動揺しつつも教えようとする薫に対し、素直な疑問と興味を抱く隷花。やがて薫の部屋で、自慰や性行為についての「教え」が始まる。薫に優しく、時に強引に身を委ねる中で、隷花はこれまで自覚していなかった薫への「恋心」と、身体を駆け巡る未知の快楽に気づいていく。
本能と好意に流されるまま二人は深く結ばれ、互いの愛と欲求を確かめ合う特別な初夜を迎えるのだった。
酷暑も過ぎ、比較的日常がエアコン要らずで過ごしやすくなった頃。
楽曲を作るため、相も変わらずパソコンの前で睨めっこをしているのは私、蜜月隷花。あれやこれやと思いつくフレーズを入れているが、そのどれもがチグハグのパズルの様に噛み合わない。そんな風に楽曲制作に頭を悩ませている所に、ガチャリと戸が開く音が聞こえた。
「帰ったよ。隷花。」
「あ、薫。おかえり。」
このままでは埒が明かないと白紙にしようかと悩んでいた所にナイスタイミング。同居人である柊薫が帰ってきたのだ。
無意識下で声をコロリと変えつつ目線を変えて作業を止めると、スカートを靡かせながら帰ってきた同居人の方へと歩いていく。
「大丈夫?なんか悩んでたみたいだけど。」
「ううん、大した事ないよ。……薫が帰ってきてくれて良かった。」
「隷花は本当に心配性だね…。どこにも行かないって約束してるんだから、当たり前でしょ。」
「…?うん、勿論信じてるよ?」
薫がまた私の発言を勘違いしてるみたい。悩んでた所で帰ってきたから良かったってだけだったのに。けど、勘違いする薫も可愛いなぁ。
なんて事を思いながら見つめてると、頭にふわりと優しげな感触が降ってくる。
ぽすん。
頭を優しく撫でられ、やれやれと半ば呆れた表情を浮かべて部屋の中へと入っていく。
また子供扱いされた……?
身長、同じくらいなのに。もう大人なのに未だに子供扱いするの、ちょっと不服なんですけど。
むすっと頬を膨らませて軽い不満を表に出しながら、彼の後を付いていく。
「ねぇ。仕事疲れてるでしょ。今日こそは私が料理するから、薫はゆっくりしてて。」
「隷花は刃物使うと危なっかしいからだめ。この前だってピーラーで自分の手、剥きかけたでしょ?」
「違うよ、あれは考え事してただけだもん。集中してたら剥かないし。」
……半分嘘。血が流れるヒリヒリするのが忘れられなくて、つい手が動いちゃったの。態と…では無いけれど、ふらっと興味が移ろいじゃう、悪い癖。
へら、と笑いながら「次は大丈夫だよ」だなんて声をかける。
「そういうとこがあるから握らせないんだよ。隷花が傷つくのは俺も嫌なんだから、刃物使う料理は男の俺がやるよ。」
「……は〜い。」
仕方がないから大人しく引き下がる。どうせ何を言っても自分がやるって言って聞かないから、私が譲ってあげないとね。
大人らしく、寛容さは一級品なので。
態とらしく首を触りながら、素っ気ない返事を返す。薫はやれやれと言うように溜息一つ付きながら料理の支度をしていく。
……態度に出ていたかなぁ。出したつもりは無いんだけど。ちょっと薫、敏感すぎる気がするなぁ…。
幾ばくかの文句を秘めた心で発散する。ストレスでは無いけれど、お腹の中がごろつく様な妙な感覚。
その様な物を隠すために、今宵の料理は何かな、と興味ありげに質問する。
「薫、今日は何にするの?」
「ん〜、生姜焼き作ろうかな。」
何気ない会話をしながら、ご飯を作っていく。薫が過保護すぎるから簡単な事しかさせて貰えないけれど、それでも色々と生活を手伝えるのが楽しいな、と思う。
…やりたい事させて貰えないのはちょっと不服だけど。
そうして二人でご飯を作る。隣り合わせで彼を見たり、自分の仕事をこなしたりと何の不自由も無く共同作業は進んでいく。けれど、何処か浮ついた気持ちが抑えられないのは何故だろうか。
自身の感情に一粒の疑問を覚えながらも、目的の品は作られた。
「さ、できたし食べようか。」
お皿に慣れた手つきでご飯を盛り付ける薫が声をかける。
こくり、と頷きつつ定位置の席へと腰をかける。
料理がスライドされてフライパンと擦れ合う食欲の唆る音を楽しみながら、彼が座るのを待つ。
「じゃ、早速食べようか。頂きます。」
「頂きます。」
二人で両の手を合わせ、祈るようにして食事前の挨拶をする。
そうして両者ともご飯を食べ始める。私よりも彼の方が食べる速度は早いけれど、時折箸を止めては様子を伺うように見てくる。
「…いつも見てくるけど、飽きないの…?」
「隷花を見る事を飽きるなんて事無いよ。」
視線を逡巡させた後、ぽつり。「……そっか。」と小さく声を零す。じっと見てくる彼の純粋な目線と目を合わせるのが何処か恥ずかしく、居た堪れずに料理へと箸を進める。
暫くはこの攻防戦が何度か行われた後、そういえば、と最近気になってることを聞いてみる。
「ねぇ、薫の性処理って、いつしてるの?」
一瞬の静寂。
ピタリと表情が固まり、料理を運ぶ薫の手が止まる。
「…何言ってるの隷花?なんでそんな事、聞くの…?」
愛想笑いをしながら、混乱した様に聞き返してくる。
「ん?性処理…ええとなんだっけ、自慰っていうの?広告…とかでたまに出てくるから気になって。」
聞いたのは単純な興味。なんだか面白そうだし、みんなやってるっぽい……?
薫は顔を歪めて何かを考えている。
そんな難しいことを聞いてしまったのかな、なんて思いつつ、瞳をじっと見つめ返す。
「まじか…知らないのか…そっかそうだよな……。」なんて薫の小さなぼやきが聞こえてくる。
そんなにやばい事だったの……。
内心ショックを受けつつ、それでもその事は言及せずに返事を待つ。
「この話は食事の時にはやめとこっか……。後で話すから、ね?」
絞り出したかの様な弱々しい声色で、薫は喋り出す。
それを聞けば間髪入れずに
「食事の時にしちゃだめな話なんてあるの?」
とツッコミを入れる。
私が習ってきたことにはそんなマナー無かったから、当然のはず。
けれど薫は頭を抑えて困惑している様子が見て取れる。
やばい、なんかまずい事聞いちゃったのかな。でも何が悪かったのか知らないから分からない……。
「……そこら辺も含めて後で話すから…ね?…この話が外で聞かれてなくて良かったぁ……。」
「……仕方ないなぁ。」
手を前に合わせて、お願い!僕の尊厳に関わります!だなんて懇願してくる。
そんな大事な事なら、なんで最初に言わなかったんだろう、なんて疑問を持つ。けれど、後で説明されると信じて、とりあえずは質問は辞めにした。
その後の食卓は静かなものだった。
自身では分からないけれどとんでも無いものを聞いてしまったという後悔を覚えて、薫と目を合わせられず俯いて食事を食べていた。
一方の薫はと言うと、私がちらりと目線をあげると、小っ恥ずかしそうに目を背けてしまう。
……やましい事でもあるのかな。さっき聞いた事と関係ありそうだけど……。
悶々とする気持ちを抑え、カチャリと2人の皿から音がした。両者ともに手を合わせて挨拶を済ませると、お互いの視線がカチリと合う。
「隷花、さっきの事だけど……。僕の事情……そんなに気になるの?」
「気になるって言うか…、心配?色々調べたら、大事な事って書いてあって。三大欲求らしくて、食事と睡眠と同じくらいらしいから。薫、そういうのしてるの見た事無いから大丈夫かなってふと思ったの。」
「あぁ……。………してる、してるよ。僕は大丈夫だから、隷花はそんな事考えなくて良いの。ほら、答えたからさっさと寝────」
「私はしてなくて、さ。だから薫に教えて欲しくって。」
なぁなぁに終わらせ逃げようとした彼の表情がピタリと止まる。
……そんな変な事言ったかな。私は小首を傾げながら、続けて口走る。
「薫なら色々知ってる、でしょ?いつもみたいに私に教えてくれるよね。大事な事……なんでしょ?」
間違ってる事は言ってないはず。…ただ、オナニーは気持ちいいって事は知ってる。けれど、彼の反応が面白いし黙っておく。
期待するような瞳で彼のことを見つめながら、じりじりと詰め寄っていく。
彼は目線を左右に何度か振った後、瞳を見つめ返してくる。その時には肌が触れ合う距離まで近づいていて、そのまま身体に抱き留められる。
「そんなに知りたいなら、俺が全部教えてあげる。大人な事、しようね。」
目線を逸らしながら、こくん、と頷く。
自分からお願いしてるはずなのに、口が思うように動かずただ頷くだけで精一杯になってしまう。彼の少し低い声色からか、それとも耳近くで囁かれて小恥ずかしいからか、あるいは両方か。下腹部の辺りも何故かむず痒くなってきて、自分の身体を保つのに精一杯になる。
暫くの間腕の中に埋まっていたあと、「それじゃ風呂とか用意してくるから。」と切り上げられてしまう。
名残惜しそうに見るけれど、彼はそれを気にもとめずに日常へと戻っていってしまう。それがどこか寂しくて、近くの椅子に腰掛けた後、何の気も無しにスマホへと手を伸ばす。
じわりじわりと、お腹の辺りが熱い気がしている。
…さっきのご飯、消化してるのかな。
なんて適当な事を考えながら上から下へ指を動かす。何の考えもなしのただの動作。瞳孔はただ流れる文字列を斜め読みするだけで情報など1ミリも入っていかない。
そんな風に板を眺めている時間を過ごしていると、彼が声をかけてくる。
「隷花、先にお風呂入りな?」
「……あ、うん。」
虚をつかれたような表情を浮かべて、中身のない返事をする。無駄ばかりの端末を置くと、お風呂へと足を進める。
「なんか、変な感じ…。」
ぼそりと小声で呟きながら服を脱いでいく。いつも通り、適当に身体や髪を洗っていく。
……そういえば、髪をもっと手入れした方がいいって言ってたっけ。
徐にそんな事を思い出す。いつもはそんな事すら思わずただ音楽の事を考えていたのに。
自ずと一組の手は髪に伸びていく。何故だか意識してしまう。自分の思考に何かが蝕まれている様な感触さえ感じる。でも、それが嫌ではないと思う。
彼に教わった様に髪を解していく。ぶっきらぼうに、腰先に何とか届きそうな程の長さを洗い、手入れする。
「……こんなに長いの、大変だな…。」
彼が毎日手入れをしてくれている髪。その難しさというものを始めて自分で知る。自分でやる事すら大変であれば、他人のものとなるとその労力としても相当のはずだろう。
一つ一つ丁寧に髪を洗い終えると、身体も滑らすように洗っていく。
「なんか今日、薫の事ばっか考えてるな…。」
行動を起こす度、彼の言葉が思考を覆う。全部見られてる───いや、全部してもらっているからこそ、自分の行動ですらも彼がちらついて離れない。
シャワーを頭から流しながら、今日の事を考える。なんだか今日の自分は変だ。自覚は出来ていても、身体がどうにも固くて動かない。心臓や腹部はいつも以上に動いているというのに、大事な動かす場所が錆びれた機械の様に重い。
原因は恐らく自分、だと言うのに解決方法が見つからない。さっきみたいに薫に聞いてみてもいいけれど、多分何も答えてくれないだろう。
どうしよう、と悶々と考え込む。それでも下腹部の疼きという物は収まるところを知らず、手で抑え込んだ。
「最近、多いなぁ……。」
何度か、寝る前に疼きが止まらなくて無意識に手を伸ばしていた事を思い出す。ただ今日は一段として手を伸ばしたい欲求に狩られてしまう。何かの洗脳であれば原因は分かるだろうし、彼の事しか考えられなくなる洗脳であればそれはそれで大丈夫だろう。そんな呑気な事を考えながら、手探りで下腹部を押し込む。
「はぁ………、ん、ふ………ぅ………。」
シャワーが頭から流れてくる事を気にも止めず、子供の様にぶっきらぼうに手を動かす。水滴がするすると腿から流れ落ちていく。どうにもその刺激がもどかしくて、手を更に伸ばしていく。すぐそこの蜜穴に手を伸ばし、ちゅくり、と一撫で。それがシャワーの音か自分から出た音かは分からない。ただそれが押し込む事よりも刺激が強くて、更に求めてしまう。
思考が回らない。
きっとのぼせてしまったのかも、と思う。けれどなぜだか出ようと言う気にはならない。朧気な記憶で彼の事を考えながら、只管に下腹部を刺激する。
なんでこんなにも、足りないって思うんだろう。
何かが足りないのに、その空白が自分では分からない。彼に聞くにも、この感情が何か判断できない。
そんな雑多な思考をかき消すように、水の流れる音が風呂場に響いている。
「隷花ー?お風呂長いけど、大丈夫……?」
薫が外から声をかけてくる。普段ならノックしてから声を掛けてくるはずなのに、それすら聴き逃していたのだろうか。
上擦った声を上げながら、誤魔化すように返事を返す。
「ぁぇ………?ぁ、うん…!もうすぐ、でるから……!」
何も悪いことなどしてないはずなのに、何故だか心臓が早鐘を打つ。身体が火照って思考が覚束無いまま、シャワーを止めて風呂場から出ていく。
「風呂場で何してたんだろ、私。」
着替えながらぽつり。先程の行動はどうにもおかしかった。ただ思考はこんなにも纏まっているのに、あの時、思考などただの紙切れのように本能の濁流に飲まれていた、と思う。
本能……欲求………性欲……?
ふとそんな事を思いつく。自分には無いと思っていたものでも、きっかけがあれば出てくるものなのかな。なんて事を考えながら、彼の方に目を合わせる。
「お風呂、でたよ。」
「隷花、大丈夫だった…?顔、赤いけど……。」
「ちょっとのぼせちゃっただけだから、心配ないよ。ちょっとゆっくりしてるね。」
火照った身体をソファに預けながら、彼に声をかける。心配そうな表情をするが、すぐに彼も笑い掛けてお風呂へと向かっていく。
「はぁ………あつ。」
髪の毛を乾かしながら、そんな事を思う。火照った身体を沈めるように風を浴びながら、夕飯の事を思い出す。
……もしかしたら、自慰をした事無かったって、嘘だったのかも。あれが自慰と呼べるものであれば、きっと今まで何度か無自覚にしていたんだろう、と思いに耽る。まぁ、あんまり知らないから改めて教えてもらう分には歓迎だから、黙っておこう。
ふふ、とこの後の事を考えながら軽く口端を緩める。髪を乾かし終えると、彼を待つ暇な時間にテレビを見る。特に話題性もあまりない、定番の恋愛ドラマだ。丁度告白する前のシーンだろうか、恋人役がある男に言うかどうか迷っている。
…好きって気持ちがあるのに、どうしてこんなに迷う必要があるんだろう。この男の人、こんなに尽くしてくれているんだから好きに決まっているのに。
案の定、この後告白し、男の人から了承を貰う。そうしてハッピーエンドで幕引きだ。よくある話の一部始終。
恋愛ってやっぱりよく分からない。世間の人はこういうのが好きなんだろうけど、どうにも自分はそういう物に縁が無いんだろうとつくづく思う。
「薫は好きだけど…これは恋愛なのかな?一緒に住んでるし…恋とも違うと思うけど。」
まぁ…知らないことだし一応調べるか…。そんな風に思いながらスマホを手に取ろうとした時、薫がお風呂から上がってくる。
「お待たせ。もう大丈夫そう?」
「うん、やっぱりのぼせてるだけだったみたい。今は平気だよ。」
スマホを置き、改めて薫の方を見ながらにこりと笑いかける。彼も笑みを返しつつ「じゃあ隷花の髪の毛整えたら寝よっか。」とまるで約束を覚えていないかのように振舞う。
……そんな見え見えの話題逸らしには乗らないんだから。
「私が夕飯の時に言った事、忘れてる訳じゃないよね?」
薫は引き攣った顔をした後、はぁ…と溜息をつく。
「はいはい、分かってますよお姫様。ちゃんと教えてあげますから、先に整えてあげますね。」
やれやれ、と私は背を向けて髪を差し出す。いつも通りの薫の手入れ。優しい手触りと手際の良い行いでするすると進んでいく。
もう終わりかな。
そう思った時、背後から声がかけられる。
「お風呂から声、聞こえたんだけどさ。」
「鼻歌、じゃない……?」
咄嗟に反応してしまう。ぼーっとしててのぼせてたなんて、さすがに恥ずかしくて言えない。
耳元で薫から囁かれて心臓が脈打つ。悪い事などしてないのに覚えの無いことで怒られてる時のように、変な緊張が走る。身体を固くして薫の返答を待っていると、くす、と笑い声が聞こえる。「隷花はほんとに可愛いな」なんていつもの言葉を紡げば、再度耳元から声が聞こえる。
「後でまた聞いてあげるからね。嘘だったら、隷花に謝って貰おうかな。」
どき。
背筋に変な汗が伝う。背後からまた笑い声が聞こえたような気もするけれど、心臓の音が激しくて聞き逃す。普通に受け答えをしているはずなのに妙に言葉が詰まる。反論の言葉を唱えようとしても、喉に突っかえて上手く言葉が出ず、「ぁ…う。」と息が通る音が流れるだけ。
彼は何を考えているんだろう。
そればかりが思考されて、他の事を考えている暇など無かった。
それに気がつくのは数分後。
「はい、終わり。……ん、隷花…どうしたの?」
「え…?いや、なんでも…ないよ。」
心配そうに薫が顔を覗き込んでくる。私、ぼーっとしてた…?
束の間の困惑の後、心配を和らげるようににこりと笑顔を返す。納得の言ってない表情をする彼を見ながら、催促する様に
「別に勿体ぶらずに教えてくれても良いのに」と不満気な態度を取ってみる。
すると、くすくす笑いながら「そんなに知りたいの?」と少し馬鹿にするみたいな態度を取る。ムッとしながら反論しようとするが、その開けたお口を塞ぐ様に、柔らかな感触が唇に伝わってくる。
「んっ……ん゛ぅ………。」
薫からキスされるなんて、初めてだ。押し付けられる唇はどこか力強く感じて、逆らう事が出来ずに流されるまま。けれども、自分から押し付けるよりもどこか落ち着いてしまってる自分がいる。
目を一瞬丸くし、受け入れるようにまた優しい眼に戻る。薫はと言うと、私の目を真っ直ぐに、真剣な眼差しで見つめられる。
あぁ、薫、かっこいいな。
心に浮かぶその言葉を噛み締めながら、数十秒の時が終わる。
「知りたいって言ったのは隷花だからね。ちゃんと教えてあげるから。オナニーも…セックスも。」
薫がそんな事を言う。
わざわざ言わなくったって、責任押し付けてくれてもいいのに。薫ってば本当に可愛い。
「良いよ。薫が知ってる事、全部教えて?」
くすり、と笑いかけながら、態とらしく頬にキスをする。薫は何か言いたげな表情をするけど、何も言わずにそのまま私を抱きしめてくる。
……なんか、薫のモノ、当たってる…?
強く抱きしめられて気づく。薫の男性器がしっかり当たっている。なんだか変な感じがするけど、薫も男の子なんだな、って少し嬉しく感じる。
彼は抱きしめたまま、私をそのままひょいと抱っこして自分の部屋へと連れていく。同じ身長なのに、抱え込まれると逆らえない。男女差をありありと実感する。運ばれる最中、彼の背中に手をぎゅ、と回して甘える素振りをしてみる。テレビとかでやってる様な仕草の真似。ちらり、と顔を見上げれば彼と目が合う。彼は優しく笑いかけて来るが、何故か目を逸らしたくなって顔を伏せる。……恥ずかしい。湧き上がる感情がそのまま出てしまう。心臓はドキドキと高まり警鐘を鳴らす。下腹部も同様に、きゅるきゅると切なさを感じる。
私の身体、どうなってるんだろ…。
冷静に思考をしてみるも、身体の異常は止まらない。そんな束の間の移動の後、薫の部屋へと連れてこられる。
薫の匂いが鼻につく。
いつもと同じ部屋のはずなのに、どうしてか日常より匂いを強く感じる。目線を部屋に這わせて見渡していると、薫が私を下ろしてくれる。丁度鏡の前。その後ろに薫が座る。丁度背後に彼の胸骨が当たる。
「ね、薫…?部屋、ちょっと薄暗いような気がするんだけど。」
いつもと雰囲気が違う部屋が少し怖くてそんな事を口走る。すると彼は、
「ムードっていう物があるでしょ?こっちの方が、お互いの事、もっと近くで感じれるし。」
なんて、私の願い事を聞いてくれない。
それなのにどうして、何も言い返せないんだろう。明るい方が顔を見れるから、って声を出そうにも、背後から手を回されて抱き締められると、言う気が失せてしまう。両者の温度が交錯し、段々と同じ温度になる。
「ねぇ、薫───」
「大丈夫、俺に任せて。」
言葉を重ねられて、口篭る。抱きしめていた手がそのまま服の下へと伸ばされる。
なに…されるんだろ。
期待感と不安が入り交じる表情で薫を見上げる。彼は優しい表情をして笑いかけるが、身体を撫でる手は止まらない。薫の手が身体を這い回る感触に嫌悪感はなく、どこかこそばゆい感触を覚える。
「オナニーって言うのはね。性欲を発散する為のもの。隷花の言った通り、人間に必要な事。普通に過ごしてても溜まっちゃうから、自分でコントロールする為にするんだよ。」
「そう……なんだ…。で…これが……オナニー……なの…?」
なんだか身体が少し熱くなってる気がしてくる。熱でも出たのかな、なんて事を考えながら不安そうに薫を見上げる。彼はそんな私を揶揄う様に笑い、言葉を続ける。
「ううん、これは準備。飛び切り気持ちよくなるために、身体に準備させてるんだよ。」
「擽ったい、だけなんだけど…。ほんとに…そうなの……?」
なんだか怪しい。いつもと様子が違うし、疑う様な目線で彼を見ている。時折擽ったさが声に出て、軽い息が漏れる。それに、触られてないのに、なんだかまたお腹の奥が変な感じがする。
膝を擦り合わせ不思議な感覚を抑えていると、彼は優しい声色で語りかけてくる。
「隷花は僕の事信じれないの?大丈夫、全部本当だから。……ね、隷花。身体熱いでしょ。今どんな感じか、教えて?」
「感じって言われても……。なんだか、身体熱っぽくて……薫の手が通るところ、なんだかゾワゾワして…何となく気持ちよくて……。ぁ…それに……お腹の奥の方が心臓みたいにドクドク言ってるような気がする……かも……。」
薫が私の顎を優しく手で添えて持ち上げてくる。なんだかいつもよりかっこいいような、ドキドキするような……。目を背けたい衝動に駆られるけど何故かできなくて。身体もどこかさっきより熱くなった気がする。
やっぱり私、変だ。
さっきよりも熱さや身体に対して、敏感になっている事が自分でも分かる。薫の手や声も、触られたり聞く度に反応してしまうような気がしてる。
あ、そっか……。
これが、恋なのかな…。
前に一度聞いた症状に似ている。特定の誰かにだけ、他の人とは違う感情を抱くことを。馬鹿な頭だけど、ようやく理解した。思考を整理して考えてみれば、今までの反応も当然だと思う。
私は、薫に恋して、愛している。
だから、この反応は自然なんだ。
彼と身体を密着させ、触られる事で漸く理解することができた。恋は盲目なんて言うけれど、自分の事でさえ理解できなくなるなんてとても愚かしい。
自分の感情に気づいた私は、見つめ合う彼を見ながら、へなり、と笑う。上手く表情作れたかな。薫に触られるのが気持ちよくて、筋肉が上手く動かない。けど、それが1番いいとどこかで聞いたから敢えてそうしてみる。
「その顔…。ほんと、誘うのが上手いよね。じゃあ…オナニー、始めよっか。下着、脱がすね…。」
薫は小さな声で、「どこでそんな悪い仕草覚えて来るんだよ…。」なんて漏らしている。
私はただ、色々流れてくる情報から、薫が喜びそうな事してるだけなんだけどな。なんて思いながら、薫に身体を預ける。
下半身の衣服を脱がされ終えると、優しく私の手を掴み、人差し指に添える。
薫の男の角ばった手が、枝みたいに力を入れたら折れてしまいそうな私の手を支える。本来なら力量差で幾許かの恐怖を覚えそうなものの、不思議と安心してしまう。寧ろ、折れたっていいのかもしれない。薫であれば、そんな痛みでも耐えられるのかもしれない。
余計な事を思考しながらも、薫の優しげな、どこか不安そうな動作を優しい眼で見つめる。
「薫… 大丈夫?」
「大丈夫。…ってなんで教える側を心配するの。」
少し悪戯心で聞いてみたら、良い反応を返してくれる。彼はやりずらそうな表情をしつつも、優しく私の身体を包み込みながら、赤子に教えるような優しい声色で耳元で囁いてくる。
「隷花、わかる?ここ。おまんこって言うんだけど…、ここを弄ってあげるのが基本的……なのかな…。」
薫の言葉が少したどたどしい。もしかして、薫もあんまり知らなかったりするのかな。
頑張って大人ぶろうとする彼が愛おしく感じる。少し口元を緩めながらも、彼の動かす手に沿って、自分の指がしゅる…つぷ…と秘部に触れる。
何もしていないのに、濡れている。
…つい最近、訳も分からずベッドの上で身体を無意識的に手を這わせていた事を思い出す。その時に偶々触った場所。それがこの、尿を出す穴と近しい場所にある所だ。なぜだかこの場所がとても気持ちが良くて、気づいたら一心不乱に虐めていた事がある。そんな痴態をこの状況で思い浮かべてしまった。
じわり。
また下腹部が反応した気がした。
「ね、隷花。何思い浮かべたの?少し触っただけで濡れてきたけど。」
どき、と。
耳元で聞く言葉が脳に響く。思考が纏まらない中、反射的に答えてしまう。
「…ちょっと驚いただけ……だし……。」
くすくすと耳元で笑う声が聞こえる。なんだか馬鹿にされてる気がして、ちょっと癪。反論しようと口を開く前に、
「エッチな事考えると、勝手に汁が漏れてきちゃうんだよ。エッチだね、隷花」
私が……エッチ………?
何故だかその言葉に酷く反応してしまう。鼓動がドキドキと鳴り止まず、何かを期待する様に秘部は疼いてくる。息を抑えながら、何とか彼に反論する。
「そんな事……ないけど……。初めて……なんだから……エッチとか……分かんないし………!」
「その割には、おまんこ柔らかいけどな。もしかして、本当は隷花、オナニーしてたんじゃないの?」
「っ……… ♡」
言葉が止まる。
訳も分からない時だけど、触っていた事は事実。知らないって言い訳だってできるけれど、身体の反応からそんな安い言葉は見抜かれるとわかっている。
反論してこないからなのか、薫は言葉を続けて囁いてくる。
「次は隷花の番。中で指、動かすんだよ。入れれる所まで入れてみよっか。」
もう、言葉を紡ぐ余裕すらない。彼に言われた通り、自分の指を浅瀬から奥へとじわじわ押し進めて行く。視線が指へと誘導される。2人してその過程を見つめられる事が、どうしてか感情が揺れ動く。言いえぬ感情のまま、中指の第二関節まで入ってきている。
暖かくて、気持ちいい。
自分の体温、それに手の甲から伝わる薫の体温。そして溢れ出る蜜汁。意識してる訳でもないのに勝手に出てきてしまう。そんな様子が自分の発情を煽ってくる。自分の身体を理解できないまま、段々と快楽の熱に溶かされていく、そんな気がしている。
「っ…あ………♡ はぁ……… ♡ はぁ …………♡」
意識している訳でもなく、吐息が口から漏れ出る。自制できないからか、はたまた制御の仕方を忘れてしまったからか。艶やかな声が部屋に響く。
薫は私の身体を優しく支え、胸元を抱き抱えている。身体を預ける安心感。暖かな体温。だからだろうか、いつの間にか秘部を虐める指は奥へと入り込む。気づけば一本、指が全部入ってしまっていた。
「隷花、気づいてる?もう一人でシちゃってるの。」
「あぇ………?♡」
頭が朦朧とする。彼が言葉を発した後、脳に到達するまでの数秒、理解が遅れる。そんな私を見てかそれとも意地悪なのか、優しく頭を下へ向けさせられた。
薄暗さの中、誘導された場所を見やれば、そこに薫の手は無かった。それはそうだろう。抱き抱えられていたのは両手だ。なのに彼が一緒だと、そう思い込んでいた。
恥ずかしい。
顔が急に熱くなる。彼がいるのに、こんなにも夢中に自分の事を慰めていたなんて。何故だか急に申し訳なくなって、秘部から指を抜こうと手を動かす。
けれど、抜けない。指はこうして話している間にも動き続けている。それに追い打ちをかけるように、薫の手が覆い被さる。蓋をされる。逃げられなくなる。助けを求める様に薫の方に目を向ければ、微笑みながら私を見つめてくる。
「可愛いね、隷花」
そんな言葉を投げかけられ、指が加速した様に感じる。こんなこと、どこが可愛いんだろう。そう思うがしかし、思考は快楽の波に流されていく。ただ身体の奥からくる熱を全身で感じ、嬌声は部屋に響き続ける。
突如、ガクンッ!! と。
脳が弾けた感覚に陥る。身体が訳も分からず震えてしまう。電気ショックの様に身体が波打ち、全身に言いようの無い気持ちよさが流れる。いつの間にか指も止まり、薫の手が甲から離れていく。
「隷花、分かりやすいね。それ、イくって言うんだよ。」
「イ…………く………?」
薫から教えられた言葉。これをイく、というらしい。快楽が溢れ出る身体を預けながら、その言葉を脳内で反芻する。薫は頭を撫でながら更に続けてくる。
「そ。……気持ちよかった?」
「……うん………♡」
イったせいなのか、頭がまだぼんやりとしている。沢山の言葉を話す気にはなれず、ただ頷くだけが精一杯だ。薫の方を見上げては、へにゃり、と崩れた笑い顔を向ける。
すると突然、薫の顔が接近してくる。
あ、これダメだ。
そう思うのも一瞬で、薫の唇が私の唇と被さる。反応する余裕も無く、至近距離で薫の顔を見つめながら、何度も重ね合わせる。
あぁ、本当に薫に持ってかれているんだ。
心がキュンキュンと飛び跳ねている。少し無理やりに口付けされたというのに、どこか心地いい。数度口付けを繰り返せば、薫はちろり、と舌をあてがってくる。
少し唇を力ませれば拒めるというのに、そうしない。舌は優しく私の唇を撫でては、口元にゆっくりと入ってくる。理性では何も分からないと言うのに、するりとまるで分かっているかの様に自身の舌で迎え入れる。薫は舌同士が触れ合えば、絡み合うように私の舌を包み込む。受け答えするように見よう見まねで同じ事を私は繰り返す。繋がった事を確認したからなのか、薫は長い時間をかけて私の口内に入る。侵食されていく感覚が何故だか安心し、気持ちがいい。
私はどんな表情をしているんだろう。
…そんな事、どうでもいいか。
顔の感覚でさえも分からない。ただ今は、口で広がる甘い感触に溺れていたい。薫の味が広がる中、気づけば濃厚に奥の奥まで侵食されている。いつの間にか、舌が勝手に動いている。薫を求めるように、幾度となく絡め合う。ただそれだけなのに、もっとしたいと思ってしまう。口端から糸を引こうが、声が漏れようが、止まらない。ただひたすらに、蕩ける様な甘いキスを続けていたい。そんな思考が支配している。
薫を求めるように身体をずらし、徐に手を後頭部へ伸ばす。
もっと、欲しい。
そんな漠然とした思考で彼の頭を引き寄せる。口内では生暖かな抱擁が幾度となく繰り返される。舌先が触れる水音が二人へと流れ込む。時折息継ぎの為に口を離せば、必要としない方が追うように口を重ねる。そんな攻防戦を繰り広げる事数十分。薫が口を止める。
「隷花、ギブ、ギブ……!これ以上、は……… !」
突如口を離され、口も舌も半開きとなり唾液すらも拭わない、本能のままの表情で、きょと、と首を傾げる。
まだ、したい。
そんな思考で薫の方へ向かおうとするが、それを力で制止される。
「薫…… いや……?」
息も絶え絶えなのに、力だけは全く敵わない。どうやら本当に限界なのらしい。けれども、頭では分かってるのに、求めてしまう。
口から出た言葉はその表れだった。
「嫌じゃ……ないけど……。さすがにちょっと……休ませて…………。」
そう言って薫はベッドへと仰向けに倒れ込んでしまう。私はただ、この熱を持ったまま、取り残されてしまう。
ふと、鏡を見る。見れば薄暗い中、蕩けた表情ではだけた服。秘部からは愛液が垂れた自分の姿が映る。
可愛いね、隷花、と。
ふと、薫の言動を思い出す。
いつもと違う様な、少し強引な所。それは恐らく、自分に発情をしていたのかも、と思い至る。自分がそうであれば、彼だってそうだろう。それに、なんだか背中に熱い感触も感じた。あれを感じた時、どことなく下腹部が疼いた気がする。じゃあ、あれがきっと薫の本能の部分だろうと、思い至る。
でも、やっぱり、薫の口から改めて聴きたいと思う。だらしなくなった身体をゆらりと立ち上がらせる。
薫はいつも裸を見る時隠れていたけれど、今日は見てくれるよね。
ちらり、と薫を見れば、天を仰ぐように腕を頭の上に置き、休息をしている。そのチャンスを逃さない様に立ち上がり、服を脱ぐ。
いつもより火照った身体。汗ばむ水滴。靡くロングのレモン色の毛並み。膨らんだ乳房。一緒に水音を鳴らした秘部。そして、虚ろに薫を見つめ、少し嬉しそうに笑っている表情。その全てを晒しながら薫の視線を遮る。
「れ、隷花ぁ……?どうしたの……?」
「教えてくれたお礼、してあげたいの。薫もオナニー、するよね?手伝ってあげようかなって。」
彼の胴体へゆっくりと腰を落とし、そう告げる。薫の表情が怯えている様な気がする。
なんで?
薫も発散するべきなのに。私の事見て、興奮してくれてるのは分かりきってるんだから。薫が喜ぶ事しようとするだけなのに、なんで逃げようとするのかな。
ふつふつと怒りにも似た感情を覚える。私を受け入れてくれないなんて。ちゃんと怒った事があまり無い私でも、これがイライラしている、と事は分かってしまう。
「ね。私の事嫌いになっちゃった?だからそうやって怯えてるの?ねぇ薫。好きなら、ちゃんと何して欲しいか、教えて欲しいなぁ。」
「嫌いなわけ、無いでしょ…!大好き、なんだから…!でも、今は止めよ…?ね………?」
薫を追い詰める様にじりじりと這いずって薫の頭に詰め寄る。近づくに連れ、馬乗りになった下腹部が鼻息のかかる距離まで近づいてくる。薫の鼻息が少し荒い。
バレバレの行動から、はぁ、とため息を一つ。薫に顔を近づけ、思いついた言葉を吐き出す。
「そんな事言って。薫、私で興奮してる癖に。何して欲しいの?何されたいの?
………ね、教えてよ。私にできることはなんでもしてあげるって言うのに…。何か言ったらどうなの?」
「そりゃ、隷花の身体みたら興奮ぐらいするでしょ、好きな人なんだから……。なんでもって言われても…思いつかないし…………。」
視線が泳いでいる。この後に及んで、必死に言い訳しようとしているなんて。
これが薫の意気地無しの態度からなのか、それともまだ満足していない身体からかなのかなんて分からない。ただ一つ、隷花の頭に浮かんだ事は、どうにかして彼の本音を聞かなければいけないと言うことだけだ。
「そっちがその気なら良いけど。嫌だったら力で跳ね除けてくれればいいから。」
ふん、と鼻を鳴らしてそっぽを向く。
…でも、何すれば喜ぶか分からない…。
勢いで言ったは言いものの、肝心のする事はよく分かっていないのは変わらない。ふむ、と考えた後ふと頭に先程の出来事がよぎる。薫の下半身に、硬くなってるものがあった。身体の反応からするに、あれを弄ってみるのも良いかもしれない。記憶を振り返って見れば、何度かあの部分を抑えている様子もあった。なら、この隙に暴いてしまおう。
くるり、と身体の向きを180度変える。依然として、薫の下半身には何か棒が立っているような事がわかる。彼はそれに気づいてか気づかずか、「れ、隷花さぁん…?何しようとしてるんですかぁ……?」
なんて情けない声を出す。
そんな声で鳴いたって、抵抗しないって事はして欲しいんでしょ。
苛立ちは留まることを知らず、薫のズボンを脱がす。硬い物が引っかかってずらす事は少し苦戦したが、すぐにお目当ての物が目の前に出てくる。
ボロン、と。
目の前に大きくそそり立った、棒のような物が現れる。あんなに情けない身体を晒している癖に、ここだけは妙に自信ありげに見せつけてくる。
なんだか、ここだけは自信あると思ってるみたいで、癪に障る。今は薫より私の方がよく出来てるはずなのに、それでも薫の掌の上みたいでやだ。
徐にがし、とそれを掴む。
思っていた物より、柔らかい。筋肉で包まれたような物で血管の流れる音を直に感じ取る。けれど、どこか生物を触っている様な妙な質感を感じる。そして触った瞬間に、びくり、と薫の身体が震えた気がした。
「ふ〜ん。」
ぼそり、と呟く。私の事好き勝手にしてくれたんだもん。少しぐらい好きにしてもいいよね。
手の平でその棒を掴み、ぐにぐに、と揉み込むようにして刺激する。
硬いのに、柔らかい。
不思議な感触と、薫を良いように使っている、という優越感にほくそ笑みながらソレを使う。子供が玩具を遊ぶように容赦なく扱い、目線はずっとそれを見ている。どれだけ動かそうが、揉みこもうが、戻ろうと必死に藻掻く姿がどうにも愛おしくて夢中になってしまう。
「れ、隷花…!何してんの…!ほんと、そこ、ダメだから…!」
薫の苦しそうな声が聞こえる。
ここ握って少し遊んでるだけなのに、なんでそこまで切なそうにするんだろう。もしかして、私のおまんこと同じ部分が、ここだったり……。
そんな事を思いながら、耐えず刺激を続ける。色々と探るように握ってみれば、どうやら上下に動かすと薫は良い声を上げている事に気づく。
ならば、と執拗に手を上下に動かしてみれば、「隷花っ… ♡ なんで…… っ!?♡」なんて困惑しながら、薫の聞いた事のない様な艶やかな声を聞く。ゾクリ、と心の中で何かが渦巻いた感覚がある。
もっと、してあげたい。
薫の可愛い所、もっと見たい。
棒を扱く手は止まらない。邪な願い等では無いはずなのに、どこか背徳感を感じる。下腹部の奥がまた疼き出している。
これを続けたらどうなるんだろう。薫、壊れちゃうかな。恨んじゃうかな。お仕置きされちゃうのかな。
なんて好奇心さえ浮かんでくる。そうして絶え間なく動かす事数十分。薫が悲鳴の様な声をあげる。
びゅぐっ…♡ びゅぶぶ…っ♡
棒の先から白濁の様な物が吐き出される。私は思わず目を瞑るが、その液体を避ける事は敵わず顔へと直撃してしまう。至近距離で食らってしまったからなのか、大量に染み付く。そして何より、この液体が変なのだ。もちろん私はここから吐き出される物が尿だって事を知っている。けれど、これは思っているものとは違い、粘つき、どろりとしていて、何より変な匂いがする。臭いはずなのに、どこが脳が溶ける様な…。身体の奥底から、これが欲しい、と訴えかけるような、言いようの無い物欲しさを感じる。
ペロリ、と唇についたそれを拭ってみる。
少し苦い。
けれど、飲めない程でもない。
その瞬間、思考に疑問を覚える。なんで飲もうと思ったのだろう。飲む必要なんて無いのに。……薫が喜んでくれると思ったから?でも、どこでそんなことを…。と記憶を思い出そうとする。
「れい…か……。何、好き放題してくれちゃってんの…。」
背後から声が聞こえる。声からは力は感じられないが、いつの間にか上体を起こしている。多分、ぼぅっとしてる時に起きてきたんだろう。恐る恐る振り向いて、薫の方を見る。
「はぁ……。そんなにザーメン顔につけちゃって…。何?そんなに欲しかったの?」
「それは……違くて…。ざーめんって……何?私はただ、薫が喜んでくれてるからしてただけで……。」
顔を向けた瞬間、薫の棒がまたビクついた気がする。きょとん、としながら薫を見つめるが、どこかその声は怒ってる…いや、見たことの無い目だ。どこか獣の様な…私が飲み込まれてしまう様な、そんな恐怖感を覚えてしまう。それなのに、少し治まってきていた発情も、また疼き出してしまう。
薫は顔を拭ってくれるが、顔から漂う匂いはまだ取れない。思考を邪魔する匂い。ただ受け答えしていたはずで、嘘なんてついてないのに後ろめたく感じる。間違った事を言っているんじゃ無いかと不安になる。
「それなら…もっと教えてあげなきゃね。」
ふぅ、とため息一つ。耳元で吹きかけられる。
薫に手を取られる。
さっきのおなにーを教えられた時みたいに、少し強引に引っ張られれば、棒状の様な物を触られされる。その次に、おまんこ、と呼ばれる自分の場所。そして最後に、下腹部。一つ一つ教えられるように丁寧に言葉を紡がれる。
「俺のこのちんぽで、隷花のおまんこと…子宮。俺の物にするから。」
ドキリ、と鼓動が波打つ。自分が薫に染められてしまう様な、そんな事を想像してしまう。嬉しいけれど、どこか怖い。薫の思いを知っているが故に、自分が受け止められるかどうかの恐怖心もある。
そして、子宮。今疼いている場所に、子宮があった事を自覚する。薫から撫でられ始めて意識させられる。
一番、女性として大事な場所。
そんな所を薫のものにされると言われた。未知のものを受け入れる不安もある。でもどこか、薫ならいいのではないかと言う気持ちも感じてしまう。そんな感情が頭の中でせめぎ合い、ただ薫の声を聞くだけになる。
「良いよね?隷花。……なんでもするって、自分で言ったもんね。」
私が言った言葉を免罪符にされ、ゾクゾクと感情が疼く。そんなつもりで言った訳では無かったけれど、薫が本当にそうしたいのなら、それも嬉しいと思う。
私は、もちろん良いよ、と答えようとする。けれど、口が動かない。何故か、薫と自分の下半身から目が離せない。目を合わせたくない。見ていたい。両方の感情が渦巻き身体を固定させる。ただ発せられた言葉は、
「…………うん……♡」
どこか期待の籠った、信頼している様な…、けれど不安そうな声色の、一人の雌として堕ちきった少女の声だった。
彼はその声を聞けば、熱いキスを交わす。いつもよりも乱暴に、しかし濃密に貪る様に私の口を蹂躙する。もはや抵抗などする気さえ起きない。ただ、薫に好きな事をされたい、と言う奉仕精神のみしか、理性は残っていなかった。
口を開けば彼の舌が入り込む。迎え入れようと舌を伸ばそうとするが、力強く押し込まれてしまう。先程までとは違う、暴力的な舌使い。呆気に取られるも、どこかそんな彼の姿を愛しいと思う。がしかし、そんな甘い考えを塗り潰すように、口内を舐め回してくる。舌の裏、歯先、歯間口壁。丁寧に「私」と言う食を味わう様に丁寧に、しかし暴力的に犯してくる。脳は悦びを与える様に快楽物質を分泌してくる。全身の感覚が口内に集まっているかのような脱力感と幸福感。繰り広げられる薫の欲望を受け止めながら、私は多幸感に包まれてしまっている。
口を離せば、彼はそのまま私に覆いかぶさってくる。彼の顔がすぐ目の前に近づく。全身の体温が伝わってくる。心臓の音が共有される。ドクンドクン、と心臓の音が止まない。なぜか緊張する心持ちの中、彼の声が響く。
「挿れるね。」
ぐちゅり。
返事をする間もなく、下腹部──おまんこの場所から音が漏れる。何かが当たった気がした。場所から見るに、さっきの物が宛てがわれたのだろう。
………あれを、中に…?
不安と興奮の色が強くなる。ほんの少しの恐怖心が打ち勝ち抵抗しようと身体を動かしてみる。けれど、動かない。身動ぎするが彼の押さえつける力の方が強く、磔にされてしまっていることを自覚する。
「何逃げようとしてるの。ダメだよ、隷花。」
彼に行動の意図がばれ、目を見つめられてしまえば顔を真っ赤に染め上げてしまう。まるで罰を与える様に更に強くベッドに押さえつけられる。
あ…。薫が本気になったら私、勝てないんだ……♡
雄と雌。その差を身をもって感じる。組み伏せられ迫ってくる姿、食べられると言う本能的な恐怖があるにも関わらず、そうして欲しいと身体が疼いてしまう自分がいる。
「ごめん…なさい………♡ 」
顔を伏せながら、そう呟く。伏せた目線の先には、今にもおまんこの中に入りそうな棒状のものが見えてしまう。逸らしたはずなのに、視線はソレへ吸い寄せられる。
彼はその姿にくすり、と笑えば
「俺のちんぽが、隷花のまんこの中に入るとこ、見てて。」
と声をかけられる。
その命令に従ったのか無自覚なのか、感情を蠢かせながらその行為を見る。
ずぷ… ♡ ぬちゅ、ぐちゅぐちゅ…♡
大きな音が鳴ってないにもかかわらず、頭の中で淫らな音が聞こえた気がした。子宮に意識が集中していたからだろうか、まるで全身の事の様に敏感に感じてしまう。
「はぁ゛………ぁ゛……… ♡ ん 、ぅ………… ♡」
声が意識外から漏れ出す。中に異物が入っているはずなのに、不快感よりも快感が打ち勝っている。身を捩っているがそれはもう逃げる為では無く、快楽に身悶える生理現象でしかない。
それなのに薫は動く私を抑え、まるで悪い事をしているみたいな眼光を飛ばす。
違うのに…♡
訴えるような目線で彼を見やる。お願い、わかって欲しいと目線を交錯させる。頭に快楽を流されながら、きっと必死な表情をしながら願う。
「ほんと、隷花って悪い子だよね。」
ぇ、と。
小さく声が漏れる。
「隷花の初めて、貰うね。」
薫は淡々と呟く。
頭が混乱する。
どうして?なんで薫があんな表情をしたのか分からない。必死に願ったのに伝わらなかった。いつもは違うのに。
そんな雑念を吹き飛ばすかの様に、強い衝撃が脳内に、全身に響き渡る。
「ぁ゛………っ♡♡」
脳が弾け飛ぶような感覚。おなにーとは違い、強烈な衝撃。身体全身がパチパチと痺れる。一瞬痛みを感じたが、そんな事がどうでもいいと思えるほどの快楽が全身を駆け回る。
かく……かく…と。
頭が回らない。身体も痺れて思うように動かない。
なに、これ…♡
わけも分からないまま、身体の操作権を手放している。
「隷花、かわい……♡処女喪失も、おめでと。」
なんで祝われているのかも分からない。お股が少し痛い。じわじわと血液が流れている気配も朧気ながら感じる。ただそんなことよりも、褒められた、と言う事実と多幸感からか、気にならない。朧気な脳にかかる言葉を聞けば、生理反応を返す様に笑う。
彼はまた、ぎゅう、と私の身体を抱きしめる。身体中が熱いからか、いつもよりも気持ちよさを感じている。じわじわと全身が気持ちがいい。だらしない声も漏れてしまう。口元に力を入れようと意識はしている。
けれど、ごちゅ、と。
奥の方を叩かれた感触が響く。先程程では無いものの、身体に甘い気持ちよさが響き渡る。
「は、へ……?ん゛ゃ……っ♡ ビリビリ、するっ…… ♡ 」
自分自身じゃ制御不可能な感覚。薫に助けを求めるように、彼の顔を見やる。わけも分からない。説明さえしてくれない。そんな理不尽に思わず涙が浮かぶ。
「かお…る……っ ♡なんで……っ♡ 何、されてるの……っ♡説明…っ♡ して……っ ♡怒る、よ……っ♡」
薫のちんぽが私の奥を何度も叩く。その度に身体がくんっ♡ と衝撃に襲われる。有無を言わせないような暴力的な感覚。力無い身体で必死に彼の身体を掴みながら、助けを求めるように縋り付く。しかし彼の表情はどこか嗜虐的に微笑む。答えられる回答は、私の思っているものではなかった。
「セックスしてるんだよ。隷花。一緒に気持ちよくなってるの。
隷花も気持ちいいよね。そんな泣くほど喜んでるなんて、俺も嬉しいな。
…...初めてが隷花で、良かった。」
まるで的を得てない回答。そんな説明じゃない、と頭で反論するも、舌が思うように回らない。快楽で頭が焼ける。耐えず中をつつかれ、まともな思考をさせて貰えない。ただ脳内に言葉通りの褒め言葉だけが都合よく響く。奥がじわり、とまた疼く。
「私も… 良かった……♡ 」
絶え絶えの息で呟く。口を滑らすように言葉が零れ落ちる。彼の嬉しそうな声を聴いて、私も心のままに答える。
薫は答えを聞くと、再度口づけを交わす。まるで褒められている様な甘い味。けれど、身体の下では絶えず刺激が繰り返される。身体の上下で二種類の快楽が生み出される。段々と脳が真っ白になり、何も考えられなくなる。
あ、やばい。
そう直感が囁く。その直後、脳が爆発するような感覚に襲われる。身体が勝手に収縮する。手足が薫をぎゅううっ♡と抱きしめる。全身が気持ちいい、という感覚に支配された感覚。
これが、イく...♡
身体全体でその感覚を味合う。そう朧げに思っていると、中に熱い感触が走る。生暖かな液体。恐らく薫が言っていた、ザーメンというもの。おしっこと同じ様な物であるはずだけれど、どこか嬉しくなる。薫のものが自分に注がれる、と言う事実だけでドキドキと鼓動が高鳴る。
「あ...ごめん。可愛すぎてつい、中出ししちゃった。けど、良いよね。」
何が悪くて何が良いのか、もうわからない。ぼぅっとした顔で、薫を見る。まだ脳がちかちかする感じがする。パチパチと快楽が絶えず弾けていて、全身から快楽が抜けない。腹部からもじわじわと快楽が流れ出してきて、落ち着く気配が無い。
絶えず流れてくる快楽にのぼせてしまいそうな感覚がある。
体中からじわじわと汗が滴り落ちる。運動でもした後の様に体中が熱い。
「はぁっ...♡はぁっ...♡」
肩で震わせながら熱い吐息を出す。初めての経験。そのはずなのに、何故だか止められない。脳が、もっと。もっと欲しい、と叫んでいる。この感覚をずっと味わっていたいと思う。
「良い...♡もっと、もっとして...?今の、気持ちよかったから...♡今度は薫の事を見て、したいの...♡」
「いいよ。じゃ、ちょっと動かすね。」
彼がそう答えると、私の身体をひょい、と持ち上げられてしまう。いつもはそんな動作でさえ何気ない事であったはずなのに、今日はその動作でさえ子宮が反応してまう。猫の様に垂れ下がり伸びきった体。ぽた、ぽたとおまんこから滴り落ちる白濁。
だらしない身体を見せながら、身体を反対の向きへと変えられる。自分の目の前には、そそり立つちんぽを見せられている。出しているはずなのに、彼もまだしたい、というように主張をしている。
それを見るとやはり目が離せない。
彼のモノをじっと見つめていると、耳元に声がかかる。
「隷花。今度は自分から入れてみてよ。」
これを...自分で...♡
ドクン、と心臓が脈打つ。
自分から壊されに行けと、薫が言う。けれど、これがまた中に入れば、さっきの快楽がもう一度手に入る。
どうしよう、どうしよう...♡
そんな二択を脳内で迷っているが、答えは身体が勝手にしてしまう。
へこ、へこへこ..♡ずり、ずり...♡
迷っている間にも、ちんぽにお股を擦りつけている。でも脳では考えているから、自分の行動に気づかない。只々勝手にオナニーをしているだけの雌になりさがってしまっている。
そんな事を無意識に数分続けていれば、痺れを切らしたように薫が声をかけてくる。
「隷花、いつまで俺を使ってオナニーしてるの?もしかして怖くてできない?」
声を掛けられてびくっ♡とする。改めて自分の身体を見る事で初めて自分の行動を認識する。ぼぅっ...と考えていた思考が引き戻される。自覚した瞬間、顔が真っ赤に染め上がる。
「ご、ごめん...♡か、勝手に身体が...♡い、今やるから...♡」
言い訳するように言葉を投げかけながら、膝立ちになろうとする。しかし、脚が震えて力が入らず、生まれたての小鹿の様に酷く震えてしまう。そんな私をクスクスと薫は笑う。
「腰抜けちゃった?仕方ないね。俺が手伝ってあげるよ...♡」
「で、出来る...♡自分で、できるから...♡」
口端を歪めながら薫が私の腕の下を持つ。必死に言葉で抵抗するが、彼は止める気配が無い。またも身体の自由を奪われると、股下をちんぽの上にまで持ってかれる。
「ほら、後は自分で出来るよね。」
と、薫は言う。
力が入らないのにそんなことするなんて意地悪...♡
と薫を睨む。それを読み取るかの様にくすくすと笑いながら、パッと手を離してしまう。
あの快感を味わえる悦びと壊れてしまうかも知れない恐怖が入り交じる。離された身体はふるふると震える足で支えられている。
が、しかし力の抜けた足では自重に耐えられる筈もなく、がくん、と腰が抜ける。
「ぉ゛……っ ♡♡」
また頭が焼ける。奥を殴られた様な痛みと快楽が同時に襲う。奥底からひり出すような声を上げながら、身体が大きく仰け反った。
「隷花、大丈夫〜?ごめんね、ちょっと意地悪…しすぎちゃったかな。でも物欲しそうだったからさ、つい。」
少し笑いながら、下腹部を撫でてくる。頭はもう薫の言葉を理解するまで回らない。ただ快楽を受け止める事に必死。けれども、まるで遊ばれてる様な扱いをされた事だけは、馬鹿になった頭でも理解できてしまう。
ぐちゅり、と下半身を動かす。
腰を動かせば、薫のちんぽの味がする。最早そこが新たな口だとでも言うかの様に、敏感に感じる事ができる。彼は「まだやるの?」とでも言いたげに私をじっと見てくる。
なんだか手玉に取られてるみたいで、癪に障る。
それが性欲からなのか、怒りからかは正直どっちでも良い。彼が気を抜いている好きに、と腰をぐに♡ぐに♡ と動かし始める。
奥で擦れて気持ちよさは絶えず感じてしまう。けれどその快楽にも慣れてきたのか、構わずおまんこを擦り付ける。
「薫…♡もう、疲れたでしょ……っ?今度は…っ♡私の番……っ♡」
薫の身体の横に手を着き、少し腰を浮かせる。前に身を乗り出しながら、ちんぽの先の方まで自分から抜き取る。圧迫感は消えるが、どこか切ない。そんな疼きを抑えながら、ちんぽの先とおまんこの間がぐちゅぐちゅと水音を鳴らす。勝手に腰が動いてしまうのは、もう仕方ない。
同意を求める間もなく、自分の腰を振り下ろす。
ばちゅん゛っ♡♡
「〜〜〜〜〜〜〜っ゛ ♡♡」
衝撃に驚いたからか、或いはまた快楽でイったからか。声を抑えながら彼を見る。
どことなく優位に立っている様な表情。
あれを崩したい。弱点なのはわかってるのに。
自分を情けなく思いながらも、もっと、と腰を振る。止められない衝動。快楽の波。貪る様に、ただ身体を動かしてしまう。
「ん゛っ♡あ゛…っ ♡ は、ふ……っ ♡ …… 薫……っ ♡ 逃げないでよね ……… っ ♡」
ぱちゅん ♡ こちゅん ♡ ぐり、ぐり…っ♡ と 、卑猥な音を鳴らして身体を重ね合わせる。優位に立とうと慣れない動きを繰り返す。合ってるかどうかなんて分からない。ただ本能のままに動いてしまう。上下に、左右に。薫の反応を伺いながら必死に絞ろうとする。
「れ、隷花さん……?逃げないけど…っ♡ どうしちゃったの……っ♡そんな動いてっ♡出したばっかだから、休ませて……っ♡」
薫の声が少し弱々しくなる。彼よりもよくできている。役に立っている。そんな事を自覚したからだろうか、くす、と笑ってしまう。
「私が満足するまでっ♡付き合ってよっ♡ずっと一緒でしょ?♡こんな風になったのっ♡薫のせいなんだからっ♡責任取ってっ♡♡」
息も絶え絶え。甘い声で彼に答えれば、膣圧がぎゅぅぅっ♡ と締まる。中で感じる薫のちんぽ。ちょっと大きいが、全部はしっかりと入っている。締め付ける事で脈打ち加減や血液の流れる鼓動さえも感じる。抜けにくくなってしまえば、身体を揺するようにしながらちんぽに擦り付ける。
すると薫は、「ぅあ゛…っ♡ 」と嬉しそうな声があがる。
これが薫、好きなんだ………♡
その声を聞けば、ずぅり♡ずりっ♡ と 執拗にお股を擦り付ける。中ではちんぽの先が腟と密に擦れ合う。
「薫…っ♡ 薫っ♡♡」
嬉しさと気持ちよさで入り交じった声で彼を呼びかける。一心に彼を見つめながら、嬉しく善がる彼の声を聞く。他のことなど何も耳に入らない。そうして私は弱い所を責め立てる。
びゅ、びゅるる…っ♡ ぴゅ…♡
薫が震える。彼もイったのだろうか。自分で経験したことだから、身体を見ればそうなのかもしれないと思い至る。中には暖かい感触が伝わってくる。けれど、先程よりもその感触は減った気がする。薫をイかせられた、という達成感と自分も同時に気持ちよくなれた、という快感に身体が熱くなる。
「薫の、ざこちんぽ…♡」
溢れ落ちる言葉。自分よりも先に果てた彼に向かって言い放つ。力で勝てない彼に対して、勝つ手段を見つけた優越感で興奮が止まらない。
ぐり…っ♡とまた、腰を揺らす。その度に彼が小さな反応を返す。それがとにかく可愛くて、火照りが冷めるまでこれを繰り返してたいとさえ思う程だ。
震える身体で、中のちんぽを咥えながら今度は上下に揺する。さっきよりも自分へダイレクトに快楽が飛んでくる。たん、たんっ♡ とゆっくりと、リズミカルに腰を落とし始める。
「薫…っ ♡ これって、セックス?♡ でも、私が勝手に使ってるし、オナニー、なのかな…っ♡私、薫でオナニー、してる…っ♡」
疑問さえも言葉が勝手に漏れ出す。思考をそのまま漏らしてしまう。脳が子宮へ行ってしまったかのようにも感じてしまう。
上から薫をみながら腰振りを続けていれば、ふと薫の手が動く。
がし、と。
腰が強制的に止まってしまう。振り払おうにも、快楽に蝕まれた身体では抵抗することができ無い。いや、寧ろ掴まれた事で現実へと引き戻されてしまう。
構図では勝っている筈。けれど逆らえない力の差。そんな状況を理解するのには十分な刺激だった。
「隷花、幾ら何でも調子乗りすぎじゃない……?ま、可愛かったからそのままにさせてたけど……。」
「は、ぇ……?♡」
薫が肩で息をしながら語りかける。イって疲れているはずなのに、なんでか平気な顔をしてる。理解できない、と私は堪らず情けない声をあげてしまう。
「なんて顔してんの。ほら、続きしよ?」
「あ、えっ...♡ちょ、ちょっと...っ♡」
私の身体を抱きかかえると、ぐるんと即座に体勢が反転する。薫が上で、私が下。いとも簡単に構図が入れ替わってしまう。まだ私の番が終わってないのに、と藻掻くけれど、下敷きにされた私の力じゃびくともしない。
「こーら、暴れないの。隷花もまだしたいんでしょ?」
「で、でも...♡私が、してあげる方が、嬉しい...でしょ...?薫、動かなくていいし...♡そーいうのが、好きなんじゃ...♡」
がっしりと手足を掴まれ、目線を合わせながらそう言われてしまう。まだしていたいけどこういう事じゃない。薫の事を私が気持ちよくしてあげたいのに。
そんな私の思いは全く伝わらない。やれやれ、と彼はため息をつく。
「気持ちは嬉しいけど。でもやっぱり男らしい所、隷花に見せたいしっ...♡」
瞬間、ごじゅぅっっ♡♡♡と中にちんぽが押し付けられる。
「っ゛っ゛!?♡♡♡♡」
前に奥を刺激された時よりも強烈な快楽。ずっと甘イきをしていたからかは分からないが、頭が焼けるような快楽。口が緩み、何も意識できなくなる。足はピン!と張って全身で快楽を感じてしまう。
「あれ、びっくりしちゃった?隷花、大丈夫ぅ?」
薫が声をかけてくる。何所か揶揄う様な声色で聞こえてくるが、そんな事に返す余裕なんてない。全身がふわふわとしていて力が入らない。そんな私を見てにこやかな表情をしながら、抽送を繰り返してくる。
「っぅ゛っ ♡ ぅ゛ぁ゛っ゛♡ か゛お゛っ♡ る゛っ゛♡」
なんとか彼を呼んで止めてもらおうとしても、声が上手く出ない。それもそうだ。さっきよりも奥を突かれて、言葉を発する前に止められる。勝手に声が漏れ出る。口まで意識が回らない。出した事のない声が部屋中に響いてしまう。
「なぁに?隷花。こんな声まで出しちゃって。...はぁ、ほんとに...♡可愛くてエッチな隷花、誰にも取られたくない...っ♡」
ぶんぶん頭を振って、彼の身体を必死につかんで。もういいです、なんて表現しても彼は全く取り合わない。なのにどうしてか、快感はどんどんと高まってきている気がしている。
屈伏させられ、彼に性の対象として見られて。少し乱暴に扱われて。
そんな自分に興奮してしまう。
「ぁ゛、ぁ゛っ...♡ん゛ぃ゛....っ♡ぃ゛、ぃ゛っ♡♡♡」
快楽を流し込まれ、ただ楽器みたいに音を奏でる。それに呼応するように股下からは、ぷしぃっ♡ぷし、ぷしっ...♡♡ と潮を撒き散らしてしまう。最早自分で何も管理できない身体。薫に全てを任せている。頭の中はピンク色の考えでいっぱいだ。
「潮まで吹いちゃってっ♡どこでそんな事覚えたの!♡」
薫に詰められる。奥叩かれて、叱られてるみたい♡ごじゅんっ♡ごじゅんっ♡と何度も何度も叩かれる。
「し゛ら゛な゛っ゛♡♡ち が、 ぁ゛っ゛♡♡」
訳もわからず鳴く。快楽で頭がおかしくなりそうで涙が勝手にこぼれるけれど、口は歪んで幸せそうな表情をしている。整った顔がぐしゃぐしゃに歪んでしまう。
「違くないよ、隷花っ♡♡そんな幸せそうな顔して、悪い子なんだからっ♡♡」
「ん゛~~~~っ゛っ゛♡♡ん゛ぁ゛っ゛♡や゛っ゛♡や゛ら゛っ♡♡」
やだやだと子供みたいに駄々をこねる。そんな事を薫が許すはずの無いのに、言葉が漏れ出る。足はカエルみたいに力なく開いてしまう。もうイってるのかイってないのかすらわからない。
「は゛っ...♡悶えてる隷花もかわいっ♡♡じゃあそろそろ、出すからっ♡♡」
薫から合図が出される。頭ではわからなくても、身体が勝手に準備してしまう。腟内がきゅぅぅっ♡と締まり、早く出して欲しいと催促してしまう。本能が薫に強請ってしまう。
びゅぐぐっ♡ びゅるるっ♡♡ びゅ〜〜〜〜っ♡♡
中に熱い感触が伝わる。脳内に快楽物質が大量に分泌され、ガクンガクンっ♡♡と勝手に身体が波打つ。お腹の中にドクドクと注がれている。
あぁ、幸せ…♡
そんな言葉が浮かんでしまう。きっとあられもない姿を晒してるんだろう。けれど、身体は動かない。ただ自分を曝け出して、快楽の奴隷に成り下がってしまう。
薫が身体を重ねてくる。結合部を抜けば、彼も疲れたのか、体重を重ねて抱きしめてくる。
「ありがと、隷花…♡」
耳元で薫の声がする。もう、声を聞くだけで震えてしまう。きっと私はダメになってしまったんだろう。
彼の言葉に返すように、胸元に顔を埋める。そして軽く見上げれば、へにゃり、と顔を崩して笑いかけた。
彼はそんな動作を見れば、顔を近づけ口付けを交わす。
甘く、優しく。まるで今までの事を労るかのような、とても柔らかな口付け。
数度繰り返せば、私の頭を撫で、
「おやすみ、隷花。」
と声をかけてくる。
私はその声を合図に目を閉じる。
二人の初夜。
彼らに永遠に残る思い出を結びつけ、幕を閉じたのだった。