彼女を初めて見た時のことを、今でも覚えている。
くすんだ私と違って綺麗な黒髪。すらりとした手足、整然とした佇まい。彼女は人間ではなかった。いや、人間という扱いではなかった。
この小河内コロニーで、人間はゴーレムに飼われている。ゴーレムは古くに生まれた人間で、とっくの昔に生身の身体を捨て去ったらしい。何でかはわからない。ただ確かなのは、ゴーレムは人間より圧倒的に物事を知っていて、だからこそ生身の私たちは彼らの言うことに従わなくちゃならないってこと。
私は物心つく頃には、すでに彼らから仕事と引き換えに施しを受けていた。親と呼ばれる人の記憶はなく、人買いのゴーレムとの生活だけがすべて。幼いころ、今とさして変わらず不器用な私は、何度も何度も仕事を間違えていた。仕事終わり、泥と痛みにまみれた体をさすって市場を見渡すと、人間の商人が、同じく人間の客と話をしていた。私以外のどの人間の顔も、赤く腫れあがってはいなかった。その時、私は人間の中でもさらに下の存在なんだと気づいた。
それから少しだけ大人になった。私はたぶん、他の人よりひどいことをされているんだと思う。今も変わらず不器用で、仕事は間違えてばかりだけど、痛みには多少慣れることができた。そんな折、私は彼女に出会った。彼女は「穢れ人」。私は初めて、私より下の扱いを受ける存在に出会ったのだ。
彼女は清廉で、どこか超越していて、そして美しかった。
「おい、ぼおっとしてんなよガキ。すぐに暗くなっちまうぞ」
「は、はい……!」
男の声で我に返る。今日の仕事は薬の材料探しだ。ゴーレムに言われ、薬剤に詳しいこの商人の男と近くの山まで採取に来ていた。
「あらかたこの辺りのは採りきっちまったなぁ。お前はどうよ?」
男の目が私の背負う籠へ行く。男の薬草でいっぱいの籠に比べ、私のはあまりにも少なかった。男の目が険しい。
「使えないっちゃ聞いてはいたが、ここまでとはなぁ……。そんなんじゃお前、ここで生きてくのも大変だろ」
「……」
蔑むような視線が痛い。それでもできない私が悪いのだ。私はやっぱり、あまりにも使えない。
「ま、必要な量はぎりぎり手に入ったわけだから、いいんだけどさ。お宅んとこのゴーレム。あいつは人一倍厳しいそうじゃねえか。あ、機械一倍か」
男はそう言って、周りに彼らがいないのをいいことに馬鹿にしている。この人はコロニーの人には珍しく、ゴーレムに敬意を持っていない。私の初めて会う種類の人間だ。それでもゴーレムたちに信頼されているようなのは、きっとこの男の要領がいいからだろう。私にはない力だ。
私は男の言葉に合わせて、これからのことを考える。きっとまた、いつものようにぶたれるのだろう。痛みには慣れてきたけど、それが彼らにもわかるのか昔より強く叩かれるようになった。今朝の痛みは今までで一番で、少しの間気を失ってしまった。このままいつかは、ゴーレムの固い手足に私の身体が負けて死んでしまうのだろう。死に対しての現実味はないが、つい、頬の骨が砕ける感触を想像してしまう。
「……おい、どうしたよ?」
「え……あっ、な、なんでもないです……」
身体が震えていた。足が動かず、言葉とは裏腹にその場にしゃがみ込んでしまう。
「あ、あのっ、その、ごめんなさい……! 先に、い、行っててください……」
「そうは言ってもよぉ……量が無いとはいえ、さすがに1人で持ってくのはキチィよ」
「ごめんなさい! ご、ご迷惑をおかけして、本当にっ……!」
恥ずかしい。怖い。消えたい。
色々な気持ちが巡って、そのせいか震えが止まらない。私も強くなりたい。一目見て忘れられないあの人のように。
「あー……しょうがねぇなぁ。分けてやるよ、お前に」
「…………え……?」
「だからよ、お前の籠に、俺の取った分の薬草を入れてやるって言ってんだよ。そうすりゃ今日のとこはとりあえず叩かれんだろ」
「え……あ……え、い、いいんですか……?」
「そうしなきゃお前動けねぇだろうが。俺にこんなデカい籠2つも持たせんのかよ」
「あ、ご、ごめんなさい……!」
迷惑をかけている。この人だって本当は自分の手柄をそのまま報告したいはずだ。でも私がこうしているから、この人は帰ることができなくて、自分の頑張りを私に分けなくちゃいけなくなっている。私が選択肢を奪って、そうせざるを得なくしたんだ。
いつの間にか流している涙が止まらない。私と彼女はあまりにも違う。あまりにも遠くにいる。
「はぁ……、まずは泣き止めよお前」
「ご、ごめんなさい、すぐに……」
「お前あれだろ、こういうの黙ってラッキーって受け止めらんないタイプだろ。お前みたいなんが人生損すんだよなぁ」
「すぐ……あのっ……」
「あのな、わかってんだろうけどそりゃただの善意じゃないのよこんなの。まあ、お前みたいなんは恩を返せなくて余計辛くなるんだろうなぁ、馬鹿だよなぁ……」
男の言うことがあまりにも図星で恥ずかしい。私は馬鹿なんだ。
「…………じゃあよう。返さなくていいようにすりゃいいのか?」
「え……?」
「だからよ、身体で返しちまえばいいんじゃねぇかって話」
男は私の手を取って山の奥まで引っ張っていった。もとより用がなければ誰も来ないような山だけれど、ここまでくれば完全に男と私だけだ。
「ここなら邪魔は入らねえ。さ、日が暮れる前にさっさと始めちまおう」
「……?」
私には先ほどからこの人が何を言っているのかわからなかった。私のような小娘では、金銭は勿論、価値のあるようなものは何一つ持っていないとわかるだろうに。それに力仕事だって、私にやらせるより自分でやった方が何倍も出来がよいはずだ。私が戸惑っていると、男はため息交じりに私の右手を掴んで、自分の股間にあてがった。
「え……あっ、え……?」
「いいよいいよ、期待した俺が馬鹿だ。いいから俺の言う通りにしな。そしたら、返せたことになるからよ」
男の股間は固い棒状のものがついていた。私の身体にはない部分に驚きが止まらない。
「どうせ初めてなんだろ? 俺もこんなガキに手を出すのは初めてだが。ま、これはこれで楽しめるぜ」
男が私の手を使って、その固い部位をさすらせる。男と女でこんなにも作りが違うのか。柔らかい人の身体ではありえない感触に、私は驚きが隠せないでいる。
「これはな、チンポってんだ。よぉく覚えとけ」
「チン……ポ……?」
「そうそうチンポだ。これはな、人間が子供を作るために欠かせない器官なんだよ。ゴーレムなんざに付いてない、人間の男だけのものだ」
男は私にしゃがむよう命じると、私の手をチンポにグリグリと押し付けた。服の上からでも脈動しているのがわかる。そして男はおもむろにズボンを下した。
「きゃっ……!」
勢いよく顔の前にそれが飛び出した。私の顔より大きく、赤黒く腫れており、上下に小さく跳ねている。少し、ちぎった草花のような、すえた匂いがした。
「ほら、握れ」
「え、あ、えと……」
男は戸惑う私を無視し、手を取って握らせた。とても熱く、固い。身体にここ以上に熱い場所はないんじゃないだろうか。掌の中で、びくん、びくん、と小さく跳ねる様子に、尊い命のようなものを感じた。
「いいねぇ、小っせぇ手。そういう趣味が俺にもあったんだなぁ。ほら、上下にしごけよ」
言われるがままに手を動かす。掌には全く収まらないチンポを、懸命に擦った。初めてやる仕事だが、もう失敗はしたくない。
「ほ、おっ……いいよ。この懸命さはあいつとはまた違う味だな」
あいつとは誰を指すのだろう。わからないが褒められた以上、その誰かには負けたくなかった。しごくうちにチンポの先から、とろりとした液体が出てきた。
「それを手に付けて滑りを良くしな」
言われがままにする。とろとろがチンポ全体に延ばされ、しごく手がさらに勢いづく。
「あ、あの……上手に、できてますか?」
「あぁ……うめぇじゃねえか……才能あるよお前……うっ……」
褒められている。こんなにまっすぐと言われるのはいつぶりだろうか。大の大人が息を荒くして答える様子を見るに、適当な嘘ではなさそうだ。少し疲れるが、このまま手を止めないでいよう。
しゅっ、しゅっ、しゅっ、しゅっ……
「あ、あの。辛くないですか……?」
「ふっ……う……あ? ああ。この先っちょ……亀頭って言うんだが、さっきからとろとろの液体が出てんだろ? これが出てるってことは、気持ちいい、最高ってことだよ」
そうか、この人のこの息の粗さは気持ちいいってことなのか。初めて仕事がうまくいっていることに少し頬が緩んでしまう。亀頭から止まらずに出ている液体に目が行く。ぷっくりとあふれる様子に、私は知らず知らずのうちに、舌を伸ばしていた。
ちろっ……
男が呻いた。
「おうっふ……! へえ……? おぼこなりに上手く煽るなぁ。それなら遠慮はいらねぇか」
男の両手が私の頭をがっちりと掴んだ。私は少し驚き、どうしたのか男に言おうとして、口を開けた途端。彼のチンポが私の口内に挿入された。
「おっ……うっ……!?」
「あー……あったけぇ……。お前、しっかり口すぼめてないと、喉突き刺さるから気をつけろよ?」
そして男が私の頭を上下に動かした。後頭部に回された手が抵抗を許さない。
「お゛っ……! ごっ……! がふっっ……!」
ゴッ! ゴッ! ゴッ!
男が私の喉を使ってチンポをしごいている。私自身では絶対にできない、男の男たりえる力を使って、まるで道具のように私の頭を振り続けた。
「やっぱお前の口じゃ全然収まんねぇな。でも無理矢理犯してる感じがいいぜぇ、興奮するなぁ!」
「う゛ぶッ……! ごぼッ……!!」
まったく息ができない。空気を求めて喘ぐと、その隙を許さずチンポが押し込まれる。私はこの瞬間、人間ではなかった。
「おいおい、さすがにやり過ぎたか?」
男が私の髪を引っ張り、口をチンポから離す。だらりと、唇と亀頭とを、よだれが伝った。
「げほっ……ごほっ、ごふっ……!」
「おー生きてた。あっぶねぇ」
そう言ってまた口にチンポを押し込む。
「んぐっ!?」
「もうちょっとだけ我慢してくれよ、今いいところだから」
男の手が私の頭を撫でる。初めての出来事に、それだけで頭が痺れた。
「へぇ。素直な眼をするねぇ……。ちっせぇ体で懸命に耐えて、健気だよほんと」
チンポが内側から右頬を押す。頬が膨らむ形となり、ぼうっと私の口が開く。男は涎で泡だらけになった私の口を、膨らんだ頬を、可愛がるように撫でていく。叩かれるだけだった私の頬を。
「んっ……ふぅ……あふっ……」
「いいね、お前。俺のモノになれよ」
なんだかうれしい言葉をもらった気がして、私は眼を細めて頷いていた。
「よし、ラストスパートだ。苦しいだろうが窒息すんなよ!」
「ごっ……お゛っ!」
今までよりも激しく頭を動かされる。それに合わせて男が腰を振り、私の喉奥を乱暴に犯し尽くしていた。苦しいのは変わらない。でも今は、それだけじゃない。
グボッ! グボッ! グボッ! グボッ!
「ああ……もう限界だっ……! 出すぞ!」
「お゛ぶっ……お゛、お゛っっ……♡」
男の声が耳に届くが、頭の中で響く水音のせいで何を言っているかわからない。意識が遠のいていく。私は、男の言う「あいつ」に、勝てたのだろうか。変だな私。誰かに勝ちたいだなんて、思ったことなかったのに。
ビュルルルルルルルゥゥゥゥッッッッ!!!!!!!!!
喉奥に突き刺さった亀頭から、何かが放たれた。それは脈動しながら私の中に注ぎ込まれて、勢いよく私の意識を埋め尽くしていった。
俺はシルバーウイーク最終日に何をしているんですかね……?
「どう考えてもカグラに負の要素を盛りすぎてしまっている。こんなの読者は鬱陶し過ぎて抜けんだろ、絶対に」と思いながら書いた。うるせぇ!抜けるかどうかは私が決めること(
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