※この作品はR-18です。

女神を自称するアークプリーストと酒の勢いでヤった   作:百万一回エタった猫

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猫です。皆エリス教徒の盗賊に興味津々で草はえます。
妄想だらけで勝手な設定だらけ。アニメ知識+αだけで書いてるので独自設定のオンパレードですがお付き合いください。





「我輩とあやつとの出会い?ふむ……出会ってからの単純な時間の長さだけで言えば、ポンコツ店主を超える長さになる。だが、奴との()()()となる様なものはほぼ無いと言っても過言ではない。……何?それほど仲良くは無かったのかだと?ふははは!ポンコツ店主が居なければ、我輩は夢の達成のためにあの男を頼ろうかとも考えていた程である!今にして思えばあの男を先に頼っておけば良かったと何度後悔したものか!!……否、まああの男を頼ったとしても恐らく今のように後悔する事にもなるだろうな」

「何?ならば何故あやつとの()()()が無いのだと?簡単な話だ。『前は在ったのだ』。我輩が忘れただけではないぞ?貴様も知っておろう、あの男のスキルを」

「そうだ、そのスキルだ。あやつは、力を得る為に多くの物を代償にした。自身のステータスだけでなく、才能、過去、未来、あるいは自らの命をも。代償にしたものの中に、我輩との()()()が含まれていた。それだけの事だ」

「……あやつを責めるでない。あやつのスキルは、残酷なまでに等価交換を強いる。あやつが代償に失った物は、代わりにあの男がその時その瞬間大事にしていた物を守るために使われた。それだけなのだ」

「……ふはははは!何を嘆く必要がある!あやつが失った物はかけがえのないものが多かろう!だが、二度と手に入らん物ではない!!!無くした()()()など、新たに作ってしまえば良いだけの事である!」

「過去など無くとも、我輩はあの男を友と思っている事にはなんら変わりは無いのだからな!」



【今昔冒険譚】冒険者と未来の不死王は斯くして出会う 前編

 ウィズ魔道具店、その店内で二人の男が殴り合いの喧嘩をしていた。

 

「我輩にも我慢の限界と言うものがある!今日という今日は貴様を地獄の最下層に送ってやろう!!!」

 

 一人は黒いタキシードを着た長身の男。口元が開いた特徴的な仮面を被っており、その眉間には『Ⅲ』の文字が入っていた。

 

「はっはっはーやってみなー?この通常攻撃が悪魔特攻でアンデッド特攻になった聖人様に勝てると言うんならなァー!!!」

 

 一人は青い髪と青い瞳が特徴的な男。軽い口調に似合わず、拳を振るうと同時に手の甲に聖印が光り、まるで大槌で地面を叩いたかのような重厚な音が店中に響く怪力乱神を発揮していた。

 

 そんな二人の殴り合いを物陰に隠れながら声を張って制止するのは、ウィズ魔道具店の店主であった。

 

「なんで店の中で暴れるんですか!?というかダイチさん、本当にそのピカピカ光る拳何とかしてください!その光が私に当たった所から透けてきてるんですけど!?」

 

「おー悪いなーウィズ。今コイツ叩きのめしてやるからよー」

 

「全然話を聞いてないッ!?」

 

 彼らは一枚のハンカチを互いに摘まみ合い、殴り合いでハンカチを離した方が負けというルールで決闘をしていた。

 きっかけは些細な事であった。あまりにも些細な事過ぎて、この場の誰も覚えていない程であった。

 誰も覚えていないきっかけだが、その些細な事で突然彼らは殴り合いを始めた。

 

「我輩とて長年座して居るだけでは無いわ!喰らえ【バニル式殺人光線(拳)】!!」

 

 仮面の男、バニルが拳を光らせながら青髪の男の頬に拳を突き入れる。その拳がごく一般的な勇者クラスの人物に当たれば、まさに首から上は骨しか残らないような火力であった。

 だが殴られる男は、ごく一般的な勇者クラスなど歯牙にもかけないような人類最強格である。頬が多少焼かれたが、次の瞬間には傷が溶けるように再生していた。

 

「お前の残機もらったるわァッ!【アセンションブロー】ォォォ!!!」

 

 青髪の男、ダイチが拳に白い炎のような光を纏わせ、爆発的な威力を持ってバニルの仮面を吹き飛ばす。

 轟音と共に吹き飛んだ仮面が壁に叩きつけられ、その仮面に数多ものヒビを入れた。

 それと同時、ハンカチを摘まんでいたバニルの手が粉々に砕け、ハンカチを最後まで持っていたのはシミズダイチであった。

 

「アセンションブローとは俺の体内にあるアルコールと金に対する欲望を乗せた必殺の拳。相手は死ぬ」

 

 そんなものを乗せるな。ウィズとバニルは同じことを考えていた。

 

「YOU LOSE!なんで負けたかは明日までに考えてきてください。ほないただきます」

 

 そう言ってハンカチから手品でシュワシュワ入り瓶を取り出したシミズダイチは、そのまま蓋を開けて床に転がるバニル仮面(本体)を見下ろしながら煽るように飲む。

 

「ぐぐぐ……貴様、ますます人間離れしおって……!!!」

 

 フラフラになりながら本体から身体を再生するバニルは悔しそうに歯噛みをする。

 この光景だけを見てどちらが悪魔か分かる者は居るだろうか。ウィズは遠い眼をしながらそう思った。

 

 人間離れ。そう、シミズダイチはもはや人間という枠組みから超越してしまっていた。

 バニル式殺人光線を受けてもすぐに治るのも、人間としてはありえない。

 

 ……しかし『人間』という枠組みを超えたのは、最近の事では無かった。

 シミズダイチが『聖人』となる前から、シミズダイチは『人間』では無かった。

 彼は老いる事も死ぬことも無い、神でも、悪魔でもない、アンデッドとも違う、そんな『人間ではない何か』であった。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 ~■■年前~

 とある建物の中。ある男を囲むように多くの子供達が座り、その中心に立つ男は朗々と自らの経験した冒険譚を話していた。

 

「王都に魔竜が襲ってきた時の話をしてやろう。ヤツの身体は、そこの教会から向かいの通りのパン屋まで届く程に巨大な身体をしていた。そんな巨体が、日が沈む西の空から恐ろしい羽音と共に飛んできた。翼の大きさも、片方だけでそこの庭が包めるくらいに大きくてな。ぶわっさ、ぶわっさと魔竜の翼が空気を叩く大きな音が鳴っていたのを覚えてる」

 

 彼を囲む多くの子供の中に、私は居た。

 彼の語る魔竜討伐の話は、子供にも分かりやすく、そしてワクワクドキドキさせてくれた。

 彼と、彼の仲間達の連携によって魔竜を討伐した後も、彼の話は続く。冒険者達との宴会、王城での舞踏会、王女と一緒に踊った夜。

 彼の話を聞いた子供達が冒険者に憧れを持つのも当然の帰趨であった。そして、それは私も。

 彼は話を終えると、私達孤児に食事を振舞ってくれた。彼の代名詞とも呼べる四次元ポケットから、出来たてのシチューと焼き立てのパンを沢山出してくれた。

 子供達全員がお腹いっぱい食べたのを、彼は優しい眼で見守っていたのをよく覚えている。

 

 彼は時折こうして孤児院を訪れ、魔王軍との戦争によって親を失った私達に生きる希望を届けてくれた。

 美味しいご飯。未来への夢。そして、今を生きる術。

 彼は私達のような孤児に様々な戦い方を教えてくれた。剣、弓、そして魔法。戦う才の無い子には罠や毒と薬の知識。そして子供達全員に簡単な算術を教えてくれた。

 そして彼はいつも言っていた。『一人で生きる力は必要だが、孤独に生きる力は不要だ。自分に出来ない事は誰かに頼れ。誰かに頼られたら快く自分の力を振るえ』。『道に迷ったなら、正義を目指せ。誰かが言う正義じゃない、自分が誇れる正義を目指せ』。

 彼は人間と言うものの強さと弱さをとても良く知っていた。人間は、武器が無ければジャイアントトードにすら負ける程に弱く、知恵と勇気をもってすればドラゴンよりも強い。

 

 彼の教えを受けた孤児たちはやがて成長し大人になり、冒険者や騎士、狩人、料理人、商売人、様々な仕事に着いて行った。

 

 そして私も、幼くしてアークウィザードの職について冒険者となり、世界中を駆け巡って冒険をしていた……と、なればよかったのだが、あまりにも幼過ぎて誰もパーティメンバーとして加えてくれはしなかった。

 毎日毎日、ギルドに向かってはパーティに迎えてくれる誰かを待ち、結局誰にも声を掛けられる事無く一人でクエストに向かい、そして達成して帰ってくる。その繰り返し。

 ひとりぼっちで冒険する、色褪せた記憶。

 ゴブリンの群れも、リザードランナーの群れも、初心者殺しも、一人で討伐して帰ってくる。

 かつて夢見た冒険の日々は、何処にもなかった。

 

 そんな私を連れ出してくれたのは、私に夢を与えてくれた彼だった。

 故郷のギルドで遠巻きに恐れられていた私を連れ出し、紆余曲折を経てアクセルの町へと連れてってくれた。

 オークの群れに追いかけられたり、グリフォンの群れに追いかけられたり、それ以外にも色々あった筈だが忘れてしまった。だが、その日々が今までの冒険の日々と違って輝いていたのだけは覚えていた。

 そうして着いたアクセルの町で、私は私を受け入れてくれたパーティメンバーに出会ったのだった。

 

 私達は彼の教導の元、勇者と呼ばれるに相応しい実力と知識を身に着けた。王都での魔王軍襲撃も、パーティメンバー全員で活躍して魔王軍を撃退。王族の方から直々にお褒めの言葉を受け、王城でのパーティに招待された。

 冒険者としてこれ以上ないような栄誉を受けた。かつての夢であった、憧れの冒険者そのものとなった。

 

 彼は私達の成長を見届けた後、世界の果てに行ってくる。と、新たな冒険に出かけていった。

 世界の果て、それは悪魔やドラゴン、魔王軍、あるいはそれ以上の脅威が待ち受けているかもしれない秘境。彼はそこに、まるで近所の商店街に行ってくるような気軽さで向かって行った。そんな彼の背中を、私達は笑って見送っていた。

 

 そして、それから更に数年。私達は魔王軍のデュラハン討伐に向かい、そこで【死の宣告】の呪いを掛けられ、私はバニルさんと契約を行い、リッチーとなった。

 リッチーとなった私は魔王城へ乗り込み、バニルさんとの契約を果たす。

 ……しかし、その時私は、彼との思い出の幾つかが抜け落ちている事に気が付いた。焦りのあまり魔力が暴走し、魔王城を半壊させてしまいながらもバニルさんに掴み掛かる。リッチーとなった代償に、大切な思い出が無くなるなんて聞いていない、と。

 

『逆であるぞ駆け出しリッチーよ。リッチーと化したから大切な思い出が無くなったのではない。元から貴様の言う大切な思い出が無くなっており、リッチーと化したからその事に気付けただけなのだ』

 

 聞けば、バニルさんも彼とも懇意にしているらしい。そして彼のスキルについて、その時に聞いた。

 意志や力の弱い者は、彼との思い出が無くなった事に気づけない。それは彼が【代償強化】で支払った物の副作用であると言う。

 

『ヤツによって深く人生に影響を与えられた者でも、思い出が無くなった所で既に与えられた影響は変わらない。それだけの話なのだ』

 

 私は絶望した。大切なパーティメンバーを守るためにリッチーになったが、彼が話す冒険譚、孤児の皆と食べたシチューとパンの味、そして彼に導いてもらったその全ての思い出もまた、大切な物であった。

 私はその場で、無くなった思い出を()()()()魔法を創り出した。彼に我が儘を言って見せてもらった『四次元ポケット』の中身、それを思い出す。『在る』物を無限にしまえる道具であるが、見方を変えれば物の『在る』『無い』を自在に操れる道具とも言える。思い出すだけで脳が剥がれてしまいそうな四次元空間を再現する。私の大切な物は、例え彼のスキルだろうとも奪わせはしない。

 ()()()()()魔法の反動で半壊した魔王城が更に壊れたが、無くなったものを取り返す魔法は完成した。自分に向けてだけにしか使えない、消えた思い出を取り返す魔法。自身の魔力の大半を消費して得られたのは、言ってしまえばただそれだけ。だが、何にも替え難い大事な思い出。

 

 そうして結局色々あって私は魔王軍のなんちゃって幹部となり、魔王城の結界の維持を手伝う事となった。

 人外の身となった私は冒険者を引退し、戦いに疲れたらいつでも遊びに来て欲しいと、仲間達との出会いと思い出の場であるアクセルの街にお店を構えたのだった。

 

 しかし話はそれで終わらない。

 私がリッチーになって半年も経たないくらいに、彼が戻ってきた。

 彼は数年前に別れた時のまま……否、私が小さい子供だった時に出会った姿のままで、彼は私の店に来た。

 

『……正直に答えろ、ウィズ』

 

 彼は初めて見るような眼で、初めて聞くような声で、私に問いと手に持った鞭を向けた。

 

『お前は、お前の正義の為に人の身を捨てたのか』

 

 彼の問いは、とてもシンプルであった。

 そしてその問を聞いた私の脳裏には、孤児として育ってきた町で出会った彼との思い出が、彼と一緒に巡った旅の思い出が、そして彼の教えが、一気に脳裏に蘇った。

 

 私は泣きながら笑みを浮かべて、彼に正直に答えた。

 

『私は、私が正しいと思った事をしただけです。それに人の身を捨てても、心はまだ人のままです』

 

 感極まって、突然泣いてしまった私を見ても彼は表情を変えなかった。

 彼の教えの中には、『もしお前たちが道を踏み外した時は、俺が責任をもってお前たちにケジメを付けさせる。それがお前たちを育てる俺の責任であり義務だからだ』と言うものがあった。

 もし彼が私にケジメを付けさせると言うのなら、それでよかった。なんちゃってとは言え、魔王軍の幹部となって結界維持の手伝いをしている、すなわち人類の敵であるのは変わりがないからだ。

 

 私の答えに、彼は言葉を返すでも、手に持った鞭を振るうでもありませんでした。

 ただ黙って、泣いていた私の頭を胸に押し付けるように抱きしめたのです。

 私は、彼の胸で声を上げて泣いた。あの時ああしていればという後悔が頭を占め、ああしていればもっとうまく出来た筈という悔恨が胸を占めました。

 

 それからしばらくそうして彼の胸で泣いていると唐突に、良い歳した大人がまるで子供のように泣いている事が恥ずかしくなってしまった。

 それを誤魔化すように笑いながら、彼に世界の果てでの冒険がどうだったかを聞いた。

 

『ああ、長い話になる。だが、話す前に少し用があるから待っててくれないか』

 

 彼はそう言って、私から離れた。

 彼の温もりが離れて、思わず手を伸ばしてしまいそうになるのをグッとこらえ、涙を拭って答える。

 

『はい!いつまでも此処で待ってますから!』

 

『いや重いわ』

 

 彼は呆れるように笑った。その目は、かつての思い出のように穏やかであった。

 

 

 そうして、彼がお店から出て半日程。

 真夜中。彼を待って、お店のカウンターを前にウトウトとしていた私を叩き起こしたのは、魔王軍の緊急連絡用のインプであった。

 聞けば、魔王城を守る結界をすり抜けて勇者が魔王城内部で大暴れしていると。そして全魔王軍を緊急招集しているとの事であった。

 なんちゃって幹部の私も、一応魔王軍の所属ではある。インプを使用したテレポートによって魔王城まで一気に飛べば、そこには半年前に私がつい半壊させた後、魔王軍が頑張って再建していた魔王城の姿は無く、半壊を超えて全壊と呼ぶに相応しい破壊活動と死屍累々の魔王軍、長い脚だけが生えるように深々と地面に突き刺さっているシルビア。スライムなのに粉々に砕けていると言うに相応しい状態のハンス、老体に物理的に鞭を撃たれて半死半生の魔王さん。

 

『ひぎゃああああああああああ!!!!!!!』

 

『そぉらそらそらそらそら。身体と一緒に心まで腐って騎士道の欠片も無くなった愚かなデュラハンは何処の誰だー?』

 

 そして、頭に鞭を巻きつけられたまま鋭い鞭捌きで振り回され続けているベルディアが居た。

 鞭が音速を超えて空気を叩く音と共に、ベルディアの頭から既に無くなった筈の血液のような何かが更に絞られる。

 

『やめろおおおおお!!!やめてくださいおねがいしますううううう!!!!』

 

『負けそうになったら死の宣告撃って逃げ、ぬくぬくと魔王城に引き籠って相手が死ぬまで待つ騎士道の欠片も無いゴミカス戦法を使っておきながら勇者殺しの騎士を名乗るボケクソデュラハンは誰だー?』

 

『ぎょごばあああああああああああああ!!!!!!!』

 

『魔王の加護で物理耐性持ってるのに、正々堂々剣で勝負しようではないかとかほざいてたカスクズデュラハンは誰だー?』

 

『おぎょぼへええええええええええええ!!!!!!!』

 

 月夜に照らされ、鞭を振り回す彼はさながら悪魔よりも恐ろしかった。

 彼はベルディアの頭を散々振り回し、血液のような何かすら出なくなった頃にようやくトドメと言わんばかりに頭をベルディアの胴体に叩きつけました。

 

『カッ……ガハ……』

 

『魔王軍を滅ぼすのは、今は気が乗らないから見逃してやるよ』

 

 後に聞けば、彼は昔に一度、今のように魔王軍を滅ぼしかけた事があると言う。彼曰く、『魔王に受けた借りは滅ぼさない事で返すとする』という事で見逃したようだ。

 彼は私を見つけると、頭を掻きながら『待ってるって言ってたろ』と私を困ったように見つめた。

 そして彼はリッチーとなった私の手を取り、アクセルまでのテレポートを頼んだ。

 

『私がリッチーのスキルを振るうとは思わないんですか?』

 

『俺には効かないし今更過ぎる。ほら、早く帰るぞ』

 

 帰る、と。彼はアクセルの街に帰ると、そういいました。

 私はそれが途方もなく嬉しくて、また泣いてしまいました。

 私が、明確に変わったと言えるのはコレがあったからでしょう。

 

 アクセルの街に帰り、私は感情が極まったまま彼にずっとしがみ付くように抱き着いてました。

 彼は本当に困ったように頭を掻き、そのまま私をお店の奥へ抱えていきました。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

「で?」

 

「えっ、でっ……て?」

 

「その後ダイチに美味しく頂かれたの?」

 

「うぇへ!????べべべ別にそんな事になってません!!!!だ、ダイチさんに抱かれたのはその時じゃないですから!!!!!」

 

()()()()()()()って事はそれ以外の時に抱かれたのね?」

 

「ピッ!??????????」

 

「アクア様、ウィズを虐めちゃダメだぞ」

 

「キュッ!??????????????????????」

 

「あらダイチ!コッチに来たのね!?あの忌々しい寄生虫にトドメを刺してきたかしら?」

 

「逃げられちゃいましてねー」

 

 場所はウィズ魔道具店……の近くにあるカフェ。そこのテラス席でアクアとウィズが昔話に花を咲かせていた。

 結局あの後ウィズ魔道具店で俺とバニルの第二ラウンドが始まり、退避してきたウィズがアクアに捕まって近くのカフェで話をしていたようだ。

 

「イ、イツカラソコニイラッシャッタノデショウカ」

 

「今さっきだぞー。それにしても、俺に聞かれて恥ずかしがるような昔話ってどんな話なんだー?」

 

「ん~?別に普通だったわよ?ダイチと子供の頃のウィズが出会った時からの話を聞いてたのよ」

 

「ウィズが子供の頃……?俺達ってアクセルの街で出会ってなかったか?」

 

「あー……まあそれは良いわ。それよりダイチ、貴方ウィズを抱いたの?」

 

「なんでそんなことをきくんでせう」

 

「そりゃぁ……だって、ダイチの昔の女の話って気になるじゃない……私は貴方が初めてだってのに……」

 

 なんだこの女可愛いか?

 

「まぁそうだな……あー、まあ、何回か……」

 

「やっぱりしたのね!!?何回かって何回よ!!?いつ!?何処で!?」

 

「ちょちょちょダイチさんッ!!!?」

 

「まぁまぁ、あんまり人通りが無いとは言え真昼間から酒も無しに話すような話じゃないしなー」

 

「そもそも話さないで下さいッ!!!!!」

 

 アクアとウィズに掴み掛かられ、押し倒されそうになる。

 ああ、そう言えばウィズと初めてそういう事をした時は、意外にもウィズが俺を押し倒して事が始まったんだったか。

 

 あれは、そう。確かーーー

 

「なんで回想シーンに入ろうとするんですか!?ダメですよ絶対にダメですからね!!!!?」

 

「くっ、止めちゃダメよダイチ!私には貴方の過去を知る権利があるんだから!!!」

 

「そんな権利は無いですからッ!!!ソレを言うなら私にも過去を守る権利がありますからねっ!!!!?」

 

 二人の押す力が更に強くなる。

 ふと周りを見れば、やれ痴話喧嘩だの二股だの野次馬が好き勝手に言ってやがる。

 好き勝手に言うのは結構だが、そこで『やれーウィズさんー!その男を押し倒せー!』とか、『負けるなアクアさん!服を脱がせー!』とかは絶対に間違ってると思うよ。俺はポケットから鞭を取り出し、アホな事を言ってるアホをかる~くシバく。死んでないからセーフ。

 そしてガクガクと俺の胸ぐらを掴んで揺さぶるアクアとウィズの二人を抱え、テーブルに多少のエリスを置き去りにしてカフェから逃げだした。

 

「あっ、お客様っ!!?ちょ、これ多すぎっ……ちょっとー!?」

 

「チップだ受け取れー」

 

 俺は二人をお米様抱っこで担ぎ上げ、スタコラサッサと宿の方角へ向かっていった。肩で騒ぐ二人の声には耳を塞ぎながら。

 

 

 

 アホな事を言っていたアホは拝金主義者が懐から財布を取られつつ【ヒール】を掛けてられていた。

 




次回はウィズの初めてと3P(予定)(予定は未定)(すなわち書くかどうかは神にも分からないということ)
感想高評価ここすきおなしゃッス。
沢山の感想は作者のモチベーションに素早くダイレクトに届いて脳に良いとされています。これが推し活……ってコト!?


【不生人】

 イキズヒト、またはシナズヒトとも。
 生命力が無く、かといってゴーストやアンデッドとは違い生命活動を行っている者。老いることも死ぬことも無く、天人や仙人と呼ばれる事もある。
 悪魔と似ているが、悪魔は殺せば死ぬ点で違う。


不忘却魔法(リメンバーユー)

 世界から消えて無くなった思い出を思い出し、消えないように保護する魔法。
 海の水を両手で掬うような効果しか無いが、超天才が膨大な魔力を消費してようやく発動出来る。
 しかし海の水を両手で掬っても、手のひらからは僅かにこぼれて行ってしまうのだ。




「やっほー、久しぶりだね」

「ちょっと聞きたいんだけどさ、アクアせんぱ……アクアさんが結婚したって本当?」

「あっ、婚約?あんま変わんないじゃん!!」

「ん、何?この雑誌の記事に書いてあるエリス教徒の盗賊って私のことかって?何この雑誌、【月刊勇者】?どれどれ…………」

「…………いや、私のことの訳無くない?私とダイチさんがどれだけ年齢離れてると思ってんの?エリス教徒の盗賊ってアクセルだけで何人居ると思ってるの……?王都も含めたら相当だよ……?」

「っていうか、私がそんな遊んでると思われてるのはちょっと不服なんだけど!?あ、あんま大きい声で言いたくないけど、この身体は清い身体なんだからねっ!?」

「はー、アホらし。あー分かった、それで王都でもなーんか変な目で見られてたんだ私。まぁ、事実無根だけどそれだけ私がダイチさんに狙われるような美人って思っとこ……」

「聞きたいことはそれだけ?全く……何十年前の事だと思ってるのか。じゃ私は助手くんにお祝いの言葉でも送ってくるよ」

「……えっ?なんでって……婚約したんでしょ?おめでとうのひと言くらい言うよそりゃ。まぁ、確かにパンツ泥棒だけど悪い人じゃぁ……」

「……………………は?アクアさんと婚約したのはカズマ君じゃなくてダイチさん?」

「…………………………………………………………なにいってんの?」
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