人間の国の廃人屋さん 作:廃人屋さん
***
あの肉ダルマを買い取ってから、2日後のこと。
今日も様子を確認しようと作業部屋の前までやってきたのだが、鍵が閉められたその作業部屋の中から、部屋の外にまでうっすらと、濁った悲鳴と呻き声が漏れ聞こえてくる。
作業部屋はそれなりに防音加工を施しているはずだが、それを貫いて聞こえてくるとは、よほど元気を取り戻したらしい。
やはりヒュドラの魔石のカケラなんて物が心臓にくっついている女はヤバいなと、少し面倒に思いながらも消音魔法を発動してから、作業部屋へ入っていく。
中に入り、扉の鍵を閉め、消音魔法を解除する。
するとすぐに、空気を震わすほどの圧のあるド汚い音がリミックスとなって耳に響いてきた。
「あ゛お゛っ♡ ぐう゛うううんおおおおぉぉぉっ!?!? っほぉお゛お゛お゛ぉぉぉぅぅ…!?」
ブリュッ!♡ ブリュリュリュリュ!♡
ドチャッ! ボドドッ!
「あ゛お゛お゛お゛お゛っ!?♡ ほっ、ほぉ゛おぉぉぉぉっ♡」
プシッ♡ ぷぴっ♡ぴゅるっ♡
作業台の上で、存在しない手足を…残っていた二の腕と腿の一部だけを、それぞれジタバタとのたうち回しながら、先日治してやったばかりの肛門からブリュンブリュンと勢いよく透き通った色付きゼリーウンチを排出し、みっともなく汚い嗚咽を吐き漏らす、無様な肉ダルマがいる。
ついでに、治してやったばかりのマンコから、時折透明な液体と、白く粘つく濃厚な淫汁を垂れ流している。
まあ、そういう類の拷問や、何かの薬の投与でもされていたんだろうなというのは、想像に難くない。体がそれに馴染みきっていて、勝手に絶頂しているのだろう。
肉ダルマは、分厚い革ベルトで作業台の上に固定されたままだ。
その腹が、時折ボコボコと膨らみ、革ベルトを挟んでふたコブの山のように迫り上がる。
そのお腹の膨張の後、ギュムッ、ギュム、と痙攣するような収縮の動きに合わせて、ドボドボとケツ穴からゼリーウンチを吐き出す。
肉ダルマの頭は、ゼリーウンチを排泄する際に大きく後ろ向きにのけぞり、それと同時に歯を食いしばったり、もしくは舌を突き出して汚い喘ぎ声を漏らしたりと、とにかく忙しない。
傷を治した後、念には念を入れようと思って、臍の下あたりに呪紋を刻み込んでやったために、この女は今こんなことになっている。
有体に言えば、淫紋。…のようなものだ。
効果は、魔力を練り上げようとすると、それを指定の場所・指定の物になるよう物質化する。というものである。
この世界の魔法とは、何も「魔法使い」だけの特権ではない。
戦えるヤツなら大体ちょっとした魔法が使えると思った方がいい、そういう世界観らしい。
例えば、いわゆる「身体強化」と呼ばれるような、自身の体内に魔力を巡らせて行うような魔法くらいは、少し学のある一般人くらいなら使えたりするモノなのだ。
ただ、それを体外に放出しようとしたり、ましてや他人の体に直接影響を与えようとするなら、相当な技量と練度と知識が必要になる。
転生チート的なモノを持つ俺ですら、他人を回復させることについては未だに難しいと感じるほど、この世界の…特に自分の体より外で発動するものは、難易度が高すぎる。
この呪紋というヤツも、何度も実験を繰り返してどうにか習得できた、超高難易度の技術になる。
まあ、俺の仕事の特性上、実験台はいくらでも手に入ったから、世間で言うほどの習得難易度の高さには感じなかったが、それでも失敗の山は積み上げたものである。
肉ダルマが今もブリブリとゼリーウンチを排泄しているところを見るに、恐らく身体強化か何かで拘束をブチ破ろうとしたのか、もしくはコイツも回復魔法を習得していて、自分に行使しようとしたのか。
ともかく、せっかく手に入れた鮮度のいい人間の肉だ。
何度も重ねて詮索するなと言われた訳あり品だということもあり、逃走防止の観点から手間でも呪紋を刻み込んでおいて良かったと、一安心であった。
排泄されたゼリーウンチも、ウンチだと思えば汚いと思うかもしれないが、これはこれで色々と使い道があるので、丁寧に集めておく。
それにしても、とんでもない量のゼリーウンチをひり出しまくるな、コイツ。
もしかしたらこうなるかもなと思って備えておいた金タライの中には、すでにてんこ盛りにゼリーウンチが積み上がっており、このままではものの数分で溢れ出すだろう。
俺は部屋の隅に備えてある、空の金ダライを持ってきて、ゼリーウンチの排出が止まった一瞬の隙をついて、金タライを入れ替えた。
山積みになったゼリーウンチから、ホカホカとほんのり湯気が立っている。
少し臭いを嗅いでみるが、汚物臭はない。ほんのり淫臭が混じっているのは、少し気になるが…。
基本的には、汚物臭の代わりに濃厚な魔力の塊が放つ特有の香り…森の香りというか、自然豊かな爽やかな感じが、うっすらと鼻腔をくすぐった。
まあ、呪紋に施した術の機能のおかげで、排泄物はすり潰されて純粋なマテリアルに変換されているはず…その結果として透き通った無臭のゼリー物質になっているのだから、大丈夫だろうとは思っていた。
それにしても、これだけ純度が高くて濃厚なものをひり出してくれるというなら、この肉ダルマには本当に色々と使い道があるだろう。
コレが手に入るというだけでも、本当にいい買い物をしたと思う。
しばらく、肉ダルマは恐らく何かの魔法を発動しようと試し続けているのだろうが、それを試みるたびにただぶっといゼリーウンチが生成されるだけであり、排泄しまくっている。
おかげで金タライが3つと1つの半分が埋まるほど、大量の魔力ゼリーが手に入った。
しかし、さすがの肉ダルマもとうとう諦めたのか、もしくは今溜め込んでいた魔力がほとんど尽きてしまったのか、そこでゼリーウンチの排出はストップとなった。
「はひ♡ へへぇ♡ お゛っ♡」
鼻なし・火傷痕の残るグロテスク寄りな顔面のせいで、恐らくアヘ顔でも晒しているのだろうが、まったくそそられない。
いや、これはこれで味がある。
これで反骨心でもあれば最高なのだが、果たしてコイツはどうなのだろうか。
魔力の消耗疲れか、イキ疲れかは知らないが、コイツの調子が整うのをこれ以上待つ理由はない。
意識が戻ったのなら、疲れで火照ったのであろう体の熱を、無理矢理冷ましてやることにする。
俺は、作業部屋に備え付けられた、水入りの木桶を持ち上げ、その中身を肉ダルマに勢い良くぶちまけてやる。
いきなり水を浴びせかけられたことによる驚きか、それともいつのまにか誰かが部屋に入ってきたことにやっと気づいたことによるものか。
ともかくこの肉ダルマは「グアっ!?」と一度呻いてから目をシパシパと瞬かせて、首を軽くキョロキョロと動かし、やっと火傷痕が残る方の顔に残った視力が残っているらしい方の眼球で、俺の姿を捉えてみせた。
「こほっ…こ、こは……きさま、は?」
「おう、目が覚めたか。ともかく、まずは、生きててよかったな。…まあ、手足がないのに良かったって思うのは、流石にちっと残酷かもしれんが」
俺はただ、その時思ったことをそのまま口に出しただけだ。
だが、このダルマ女はかなり沸点が低いのか、それだけでカッと沸いてみせた。
「クソ、がっ…死ねよ、クズ、野郎っ…!」
「…お~、活きがいいねぇ。つか、そんな状態でまだ心が折れてねぇのかよ?スッゲェな、素直に感心するぜ」
「…むぐ…プッ!」
ダルマ女は、俺に向かって唾を吐きかけてきやがった。
まあ、疲れのせいでまったく力が入らなかったからだろう、その唾は俺に届くことなく、ヨダレみたいになってダルマ女の頬にペッタリとだらしなく張り付いただけだが。
うーん。
表立って詮索する気は微塵もないが、確かにコレは手放したくもなる。
想像するに、コイツが重要な情報を何か握っていて、それを引き出すために拷問を繰り返し続けたか…。
コイツの精神力の強さを思うと、というより拷問に対する高すぎる精神的耐性を思うと、そういう拷問に慣れた本職の人間か、狂信と言えるほどの忠誠心を何者かに抱いているか、そんな奴が多いだろう。
こういうのは、文字通り殺しても口を割ることはない。
実際、ここにきた時はほぼ殺したも同然の状態だったし、しかしそれでもコイツは死んでいなかった。それもまた、コイツの厄介なところだろう。
だが、そんなコイツも、もう用済みになったのだろう。
他の情報源が口を割ったか、目的の何かが見つかったかなんだかしたのだろうな。だからこうして、俺に売られた。
もし真実として、本当にそういう経緯があっても俺に売られたのなら、前の持ち主は正体を知られるようなヘマをしなかったということも考えつく。
その証拠に…というほどのものでもないが、このダルマ女はこの状況でも「貴様は(誰なのか)」とわざわざ尋ねてきた。
コイツ、こんなになってまで、まだ相手の正体を探る気でいるということだ。
これでそのとき聞かれた拷問役がバカだと、初対面の時にうっかり口を滑らせることがあるので、それを狙って最初にそれを尋ねたのだろう。抜け目ない女である。
ともかく、そういう厄介さがあって、下手に手元に置く方がリスクになったと、そんなところか。
俺がこの女に絆されるなどして、前の持ち主の詮索でもしようものなら、その時は俺のことを誰かが殺しに来るのかもしれないな。
まあ、元より詮索する気なんて微塵もない。
俺には確かに猟奇的と言える趣味はあるが、かと言ってトラブルに首を突っ込むほどの切羽詰まった嗜好ではない。
俺はただ、自分の理想の環境を、自分の手の届く範囲の小さな世界で満たせていれば、それでいいのだ。
閑話休題。
今は目の前の作業を進めるため、思考を中断する。
ともかく、反骨心がビッキビキに反り立ったままの、活きの良い肉ダルマだ。
怯えて慈悲を乞う浅ましさも好みだが、こういう反骨心バリバリの女の意志を徐々にへし折っていくのも、俺の好みである。
気に入った。
元より、コイツを殺すのには相当手間がかかるだろうから生かすつもりだったが…。
その性質を活かして、コイツは俺のコレクションの一つとして、大事に大事に改造しまくってやることにしよう。そう決めた。
幸い、コイツが魔法で反抗しようとしてくれれば、それに呪紋が反応して魔力ゼリーウンチをアホほど生成・ひり出しまくってくれるし、そちらで稼げばそのうち元は取れるようになるだろう。
いやはや、本当に、実に良い買い物をしたもんだ。
***
首枷を外してやり、しかし胴を作業台に押さえつける革ベルトはそのままにして、少し話しやすくしてやる。
「あらためて、おはよう。一応聞くが、お前は今の状況をどのくらい分かってる?ああ、答える前に少し情報を与えてやるが、俺は廃人屋ってのをやってる、店主のカネダだ。お前を売るという奴がやってきたので、買い取った。だから、俺は今のお前の持ち主で、以前の持ち主はお前を手放した。ここまでは、理解できるか?」
「…なん、だと…ひめさまは…どうなった…?」
「あー、多分だが、余計なことは言わない方がいいぞ。俺は以前の持ち主から何も聞いてねえし、以前の持ち主の事情にも、お前の事情にも興味はねえ。ただ、俺に何かを言いふらそうとしたら、お前の大事な何かが酷い目に遭うかもしれないってのは、俺でも想像できる話だ。違うかね?」
「…ぐっ」
はあ。姫様、ね。
とんでもない厄介ごとだな。
とは思ったが、まあ、このご時世ならそういう事情もあるだろうなと、納得もあった。
魔王を退けてからの人間の国は、他国の侵略をし始めて、すでにいくつかの国を滅ぼして土地やら何やらを奪い取った、そんな国に成り果てている。
この女は、そんな滅ぼされたどこかの国の宮仕えをしていた女なのだろう。
心臓に癒着していた魔石のカケラのことや、ほんのわずかしか言葉を交わしていないが、しかし見え隠れするその忠誠心から、相当な重臣として寵愛でもされていたのか。
そして、姫様を守るために、生きて逃すために、殿となって戦い抜いた。とか?
ああ、なら、コイツは相当恨みを買っただろうな。
そういう背景があるなら、つまりコイツは、この国の兵士を、人間を、恐らく相当ぶち殺したはずだ。ここまで酷い拷問を受ける理由も、それなら納得しかない。
この国は、魔王を退けた勇者を輩出した国として、自負がある、優越感がある、傲慢がある。
だから、その奇跡を成し遂げた日から6年ほどが経過することになるが、たったそれだけの年月でこの国はここまで腐り果てた。
魔王討伐という栄光と実績を背景に、近隣国にとにかく自国への優遇措置を押し付け、従わない国は攻め滅ぼすか、全てを奪い取った。
今じゃ、この国の外では、「魔王がいた時代のほうがマシだった」とまで言われているらしい。
いやいや、魔王がいた時代はそれはそれでヤバかっただろ。と、俺は思うがね。
ともかく、コイツは亡国の忠臣か、もしくは今まさに争っている国のいずれかの所属か。
そして、コイツが用済みになって売られたということは、亡国となった…王家の血は絶えたか、確保できたということだろう。
このダルマ女も、俺と同じタイミングでその可能性に気付いたのだろうか。
ダルマ女はグッと口を噤みながら、静かにポツポツと涙を溢し始めた。
ここまでの全ては、ただの俺の想像に過ぎない。
そして、俺はコイツの事情に興味なんてない。
だから、真実を確かめようとは思わない。
ただ、想像通りの背景があったとしたなら。
色々楽しめそうだなと、ワクワクするだけだ。
さて、俺なりの考察は済んだ。
そのおかげで、色々アイデアも浮かんだ。
これ以上黙っている理由もないので、さっさと話を進めてしまうことにする。
「さて、一応確認するが、お前に名前はあるか?ああ、ミューズガルド帝国の帰属名だな。他国出身っていうなら、どの国の出身なのかも教えてくれると助かる」
「…死ね、外道どもが」
「ああ、うん、言う気は無いのね。じゃあお前の名前は、今日からウンチ漏らしバカ女ってことにする。ウンチ漏らしは、以前に何をしてた?ああ、つまりどんな働きができるのかって話ね」
「死ね」
「うんうん、言う気がないと。まあ良いや、じゃあ最後の質問なんだけど、その手足が元通りになるか、もしくは魔導義肢が揃ったら、何がしたいとかある?」
「し、…は?………まさか、いや、何を考えている?」
「あー、俺に質問したいなら、少しはまともに答えてくれない?何も答えないうえに死ね死ね言ってくる奴に、俺が親切丁寧に何かを教えてやると思うか?…んで、どうしたいとかあるの?ないの?」
「……。……姫様を、救いに、行く…た、頼む、用意できるなら、く…くれ、すぐにでも…!」
「へー、そう。まあ、すぐには無理だけど、ウンチ漏らしバカ女ちゃんの頑張り次第で、用意してあげられないこともない。まあ、今のところはバッドコミュニケーションって感じで、初対面なのに死ね死ね言ってくる奴にそんな高価なものを用意してあげる気なんて微塵も湧かないんだが…」
「ぐっ…ぬっ……!」
おーおー、めっちゃ嫌そうな顔をしよる。いいぞいいぞ。
恐らく、今このダルマ女の心中では、憎き敵国の人間にへりくだって、恥を忍んで頼むかどうかで葛藤しているのではなかろうか。
いやいや、こんなチャンスが何度もあるとは思わないでほしいね。
俺は気まぐれなんだ、面倒くさいなと思ったら、さっさとこのアイデアは取りやめて、他の愉しみ方を試すだけなんだからね。
そんなことを考えていたら、ダルマ女は眉間に皺を寄せて歯を食いしばりながら、嫌々ながらも俺の甘い口車に食い付いてきた。
「…た、頼む。何度も死ねと言ったことは、謝罪する……どうか、どうか、私に力を貸してほしい…お願い、だ…」
「ふーん?まあ、そういうことなら…まずは、呼びにくいからウンチ漏らしバカ女ちゃんの名前を教えてくれない?偽名でもいいから」
「…ロー……ロア、だ」
「うんうん。じゃあ、ロアちゃんは、ミューズガルド出身?ほら、ウチの国の出身の人だと、ちゃんとした届出を出さないとモノ扱いして持ってるだけで違法になっちゃうからさ。どうなん?どの国出身?」
「…他国出身だ」
「まあ、そうだよね。じゃあ、以前は何してたの?お仕事って意味で」
「…それは…言いたくない、ではダメか?」
「ああ、いいよいいよ。アンタのことを商品として買い取ったからね、そのことでちゃんと調書を取ったよって書類を役所に提出したいだけだから、言えないなら言えないで問題なしよ」
「…おい、言わなくても問題ないなら、なんでわざわざ言わせようとした?」
「そういう形式なんだよ。ちゃんと本人から聞いて、調書を取りました~ってやらなきゃダメなの。 気にすんなよ、その言い草じゃあそもそも庶民の商売の仕組みなんて、そんなに興味もないだろ?ただの様式美で、他の意図はない、以上だ」
「そ…そうか…」
しばらく、カリカリというペンを走らせる音だけが部屋に響く。
調書を書き終えた俺は、「これでよし」とだけ呟いて、スッと立ち上がる。
そのまま、その調書を部屋の出入り口付近に置かれた小さな引き出し付きのデスクまで持って行き、その引き出しの中に大事にしまい込んだ。
この場で出来る、面倒な事務手続きの準備はこれで終わりなので、ここからはやっと本格的な趣味の作業に移ることができる。
ウキウキとしながら、ダルマ女・ロアの横たわる作業台の付近へと舞い戻る。
「よし、じゃあ…なんだっけ?手足が欲しいんだったか?」
「そっ、そう…!そうだ!はやく…いや、用意にはどのくらいかかりそうなんだ…?」
「あー、まあまあ、待ちなよ、ロアちゃん。なんだか用意してもらえるのが当たり前って口振りだが、義肢を用意するにしても、手足を治してやるにしても、いくらかかるかわかってるか?まあ、こんな状態の手足を生やして治すなんて何年かかるか分かったもんじゃないから、早めがいいなら義肢一択だろうけどな。それでも、脚なら1本で200万ガルド、腕はちゃんと指が動く奴なら300万ガルドはするぞ。それが両手両足だ!揃えるなら、しめて1000万ガルドの超大金よ!?…で、ロアちゃんは用意できるの、そんな大金?」
「い、っせん…!? ……それは……今は、無理だが…目的さえ、達成できれば…きっと、用意できる…」
「いやあ、それでハイヨロコンデって言うわけがないことくらい、わかるよね?1000万だぞ?流石に全額後払いなんて、そんな条件を飲むわけねえからな」
「いや、そんなこと言われても…こ、この有様だぞ…?」
ダルマ女・ロアが、寸断された手足だったものを軽く振って見せる。
そこで、「あれ…?」と。
自分の体を見下ろすように眺めながら呟き、目をシパシパと瞬かせて、続けて驚き見開いた。
「む、胸が…?」
「…あ、そうだったな。それはサービスというか、アンタを商品にするために治した。まあ、貴重な薬を使ったから、そう何度も、何箇所もはできないがね。 治したのは胸と股だけだが、良かったな、それなら色々と稼ぐ方法もあるだろう?」
嘘である。薬ではなく、回復魔法で治したものだ。
まあ、そんなことを、このダルマ女に教えてやる義理はない。
「……やっぱり、貴様もただのクズ野郎だったか…!」
「おーおー、なんだ急に?俺は治してやっただけだぞ、貴重な薬を使ってな」
「フンッ!そうだとして、この身体で稼げる方法だと…? …じゃあ、それでどうやって稼ぐと言うんだ?言ってみろ!!変態クズ野郎!!」
おー、スッゲェ勝気だな。
だがまあ、こっちの方が俺好みだ。
このくらいじゃなきゃ、壊し甲斐がない。
俺は、ニヤつきそうになる表情筋を無理やり抑えつつ、質問に答えてやることにした。
「まあ、その体で稼ぐ方法なんてそう多くはないだろ。手足が切り落とされて、顔がグチャグチャでも相手をしてくれるような、そんな物好きに身体で慰めて金を貰うか…まあ、そんな物好きがどこにいるかなんて、俺には思い付かないが。いるのか?今のアンタに、そんな知り合い」
「ハッ。元よりいるわけないだろう、そんなクズの知り合いなど」
「だろうな。…だから、アンタの代わりに、俺がその身体を色々と使って稼がせてやる…ってのはどうだ?」
「本性を現したな。その物好きとやらは、貴様自身のことだったと言うわけだ。 …もう、貴様と話すことはない。殺すというなら殺せ、そして死ね。いつか苦しみ抜いて死に晒せ、クズ野郎が」
ああ、まあ、それはその通り。これは俺の趣味だ。
だが、それを正直に伝えても面白くない。
少ない会話でもなんとなく分かったが、コイツは勝気で頑固でプライドも高そうだが、しかし姫様とやらを救えるチャンスがあるなら、食い付くはずだ。
いいや、食い付かずにはいられないだろう。
だって、状況を考えれば、コイツはすでに用済みになっているのだから。
なら、その姫様とやらがどうなっているか…コイツもきっと、想像したはずだ。
だから、簡単だ。
こう言ってしまえば、先ほどの言葉を覆さざるを得ないだろうよ。
「…まあ、そう言うならそれでも良い。俺はアンタを商品として加工して、いつかこの店にやってくるかもしれない、どこかの物好きに売り捌くだけだ。 …そして、他にもアンタみたいなやつを売りに来る物好きが来たら、同じように買って、同じように加工して、同じように売るだけだ」
「……、…ぁっ!?」
ダルマ女が、ハッと目を見開く。
おお、含みのある言い方をしたから、流石に気付いたか。
やはりそれなりに頭が回る。そのことに気付くのも早いな。いや、それでも少し遅すぎたというべきか?
その通り、お前がどうにかこうにかこの店で生きてさえいれば…探しに行かなくても再会できるかもしれない、そのチャンスが、この店にならあるかもしれないのだ。
もちろん、自分から探しに行きたいのだろう。それが本音で、最善の方法だ。
だが、それは今すぐには叶わない願いだし、叶えようとしたら凄まじい屈辱を味わうことを自ら望まなければいけない。
それでも、全てを諦めて投げやりになって俺の提案を拒めば、再会が叶わず、ただ死ぬだけだ。
それも、実は、ただこの店でできるだけ長く生き続けるだけでも、もしかしたら再会できるチャンスがあったというのに…今、コイツは自らそのチャンスを手放した。…そういうニュアンスを、わざと含ませた。
再会できるかどうかなんて、俺は約束できない。
本当にソレを売りに来るやつがいるのかなんて、知らないしな。
だが、心臓にヒュドラの魔石のカケラなんて高価なものを、ただの忠臣にだけ分け与えていたとは考えにくい。
こういうのは本来、もっと死んではならない人物…それこそ王族にこそ相応しいものだろう。そこには勿論、姫様ってやつだって含まれている可能性が高い。
いくら殺そうとしても死なない…いや、正確には、これを殺し切るのにはかなりの手間をかけなきゃならないし、そのための専門知識が必要なのだが、このダルマ女を売り払ってしまったことを考えれば、以前の持ち主はその方法を知らなかったか、技術的に不可能だと断念したかのどちらかだ。
なら、同じく殺しきれない姫様とやらを処分するなら?
もしそれで、以前にその前例となる存在を売り払った店があり、その店になら処分を任せても問題ないと判断されていたなら?
…細い糸だが、可能性としては全く無いとは言い難い。
いや、こんな状況になってしまった以上、再会できる可能性としては、この身体で1000万を稼いで手足を得て探し出しに行くよりも、ずっとずっと高いものになる。
このダルマ女は、その可能性にやっと思い至ったのだ。
「ああ、一応言っておくが、アンタの心臓に引っ付いているそれを無力化する方法を、俺は知っているし、その方法を実践できるアテがある。 だから、まあ、アンタなりにプライドとやらがあるのだろうから、これ以上アンタの尊厳が辱められないように…というのはちょっと難しいが、ちゃんと殺し切ってから、食肉加工して売ることにするよ。 なぁに、変態な使われ方をされないように、綺麗に削ぎ切りの肉片にして小分けに量り売りにしてやるから、安心して…」
「まっ、待てっ!待ってくれっ!!」
「死んでもらって…んん?なんだ?」
俺はわざとらしく、ダルマ女の言い分を聞く素振りを見せてやる。
ダルマ女は、少し口をパクパクとさせてから、続けて唇をワナワナと振るわせ、ポツリポツリと言葉を紡いでいく。
「ぁ…ぉ…ぐっ……や、やる…」
「…? はあ?なに?」
「やっ、…やる、と、言って、いる…」
ダルマ女の顔は、屈辱のためか、それとも恥ずかしさからなのか…いや、この性格で今更アレコレ恥ずかしがるとは思えない、まだ怒りに燃えているという方が納得できる。
まあ、なんだって良い。
とにかく、そんな面白おかしい表情を見せながら、ぶつ切りに言葉を溢してくれたダルマ女に、俺は察しの悪いフリをしてとぼけて見せてやった。
「…あー、何を言いたいのかよくわからんが、ともかくだ。俺はお前の誇り高い生き様を尊重して、ちゃあんと死なせてやるから…」
「待てっ!!違う!!そうじゃない!!…か、身体で、稼ぐ…だから、……こ、殺さなくて、いい…」
「……んブフッ……ゴホンッ!オッホンっ!ゲホッゲホッ!」
クソッ!!プライドが高すぎて、命乞いの仕方がまだ高圧的じゃねえか!!面白すぎて笑いが堪えきれなかったわボケが!!
くぅ〜、おもしれぇ女だ。
いいぞ、こういう女の方が、壊し甲斐がある。
だが、今はもう少し泳がせたい、もう少しとぼけてみるか。
「…あ゛ぁ〜、すまんすまん。いや、急に咽せちゃってな…えーっと、それで、なんだっけ?身体で稼ぐんだっけ?…まあ、そうだとして、どうやって?」
「それ、は…き、貴様が、稼がせてやると…」
「あー、そんなことも言ったな。…でも、もういいんだ、そんなことしなくても。 俺はアンタの、そのプライドの高さを気に入ったんだ。アンタのことについて、どこの誰だかなんて詮索はしないが、よほど立派な忠義ものだったことだけはわかる…いやあ、俺はこんな商売をしているからかね、そういう忠義の愛ってやつが眩しくて、眩しくて…そりゃあ、1000万ガルドなんて大金をいきなり用意するのは無理だから、義肢を用意してやれないのは残念だが…だからせめて、大赤字になるとしても、忠義もののまま死なせてやることに決めたんだ。ああ!安心しな、ちゃんと墓くらいは建ててやるよ!」
「待て!違う、ダメだ!そうじゃない!! やはり、手足が、要る!! だ、だから、…か、身体、で、稼ぎ、た…、いっ…!」
ウヒョー、血の涙でも流しそうな、凄まじい形相だ。
鼻もねえし、それで歯茎を剥き出すように食いしばって、すんげぇブッサイクだなぁ。
はー、オモシロ。
さて、そろそろ良いか。
俺としても、本当にコイツを食肉用にバラして売り捌きたいわけじゃない。
コイツの気がこれ以上コロコロと変わらないうちに、さっさと話を進めちまうか。
「あー…そうなのかい?いや、まあ、確かに、俺ならアンタの代わりに、その身体で稼がせてやる方法をいくつか思い付くが…つっても、こっちも商売だからな、本当にやるって言うなら、後でやっぱ無しって言うのだけはダメだぜ? 商売は、看板とその信用で成り立ってる。…つまり、この店ならそれが手に入るって宣伝・謳い文句と、その品物が実際にその店にあるって状況が大事になる。やっぱりやめたなんてのは、客には通じねえから、一度やめたらもう二度と再開できねえ。つーか、客が付くはずがねえ。 だから、やるなら絶対に続けるか、諦めて死ぬかのどっちかだぜ、それでも良いか?」
「…い、良い…あ、いや、待て。そもそも、私が生きるだけというのはダメ、なの…か?」
おー、ダメに決まってんだろ。
というか、自分で言ってて無理筋すぎることに恐らく途中で気づいて、最後の方が尻すぼみじゃねえか。ウケる。
まあ、希望くらいはチラつかせてやるか、甘い堕落の道を残してやった方が、後々面白いかもしれないしな。
「あー…一応言うが、アンタのプライドは確かに気に入ったし、だからなんとかしてあげたいという気持ちがないことはないんだ。 だが…それはそれとして、稼ぎのない無駄飯食らいをずっと店に置き続けるって、それ本気で言ってるのか? もう一度言うが、俺は商売人だぜ。利益と損失がトントンならまだ許容してやっても良いが、損失しか出さねえもんを置き続けられねえよ…それくらいは、わかるよな?」
「それは、その…た、頼む、どうか、私をここに置いてくれ…くだ、さい…」
おっ、やっと敬語が出た。
なんだ?ちょっと親切っぽい口調にしてみただけなんだが、コイツ意外とチョロいな…。
「わ、私にできることなら…それで、稼げるなら…稼がせて欲しい、のだ…だから、どうか、頼む…」
「……そこまで言うなら、わかった、俺も腹を括ろう。だが、一度でもやめたら、本当に次はないからな?いや、脅しとかじゃあなくて、本当に」
これは、実際にその通り。
コイツで本当に稼ごうとするなら、それなりにタネや仕掛けが必要になる。仕込みってやつだな。
そして、いざ店に来た時に物がありません。じゃあ、話にならない。
ダルマ女で稼ぐどころか、この店の先行き自体が真っ暗になることすらあるだろう。
まあ、ぶっちゃけ俺はそれでも構わない。
買い手がつかなくなることはあっても、売り手がいなくなることはない。
俺の趣味嗜好としては、売り手の相手がメインなのだから、実は稼げなくても困らないのだ。
当然、買い手がつかなくなろうとも、店が潰れることはない。
だが、俺を「気味の悪い商売をしているが、それでも真っ当な商売人ではある」と誤解しているだろうコイツなら、買い手がいなくなったら店がヤバいとでも思うんじゃないだろうか。
今のコイツにとって、店の存続は一蓮托生に等しい。
始めてから、やっぱやめたは、その時点で姫様とやらとの再会の可能性の目がなくなる。…そう思い込んでいるはずだ。
だからこそ、コイツは。
羞恥と憤怒とプライドが混ぜこぜになった苦悶の表情で、ワナワナと唇を振るわせながらも、そう言うしかなかったのだろう。
「や、やら、せて、ください…私の、身体で…稼がせてください……ギ、ギッ…!」
あっ、復元した方の眼球から、血涙が溢れ始めた。スッゲェ~。
***
*勝気なダルマ女・ロア
・名前:ローザリア・フォン・アルモンド → ロア
・種族:人間
・性別:女
・年齢:29歳
・体型:手足のない肉ダルマ、片乳だけダルンと伸びた柔長乳、もう片方はパルンパルンの瑞々しい爆乳、デカケツ、恵体
・体質:ヒュドラの魔石片・極小(それなりに強い再生能力と、ある程度の不死性を得る)、光輝の魂・大(凄まじい精神力と、魂に連動した強靭な生命力を得る。不運な死の運命を高確率で跳ね除ける)
・特徴:美貌の名残(鼻が削がれ、顔面の半分を覆う火傷痕で、見る影もない)、勝気、傲慢、忠誠心、使命感
・経験:不明(人間・無数、スライム・無数)、スライムの苗床になり裂肛・マンコと穴が一つになった → 処女膜は無いが、新品同然でキツキツ
チコレード王国の王族に仕える名家の家系、その国のお姫様の親衛隊長だった人。
姫様を逃すために、一騎当千の活躍で襲いくる大軍の足止めをし続けたが、ついに討ち取られた。
首を刎ね落としても死ななかったので、ひたすら拷問を続けて心を折り、逃がしてしまった王族の行方を吐かせようと、1年以上に渡り苛烈な拷問を与えられ続けた。
用済みになり、殺しても時間の経過で復活してしまうことがわかっているので、ある程度の回復阻害の技法を施された状態で、廃人屋に売り飛ばされた。
勝気な性格は、女の体であるが故の劣等感や、ある種のやるせなさからくるものでもある。
自分が男だったなら…そんなことを考える日は、何度もあった。
それでも、全ては姫様のため。
そんな使命感に燃える、忠義の騎士である。
アナルがクソ弱く、ゼリーウンチの排泄だけで、白目を剥いて仰け反りながら激しく絶頂する。
あと、今の身体では魔力を練ろうとするとゼリーウンチが生成されてそのまま凄まじい勢いで排泄されるということに、呪紋の存在やらを説明されていないので気付いていない。
そのせいで、魔力が回復したあたりで身体強化と自己回復を試してみようとしてしまい、今回と同じように腹を膨らませてゼリーウンチをブリブリ噴出させながらイキ散らかすことになる。
結局、店主から正しくネタバラシはされておらず、「おそらく前の持ち主のせいではないか?」と適当に言いくるめられてしまっている。