンダの柄だった。雰囲気が高まりすぎずに済んだファインプレーである。
イカれたパンツの柄は置いておいて、クドは脱ぎ終えた頼花の胸元へと抱きついた。クドに比べて豊満な胸が、クドの顔を包み込む。しばしの柔らかさに母性のようなものも感じた。頼花も空気を読んで抱き返し、頭を撫でる。
「わふ……やっぱり△△に頭を撫でられるのは最高です」
「そりゃよかったよ」
「……△△は、攻められるの好きですか?」
「好き、かどうかは知らないけど……クドがやりたいようにやってくれるのが一番……」
「む、私に合わせるのはもう禁止です。△△はどうなんですか?」
「い、いや合わせてるという訳では……」
また耳元に行こうとしたクドを、頼花は手でガードする。
「何度も食らってられるか__」
しかし、がら空きのもう片方を指で触られ、力の抜けた隙にまた耳元へとやってくる。
「△△は、攻められるの好きですかっ、ふー……」
「ひうっ……す、好き、です……」
「はーい正直者にはごほうびですー♡」
耳に一度キスした後、顔を胸元に持って行って、片方の乳首を指ですりすり触りながら、小さな舌でゆっくりともう片方をねぶっていく。
「ぇーろ……ぇーろ……」
「ふっ、ふぅっ、……くぅっ、どこで覚えたし、まじで、っえぇ……っ」
「なんだか夢の中で沢山△△にした気がするんですよー。ちゅ、ちゅっ、れろれろー……っぱ♡」
そのまま緩やかな攻めは続いていく。喘ぎ声を隠そうと口に伸ばした手を掴んで、クドは隠してる手があるなら撫でろと言わんばかりに自分の頭に持っていった。言葉にせずともそうなって、クドはご満悦だった。
そろそろ頃合かと、頼花の下着へと手を伸ばすと、湿り気を感じたので、片手間にドロワーズを脱いだ後、頭を撫でている頼花の手を自身のまたぐらへと運ばせる。
「……クドのパンツ濡れてる」
「こんなに可愛い声たくさん聴いてたらそうなっちゃいますよっ」
「本当に私の……その、声、好きだよね」
「はい! ……なので、沢山聞かせてくださいね、△△♡」
「え、いやそれ、は……ひうっ……」
お互いの声がよく聞こえるように、お互いの口を耳元へ近づけて、クドは乳首を弄っていた自分の手を、頼花の股へと向かわせ、下着の中へと滑り込ませた。
「△△も、お願いしていいですか?」
「う、うん……」
△△も同じく、クドの下着の中へと手を入れる。
「さっきも思ったんですけど、△△も生えてないんですね」
「や、やめてよ! 気に、してるんだから……」
「お揃いですね」
「そーだね……んっ、はっ……く、クド?」
「はーい?」
「な、なんか、さっ?♡は、はやいって、言うか……んっ!」
「△△も沢山弄って良いんですよー? あっちで私の事帰って来れなくなるまでしたの覚えてるんですからねっ」
「あ、あれはだってクドだってぇ……っ♡あっ、……んっふっ、ぁー……だめだめ……クドっ、クドぉ……♡」
「おてて止まってますよー?」
「そこばっか……ぁ、んぅ♡、だめだってっ……♡」
クドの手は、頼花の萌芽をとんとん小刻みに叩いていた。こうしたテクニックは虚構世界での積み重ねだろう。いつの間にか、頼花の弱点は全てクドに知られていた。耳が弱いことを知られていたのだってその一端である。
「ま、まけて、らんね……っ♡」
「んっ♡あ、っ、良いですよ△△、じょーずっ、じょーずっ♡」
「やられてばっかじゃ……っ、情けないからっ、さ♡はぁんっ!? 待ってクド、それいやっ……!♡」
「情けないところも好きですよー?♡ ほーらくにくに〜♡」
「んにゅ、っ……ぐっぁあっ……♡いや、すぐ、きちゃ、う……っ♡」
「いっかいめ、イきますか? 良いですよー♡」
萌芽を挟んだ指を擦り合わせるようにしてしゅりしゅり弄ると、あっという間に頼花は余った腕でクドを抱きしめ、強く跳ねた。
びくん、びくん、と二度強く跳ねた後、力が抜けたようにクドへともたれ掛かる。
「ふーっ、ふー……♡」
「気持ちよかったですか? △△」
「……うん」
力なく頷く。クドは誇らしそうに胸を張った。一度果てた頼花は、急に冷静になってクドの肩に顔を埋めた。
私がクドにイかされた。そんな事実が頭の中をぐるぐる回っている。恥ずかしさのあまり泣きそうにまでなってぷるぷる震えている。虚構世界で散々やっておいて何を今更という所もあるが、それでもやはり、本当の初めてはこんな心持ちなのだ。とうとう頼花は鼻をぐずぐず鳴らし出してしまった。
クドはそんな心情を察してか、頼花を抱きしめ頭を撫でる。
「大丈夫ですよ」
「うん」
「怖くありません、恥ずかしくもありませんから」
「うん」
「私たちはそーしそーあいです」
「うん」
「……今日はもう寝ちゃいますか?」
「……うん、ごめん、ぐすっ」
「大丈夫です、これで終わりじゃ無いんですから。次の機会なんて山ほどありますよ」
「……ぐず、次……わかった」
頼花は顔を上げて、涙目のまま、クドに宣言する。
「明日、私の家来て。そこで……もう一回、しよ」
「……はい!」
初のお誘いに、クドは満面の笑みで答えた。
そうして初夜は暗い夜を迎える。二人の恋路は、いつまで経ってもこんな足取りだが、確実に一歩ずつ歩んでいっているのだ。
__
色々と後片付けをした後。二人きりの空間で頼花はおもむろに口を開いた。
「でさ、クド」
「はい?」
「私って何処で寝れば良いの?」
「佳奈多さんのベッドがありますので、そちらお使いください」
「って、なるよなぁ……なんか申し訳なくてさ」
「じゃあ、一緒に寝ますか?」
「……そうする」
「はーい、一名様ご案内ですー」
布団を捲り上げ、中に入ったクドは、そのまま頼花を迎え入れるべく、布団を捲ったままの姿勢で待ち構える。
頼花はそんな見え見えのトラップへと遠慮がちに手を伸ばすと、一瞬のうちに腕を掴まれて中に引きずり込まれた。
クドの胸の中に抱かれた頼花は、いつもと逆だと思いながら、頭を撫でつける手に意識を向かわせていた。
「こうして一緒に寝るの、初めてですね」
「そうだね、あっちじゃ一緒に寝ることなんて無かったし」
「なんだか、△△の頭が私より下にあるのは新鮮ですねっ」
「私も、抱きしめられるのはあったけど、こうした頭を抱えられるみたいなのは初めてかも」
「わふー、たまには私が△△の事を甘やかします。いい子いい子です〜わふー」
「犬になった気分だ……」
誰かに頭を撫でられたのはいつぶりだろうかと思い馳せ、クドの匂いと体温を感じながら、頼花はそこで胎児のように丸くなり、クドの手の感触を堪能していた。
クドはクドで、この新鮮さを享受するついでに、頼花の頭に顔を埋めていた。
そんな甘ったるい雰囲気の中、頼花が話を切り出す。
「今日は、ごめん」
「ほえ? なんのことですか?」
「最後まで、出来なかったから」
「あー、気にしないでいいですよ、初めては怖いものですから。私はいつでも構いませんよ」
「いや、怖かった訳じゃないの。ただ……」
「ただ?」
「……声、でちゃうとさ」
「はい」
「ここ、寮じゃん」
「……あー」
「……しばらく私の家、親居ないからさ」
「……あはっ♡」
じゅるり。
頼花は頭上でそんな音を聞いて、震えて眠った。