※この作品はR-18です。

濁った宝石   作:湖畔R

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第13話 制服を汚すな

 ドアノブを握った右手に力を込める。

 

 扉を開けた瞬間、たばこと安物の香水が混じった空気が凛の顔へまとわりついた。

 

 部屋の中央には大きなベッド。壁際にはソファ。奥には磨りガラスの嵌まった扉が一つ。そこまでを一息で見渡してから、凛は室内の男たちへ目を移した。

 

 ソファの中央にいる金髪の男も、その周りで笑っている男たちも、見覚えのある顔だった。

 

 第七話以降、形を変えながら何度も凛を囲んできた、同じ一味の男たち。

 

 新しい相手ではない。それが安心に繋がらないことだけは、もう嫌というほど知っている。

 

「よう、凛ちゃん。ちゃんと制服のまま来たな」

 

 金髪の男が脚を組んだまま、凛のスカートへ視線を落とす。

 

「その下、まだ全部つけたままだろ。学校でも楽しめたか?」

 

「……鍵を外すって話でしょう。くだらない前置きは要らないわ」

 

 凛は扉を背にして立ち、鞄の持ち手を右肩へ掛け直した。

 

 金髪の男を含め、室内にいる人数。玄関までの距離。ベッドとソファの間隔。奥の扉から誰かが出てくる可能性。

 

 鞄の底には、封を施した高純度宝石がある。

 

 器具を外した瞬間、男の手と注意は凛の腰へ集まる。その直後なら、こちらから注意が逸れる。鞄へ手を入れ、宝石を解放し、部屋ごと制圧する。映像と鍵の在処を吐かせるまで生かし、なお止めないなら――。

 

「一週間、外したままにしてやるよ」

 

 金髪の男の声が、凛の計算へ割り込んだ。

 

「その代わり、ここでちょっとしたゲームをしてもらう。悪い話じゃねえだろ?」

 

 一週間。

 

 普通に歩ける。学校で音と匂いに怯えずに済む。身体の奥へ媚薬を送り込まれることも、バイブとローターに授業中の声を奪われることもない。

 

 けれど、期待した顔を見せれば、それすら餌にされる。

 

「先に外しなさい。話はそれからよ」

 

 凛が冷たく返したとき、男の一人が鼻で笑った。

 

 その直後だった。

 

 ピリリリリリ、と金髪の男のスマホが鳴る。

 

「ああ。……なに? そりゃちょうどいいな。持ってこい」

 

 短い通話が切れた。

 

 凛は鞄の口へ指を掛ける。男たちの注意が一瞬だけ奥の扉へ向いた。今なら先に、いや、器具を外させてからでないと――

 

「凛ちゃんの目、怖えからな。噛みつかれる前に、いいもん見せてやるよ」

 

 磨りガラスの扉が開いた。

 

 男の腕に抱えられ、力なく頭を垂れた制服姿が運び込まれる。

 

 見慣れた短い髪。弓道部で鍛えた手。その手が、今は指一本動かさず垂れ下がっていた。

 

「……美綴?」

 

 美綴は答えない。

 

 男は眠らされた美綴をソファの端へ座らせ、背後から首へ腕を回した。頬を軽く叩かれても、閉じた瞼は震えるだけだった。

 

「お前の後を追って、この建物まで入ってきたんだとさ。友達思いだねえ」

 

 凛は気づいた。美綴は自分を心配して、放課後の学校から後をつけてきたのだ。

 

「彼女を離しなさい」

 

「眠ってるだけさ」

 

 心臓が一度、大きく打った。

 

 男が美綴の顎を持ち上げる。首を支える腕へ、わざと力が加わった。眠った身体は抵抗できず、爪先が床を擦る。

 

 高純度宝石を解放すれば、この狭い部屋にいる男たちは倒せる。

 

 同時に、爆ぜた魔力は美綴も巻き込む。威力を絞れば、美綴の首へ回った腕を止めるより先に別の男が動く。

 

 凛の指が、鞄の口から離れた。

 

「その子には何もしないで」

 

「お前が大人しく従うならな」

 

 男たちの目が凛へ集まる。

 

 使えない。美綴がここにいる限り、宝石は使えない。

 

「……分かったわ。言う通りにする。何をさせるつもり?」

 

 喉から押し出した声は、自分のものと思えないほど乾いていた。

 

 金髪の男が満足そうに立ち上がる。

 

「そうこなくちゃな。まずは腹ん中の臭えもん、全部出さねぇとな。ほら、しゃがめよ」

 

 金髪の男がポケットから鍵を取り出した。

 

 凛は眠った美綴が見える位置から動かず、制服のスカートを腰までたくし上げる。男が足元へ置いたプラスチックの桶を跨ぎ、ゆっくり腰を落とした。

 

 しゃがんだ姿勢では、両膝を大きく開かなければ桶の縁へ触れてしまう。

 

 男の指が、腿の付け根へ食い込んだ貞操帯の錠を探る。

 

「動くなよ」

 

 カチリ。

 

 硬い金属音とともに、何日も腰を締めつけていた貞操帯が緩んだ。

 

「っ……」

 

 外れた帯を別の男が両手で支える。汗と愛液で蒸れた皮膚へ冷たい空気が触れ、圧迫されていた跡がじんじんと疼いた。

 

 続いて、膣の奥を塞いでいたバイブが少し引かれる。

 

「んっ、あ……!」

 

 ぬるっ、と太い器具が動いた瞬間、圧迫の緩んだ膣が、その動きを追うようにきゅっと縮んだ。クリトリスへ貼りついていたローターも、濡れた皮膚からぺり、と剥がされる。

 

「ほら、力抜けよ。腹ん中、軽くしたいんだろ?」

 

「黙りなさい……っ」

 

 凛は桶の上で両膝をさらに開き、壁へ左手をついた。腹へ入っていた力を、ほんの少しだけ緩める。

 

 ずるずるずる、と白濁した液を絡めながら、太く長いバイブが引き抜かれる。

 

「んくっ……!」

 

 どぼっ。

 

 白濁した液体が太い筋になって落ち、桶の底を叩いた。

 

「うわ、すげえ」

 

 どろっ、どろどろ……。

 

 止まらない。バイブに栓をされ、奥へ押し戻され続けていた精液が、濁った塊になって膣から溢れていく。腹の奥にこびりついた重さまで、少しずつ下へ引かれていった。

 

「何日分だよ、これ」

 

「くっせぇな。学校でばれなかったのか?」

 

 男たちの笑い声が頭上から降ってくる。

 

 頬が熱い。唇を噛んでも、身体が軽くなっていく安堵だけは消せなかった。

 

 外れた。

 

 やっと、外れた。

 

 何も動いていない。

 

 何も震えていない。

 

 その事実に救われている自分が、ひどく惨めだった。

 

「まだ垂れてるぞ。奥のシャワー室で洗ってこい」

 

 金髪の男が顎で磨りガラスの扉を示す。

 

「ちゃんと中までな。連れに何もされたくなきゃ、勝手な真似はするなよ」

 

 凛はソファの美綴を見る。衣服に乱れはなく、胸はゆっくり上下している。その背後には男が一人残り、こちらを見ながら美綴の肩へ手を置いていた。

 

 宝石へ伸びかけた考えを、もう一度切り捨てる。

 

 凛は制服を脱ぎ、鞄と一緒に畳んで棚へ置くと、裸のままシャワー室へ入った。

 

 熱い湯を頭から浴びる。

 

 髪を伝った雫が肩から胸を流れ、圧迫痕の残る腰を洗っていく。凛は壁へ片手をつき、もう一方の指を膣へ差し入れた。

 

 ぐちゅっ、ぬるっ。

 

 指先で奥をなぞり、襞に残った白濁を掻き出す。濁った筋が腿を伝い、湯に薄められながら排水口へ吸い込まれた。

 

「ん……っ」

 

 長く刺激され続けた粘膜は、洗うための指にまで敏感に反応した。それでも動きを止めない。これは快感を得るためではない。残ったものの位置を確かめ、外へ出すための作業だ。

 

 何度も指を抜き差しし、透明な湯しか流れなくなって、ようやく肩の力が抜けた。

 

(洗える。やっと、綺麗にできる……)

 

 胸へ安堵が広がる。

 

 すぐに、その安堵を喜んだ自分への嫌悪が追いかけてきた。

 

 本来なら、身体を洗えることなど特別でも何でもない。それを褒美のように感じさせられている。凛は目を閉じ、顔へ強く湯を浴びせた。

 

 肩が小さく震える。

 

 そのとき、背後で扉が開いた。

 

「待ってられねえ。先に俺が使う」

 

 振り向くより早く、見覚えのある男が裸で入り込んできた。

 

「出ていきなさい。まだ洗って――」

 

 背後から両腕ごと抱えられる。片手が濡れた胸を掴み、もう片方が腰を引き寄せた。

 

 硬いペニスの先が、洗ったばかりの膣口へ押し当てられる。

 

「やめ……っ」

 

 ぬぷっ。

 

 抵抗する間もなく、生の熱が一気に奥まで押し込まれた。

 

「んあっ……ああっ!」

 

 洗浄で何度も触れた粘膜を、太いペニスが内側から押し広げる。身体が勝手に強張り、逃げようとした腰を男の手が捕まえた。

 

「ここなら汚しても、すぐ流せるだろ」

 

「ふざけ……んっ、あっ!」

 

 ぱんっ、ぱんっ。

 

 男の腰が尻へ当たるたび、ぬちゅっ、ぐちょっ、と結合部から湿った音が弾けた。熱い湯が二人の脚を打ち、床でぱしゃぱしゃと跳ねる。

 

 凛は右手を壁へ押しつけられた。左手で蛇口の縁を掴み、滑る足を必死に踏ん張る。

 

「んっ、や……もう、奥は……あっ!」

 

「バイブよりいいだろ。ほら、締まったぞ」

 

「違う……っ、こんなの、望んで……んあぁっ!」

 

 奥を突かれるたび、疲れ切った身体へ鋭い快感が走る。洗う指にさえ反応した膣は、生の摩擦を拒みきれず、勝手にペニスへ絡みついた。

 

 びくっ、びくびくっ。

 

 膝が折れかける。男に腰を抱え上げられたまま、最初の絶頂が身体を駆け抜けた。

 

「あっ……いく、いくっ……!」

 

「まだだ。もっとイけよ」

 

 ぱんっ、ぬちゅっ、ぱんっ。

 

 何度も同じ場所を抉られ、凛の爪が蛇口の縁を掻く。息を整える間もなく、短い絶頂が重なった。

 

「んあっ……や、もう……脚、立たな……っ」

 

「じゃあ座ってやるよ」

 

 じゅぼっ、とペニスが抜かれる。

 

 力の抜けた凛が床へ崩れる前に、男は浴室用の椅子を引き寄せて腰を下ろした。凛の腕を引き、向かい合わせに自分の太腿へ跨がせる。

 

「待ち……なさい……」

 

 腰を掴まれ、再び入口が先端へ重なる。

 

 ぬぷっ、ぐちゅっ。

 

 下から突き上げられ、凛の喉から掠れた声が漏れた。

 

「あぁっ!」

 

 男の腕が背中へ回り、逃げられないほど強く抱き寄せる。濡れた胸が押し潰され、次の瞬間、唇まで塞がれた。

 

「んむっ……! ん、んんっ……!」

 

 舌が口内へ押し入り、凛の舌を絡め取る。顔を背けようとしても、後頭部を掴まれて動けない。

 

「んっ……や……キスは、嫌……」

 

「この方が興奮するんだよ」

 

 ぐちょっ、ぐちょっ。

 

 男が椅子から腰を突き上げるたび、ペニスの先が膣の奥へぶつかる。口を塞がれたまま「あっ、んんっ」と声が潰れ、凛の腰がまた小刻みに震えた。

 

「中に出すからな。ちゃんと受け止めろ」

 

「や……やめ、て……んあっ!」

 

 びゅるっ、びゅるるっ……!

 

 抱き締められたまま、熱い精液が膣の奥へ何度も叩きつけられる。

 

 どくん、どくん、と中で脈打つペニスへ、絶頂した膣が意思に反してきつく収縮した。

 

「んんっ……あ、ぁ……」

 

 口づけを強いられたまま、中出しされる。

 

 さっきまで透明だった湯の下で、また身体の奥を汚されていく。

 

 男が満足して唇を離し、ペニスを抜く。凛は椅子からずり落ち、濡れた床へ両手をついた。

 

 膣からとろりと精液が溢れ、太腿の内側を白い筋になって伝う。シャワーの湯は表面を流しても、奥に残った熱までは消してくれない。

 

「着替えたら出てこい。次が待ってるぞ」

 

 扉が閉まる。

 

 凛は湯の下で肩を震わせた。

 

 一度は綺麗になったはずの身体に、男の精液がまた溜まっていた。

 

「遅えぞ」

 

 扉越しの声に急かされ、凛はシャワーを止めた。

 

 備え付けの薄いタオルで身体を拭き、ワイシャツへ腕を通す。震える指で下からボタンを留め、スカートを腰へ戻した。

 

 下着はない。

 

 棚へ置いたはずのそれだけが消えていた。制服の下は素肌のまま。歩いた途端、シャワー室で中出しされた精液が膣から溢れ、濡れた腿をゆっくり伝った。

 

 主室へ戻ると、美綴はソファの端で眠り続けていた。背後には変わらず男が立っている。

 

 金髪の男はテーブルへスマホを置き、その画面を指で叩いた。赤い数字のタイマーが表示されている。

 

「約束の話をしようか。一週間、貞操帯もバイブもローターも外したまま。そいつには何もしない」

 

 顎で美綴を示してから、男はベッド前に並んだ五人へ視線を移した。

 

「条件は簡単だ。こいつらを一人ずつ、三分以内に口でイかせろ。五人とも成功したら、お前の勝ちだ」

 

「失敗したら?」

 

「そんとき考える」

 

 後からいくらでも条件を変えられる言い方だった。

 

 それでも今は、従う以外に美綴を守る手段がない。

 

 凛は五人の顔と身体を順番に見る。呼吸。立ち方。すでに硬くなっているペニス。反応を読めば、時間内に終わらせられる可能性はある。

 

「……始めなさい」

 

「強がるねえ。じゃ、一人目。口だけだ。手は使うなよ」

 

 凛はベッドの前へ膝をついた。

 

 一人目の男がズボンを下ろし、勃起したペニスを凛の顔前へ突き出す。凛は背中で両手を組み、男を見上げた。

 

「スタート」

 

 スマホから短い電子音が鳴る。

 

 凛は口を開き、亀頭を唇で包んだ。

 

 ちゅぱっ。

 

 舌先で裏側をなぞり、そのまま半分まで咥え込む。手を使えないぶん、首を前後させ、唇の締めつけを変えるしかない。

 

「んっ……んん……」

 

 じゅるっ、ちゅぱっ、じゅぽっ。

 

 男が腰を前へ出すたび、ペニスが口の奥へ滑り込む。喉へ触れる寸前で角度を変え、舌を根元から先へ這わせる。

 

「お、慣れてるじゃねえか」

 

 その言葉へ怒りを返す余裕はない。

 

 画面の赤い数字が減っていく。男の腿へ力が入り、呼吸が浅くなった。射精が近い。

 

 じゅぽっ、ちゅぱっ。

 

「うっ……すげぇ気持ちいい」

 

 凛は頬を窄め、亀頭へ吸いつく力を強める。

 

 ちゅぱっ、じゅるるっ。

 

「くっ……出るぞ」

 

 男が凛の後頭部を掴み、腰を前へ突き出した。

 

「んぐっ……!」

 

 びゅるっ、びゅるるっ……!

 

 温かい精液が口の中へ広がる。舌の上へ何度も吐き出され、苦い匂いが鼻へ抜けた。

 

 電子音が鳴るより先に、男の膝から力が抜ける。

 

「一人目、成功」

 

 金髪の男が笑った。

 

 凛はペニスを口から離す。制服へ垂らさないよう唇を閉じ、口内の精液を無理に飲み下した。喉がひくりと痙攣する。

 

「次」

 

 息を整える時間もなく、二人目が凛の前へ立つ。

 

 凛が再び口を開こうとしたところで、金髪の男が言った。

 

「二人目は胸も使え」

 

「最初は口でって言ったでしょう」

 

「胸も口も使うんだよ」

 

 やはり、規則など最初から男たちの気分でしかない。

 

「早くしろ。もう時間、減ってるぞ」

 

 電子音はすでに鳴っていた。

 

 凛は奥歯を噛み、ワイシャツのボタンを上から外す。胸元を開き、ブラジャーごと乳房を引き出した。

 

 自分の両手で乳房を左右から寄せる。谷間へペニスを挟み込み、上下に扱く。やり方があっているのか、わからない。

 

「先っぽ、咥えろ」

 

 乳房の間を滑ってきた亀頭を、凛は唇で受ける。

 

 ぬちゅっ、ちゅぱっ。

 

 胸を上下させるたび、ペニスが柔らかな谷間を擦り、先端だけが口へ出入りした。

 

「んっ、んむ……っ」

 

 口内には一人目の精液の味がまだ残っている。鼻で短く息を継ぎながら、亀頭が入るたび舌先で尿道口をなぞった。

 

 画面を見る。

 

 残り時間が少ない。

 

 男の呼吸は速くなっているが、まだ足りない。

 

 強く乳房を寄せ、ペニスを圧迫する。上半身ごと上下させ、谷間の圧力と口の吸いつきを同時に強める。

 

 ぐちゅっ、ぬちゅっ、ちゅぱっ。

 

「くっ……それだ。もっと速く」

 

「んんっ……!」

 

 ワイシャツの裾が膝の上で揺れる。胸だけを激しく動かしながら、凛は赤い数字を追った。

 

 あと僅か。

 

「出すぞ。口、離すな」

 

 男が乳房を潰すように強く寄せ、亀頭を唇の奥へ押し込んだ。

 

 びゅるっ、びゅるるっ……!

 

「んぐぅっ……!」

 

 二人目の精液が口内へ迸る。

 

 直後、タイマーが甲高く鳴った。

 

「ぎりぎり成功」

 

 男たちが拍手し、笑う。

 

 凛は咳き込みそうになるのを堪え、口から垂れそうになった白濁を舌で押し戻した。男が胸から手を離す。凛は急いで乳房をブラジャーへ収め、ワイシャツのボタンを留め直した。

 

 これで二人。

 

 あと三人成功すれば、美綴を連れて帰れる。一週間だけでも、器具のない身体で過ごせる。

 

「三人目だな」

 

 金髪の男の声で、三人目の男が前へ出た。

 

 凛の顎はすでに痺れ、喉は二人分の精液で粘ついている。膝も床に当たり続けて痛んだ。それでも、目の前のペニスへ手を添え、口へ含む。

 

「んっ……じゅるっ……んん……」

 

 三人目の男は、凛が首を動かしても腰を押しつけてこなかった。

 

 先端を舌で擦る。根元を手でしごき、口を深くする。それでも男は余裕のある笑みを崩さない。

 

「ほら、残り減ってるぞ」

 

 金髪の男がタイマーを凛へ向ける。

 

 赤い数字が一つずつ消えていく。

 

「制服ってのがいいよな。そそられる」

 

 三人目はまだまだ余裕そうにそう言いながら、凛の髪を撫でていた。

 

 凛は頬を窄め、じゅるっ、じゅぽっ、と強く吸った。男の腿へ爪を立て、喉へ届くまで深く咥える。

 

「んぐっ……んっ、んんんっ……!」

 

 吐き気を押し殺し、角度を変える。舌、唇、喉、手。使えるものをすべて使っても、男の呼吸はわざとらしいほど平らなままだった。

 

「まだだな」

 

 残りが僅かになる。

 

 凛はペニスを口から離し、掠れた声を絞った。

 

「出しなさい……早く……っ」

 

「お願いの仕方が足りないんじゃねえか?」

 

「お願い……だから……出して……」

 

 再び咥え、必死に首を動かす。

 

 じゅるっ、ちゅぱっ、じゅぽっ。

 

 それでも男は絶頂しない。

 

 無情な電子音が、部屋へ長く響いた。

 

 時間切れ。

 

 凛の口からペニスが抜ける。唾液が細い糸になって切れ、顎から床へ落ちた。

 

「残念。三人目、失敗」

 

 金髪の男がスマホを伏せる。

 

 一週間。

 

 外したままにする約束を、失った。

 

 きっとまたあの貞操帯を締められる。バイブとローターを押し込まれ、学校で音と匂いに怯える日々へ戻される。

 

「そんな……」

 

 絶望で、凛の肩から力が抜けた。

 

 その瞬間、左右から腕を掴まれた。

 

「何を――っ」

 

 二人の男が凛の両腕を背へ折り上げ、別の男が背後から両脇へ腕を通す。上体を羽交い締めにされ、立たされた凛の胸がワイシャツ越しに強く反った。

 

 さらに一人がスカートの裾を掴み、腰までまくり上げる。

 

「制服は汚すなよ」

 

 金髪の男が命じた。

 

「本物なんだからな。破るな。外にかけるのもなしだ。全部、中で済ませろ」

 

「ゲームは終わったでしょう!」

 

「失敗した罰だよ」

 

 背後へ男が立つ。下着のない尻を両手で開かれ、硬い先端が精液の溢れる膣口へ押し当てられた。

 

「やめなさい……っ、離して!」

 

 ぬぷっ……!

 

 一息で奥まで挿入され、凛の身体が羽交い締めの腕の中で跳ねた。

 

「あぁっ!」

 

「すげえ。中ぐちょぐちょじゃねぇか」

 

 男が腰を引くと、別の男の精液がペニスに押し出され、腿へぬるりと伝う。すぐにまた奥まで突き込まれた。

 

 ぱんっ、ぐちょっ、ぬちゅっ、ぱんっ。

 

「んっ、あっ、や……っ! こんな……!」

 

 顔だけをソファへ向ける。

 

 美綴は眠ったまま動かない。けれど、いつ目を覚ますか分からない。その距離で、凛は男たちに身体を支えられ、制服のスカートを上げられたまま犯されている。

 

「起こされたくなきゃ、静かにしろよ」

 

「くっ……んんっ!」

 

 唇を噛んでも、突き上げられるたび喉の奥で声が震えた。

 

 男の動きが速くなる。羽交い締めにした腕が上体を固定しているため、腰だけが衝撃で前後へ揺さぶられた。

 

「出すぞ」

 

「いや……中は、やめ……っ」

 

 びゅるっ、びゅるるっ……!

 

 熱い精液が膣内へ注ぎ込まれる。子宮口近くで脈打つ感触に、凛の脚ががくがくと震えた。

 

 男が抜く。

 

 開いた膣から白濁が溢れるより先に、次の男が腰を掴んだ。

 

 順番の中出しは、まだ始まったばかりだった。

 

「次、俺な」

 

 ぬぷっ、ぐちゅっ。

 

「あっ……待って、まだ……んあぁっ!」

 

 休む間もなく、別のペニスが精液ごと奥へ押し戻す。

 

 腕を押さえる男が替わり、凛はベッドの縁へ上体を倒された。ワイシャツの胸元がシーツへ触れないよう肩を支えられ、スカートだけを腰の上で束ねられる。

 

 制服の外側を汚さないために、男たちは妙に丁寧だった。

 

 凛の身体だけを汚すために。

 

 ぱんっ、ぱんっ、ぬちゅっ。

 

「んっ、あっ、ああっ……!」

 

 二人目の男は浅く速い動きから、突然奥まで腰を打ちつけた。その変化のたび身体が跳ね、望まない快感が腹の底へ積み重なる。

 

「締まってきたぞ。イくんじゃねえか?」

 

「違う……っ、イかない……!」

 

 否定した直後、深い一突きが敏感な場所を擦った。

 

 びくっ、びくびくっ。

 

「あっ……や、ぁ……!」

 

 膣が勝手に収縮する。男たちの笑い声に重なって、凛の掠れた悲鳴が漏れた。

 

「ほら、出してやれ」

 

 びゅるっ、びゅるるっ……!

 

 二人目の精液が、先に注がれた熱へ重なる。

 

 抜かれれば、また次。

 

 立たされ、両腕を左右から掴まれる。片脚を持ち上げられ、開いた膣へ三人目が入る。

 

 ぬぷっ、ぬちゅっ。

 

 ベッドへ膝をつかされ、背後から腰を掴まれる。別の男が胸元のボタンを確かめ、精液が飛ばないようワイシャツを押さえる。

 

 中へ出される。

 

 抜かれる。

 

 また別のペニスが、溢れかけた精液ごと奥へ押し込む。

 

「んあっ……もう、入らな……っ、あぁっ!」

 

「まだ入るだろ。ほら、締めろ」

 

 ぱんっ、ぐちゅっ、ぬちゅっ。

 

 誰の腰が背後にあるのか、もう振り返る力もない。ただ、男が替わるたびに腕を持つ手と腰の角度が変わり、膣の中へ新しい熱が加わっていく。

 

「中に出すぞ」

 

「や……もう、やめ……」

 

 びゅるっ、びゅるるっ……!

 

「あぁっ……!」

 

 腹の奥が重い。

 

 何人分もの精液が、洗ったばかりの奥へ重ねて注ぎ込まれていく。

 

 最後の男が抜けると、凛は両側から腕を支えられたまま立っていられなかった。膝が落ち、ベッドの縁へ崩れる。

 

 膣からどろりと白濁が垂れ、腿を伝った。男の一人がスカートの裾を持ち上げ、液が布へ触れないよう笑いながら避ける。

 

「制服は無事だぞ」

 

「上出来じゃねえか」

 

 制服は破れていない。外側に精液もついていない。

 

 凛の内側だけが、重く満たされていた。

 

「……早く、つければ」

 

 凛は途切れる息の間から言った。

 

「ゲームに失敗したんでしょう。貞操帯を……また、つけるんじゃないの」

 

 金髪の男は、仲間たちの顔を見回した。

 

「どうする?」

 

「もういいんじゃねえ? 今日は満足したし」

 

「俺も。たっぷり入れたからな」

 

 笑いながら交わされる声を、凛は理解できなかった。

 

 金髪の男が肩をすくめる。

 

「だとさ。俺たち、満足したからよ。外したままでいい」

 

「……何を、言ってるの」

 

「ゲームは失敗。でも今日は気分がいい。だから外したまま。何か問題あるか?」

 

 成功すれば外す。

 

 失敗すれば約束を失う。

 

 そう信じて、二人分を口で受け、三人目へ必死に縋った。

 

 だが、成功も失敗も最初から意味はなかった。

 

 条件も罰も、男たちが凛へ希望を持たせ、奪い、反応を眺めるための道具にすぎない。

 

「映像は……」

 

「それは別の話だ。また連絡する」

 

 金髪の男は美綴を肩に抱き、主室と廊下を隔てる扉へ歩き出した。

 

「待ちなさい。その子は置いて行って」

 

「取って食やしねぇよ。隣の部屋に置くだけだ。ここで起きられちゃ、匂いでバレるぞ。そうなったら凛ちゃん、困るだろ」

 

 金髪の男は扉を開けたまま、美綴を隣室のソファへ寝かせた。凛の位置から、乱れのない制服と、ゆっくり上下する胸が見える。

 

 男は廊下へ戻り、ニヤニヤと口元を歪めた。

 

「良かったな、凛ちゃん。じゃあな」

 

 男たちの笑い声と足音が、廊下の向こうへ遠ざかっていく。

 

 扉が閉まり、部屋が静かになった。

 

 凛はしばらく動けなかった。

 

 やがてベッドの縁を掴み、震える脚で立ち上がる。胸元のボタンを確かめ、腰まで上がったスカートを下ろした。

 

 外から見れば、制服に目立つ乱れはない。

 

 口元を手の甲で拭い、髪を指で整える。深く息を吸っても、膣の奥に溜まった大量の精液が重く揺れた。下着がないため、少し力を抜けば腿へ流れ落ちてくる。

 

 それでも先に、美綴を確かめなければならない。

 

 凛は開いた扉を抜けて隣室へ入り、ソファの美綴へ近づいた。

 

 美綴の制服に乱れはない。首元にも傷はなく、脈は規則正しい。呼吸も安定している。

 

「美綴。起きなさい」

 

 肩を揺する。

 

「美綴」

 

「……ん……」

 

 美綴の瞼がゆっくり開いた。焦点の合わない目が天井を見て、それから凛の顔で止まる。

 

「……遠坂?」

 

「立てる?」

 

「あたし、お前を追って……このビルまで来て……」

 

 美綴は額へ手を当て、眉を寄せた。

 

「中に入って、それから……何だ? 思い出せない。どこだよここ……」

 

 建物へ入った後の記憶が欠けている。

 

 凛は膝の震えを押し殺し、背筋を伸ばした。いつもの遠坂凛の顔を作る。

 

「何もなかったわ。もう解決した」

 

「何もなかったって、お前……」

 

 美綴の視線が、湿った凛の髪からワイシャツ、スカートへ下りていく。

 

「顔、真っ青じゃないか。声も酷いぞ」

 

「シャワーを借りただけよ。あんたが巻き込まれたのは想定外だったけど、本当にもう終わった」

 

「じゃあ、ここは何なんだ。さっきまで誰が――」

 

「美綴」

 

 凛は強く名を呼んだ。

 

 それ以上聞かないで。

 

 言葉にしなかった懇願が伝わったのか、美綴は口を閉じた。納得した顔ではない。それでも今ここで凛を問い詰めることはしなかった。

 

 凛がソファから離れようと一歩踏み出す。

 

 膣の奥で精液がたぷんと揺れ、濁った液が腿を伝った。

 

「っ……」

 

 足から力が抜け、壁へ手をつく。

 

 美綴は何も言わずに立ち上がり、凛の左側へ回った。それから、自分の腕を差し出す。

 

「肩、貸す。嫌だって言っても貸すからな」

 

「……強引ね」

 

「お互い様だろ」

 

 いつもの歯切れのよい声だった。

 

 凛はその腕を振り払わなかった。

 

 鞄を肩へ掛ける。底にある高純度宝石は、封印されたままだ。男たちを制圧することも、映像を奪うこともできなかった。

 

 それでも、貞操帯もバイブもローターも外れている。

 

 得たのではない。

 

 男たちの気分で、いつまで続くかも分からないまま、一時的に返された身体だった。

 

 美綴の肩へ体重を預け、二人で部屋を出る。廊下を進むたび、制服の内側では大量の精液が腿を濡らした。

 

 外から見える制服だけは、綺麗なまま。

 

 凛は何もなかった顔を崩さず、美綴に支えられて雑居ビルを出た。

 

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