八か月後
「運営に許可貰ってきたでー、“キリコ”のキャラクリやり直しや」
満面の笑みで“あなた”が手にした携帯端末をアピールする
「ほれ、これや!」
渡された端末を受け取ると
キリトの目の前に、キャラメイキングのウインドウが表示された
そこに映し出されたのは、キリト自身の裸体データだった
「う……」
長い監禁生活で腰まで伸びた艶やかな黒髪
まるで少女のような華奢な体格
そして何より目を引くのは、股間の部分
男としてのシンボルが、哀れなほど縮小していた
長さ1センチ、太さも同程度しかない小さな突起
それはもはやクリトリスと呼ぶのが妥当なものだった
客観的に見る自分の身体に、キリトは言いようのないショックを覚えた
「これが……今の私……?」
もう自分でも男だという気持ちは持てなかった
すると横からアスナが身を寄せて画面をのぞき込み、柔らかい声で囁いた
「ほら、“キリコ”?最初の大事な選択肢だよ?あなたは男の子?それとも女の子?」
突き付けられた選択肢に逡巡が長い間続いた
過去の自分への執着、新しい自分への恐怖、そして目の前にいる二人への依存
不安になって二人を見ると、優しい目でこちらを見返してきた…
ごくり、と喉を鳴らす
震える指先が、ためらいながらもタップした
▶ 女性
画面の中の少年が、流れるような変化を遂げる
平坦だった胸部がゆっくりと隆起し、二つの小さな丘を作る
腰のラインがくびれを帯び、臀部がややふっくらとなった
そしてなにより決定的な変化が起こる
醜く縮小したクリトリスもどきがさらに収縮し本物のクリトリスとなり
スッと割れ目が形成された
その中心に、ほのかなスリットが刻まれる
「わあ……きれい……」
思わず漏れたアスナの声
それは本心からの称賛に聞こえた
キリト……いや、キリコの頬が紅潮する
「これが……私の体……」
キャラクタークリエイトは続く
「髪型と顔はそのままでええやろ、可愛いし」
横から“あなた”が意見を言う
可愛いという言葉に素直に喜んでしまう
“あなた”の意見通りに、その二つは変えない事にした
次はプロポーションの調整フェーズ
画面を眺めていたが、ふと思いつくように手を伸ばす
胸のサイズを表すバーを左右に動かした
最大値にセットし、巨乳の項目を選択する
「えっ?どうして変えるの?」
不思議そうなアスナに、顔を真っ赤にして答えた
「だって……大きいほうが、その…おっさんの……挟めるし…」
顔を赤らめながら口ごもるその姿に
アスナも“あなた”も思わず笑みを浮かべる
最後に名前入力画面が表示された
既入力された「kirito」という文字に対して
「この名前、ちょっとだけ間違うとるよな」
“あなた”が意味ありげに問いかける
「うん、どこか分かる?“キリコ”?」と
アスナも正解に導くように囁く
キリトの指は迷わず名前を書き換えた
kirito → kiriko
確定ボタンが押された瞬間
キリコの全身から眩い光の粒子が湧き上がった
古い肉体が分解され、新しい情報が組み込まれていく
白金色の光が彼女の周りを舞い、輪郭を溶かし、再構築していく
光が収束し、消えていく
そこに立っていたのは、絶世の美少女だった
長い漆黒の髪が背中を覆い、雪のような白い肌が露わになっている
小柄で細くしなやかな肢体とはアンバランスに、その胸は豊かに膨らんでいた
股間にはかつてのペニスは存在せず
滑らかな曲線を描く恥丘と、美しい一本の縦筋だけがある
“あなた”がキリコの前に大きな鏡を立てる
「あ……これが、わたし……?」
自分の声に、キリコは驚いた
高い、澄んだ、少女の声音だった
そこに映る自分の姿を、キリコはじっと見つめる
前とは全く違う体、でも不思議と違和感はない
でも、二人はどう思っているのだろうか
不安げに二人を見ると
「可愛い!“キリコ”すごく可愛いよ!」
アスナが勢いよく抱き着いてきた
その目には明らかな好意が輝いている
「もう……アスナ、くすぐったい……」
アスナにもみくちゃにされるキリコ
「おー、こらまた大した美少女やな」
腕組みをして感心する“あなた”の声には、心からの称賛が感じられた
褒められるたびにキリコの頬はますます赤くなる
「そ、そうなんだ……えへへ……」
恥ずかしそうに俯きながらも、視線はつい“あなた”の方へ向いてしまう
その瞳には、かつての男の矜持は一片も残っていない
純粋な恋慕と服従心に満ちた、完全な「雌の目」だった
十か月後
「さ、はじめるで」
“あなた”の重々しい声に、待ちきれないといった様子でキリコが身を乗り出した
黒いワンピースドレスの裾をそわそわと指で弄りながら、何度も確認するように尋ねる
「今日こそ……入れるんだよね?おっさんのギルドに!」
その口調と仕草はほとんど少女のものに変わっていた
毎日“あなた”とアスナに女の子として可愛がられ
キリコ自身も新しい自分を完全に受け入れたため
身も心も無邪気な少女になっていた
ただ、キリトだった頃に“あなた”と過ごしていた記憶はしっかりとその中に残っており
おっさんという呼び方が、その頃のキリトの残滓を表していた
子犬のようにキラキラとした目を見て、アスナが優しく微笑んだ
「もう、焦らないで。キリコったら可愛いんだから」
妹を見守る姉の眼差しで、そっと肩に手を添える
今までの虐待が嘘のように、キリコになってからは惜しみない愛情を注ぎ続けた
そして、キリコもあれほど恐ろしかったアスナをすっかり慕うようになっていた
銀盆を掲げたアスナが恭しく“あなた”に差し出す
盆の上には古めかしい羊皮紙の巻物が乗っていた
「ほれ、準備はいいか?」
“あなた”が慎重に巻物を広げると
そこには複雑な紋様と共に二つの名前と花弁が刻まれていた
「ここに書けばいいの?」
キリコは我慢できないといった様子で、早々に濡れた指を伸ばそうとする
見ると、すでにショーツ越しにわかるほど秘所はぐっしょりと濡れている
「おいおい、慌てるな。まずはちゃんと一回イケや」
「ん……ごめんなさい……」
謝りながらも嬉しそうに頷くと
キリコはその場でドレスの裾を捲り上げた
豊かな乳房を両手で揉みしだきながら、膝を大きく開く
自らの花園に指を三本も挿入し、激しくかき回し始めた
「おっさん……おっさん……」
夢中で名前を呼びながら、切ない嬌声を上げる
「んっ……ああっ……!」
早漏気味に絶頂に達し、派手に潮を吹き上げた
アスナが手際よく器を構え、飛び散った愛液を一滴残らず受け止める
「ふふ、キリコはせっかちさんね」
「ほら、座って」
愛液がたっぷり溜まった器に、真剣な面持ちで指を浸け
深澄の名前の隣に、ゆっくりと「キリコ」と丁寧に記す
「これで……いいんだよね?団長」
不安げに見上げてくる顔には、幼い女の子のような無垢さがあった
「ああ、ええぞ」
“あなた”が大きく頷くと、キリコはぱっと花が咲いたように笑った
「やったぁ!」
巻物を取ろうとしたアスナより早く手を伸ばすと
大切そうに両手で持ち上げて
自分自身の股間へと押し当てた
ぶちゅうう、と淫靡な音を立てて
彼女の花弁が羊皮紙に刻印される
「ふぅ……できたよ……」
自信満々に差し出された巻物を受け取りながら、“あなた”は思わず苦笑した
「なんや、素直すぎて逆に怖いくらいやで……」
「え?おっさんが悪いんだよ!」
キリコはぷくっと頬を膨らませる
「だって私、ずっと入りたかったのに、おっさ…団長がなかなか入れてくれないんだもん」
「ねぇねぇ、そういえば団員の証とか……そういうのくれないの?」
その天真爛漫な瞳を見て、“あなた”は優しく頭を撫でてやる
「そうやな、何がええかな」
「アスナみたいなチョーカーがいい!」
アスナの首元で光る赤い革製のチョーカーに憧れの眼差しを向けるキリコ
その目は宝石のようにキラキラと輝いていた
翌日
犯罪者でも利用できる闇市場に二人は足を踏み入れていた
妖しげな店舗が並ぶ中で、一番奥にある奴隷用アクセサリーショップへ向かう
「これがええか?黒のレザー、シンプルやけど綺麗やろ」
「うん!最高!」
二人で選んだ黒いチョーカーを手に取ると、その場で跪いたキリコ
「ん……お願い、団長……付けて?」
媚びるように見上げてくる上目遣い
「まったく……しょうがない娘やな」
呆れたように言いながらも、“あなた”の顔は綻んでいた
カチン、と金具が留められる音
冷たい革が首筋に当たる感覚に、キリコは嬉し涙を浮かべた
「ありがとう……」
「“わたし”をよろしくね、おっさん……」
ふわりと微笑む彼女の首で、黒いチョーカーが暗く妖しく光っていた