六か月後
湯気が立ち込める狭い浴室で、二人の影が絡み合っていた
太い腕がキリトの華奢な腰をしっかりと掴み、ゆっくりと上下に動かす
「風呂の中の方がリラックスして入りやすいんやで」
「どや、痛くないか?」
お湯の温かさと浮遊感がキリトの緊張を和らげる
「……大丈夫……です」
長期間かけて少しずつ行われた慣らし作業のおかげで
今やキリトの肛門は完全に“あなた”の巨根を受け入れていた
異物感はあるものの、初めの頃のような痛みはない
「ええ子や」
後ろから抱きしめるように身を寄せ
“あなた”は左手でキリトの胸に触れた
小さな突起を探り当て、指先で優しく転がす
「んっ……!」
不意に与えられた新たな刺激に、キリトの身体が震えた
「おっぱいも感じるんやな」
「気持ちええか?」
「わか…りません……」
“あなた”はゆっくりと律動を開始した
湯船の水面が波紋を作り、揺れる二人から穏やかな水音が響く
「ん……くぅ……っ」
次第に速まる動きに、キリトも気持ちが高ぶってきた
「……そろそろ……出そうや」
“あなた”が低く告げると、それに応えるように無意識に内部を締め付けた
「ぐっ……!」
熱い奔流が体内に注ぎ込まれる感覚に
キリトはうっとりとした溜息を漏らした
「……あ…んぅ……」
どこか満足そうなその声を聞き、“あなた”は微笑んだ
「可愛いなぁ、“キリコ”は」
可愛いと言われた事と新たに付けられた呼び名に
キリトの心臓が一瞬高鳴った
耳まで赤くなって照れ隠しのようにそっぽを向いて呟く
「そんな…俺は男だって……」
“あなた”とふたりきりの時は“俺”という言葉を使っても特に怒られる事はなかった
それが結果的にキリトが自然体で“あなた”と接するようになる一助となっていた
そっぽを向きながらもこちらに背中を預けてくるキリト
本人は隠しているつもりだが、甘え方が結構分かりやすかった
“あなた”は後ろから優しく首筋にキスをした
「ええねんええねん、今はそれで」
「ゆっくりでええんや」
「女の子に戻るのも、男の子になるのも」
「“キリコ”が決めたらええんや」
連日の調教で、二人は不思議な関係になっていた
アスナによる情け容赦ない徹底的な去勢
そして“あなた”による女の子としての優しい可愛がり
分かりやすいベッタベタなおどしすかしの手口であった
だがそんなものを食らった事のない
世間知らずの少年には効果は覿面だった
キリトはもうすっかり優しい“あなた”になついていた
正直言えば、ここまで上手く行くとは思ってなかった
アスナが実行するあまりにも冷酷な男の尊厳破壊ショーは“あなた”にも衝撃を与えた
(いやいや、さすがにやりすぎやろ……)
(見ててわいもタマヒュンになるんやけど……)
(アスナに命令したわいが一番悪者なんはわかっとるけど…張り切りすぎやで…ちょっと同情するわ)
そんな身勝手な同情心も手伝い
自然とキリトへの接し方が優しくなっていた
その優しさに救いを見たキリトは“あなた”にどんどんなついていった
そして、“あなた”もそこまでなつかれるとさすがに無下にはできなくなっていた
保護欲のようなものが芽生え始めているのかもしれなかった
そして今日のように従順に身体を開き
「俺」と言いながらも恥ずかしそうに甘えてくるキリト
男なのに普通に可愛いと思ってしまっていた
(なんやこの気持ち……)
(わいはホモやったんか?)
(……いやいや、女の子として可愛がっとるだけや!)
(そもそもキリコという女の子に改造する計画なんやから)
(うん、そうや。わいはホモやない)
自分に言い聞かせるように思考を巡らせながら
キリトをしっかりと抱きしめた
「もうちょっと浸かってよか?」
「うん……もう少し……だけ……」
湯気の中で交わされる小さな会話
そこには歪でも穏やかな時間が流れていた
七か月後
いつもの風呂上り
狭い脱衣所で身体を拭いていると
突然“あなた”が顔を近づけてきた
「“キリコ”、キスしようや」
返事をする暇もなく唇が塞がれる
「んっ……」
アスナにされた時のような暴力的な舌遣いではなく、優しく探るような動き
ぴちゃぴちゃ……
湿った音が狭い空間に響く
最初は戸惑ったキリトだったが
次第に力が抜け、自らも舌を絡め始めた
(気持ちいい……)
うっとりと目を閉じて感触に浸る
不意に“あなた”の手が股間に滑り込んだ
「ひゃっ……!」
縮こまった陰茎を優しく摘まれる
もはやペニスと呼ぶには憐れな代物
ずっと女の子扱いをされてきた影響を受けたのか
2センチ程度にまで萎縮していた
「かわええな、“キリコ”のクリちゃんは」
指の腹でクリトリスを擦るように優しく愛撫される
「あっ……んんっ……」
痛みではなく、心地良い快感が広がる
くりくりくり……
執拗に捏ねるように触れられると、わずかに硬度を増してきた
「んっ……!」
しばらく擦られると、電撃のような快感が駆け抜ける
ほんの少しだけ勃起したその先端から
水のように薄い精液が数滴ぽたりと垂れた
「はぁ……はぁ……」
キリトは息を荒げながら、ピクピクと身体を震わせた
顔を上げると、蕩けた表情を“あなた”に向けていた
「すご……かった……」
それを見た“あなた”は、小さく頷いて呟いた
「そろそろ仕上げやな……」
地下室で二人くつろいでいるとアスナが無表情で入ってきた
「呼びました?」
「ああ、ちょっと来いや」
アスナの冷たい視線がキリトを貫く
身構えるキリトの前に立つと、“あなた”は淡々と告げた
「お前、アスナとセックスせえ」
「いやだ!いやだ!おっさんがいい!」
キリトは必死に首を振った
今までの恐怖の象徴であるアスナとの性行為など、考えただけでも怖気が走る
「なんで……なんで……!?お、私、ちゃんと言う事聞いたじゃん!おっさん!」
恐ろしいアスナから隠れるように“あなた”に抱き着き泣きわめく
“あなた”は言い聞かせるように、優しく肩に手を置いた
「これはお前が女の子に戻るための試練なんや」
「お前に残ってる最後の精液をアスナに出すんや」
「そうしたら、お前は完全に女の子になる、わいが永久に可愛がったるで」
「可愛がる」という言葉に、キリトの胸が高鳴った
「でも……」
言葉を濁すキリトを見て、アスナが初めて微笑んだ
それは今まで見たことのないような、優しい笑顔だった
「大丈夫だよ、今までひどい事してごめんね?」
「キリトの男の子としての最後のセックス、わたしに受け止めさせて」
DV彼氏が突然優しくなったかのような豹変ぶりに戸惑いを隠せないキリト
(急に……どうしたんだ……?)
アスナは“あなた”から与えられた命令を
役に完全に入り込んで一生懸命こなしていただけで
キリトに対して含むものは一切なかった
ようやく、自分たちの仲間になる事が見えてきたので
心を鬼にして抑えていた彼女本来の優しさをキリトに開放し始めていた
“あなた”もキリトを勇気づける
「そや、わいも手伝ったるで、女の子に戻ろうや、“キリコ”」
ベッドの上で、キリトはアスナと向き合っていた
言われるままに覆いかぶさり、震える手で挿入しようと試みる
だが今までのトラウマが蘇り、小さく縮こまったままだった
「無理せんでええ、わいが手伝ったるわ」
背後に回り込み、キリトの腰を押さえた
(え……後ろに……!?)
「ほら、もっとリラックスしいや」
前にはアスナ、後ろには“あなた”という、サンドイッチ状態にされていた
「ちょ……まって……これ……」
不安げに振り返ろうとした時
“あなた”の巨大なものがゆっくりと侵入してくる
「ああっ……!」
前後から挟まれ、逃げ場のない圧迫感
しかし不思議なことに、これまでの虐待とは全く異なる感覚だった
(怖く……ない?)
むしろ、後ろからの安定感と安心感があった
頑張れ、と背中から応援されている感覚
“あなた”が軽くピストンを始める
その動きと共に、前で待ち受けていたアスナの中に押し出されるようにペニスが入り込む
すると、これまでが嘘だったように優しく包みこむように快楽を与えてきた
慈しむ目でアスナが唇を重ねてくる
「!?……んっ…ちゅるっ…んっ…」
侵入してきた舌が優しく口内を愛撫してくる
初めは恐ろしくて体が硬直したが
今までとは全く違う愛おしむような動きに
いつの間にかキリトも舌を絡めていた
温かいアスナの唾液が流れこんでくる
「んっ…ごくっ…」
あの頃とは違い、ひどく甘く感じられる
(あったかい…きもちいい…)
唇を離すと銀の糸が二人を繋いでいた
「んっ……いいよ……キリト……素敵だよ……」
アスナが初めて自分のペニスで気持ちよさそうな声を上げていた
その言葉に励まされるように、キリトのものが少しずつ力を取り戻していく
久しぶりにまともに勃起できていた
三人のリズムが徐々に噛み合ってくる
「あっ……ん…おっさん……激しいよ……」
「キリト…キリト…気持ち……いい……っ!」
やがて絶頂の予感が迫ってきた
「もう……出る……!」
「出せや、全部出してまえ!」
「おっさん…アスナ…俺、もうイッちゃう……あああー!」
キリトは堰を切ったように射精した
ペニスから久しぶりに感じる強烈な快感
キリトの絶頂を感じて魂まで吸い尽くすかのように締め付けてくるアスナ
最後の一滴まで搾り出すように、アスナの中に熱い飛沫を放った
「すごかったよ…頑張ったね、キリト…」
背中に手を回し、ぴったりと抱き着いてくるアスナ
気だるい疲労感に襲われ、温かいアスナに包まれたまま目を閉じた
恐怖心やトラウマは完全に払拭され、安らぎだけがそこにはあった
そして目覚めた時
キリトは自分の中が完全に空っぽになったことを悟った
もう精子の一匹も残っていない…
男としての自分が完全に消滅したのだった