※この作品はR-18です。

女神を自称するアークプリーストと酒の勢いでヤった   作:百万一回エタった猫

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続いてもうた(蛇足)

エッチ無し


女神を自称するアークプリーストは酒の勢いが無いとヤれない?

 

 夕暮れの街道。

 バッバッバッバッバッと小さな破裂音に似た音を鳴らしながら、踏み均された道の上を走るスクーターのような魔道具に跨るダイチ。ダイチの背中に抱きつくように座るアクア。そして頑丈なロープでけん引されている大八車にも似た魔道具の上に座るカズマとダクネス。めぐみんは爆裂魔法を撃った反動によってぶっ倒れていた。

 

「ダイチ!もっとスピード上げなさい!!」

 

「これ以上は無理ですねー」

 

 昼までのしおらしさは何処へ行ったのか。ダイチの背中を、馬にムチを入れるかの如くバシバシと叩きながら大はしゃぎのアクアは今にも魔道具から落ちてしまいそうではあったが、ダイチの巧みな操作で上手い事バランスを取っていた。

 

「……ったく、異世界情緒何処行ったよ」

 

「何言ってるんですかカズマ。あそこから歩いて帰ろうものなら、貴方の足の遅さじゃ真夜中になってもアクセルに到着しないですよ」

 

「野宿も冒険者の醍醐味とは言え、日が出ている内に帰れるに越したことはないからな」

 

「わーってるよンな事は!」

 

 スクーターも大八車も、地面からほんの僅かに浮いているため馬車での移動なんかよりも遥かに揺れず快適そのものであった。

 バッバッバッバッバッと音を立てつつも、街道をスイーっと移動していく一行はとても目立つ。だがアクセル近辺に住む住人にとって()()()()の奇行はもはや慣れたものであった。

 

「ったく、ダイチさんのポケットん中は本当に何でも入ってやがるよな」

 

「確かに。一度中を見てみたいくらいだ」

 

 ダイチの趣味にして得意分野の一つに、魔道具製作・改造というものがある。アクセルの町随一の貧乏店主であるウィズの店から捨て値同然で仕入れた奇妙奇天烈な魔道具を改造し、趣味で使っている。

 今カズマパーティが乗っているスクーターモドキと、それに繋がっている大八車モドキも同じようにウィズ魔道具店から仕入れた物を改造した物である。喧しい見通す悪魔のバニルが見て、是非とも大量生産して店で取り扱いたいと猫撫で声を上げてしまうくらいには上出来な代物である。

 

 世界は夕焼けに包まれ、有りもしない寂寞感、郷愁感を思う転生者二人。そんな事お構いなしでワァワァと姦しい三人。

 バッバッバッバッバッとスクーターモドキが唸らす音が遠くの空へ響いていった。

 

 初心者殺しの討伐クエスト、結果から言えば大成功に終わった。

 途中、何故か唐突に表れた巨大な下位種(レッサー)ドラゴンに襲われたが、何事もなく(死者一名)下位種(レッサー)ドラゴンの討伐も行った。

 下位種(レッサー)とは言えドラゴンはドラゴン。既に爆裂魔法を初心者殺しに向けてぶっ放しためぐみんを除き、ドラゴン退治に心躍らない冒険者は居なかった。

 

「どっらごんどっらごん~♪ドラゴンなんて売れば大金持ちよ!!!」

 

「ドラゴンの心臓って凄い美味いらしい。解体し終わったら是非とも食ってみたいモンだな」

 

「ドラゴンの心臓なんて誰が調理するんだ?」

 

「そりゃぁ最近料理スキルなんて取得しているカズマさんじゃない?」

 

「くっ……私の防御を貫いてくるドラゴンの爪の一撃……んっ!」

 

「思い出し快感とか無敵かコイツ」

 

「ぐぬぬ……初心者殺しに爆裂魔法を使ってなかったら私にドラゴンスレイヤーの称号が得られたのに……!」

 

「めぐみんちゃんは既に”デストロイヤーブレイカー”って称号があるだろ」

 

「それはそれです!!!ドラゴンスレイヤーの称号も欲しいんです!!!」

 

「はいはい、カズマ君に相談しようね」

 

「カズマぁ~」

 

「うるせえロリっ子!今日みたいな事が無けりゃドラゴンなんかにわざわざ突っ込んでいけるか!!?」

 

「ドラゴンに喰われたから説得力が違うな」

 

「喧しい!!!」

 

 騒がしくも素晴らしい異世界。仄かに感じた寂寞感も郷愁感もすっかり洗い流され、再び騒がしさを取り戻したカズマパーティ一行であった。

 

 

 

「しかし、四次元ポケット……改めて考えても凄い代物だな」

 

「どんな物も、どれだけの量でも、幾らでもしまうことが出来る、でしたか。聞くだけでは想像出来ませんよ」

 

「あの大きなドラゴンの死体すら簡単に収納出来るとは不思議な物だ……。中はどうなっているんだ?」

 

「確かに。オレ達はドラ◯もんで普通に見てたが、改めて考えりゃしまう時や取り出す時とかどうなってるんだ?」

 

「そりゃそーいうモンだからでしょ?」

 

「にしてもだろ?あんなデカいドラゴンが手のひらサイズのポケットに入ってくのはおかしいだろうが」

 

「そうですね。ダイチさんが作る魔道具は変わった効果のモノが多いですが、四次元ポケットとやらは群を抜いて凄いです」

 

 スクーターモドキの後ろ側で喧々諤々と言い合うパーティメンバー。アクセルの街に大分近づいてきたのでスピードを少しずつ落としていく。

 僅かに宙を飛ぶスクーターモドキにはブレーキが存在せず、停止するために地面と車輪の摩擦を使うみたいな事が出来ない為、魔力を前に噴射しての反動で止まるか車体を地面に激突させながら滑り止めるか、或いは今のように少しずつ減速していくしか無いのだ。

 

「中は一体どうなっているんだろうな?」

 

「知りたいなら簡単よ!実際にポケットの中に入ってみれば良いのよ!のび太君みたいに」

 

「おお確かに。アクアにしては冴えてるじゃねえか。なあダイチさん、四次元ポケットの中に入ってみて良いか?別に生き物が入れないみたいな制限は無いんだろ?」

 

「制限は無いが……そんなに入りたいのか?」

 

「そりゃあまあ仕組みとか気になるじゃねえか。なんだ?ダメなのか?」

 

「ダメじゃぁ無いが……あー、そうだなぁ〜。普通にオススメはしない」

 

「えー?何でよ〜!」

 

 アクアが俺の背中を前後に揺らす。可愛い駄々っ子仕草だが、四次元ポケットに生き物を入れるのは普通にヤバいのだ。

 説明するのが難しいので、【代償強化】を使って知力を一次的に上げる。

 

「……よし、そうだな。例えば此処に一つ箱がある。この箱の中身はリンゴが一つ入っているとしよう。めぐみんちゃん、この箱を開けずに、リンゴを取り出すにはどうすれば良い?勿論誰かに開けてもらうとかは無しだぞ?」

 

「んん?そうですね……うーん……我が爆裂魔法で箱を吹き飛ばす!!」

 

「いやリンゴを取れってーの!爆裂魔法だと箱ごとリンゴも跡形もなく消し飛ぶわ!!」

 

「むう、ならカズマならどうやって取るんです?」

 

「そりゃオレなら【窃盗】のスキルで簡単だろ?」

 

「カズマ君、俺はパンツじゃなくてリンゴを取れと言っている」

 

「べ、別に好きでパンツ盗ってる訳じゃないわい!」

 

「カズマ、嘘は良くないな」

 

「うるせぇ!じゃあダクネスならどうやってリンゴを取るって言うんだよ!?」

 

「わ、私か!?そうだな……こう、箱を思いっきり振り続けて中のリンゴを潰して!!」

 

「いやだからリンゴを取れって言ってんだよ!リンゴをジュースにしろってダイチさんは言ってねえだろ!」

 

「はいはーい!!私なら手品で箱を開けずに中身だけ取れるわ!!」

 

「いやそれはズルだろ!!」

 

「はいアクア様大正解、一億点入りまーす」

 

「やったー!!」

 

「ふざけんなマジメにやれ!!!!」

 

「いや、本当にマジな話だ。箱を開けずに中身を取り出すには、それこそタネも仕掛けも必要だ。タネも仕掛けも無いのなら、言葉通りに()()が必要と言うわけだな」

 

「さっきの時間返してくんね?」

 

「だから重要な話だというのに。さて、今のは『三次元』での話。次元を一つ下げてみよう」

 

 俺は運転しながら【ヴァーサタイル・エンターテイナー】を自分に掛ける。そして運転しながらポケットから紙と筆を出し、カズマ君の似顔絵、リンゴ、リンゴを囲うように枠を描く。

 

「さて、三次元から二次元にダウンスケール。箱は枠に、カズマ君はこの似顔絵になった。カズマ君にもう1問の問題、絵の中のカズマ君はこの枠に囲まれたリンゴを取ることは出来るでしょうか?勿論枠に触れることも壊すことも禁止とする」

 

 そう言って手元の紙をぽいっと投げ、風に流されるように紙はカズマ君の手元に吸い寄せられた。

 

「なんて無駄に器用な……どれどれ?……ん〜?どうやっても無理じゃねえか?」

 

 紙を見て考えるカズマ君、カズマ君の両隣から覗き込むようにめぐみんちゃんとダクネスが紙を見る。

 

「カズマカズマ!こうやって紙を折れば取れるのでは!?」

 

「いや、絵の中のオレは紙を折ったところでこの枠を超えられない……よな?」

 

「おう、絵を折ったとしても二次元のカズマ君は枠を通れないぞ」

 

「じゃあやっぱどうやっても取れなくねえか?」

 

「じゃ時間切れということで。はい、じゃあ次はアクア様の番ですねー。どうやって枠の中のリンゴを取ることが出来るでしょうか?ただし枠を傷つけるのは禁止で」

 

 俺はそう言いながらスクーターモドキと大八車モドキを繋ぐけん引ロープの上をヒョイヒョイと渡ってカズマ君から紙を回収し、アクアに渡す。

 

「本当に無駄に器用だな!!?」

 

「ふっふーん、こんなの簡単よ!!こうやって〜チョキチョキ〜っと……ほら出来たわ!!!」

 

 そう言ってアクアは枠を傷つけずにハサミでリンゴの絵を切り抜いた。

 

「いや紙切るのは反則だろ反則!!」

 

「何でよー!?ダメって言ってないでしょ!!?」

 

「はいアクア様大正解。ぴんぽんぴんぽん百億万点進呈しまーす」

 

「ほら見なさい!!やったー!!!」

 

「お前さっきからアクアに激甘じゃねぇか!!!?」

 

「カズマカズマ、ダイチさんがアクアに甘いのは今に始まったことじゃないです」

 

「だからマジな話だって。絵の中のカズマ君には枠の中のリンゴを取る手段は無いが、絵の外にいるアクア様は簡単に枠の中のリンゴを取る事が出来る。三次元から二次元にダウンスケールした以上、俺達三次元側の生き物なら同じ事が出来る訳だ。じゃあ逆ならどうなる?」

 

「逆?」

 

「二次元は紙の中の世界、縦と横だけの世界。三次元は俺達が居る世界。縦と横に高さが加わる。じゃあ、四次元は?縦と横と高さ、後何が加わる?」

 

「……?」

 

「絵の中のカズマ君は俺達三次元の世界が認識出来ない。同じように、三次元の俺達には四次元が認識出来ない。そんな四次元の空間に飛び込んだら、三次元の人間は何を見る?答えは『分からない』だ。何故なら四次元を知覚する能力が無いからな」

 

 絵の中のリンゴが切り取られた事に、同じ絵の中のカズマ君は認識出来ない。絵の中のカズマ君が切り取られたら、絵の中のカズマ君が見える景色は三次元の世界か?……同じ事が四次元ポケットの中でも言えるという訳だ。

 

「四次元ポケットの中身は、言うなれば神様の領域。そんな世界に好き好んで飛び込むような事、俺には出来んなー」

 

 俺の持っている四次元ポケットは、かつて他の転生者が持ち込んだ【神器】である。なるほどまさに()()()であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あと、そもそもかなり前に野ウサギとゴブリンを試しに生きたまま四次元ポケットに入れたことが有るんだが、取り出した時に野ウサギは()()()()()()()()()()()()()()()し、ゴブリンは()()()()()()()()()()()()()から人間が生きたまま入るのは辞めといたほうが良いよなー」

 

「「「それを先に言えッッッ!!!」」」

 

「はっはっはっはっはー」

 

「「「笑い事じゃないッッッ!!!」」」

 

 アクア以外の三人が大きな声で突っ込む。

 太陽は地平線に隠れ始め、夜の闇が東の空から覆いかぶさってきていた。

 そんなこんなでようやくアクセルの街の門が見えてきたのだった。

 

 

 ◆

 

 

 太陽が完全に沈み、夜のギルド。

 クエストカウンターに置かれた下位種(レッサー)ドラゴンの頭。そして裏手の解体所前にドカンと置かれた下位種ドラゴンの巨体に、ギルドは騒然としていた。

 

「こ、これの買い取り……ですか……」

 

「おう。依頼に無いのは確認したんだが、まあ成り行きで討伐してな。解体して心臓以外を買い取って欲しいんだ」

 

「流石にアクセルのギルドではドラゴン丸々一頭の買い取り費用は、すぐには用意出来ないんですけど……」

 

「それはまあそう。そこでまあ頭金って事で先に10分の1でも買取金額を貰えない?」

 

「それは、でも……あー……流石に……」

 

「じゃあ王都で換金してこようかな」

 

「あっ!いや、すぐにギルドマスターに確認してきます!」

 

 そう言ってギルドの受付嬢であるルナさんがパタパタと走ってギルドの奥へ消えていった。乳ばるんばるんしよる。

 

「やっぱルナさん乳でけーな」

 

「それな」

 

「何アホな会話してるんですか二人して」

 

 そう言って俺とカズマ君の耳を引っ張るめぐみんちゃん。

 カズマ君がめぐみんちゃんの胸を見てため息をつく。

 

「そういう目をしました!!!」

 

「してたな」

 

「いだだだだ!!耳がとれるだろうが止めろ!!!」

 

 めぐみんちゃんは俺の耳から手を離し、カズマ君の両耳を引っ張る。

 まあ最悪耳取れてもアクアが治せるし、と思いカウンターから離れると、見知った顔が近寄ってきた。

 

「ようダイチ御大臣!調子良さそうだな?」

 

「黙れ、去れ、散れ」

 

「そう固いこと言うなよ〜」

 

 俺の肩を組んで酒の匂いを撒き散らすダストとキースの二人。

 コイツらの目的なんてお見通しである。

 

「俺は野郎には奢らない主義なんだ」

 

「良いだろ別に〜」

 

「ダイチさんは金持ちなんだからオレらにも多少恵んでくれてもバチは当たらないだろ〜?」

 

「ところでダスト、キース。この前貸した金だけど」

 

「さっ、飲み直すぞ〜!!」

 

「おーい!コッチに唐揚げ追加で!!」

 

 ひゅんと身体を翻し酒場の一角に消えていく二人。アホに少額の金を貸すと踊らせやすくて助かる。

 俺も俺で酒場の一角に座るアクアとダクネスの所に向かいながらウエイトレスに酒を注文する。

 

「ダイチ!ドラゴンは幾らで売れたかしら!?」

 

「それがまだ買い取ってもらえてないんですよねー」

 

「なんでよー!?ドラゴンよドラゴン!!全身が宝石の山同然の価値があるでしょ!!?」

 

「価値がありすぎるからだろう。捨てる所が無いと言われるほどのドラゴン。下位種とは言えどもあの大きさだ。ドラゴンの心臓を分けるにしても、一億エリスは下らないだろうな」

 

「買い取りたくても、ギルドに金が無いんじゃ仕方ない。んで、王都のギルドに売る選択肢をちらつかせつつ、頭金で先に10分の1でも貰えないか確認してもらってる所だ。なんか知らんが、アチコチのギルドでドラゴンの牙だか爪だかをギルドホールに飾るのが流行ってるらしいし、アクセルのギルドもまず買い取らないって選択肢は無いだろ」

 

「うむ、そう言えば聞いたことあるな。王都ではドラゴンの爪が腕ごと飾る予定だとか何とか……」

 

「エルロード王国のどっかのギルドじゃドラゴンの頭骨丸々飾ってるらしい」

 

「勿体ないわねー。そんなモノ飾って何になるってのかしら?」

 

「何処も権威付けに必死なのは変わらないな……」

 

「見栄っ張りなだけでしょ?」

 

 アクアが元も子もない事を言った後、カズマ君とめぐみんちゃんが大きな袋を抱えてえっちらおっちら歩いてきた。

 

「見てください!下位種ドラゴン買い取りの前金として、変なおっさんが一千万エリスをポンと出しましたよ!!」

 

「変なおっさんじゃなくてギルドマスターな?とりあえず皆で山分けしようぜ」

 

「やったわ!前金だけでも一千万エリス!!きょ、きょうは高級シュワシュワいっぱい頼もうかしら……!」

 

「お前の分はねえよアクア」

 

「なっ、なんでよ!?酷いわ!!私だってドラゴン討伐頑張ったのよ!!?」

 

「ならお前、オレがお前の借金幾ら立て替えてるか言ってみろ」

 

「えっ、あっ、その、えっと〜……に、二万エリスくらい?」

 

「ゼロがあと3つは足りねえよこの駄女神!!!お前の分け前はそのまま借金返済に当ててやるから感謝しやがれクソビッチ!!!!」

 

「ッッッ〜〜〜!!!!酷いわ!あんまりよ!!私だっていっぱい頑張ったのよ!!?それなのに1エリスも貰えないなんて詐欺よ詐欺!!!」

 

「うるっせえこの全自動借金製造駄女神!金が欲しけりゃテメェで借金全部返してから言え脳みそ空っぽトリ頭!そもそもお前が変な事しなけりゃオレはドラゴンに食われなかったんだよクルクルパーのバカ女!!!!!」

 

「〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」

 

 アクアが声にならない泣き声をあげて俺にダイブして来る。

 

「ダ゛イ゛チ゛〜〜〜〜〜!!!か゛じ゛ゅ゛ま゛が゛い゛じ゛め゛る゛〜〜〜〜〜!!!!!」

 

「おおよすよす」

 

 俺はアクアの頭を撫でながら背中をトントンと叩いて慰める。

 そんな様子を見て、カズマ君に白い目を向ける女子組。

 

「……」

 

「……」

 

「な、なんだよ!事実だろうが!」

 

「仮に事実だったとしても女性にあそこまで酷いこと言えるのも才能だな」

 

「カズマ、最低です」

 

「う、うるせぇ!お前達だってアクアのヤラカシのせいで、危ない目に遭っただろうが!」

 

「私は別にダイチさんが守ってくれたので危ない目も何も無かったですが」

 

「ふん、私は例えドラゴンに踏み潰されようが噛み砕かれようが死にはしない。噛み砕かれたカズマがむしろ羨まし……んっ!」

 

「うわキッショ。カズマ君、今日の死因はアクア様のせいとかじゃなくて、君が弱いのが根本的な原因だ。強ければあの程度、避けたついでにドラゴンの舌でも切り裂いていけただろうに。レベルを上げろレベルを」

 

「無茶言うなよ!!!?そもそもオレは弱小職業の冒険者なんだぞ!!ステータスだって貧弱なのにどうしろって言うんだ!!?」

 

「言い訳だな」

 

「言い訳ですね」

 

「……カズマ君。冒険者が弱小職業である事と君が貧弱なのは関係のない事だ。現に俺も弱小職業である冒険者だぞ」

 

「……はぁ!!!?嘘だろ!!!?」

 

「あ、そうか。カズマ君には今の俺の冒険者カードを見せた覚えが無いな。丁度いい、ステータスだけが強さじゃ無いことも見せてあげよう」

 

 そう言って俺はテーブルに冒険者カードを置く。

 カズマ君は引っ手繰るように冒険者カードを取り、目を見開いて見ていた。

 

「な、なんだこりゃ!?本当に職業冒険者じゃねえか!?」

 

 カズマ君の後ろから覗き込むようにダクネスが、横から顔を近づけるようにめぐみんちゃんが俺の冒険者カードを見る。

 

「うーむ。ステータスも想像より低いな……」

 

「それでもカズマとは比べものにはなりませんけど。しかしまたなんで冒険者のままなんですか?ダイチさんなら上位職に簡単になれるじゃないですか」

 

「強さに関しては【代償強化】のスキルでどうにでもなるからな。例えば攻撃する瞬間は防御力を犠牲にダメージを上げたり、防御する瞬間は逆に攻撃力を犠牲にしたりとか。で、前は確かに上位職だったんだが、冒険者に転職したんだ」

 

「そりゃまた何故です?レベルが上がっても冒険者のままじゃステータスが低いままじゃないですか」

 

「実はな、冒険者で色んなスキルを集めるのが楽しくてな」

 

「何だそのしょーもない理由は!!!?オレは冒険者にしか成れなくて苦労してるっていうのにダイチさんは趣味で冒険者やってんのかよ!!!!?」

 

「おう。ま、ステータスが低くても今日まで生き残ってるのは才能だな。冒険者のままだとレベルアップした時のスキルポイントが若干高いし、【代償強化】でレベルを犠牲にすれば、また1から簡単にレベル上げ出来るしな」

 

「スキルポイントがお手軽に稼げるってか!?くそぅ!!【代償強化】とアクアを交換してくれ!!つーかそのスキルをオレに教えて下さいお願い致します!!!」

 

「無理。というか教えた所でカズマ君には習得出来ないだろうな」

 

「何でだ!!?冒険者なら全てのスキルを習得可能な筈だろ!!?」

 

「俺も前に経験が有るんだが、どうも特典系のスキルは覚えるのに天文学的な数のスキルポイントが必要みたいでな。更に言えばカズマ君に【代償強化】を扱う才能が皆無同然に思えるし、必要なスキルポイントは更に倍率ドンと言った所か」

 

「チクショー!!ならオレのレベルを代償にする事は出来ないのか!?」

 

「んー、まあ可能か不可能かを問えば可能ではある」

 

「本当か!?オレもお手軽スキルポイント無双いけんのか!!!?」

 

「こ、この男レベルを下げる事に躊躇とか無いんでしょうか……?」

 

「レベルを下げる事が可能であったとしても私はやりたくはないな……」

 

「私もですよダクネス。それが普通の感覚です」

 

「それでダイチさん、どうやればオレのレベルを下げる事が出来るんだ!?レベルを下げる代わりに筋力を上げれば……いや、器用さか?魔力を上げるのも捨てがたいな……」

 

「妄想広がってる所悪いが、俺の【代償強化】を他人に使うには()()()()が必要だぞ」

 

「……は?」

 

 カズマ君の目が点になる。

 

「のーこーせっしょく?」

 

 めぐみんちゃんの顔がIQ3くらいになる。

 

「そっ、それってつまり……」

 

 ダクネスの顔が真っ赤に染まる。勝利を掴めと轟き叫ぶ。

 

「まあ要するにコレをな」

 

 俺は右手で輪っかを作り、左手の人差し指をピンと伸ばす。

 

「こうじゃ」

 

 右手の輪っかの中に左手の人差し指をブスリ♂と差し込む。

 

「うぼぇぇぇーーー!!!?分からん振りしてたのに想像させんじゃねぇーッッッ!!!」

 

「なっ、なっ、な、なななな……」

 

「は、破廉恥なッ!!破廉恥だぞダイチ!!!?」

 

「脳内どころか全身の末端まで破廉恥が回ってる女に言われるのは辛いな。とにかく、俺の【代償強化】で他人のステータス等をイジるのはナメクジの交尾くらい身体を絡ませないと」

 

「だから想像させんじゃねぇって言うとろーが!!!お前あれか?アッチか?実はアッチの方の人間なのか!?」

 

「カズマ君、最近はそういうセンシティブな事をからかうのはコンプライアンスのアレソレでナンセンスだぞ」

 

「コンプラのコの字も無いような宗教に属してる奴に言われたかねえよ!!」

 

「だから俺はアクシズ教であってアクシズ教ではない別宗派だと何度も」

 

「アルカンレティアで平然と過ごせる時点で一緒だバーカ!」

 

「住めば都だぞあそこは。水も酒もメシも美味いし女は美人。そして何よりナンパの成功率がダンチだし、遊びの関係で終われる後腐れの少ないヤツも多かった。意外と聖職者が狙い目でいだだだだッッッ!!!!」

 

 わあわあと泣いていたアクアに胸を貸したまま話す内容ではなかった気がする。いつの間にか泣き止んでいたアクアの手が俺の太腿を抓り上げていた。

 

「……オレ、ダイチさんのそーいう所マジで軽蔑するわ」

 

「不潔です」

 

「くっ……ダイチは女性関係にだらしないのだけが玉に瑕だな……私の防御を貫く鋭い鞭使い、容赦のない言葉攻め、ああっ!これで自活能力の無いダメ人間であったなら私の好みど真ん中だったのにッ!!!」

 

「心底安堵するわマジで。お前みたいなのに付きまとわれ続けりゃ頭がおかしくなっちまう。どう思う好みど真ん中のカズマ君」

 

「は、はあっ!?」

 

「にゃ、にゃにをいってりゅ貴様ぁッ!!!???」

 

 ぶんぶんと振り回される剛腕の一撃を椅子ごと後ろに倒れながら回避し、アクアを抱えたままコロンと一回転して立ち上がる。

 

「というかそもそも公衆の面前で女性の下着を窃盗して周囲に見せびらかす行為を何度も行っているクズマ君に軽蔑云々は言われたくないですねー」

 

「なっ!?おまっ、それは別に関係無いだろ!!?」

 

「いや、どっちもどっちですよ」

 

「一緒にしないでもらいたいですねー。俺はキチンと女性と合意の上でワンナイトの関係を持っている。ゲスマ君はただの痴漢行為、不同意わいせつ罪だぞ」

 

「ちがわい!!オレのはアレだ!……えーっと……そう!【窃盗】というスキルの仕様上致し方ない事故だから!!」

 

「狙って起こす事故は『故意』と言うのだカス」

 

「もう普通にカスって言いやがった!!!」

 

「……まあ、少なくともちゃんと同意を得ているダイチさんの方がまだマシ……ですかね?」

 

「裏切ったなめぐみん!?」

 

「いや裏切るも何も、私もカズマの【窃盗】の被害者なんですが!??」

 

 閑話休題。

 

「じゃあドラゴン討伐お疲れさんって事で、かんぱーい!!」

 

「「「「 かんぱーい!!! 」」」」

 

 一応リーダーであるカズマ君が乾杯の音頭を取り、パーティメンバー全員がジョッキを持って打ち鳴らす(尚めぐみんちゃんの持っているジョッキの中身はカズマ君がジュースにすり替え済み)。

 シュワシュワを飲みながら改めて下位種ドラゴンの分け前を確認するカズマ君。

 

「私のは少なくて良いのでアクアの借金返済に回してください。そもそも私何もしてないですし」

 

「なら私の分もアクアの借金返済に充ててくれて構わん」

 

「あ、貴方達……なんて優しい子達なのかしら!!カズマさんも見習って!!この素直さをしっかり見習って!!!」

 

「おいお前ら、すぐそうやってアクアを甘やかすな!」

 

「というかそもそもソレはドラゴンの買い取り金額の前金だろう?どうせ少し待てばドカンと更に大金が入るんだから、ソレ全部今日の飲み代にしちゃおうぜ」

 

「そうよナイスな案じゃない!それ賛成!!!」

 

「ダイチさんのそういう所オレマジでダメだと思うんだけど!!?少しは貯金とか貯蓄とか未来の事考えねえ!??一千万エリス全部飲み代にするって言った今!!???」

 

「王都の一流冒険者ならそれくらい当たり前だなー。悪い魔竜を討伐、そして凱旋、夜にはパーティメンバー全員で盛大にぱぁーっと大宴会。しかも次の日には王城に呼ばれて、王族貴族大集合の壮大な舞踏会まで開かれる。一千万エリスなんてあっという間にパーよパー」

 

「本気で言ってんのかテメェ!!?此処王都じゃなくて駆け出し冒険者の町だぞ!!?」

 

「何よカズマさんったらノリが悪いわねー!デストロイヤーの時みたいにギルドの皆で騒ぎましょ?」

 

「あの時と今じゃ状況がちげーだろうが!!!あん時はアクセルの冒険者皆でデストロイヤーに立ち向かったが、今はオレ達のパーティだけでドラゴン討伐したんだから別だ別!!」

 

「つっても貯金だのなんだのした所でじゃねーか?一千万エリスで何が買えるよ?」

 

「そりゃまあ色々買えるだろ?」

 

「はっ!一流冒険者御用達のハイグレード装備をパーティメンバー全員分でも揃えるか?一千万エリスぽっちで?足りん足りん。ダクネスの鎧は既に十二分だし当たらん剣など要らんだろ。カズマ君の装備の新調?今のアーチャー兼盗賊みたいな役割に重装備は要らんって十分知ってるだろ。強い弓でも買うか?弓を引く筋力が足らんだろ。ちゅんちゅん丸を新調するか?そもそも全然使って無いだろ。ならめぐみんちゃんの杖でも新調するか?魔法使いの杖はピンキリが激しいモンだ。爆裂魔法しか使わないにしても、十全なモンを用意するとなると5倍は欲しい所、欲を言えば20倍。俺が作れない事も無いが材料費だけでもやっぱ3倍は掛かるからな」

 

「ったく分かった分かった分かりましたよ!!オレに冒険者装備の相場が分からないって事がよくわかりました!!!でもだからと言って飲み代一千万エリスは絶対にNOだからな!!!?」

 

「冒険者が貯金しても要らんトラブル呼び寄せるだけだろーがよー。ブーブー」

 

「そーよそーよ!カズマさんったらホント学習しないわねー!ブーブー」

 

 俺とアクアがカズマ君に向かってブーイングをする。

 

「ぃやっかましいッ!!大体飲み食いで一千万エリスを一日で使いきれるか!?」

 

「カズマカズマ」

 

「はいカズマです。なんだよめぐみん?」

 

「早速ギルドのメニューに『ドラゴン肉のステーキ』が加えられているようなのですが頼んでも良いでしょうか頼みますね頼みましょう!」

 

「マジかよ!?」

 

「ドラゴンの肉は煮て良し、揚げて良し、だが一番美味いのはやっぱりステーキだなー。前に王都で食った時は指先サイズの肉だけで三千エリスはしたなー」

 

「ど、どんな味なのだダイチ!?」

 

「本当に一口だけだったけどありゃ絶品だ。噛んだ瞬間の強靭な赤身の歯応え、でも噛み切ると同時に溢れ出す肉汁、そして柔らかく解けていく脂身……濃厚な濃い油だと言うのに、何故か油が口に残らないサラッとした甘味のあるコク……噛めば噛むほど強靭な赤身から溶け出てくる暴力的な旨味……ああ、思い出すだけで涎が溢れる……」

 

「ゴクリ……」

 

「しかもなんと、下位種ドラゴンの肉は味だけなら上位種よりも美味いとか……」

 

「……」

 

「あぁ~進むだろうなァ、酒。美味いんだろうなァ、飯」

 

「か、カズマカズマ……!」

 

「っっっ~~~~~~!!!頼むぞ!『ドラゴン肉のステーキ』!!!」

 

「すいませ~ん!!!『ドラゴン肉のステーキ』5人前~!!それと追加で人数分の最高級シュワシュワを!!!」

 

「おっま!?何勝手に最高級シュワシュワ追加してんだ!?」

 

「何言ってんのよ!?最高の肉には最高のお酒でしょ!!?」

 

「アクア様大正解百億万点ー」

 

「そうでしょそうでしょ!?ほらダイチもこう言ってるじゃない!!」

 

「ぐっ……」

 

「大体アンタ、今変な貧乏性発揮するタイミングじゃないでしょうが!ドラゴンの肉よドラゴンの肉!向こうのA5ランク和牛よりも遥かに希少なんだから!」

 

「あーもうしょうがねえなぁ!!」

 

 

 

 ◆

 

 

 

「うまっ……うっまッ!!なんだこれ美味すぎるッ!!?」

 

「ほ、ほにふがとろけまふよカズマ!!」

 

「何という美味……こんな肉は今まで食べた事無いぞ!?」

 

「美味しっ!美味しぃッ!」

 

「あ~無限に酒が入る味~」

 

「すいませんシュワシュワお代わり!!!」

 

「ステーキをご飯に乗せて……ふわわぁぁぁ~!?お肉が輝いて見えますよ!??」

 

「っぱ捌きたての超新鮮なドラゴンの肉は違うなー。ドラゴンの肉は熟成物よりも鮮度が命ってハッキリわかんだね」

 

「そうなのか!?」

 

「詳しい事は知らんが、ドラゴンの肉は冷蔵も冷凍も出来ないからなー。牛肉や豚肉とかと違って、殺した瞬間から味は落ちていく一方らしい」

 

「マジかよ、じゃあこの美味さって今日限りって事か?」

 

「じゃあ早く食べなきゃじゃない!!?」

 

「でもドラゴンの内臓は熟成させた方が美味いらしい。流石に心臓以外の内臓までは食べた事ないなー」

 

「ドラゴンのモツ焼き……くぅーッ!それも食ってみてえなぁ!」

 

「『ドラゴン肉のステーキ』お代わりください!!大盛りで!!!」

 

「ちょっとー!シュワシュワ早くお代わり持ってきて欲しいんですけどー!?というかもう樽ごと持ってきて欲しいんですけどー!?」

 

「くっ、はしたないが……すまない!この『骨付きドラゴン肉の丸かじり焼き』を一つ!」

 

「あ!ダクネスずっけぇ!オレにも同じのを!!!」

 

「おーいコッチにウイスキーをボトルで」

 

「『ドラゴン肉の唐揚げ』とご飯を特盛で下さい!!!」

 

 

 ワハハハ

  ドンチャンドンチャン♪

 

 

「く、くぅ~ッ!カズマ達のヤローあんな旨そうに食いやがって……!」

 

「でも『ドラゴン肉のステーキ』って、こんな欠片みたいなお肉の値段じゃないでしょ……我慢しなさいよダスト」

 

「で、でもよリーン。あのダイチさんが言う程の美味さらしいんだぜ?」

 

「今日を逃せば味が落ちる一方とも言ってたよな……」

 

「キースまで……でも私達のパーティには『ドラゴン肉のステーキ』を買う余裕はないでしょ?テイラーからも言ってよ」

 

「……皆、すまん!おーい!こっちにも『ドラゴン肉のステーキ』をくれ!!!」

 

「ちょっ!?テイラー!!?」

 

「おいおい良いのかよ!?いや、まあ食いたい気持ちは滅茶苦茶あるけどよ?でもマジで金欠になるぜ!?」

 

「ああ……オレは今日、『こんなこともあろうかと貯金』を使う!!」

 

「なッ!?」

 

「まっじか!??」

 

「『こんなこともあろうかと貯金』って、パーティの危機とかじゃない限り決して使っちゃいけないって言う、あの!?」

 

「ああ……!オレはダイチさんの教えの通り、『こんなこともあろうかと貯金』をチクチク貯めてきたが……今日が!その!こんなこともあろうかと!!貯めていた貯金を!!!使うッ!!!!!」

 

「くっ…………―――~~~ッ!ならオレもだ!!オレも今日!その!こんなこともあろうかと!!貯めて貯金を使うぜ!!!」

 

「キースも!?」

 

「ぐっ、ぐぅぅぅッ……!ならッ!!!!」

 

「ま、まさかダスト、アンタまで!?」

 

「リーン様!どうかお金を貸してくださいッッッ!!!」

 

「いやアンタは貯金してないの!???」

 

「オレが貯金なんてするわけねーだろ!!?????」

 

「自慢げに言う事かバカ!!!!!!!!!」

 

 

 

 ◆

 

 

 

「こっちに『ドラゴン肉のステーキ』追加だー!!!」

 

「シュワシュワのお代わりー!!!」

 

「あーもー知らねー!!!全財産使って、食って飲んで騒いでしまえ!!!明日の事は明日考えれば良いんだよ!!!」

 

 ワハハハハハハ

  ドンチャンドンチャン♪

花鳥風月~♪

 

 

 

「……いやー。ドラゴンの買取金額を工面するために思いつきでやってみたが、思いのほか上手くいったようだな」

 

「あの、ギルドマスター。解体場とキッチンで悲鳴が上がってるんですけど」

 

「いよいよ我がアクセルの町のギルドにもドラゴンを飾れると思うと、なんとも感慨深い」

 

「ギルドマスター、解体用の刃物とキッチンの包丁の在庫がもう無くなると報告が上がってるんですけど」

 

「ふむ、ドラゴンの頭をそのまま飾る……王都のギルドマスターにも今まで散々煮え湯を飲まされたし、ここぞとばかりに煽ってやろうか」

 

「ギルドマスター、酒の在庫が尽きそうだと報告上がってるんですけど」

 

「ははは。さあ、明日から忙しくなるぞ。ではルナさん、後は頼みましたよ」

 

「この惨状で帰れると思ってますか?へぇ?なるほど?いやまさかですよねぇ?」

 

「……」

 

「……」

 

「ではサラダバー!!!」

 

「あっ!?逃げた!!!?ジジイ待ちなさいこの惨状を収拾つけないならぶっ殺してやる!!!!」

 

「いや口悪ッ!!?」

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 深夜のアクセルの町。

 パパパパパパパと小さな破裂音に似た音を鳴らしながら、整備された道の上を走るスクーターのような魔道具に跨るダイチ。ダイチの背中に抱きつくように座るアクア。そして頑丈なロープでけん引されている大八車にも似た魔道具の上に倒れるカズマとダクネスとめぐみん。

 

『お、お会計は二千五百万エリスです……』

 

『……ッスー』

 

 頭金が丸々ぶっ飛んだ上、不足分の千五百万エリスの支払いに頭を抱えたカズマ君はそのまま倒れてしまった。ダクネスとめぐみんちゃんも飲み過ぎでとっくにダウンしており、アクアは既に夢の中の世界に居た。

 ぶっ倒れたカズマ君に代わり、代金はドラゴン買取金額からツケとくように伝え、パーティメンバー全員大八車モドキに積み上げて帰る事にする。

 スクーターモドキの正面から魔法の光によって照らされた道が浮かび、カズマ君の家までの道をしっかりと映していた。

 スクーターモドキの駆動音があまり響かないように気持ちゆっくりと走りながら、スイーっと滑るように移動していく。

 歩くよりも遥かに速い速度で移動した結果、あっという間にカズマ君達の家に到着した。

 スクーターモドキに乗ったまま家の扉を【念動力】のスキルで開け、スクーターモドキに乗ったまま家の中に入り込む。

 大八車モドキに乗せた三人をそのまま適当な部屋のベッドに纏めて乗せ換えていき、酒臭い3人による川の字を作り上げた。

 

 そして、俺の背中に寝ながらしがみ付いているアクアを下ろそうとすると

 

「やだ……」

 

 小さい声で、可愛いお願い事を呟かれる。

 少なくとも俺は神ではないが、まあ偶には神様の真似事をしてもバチは当たるまい。

 俺は眠る三人に布団を掛けた後、アクアを背中から正面に抱きなおし、お姫様抱っこでカズマ君の家から誘拐していった。

 

 神隠しにあった少女を除き、皆深い眠りについていた。




次回で終わり



Q.ダイチの事をどう思ってますか

・カズマ
 この世界に来て初めて出会った転生者。色々と滅茶苦茶なこの世界で生きる為に色々教えてくれた先輩にして先生。あと時折一緒にバカな事をやれる同性の友人。
 総合して……まあ、近所に住む年の離れた兄貴分ってところか?

・めぐみん
 初めて訪れたアクセルの町を案内してくれた親切な人。爆裂魔法を撃った後に隙だらけになっている自分を町まで送り返してくれて、カズマ達と引き合わせてくれた恩人。私の事を子供扱いしてくることは気に入らないですが、まあ恐らく実年齢は大人と子供同然に離れている事は事実っぽいので我慢しましょう。
 総合して……近所にすむ親切なお兄さんと言ったところでしょうか?

・ダクネス
 世間に疎い私に色々な事を教えてくれた者の一人。言葉使いは悪いが、私の性癖と戦闘スタイルに理解をしてくれる人。理解してくれるのに恐らく意図的に私のツボを外してくる意地悪な人。だが時折くれるご褒美が大変気持ちい……ん”っん”ッ。
 総合して……もし私に兄が居たら、きっとこんな感じなのだろうか。

・アクア
 甘やかしてくれるし我が儘言っても許してくれるし凄い褒めてくれる。好き。
 アンデッドや悪魔に若干近しい匂いがしなくもなくもない……かも?あ、でもでも!神々(私たち)にも近い感じがするかもしれないわ!アクシズ教徒じゃないのが残念だけど、まあでも似たような物って言ってたし実際似たようなものよ!
 総合して……えっと、言わないとダメなやつかしら?恥ずかしいから言いたくないんだけど……。
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