ドアノブを握った右手に力を込める。
扉を開けた瞬間、たばこと安物の香水が混じった空気が凛の顔へまとわりついた。
部屋の中央には大きなベッド。壁際にはソファ。奥には磨りガラスの嵌まった扉が一つ。そこまでを一息で見渡してから、凛は室内の男たちへ目を移した。
ソファの中央にいる金髪の男も、その周りで笑っている男たちも、見覚えのある顔だった。
第七話以降、形を変えながら何度も凛を囲んできた、同じ一味の男たち。
新しい相手ではない。それが安心に繋がらないことだけは、もう嫌というほど知っている。
「よう、凛ちゃん。ちゃんと制服のまま来たな」
金髪の男が脚を組んだまま、凛のスカートへ視線を落とす。
「その下、まだ全部つけたままだろ。学校でも楽しめたか?」
「……鍵を外すって話でしょう。くだらない前置きは要らないわ」
凛は扉を背にして立ち、鞄の持ち手を右肩へ掛け直した。
金髪の男を含め、室内にいる人数。玄関までの距離。ベッドとソファの間隔。奥の扉から誰かが出てくる可能性。
鞄の底には、封を施した高純度宝石がある。
器具を外した瞬間、男の手と注意は凛の腰へ集まる。その直後なら、こちらから注意が逸れる。鞄へ手を入れ、宝石を解放し、部屋ごと制圧する。映像と鍵の在処を吐かせるまで生かし、なお止めないなら――。
「一週間、外したままにしてやるよ」
金髪の男の声が、凛の計算へ割り込んだ。
「その代わり、ここでちょっとしたゲームをしてもらう。悪い話じゃねえだろ?」
一週間。
普通に歩ける。学校で音と匂いに怯えずに済む。身体の奥へ媚薬を送り込まれることも、バイブとローターに授業中の声を奪われることもない。
けれど、期待した顔を見せれば、それすら餌にされる。
「先に外しなさい。話はそれからよ」
凛が冷たく返したとき、男の一人が鼻で笑った。
その直後だった。
ピリリリリリ、と金髪の男のスマホが鳴る。
「ああ。……なに? そりゃちょうどいいな。持ってこい」
短い通話が切れた。
凛は鞄の口へ指を掛ける。男たちの注意が一瞬だけ奥の扉へ向いた。今なら先に、いや、器具を外させてからでないと――
「凛ちゃんの目、怖えからな。噛みつかれる前に、いいもん見せてやるよ」
磨りガラスの扉が開いた。
男の腕に抱えられ、力なく頭を垂れた制服姿が運び込まれる。
見慣れた短い髪。弓道部で鍛えた手。その手が、今は指一本動かさず垂れ下がっていた。
「……美綴?」
美綴は答えない。
男は眠らされた美綴をソファの端へ座らせ、背後から首へ腕を回した。頬を軽く叩かれても、閉じた瞼は震えるだけだった。
「お前の後を追って、この建物まで入ってきたんだとさ。友達思いだねえ」
凛は気づいた。美綴は自分を心配して、放課後の学校から後をつけてきたのだ。
「彼女を離しなさい」
「眠ってるだけさ」
心臓が一度、大きく打った。
男が美綴の顎を持ち上げる。首を支える腕へ、わざと力が加わった。眠った身体は抵抗できず、爪先が床を擦る。
高純度宝石を解放すれば、この狭い部屋にいる男たちは倒せる。
同時に、爆ぜた魔力は美綴も巻き込む。威力を絞れば、美綴の首へ回った腕を止めるより先に別の男が動く。
凛の指が、鞄の口から離れた。
「その子には何もしないで」
「お前が大人しく従うならな」
男たちの目が凛へ集まる。
使えない。美綴がここにいる限り、宝石は使えない。
「……分かったわ。言う通りにする。何をさせるつもり?」
喉から押し出した声は、自分のものと思えないほど乾いていた。
金髪の男が満足そうに立ち上がる。
「そうこなくちゃな。まずは腹ん中の臭えもん、全部出さねぇとな。ほら、しゃがめよ」
金髪の男がポケットから鍵を取り出した。
凛は眠った美綴が見える位置から動かず、制服のスカートを腰までたくし上げる。男が足元へ置いたプラスチックの桶を跨ぎ、ゆっくり腰を落とした。
しゃがんだ姿勢では、両膝を大きく開かなければ桶の縁へ触れてしまう。
男の指が、腿の付け根へ食い込んだ貞操帯の錠を探る。
「動くなよ」
カチリ。
硬い金属音とともに、何日も腰を締めつけていた貞操帯が緩んだ。
「っ……」
外れた帯を別の男が両手で支える。汗と愛液で蒸れた皮膚へ冷たい空気が触れ、圧迫されていた跡がじんじんと疼いた。
続いて、膣の奥を塞いでいたバイブが少し引かれる。
「んっ、あ……!」
ぬるっ、と太い器具が動いた瞬間、圧迫の緩んだ膣が、その動きを追うようにきゅっと縮んだ。クリトリスへ貼りついていたローターも、濡れた皮膚からぺり、と剥がされる。
「ほら、力抜けよ。腹ん中、軽くしたいんだろ?」
「黙りなさい……っ」
凛は桶の上で両膝をさらに開き、壁へ左手をついた。腹へ入っていた力を、ほんの少しだけ緩める。
ずるずるずる、と白濁した液を絡めながら、太く長いバイブが引き抜かれる。
「んくっ……!」
どぼっ。
白濁した液体が太い筋になって落ち、桶の底を叩いた。
「うわ、すげえ」
どろっ、どろどろ……。
止まらない。バイブに栓をされ、奥へ押し戻され続けていた精液が、濁った塊になって膣から溢れていく。腹の奥にこびりついた重さまで、少しずつ下へ引かれていった。
「何日分だよ、これ」
「くっせぇな。学校でばれなかったのか?」
男たちの笑い声が頭上から降ってくる。
頬が熱い。唇を噛んでも、身体が軽くなっていく安堵だけは消せなかった。
外れた。
やっと、外れた。
何も動いていない。
何も震えていない。
その事実に救われている自分が、ひどく惨めだった。
「まだ垂れてるぞ。奥のシャワー室で洗ってこい」
金髪の男が顎で磨りガラスの扉を示す。
「ちゃんと中までな。連れに何もされたくなきゃ、勝手な真似はするなよ」
凛はソファの美綴を見る。衣服に乱れはなく、胸はゆっくり上下している。その背後には男が一人残り、こちらを見ながら美綴の肩へ手を置いていた。
宝石へ伸びかけた考えを、もう一度切り捨てる。
凛は制服を脱ぎ、鞄と一緒に畳んで棚へ置くと、裸のままシャワー室へ入った。
熱い湯を頭から浴びる。
髪を伝った雫が肩から胸を流れ、圧迫痕の残る腰を洗っていく。凛は壁へ片手をつき、もう一方の指を膣へ差し入れた。
ぐちゅっ、ぬるっ。
指先で奥をなぞり、襞に残った白濁を掻き出す。濁った筋が腿を伝い、湯に薄められながら排水口へ吸い込まれた。
「ん……っ」
長く刺激され続けた粘膜は、洗うための指にまで敏感に反応した。それでも動きを止めない。これは快感を得るためではない。残ったものの位置を確かめ、外へ出すための作業だ。
何度も指を抜き差しし、透明な湯しか流れなくなって、ようやく肩の力が抜けた。
(洗える。やっと、綺麗にできる……)
胸へ安堵が広がる。
すぐに、その安堵を喜んだ自分への嫌悪が追いかけてきた。
本来なら、身体を洗えることなど特別でも何でもない。それを褒美のように感じさせられている。凛は目を閉じ、顔へ強く湯を浴びせた。
肩が小さく震える。
そのとき、背後で扉が開いた。
「待ってられねえ。先に俺が使う」
振り向くより早く、見覚えのある男が裸で入り込んできた。
「出ていきなさい。まだ洗って――」
背後から両腕ごと抱えられる。片手が濡れた胸を掴み、もう片方が腰を引き寄せた。
硬いペニスの先が、洗ったばかりの膣口へ押し当てられる。
「やめ……っ」
ぬぷっ。
抵抗する間もなく、生の熱が一気に奥まで押し込まれた。
「んあっ……ああっ!」
洗浄で何度も触れた粘膜を、太いペニスが内側から押し広げる。身体が勝手に強張り、逃げようとした腰を男の手が捕まえた。
「ここなら汚しても、すぐ流せるだろ」
「ふざけ……んっ、あっ!」
ぱんっ、ぱんっ。
男の腰が尻へ当たるたび、ぬちゅっ、ぐちょっ、と結合部から湿った音が弾けた。熱い湯が二人の脚を打ち、床でぱしゃぱしゃと跳ねる。
凛は右手を壁へ押しつけられた。左手で蛇口の縁を掴み、滑る足を必死に踏ん張る。
「んっ、や……もう、奥は……あっ!」
「バイブよりいいだろ。ほら、締まったぞ」
「違う……っ、こんなの、望んで……んあぁっ!」
奥を突かれるたび、疲れ切った身体へ鋭い快感が走る。洗う指にさえ反応した膣は、生の摩擦を拒みきれず、勝手にペニスへ絡みついた。
びくっ、びくびくっ。
膝が折れかける。男に腰を抱え上げられたまま、最初の絶頂が身体を駆け抜けた。
「あっ……いく、いくっ……!」
「まだだ。もっとイけよ」
ぱんっ、ぬちゅっ、ぱんっ。
何度も同じ場所を抉られ、凛の爪が蛇口の縁を掻く。息を整える間もなく、短い絶頂が重なった。
「んあっ……や、もう……脚、立たな……っ」
「じゃあ座ってやるよ」
じゅぼっ、とペニスが抜かれる。
力の抜けた凛が床へ崩れる前に、男は浴室用の椅子を引き寄せて腰を下ろした。凛の腕を引き、向かい合わせに自分の太腿へ跨がせる。
「待ち……なさい……」
腰を掴まれ、再び入口が先端へ重なる。
ぬぷっ、ぐちゅっ。
下から突き上げられ、凛の喉から掠れた声が漏れた。
「あぁっ!」
男の腕が背中へ回り、逃げられないほど強く抱き寄せる。濡れた胸が押し潰され、次の瞬間、唇まで塞がれた。
「んむっ……! ん、んんっ……!」
舌が口内へ押し入り、凛の舌を絡め取る。顔を背けようとしても、後頭部を掴まれて動けない。
「んっ……や……キスは、嫌……」
「この方が興奮するんだよ」
ぐちょっ、ぐちょっ。
男が椅子から腰を突き上げるたび、ペニスの先が膣の奥へぶつかる。口を塞がれたまま「あっ、んんっ」と声が潰れ、凛の腰がまた小刻みに震えた。
「中に出すからな。ちゃんと受け止めろ」
「や……やめ、て……んあっ!」
びゅるっ、びゅるるっ……!
抱き締められたまま、熱い精液が膣の奥へ何度も叩きつけられる。
どくん、どくん、と中で脈打つペニスへ、絶頂した膣が意思に反してきつく収縮した。
「んんっ……あ、ぁ……」
口づけを強いられたまま、中出しされる。
さっきまで透明だった湯の下で、また身体の奥を汚されていく。
男が満足して唇を離し、ペニスを抜く。凛は椅子からずり落ち、濡れた床へ両手をついた。
膣からとろりと精液が溢れ、太腿の内側を白い筋になって伝う。シャワーの湯は表面を流しても、奥に残った熱までは消してくれない。
「着替えたら出てこい。次が待ってるぞ」
扉が閉まる。
凛は湯の下で肩を震わせた。
一度は綺麗になったはずの身体に、男の精液がまた溜まっていた。
「遅えぞ」
扉越しの声に急かされ、凛はシャワーを止めた。
備え付けの薄いタオルで身体を拭き、ワイシャツへ腕を通す。震える指で下からボタンを留め、スカートを腰へ戻した。
下着はない。
棚へ置いたはずのそれだけが消えていた。制服の下は素肌のまま。歩いた途端、シャワー室で中出しされた精液が膣から溢れ、濡れた腿をゆっくり伝った。
主室へ戻ると、美綴はソファの端で眠り続けていた。背後には変わらず男が立っている。
金髪の男はテーブルへスマホを置き、その画面を指で叩いた。赤い数字のタイマーが表示されている。
「約束の話をしようか。一週間、貞操帯もバイブもローターも外したまま。そいつには何もしない」
顎で美綴を示してから、男はベッド前に並んだ五人へ視線を移した。
「条件は簡単だ。こいつらを一人ずつ、三分以内に口でイかせろ。五人とも成功したら、お前の勝ちだ」
「失敗したら?」
「そんとき考える」
後からいくらでも条件を変えられる言い方だった。
それでも今は、従う以外に美綴を守る手段がない。
凛は五人の顔と身体を順番に見る。呼吸。立ち方。すでに硬くなっているペニス。反応を読めば、時間内に終わらせられる可能性はある。
「……始めなさい」
「強がるねえ。じゃ、一人目。口だけだ。手は使うなよ」
凛はベッドの前へ膝をついた。
一人目の男がズボンを下ろし、勃起したペニスを凛の顔前へ突き出す。凛は背中で両手を組み、男を見上げた。
「スタート」
スマホから短い電子音が鳴る。
凛は口を開き、亀頭を唇で包んだ。
ちゅぱっ。
舌先で裏側をなぞり、そのまま半分まで咥え込む。手を使えないぶん、首を前後させ、唇の締めつけを変えるしかない。
「んっ……んん……」
じゅるっ、ちゅぱっ、じゅぽっ。
男が腰を前へ出すたび、ペニスが口の奥へ滑り込む。喉へ触れる寸前で角度を変え、舌を根元から先へ這わせる。
「お、慣れてるじゃねえか」
その言葉へ怒りを返す余裕はない。
画面の赤い数字が減っていく。男の腿へ力が入り、呼吸が浅くなった。射精が近い。
じゅぽっ、ちゅぱっ。
「うっ……すげぇ気持ちいい」
凛は頬を窄め、亀頭へ吸いつく力を強める。
ちゅぱっ、じゅるるっ。
「くっ……出るぞ」
男が凛の後頭部を掴み、腰を前へ突き出した。
「んぐっ……!」
びゅるっ、びゅるるっ……!
温かい精液が口の中へ広がる。舌の上へ何度も吐き出され、苦い匂いが鼻へ抜けた。
電子音が鳴るより先に、男の膝から力が抜ける。
「一人目、成功」
金髪の男が笑った。
凛はペニスを口から離す。制服へ垂らさないよう唇を閉じ、口内の精液を無理に飲み下した。喉がひくりと痙攣する。
「次」
息を整える時間もなく、二人目が凛の前へ立つ。
凛が再び口を開こうとしたところで、金髪の男が言った。
「二人目は胸も使え」
「最初は口でって言ったでしょう」
「胸も口も使うんだよ」
やはり、規則など最初から男たちの気分でしかない。
「早くしろ。もう時間、減ってるぞ」
電子音はすでに鳴っていた。
凛は奥歯を噛み、ワイシャツのボタンを上から外す。胸元を開き、ブラジャーごと乳房を引き出した。
自分の両手で乳房を左右から寄せる。谷間へペニスを挟み込み、上下に扱く。やり方があっているのか、わからない。
「先っぽ、咥えろ」
乳房の間を滑ってきた亀頭を、凛は唇で受ける。
ぬちゅっ、ちゅぱっ。
胸を上下させるたび、ペニスが柔らかな谷間を擦り、先端だけが口へ出入りした。
「んっ、んむ……っ」
口内には一人目の精液の味がまだ残っている。鼻で短く息を継ぎながら、亀頭が入るたび舌先で尿道口をなぞった。
画面を見る。
残り時間が少ない。
男の呼吸は速くなっているが、まだ足りない。
強く乳房を寄せ、ペニスを圧迫する。上半身ごと上下させ、谷間の圧力と口の吸いつきを同時に強める。
ぐちゅっ、ぬちゅっ、ちゅぱっ。
「くっ……それだ。もっと速く」
「んんっ……!」
ワイシャツの裾が膝の上で揺れる。胸だけを激しく動かしながら、凛は赤い数字を追った。
あと僅か。
「出すぞ。口、離すな」
男が乳房を潰すように強く寄せ、亀頭を唇の奥へ押し込んだ。
びゅるっ、びゅるるっ……!
「んぐぅっ……!」
二人目の精液が口内へ迸る。
直後、タイマーが甲高く鳴った。
「ぎりぎり成功」
男たちが拍手し、笑う。
凛は咳き込みそうになるのを堪え、口から垂れそうになった白濁を舌で押し戻した。男が胸から手を離す。凛は急いで乳房をブラジャーへ収め、ワイシャツのボタンを留め直した。
これで二人。
あと三人成功すれば、美綴を連れて帰れる。一週間だけでも、器具のない身体で過ごせる。
「三人目だな」
金髪の男の声で、三人目の男が前へ出た。
凛の顎はすでに痺れ、喉は二人分の精液で粘ついている。膝も床に当たり続けて痛んだ。それでも、目の前のペニスへ手を添え、口へ含む。
「んっ……じゅるっ……んん……」
三人目の男は、凛が首を動かしても腰を押しつけてこなかった。
先端を舌で擦る。根元を手でしごき、口を深くする。それでも男は余裕のある笑みを崩さない。
「ほら、残り減ってるぞ」
金髪の男がタイマーを凛へ向ける。
赤い数字が一つずつ消えていく。
「制服ってのがいいよな。そそられる」
三人目はまだまだ余裕そうにそう言いながら、凛の髪を撫でていた。
凛は頬を窄め、じゅるっ、じゅぽっ、と強く吸った。男の腿へ爪を立て、喉へ届くまで深く咥える。
「んぐっ……んっ、んんんっ……!」
吐き気を押し殺し、角度を変える。舌、唇、喉、手。使えるものをすべて使っても、男の呼吸はわざとらしいほど平らなままだった。
「まだだな」
残りが僅かになる。
凛はペニスを口から離し、掠れた声を絞った。
「出しなさい……早く……っ」
「お願いの仕方が足りないんじゃねえか?」
「お願い……だから……出して……」
再び咥え、必死に首を動かす。
じゅるっ、ちゅぱっ、じゅぽっ。
それでも男は絶頂しない。
無情な電子音が、部屋へ長く響いた。
時間切れ。
凛の口からペニスが抜ける。唾液が細い糸になって切れ、顎から床へ落ちた。
「残念。三人目、失敗」
金髪の男がスマホを伏せる。
一週間。
外したままにする約束を、失った。
きっとまたあの貞操帯を締められる。バイブとローターを押し込まれ、学校で音と匂いに怯える日々へ戻される。
「そんな……」
絶望で、凛の肩から力が抜けた。
その瞬間、左右から腕を掴まれた。
「何を――っ」
二人の男が凛の両腕を背へ折り上げ、別の男が背後から両脇へ腕を通す。上体を羽交い締めにされ、立たされた凛の胸がワイシャツ越しに強く反った。
さらに一人がスカートの裾を掴み、腰までまくり上げる。
「制服は汚すなよ」
金髪の男が命じた。
「本物なんだからな。破るな。外にかけるのもなしだ。全部、中で済ませろ」
「ゲームは終わったでしょう!」
「失敗した罰だよ」
背後へ男が立つ。下着のない尻を両手で開かれ、硬い先端が精液の溢れる膣口へ押し当てられた。
「やめなさい……っ、離して!」
ぬぷっ……!
一息で奥まで挿入され、凛の身体が羽交い締めの腕の中で跳ねた。
「あぁっ!」
「すげえ。中ぐちょぐちょじゃねぇか」
男が腰を引くと、別の男の精液がペニスに押し出され、腿へぬるりと伝う。すぐにまた奥まで突き込まれた。
ぱんっ、ぐちょっ、ぬちゅっ、ぱんっ。
「んっ、あっ、や……っ! こんな……!」
顔だけをソファへ向ける。
美綴は眠ったまま動かない。けれど、いつ目を覚ますか分からない。その距離で、凛は男たちに身体を支えられ、制服のスカートを上げられたまま犯されている。
「起こされたくなきゃ、静かにしろよ」
「くっ……んんっ!」
唇を噛んでも、突き上げられるたび喉の奥で声が震えた。
男の動きが速くなる。羽交い締めにした腕が上体を固定しているため、腰だけが衝撃で前後へ揺さぶられた。
「出すぞ」
「いや……中は、やめ……っ」
びゅるっ、びゅるるっ……!
熱い精液が膣内へ注ぎ込まれる。子宮口近くで脈打つ感触に、凛の脚ががくがくと震えた。
男が抜く。
開いた膣から白濁が溢れるより先に、次の男が腰を掴んだ。
順番の中出しは、まだ始まったばかりだった。
「次、俺な」
ぬぷっ、ぐちゅっ。
「あっ……待って、まだ……んあぁっ!」
休む間もなく、別のペニスが精液ごと奥へ押し戻す。
腕を押さえる男が替わり、凛はベッドの縁へ上体を倒された。ワイシャツの胸元がシーツへ触れないよう肩を支えられ、スカートだけを腰の上で束ねられる。
制服の外側を汚さないために、男たちは妙に丁寧だった。
凛の身体だけを汚すために。
ぱんっ、ぱんっ、ぬちゅっ。
「んっ、あっ、ああっ……!」
二人目の男は浅く速い動きから、突然奥まで腰を打ちつけた。その変化のたび身体が跳ね、望まない快感が腹の底へ積み重なる。
「締まってきたぞ。イくんじゃねえか?」
「違う……っ、イかない……!」
否定した直後、深い一突きが敏感な場所を擦った。
びくっ、びくびくっ。
「あっ……や、ぁ……!」
膣が勝手に収縮する。男たちの笑い声に重なって、凛の掠れた悲鳴が漏れた。
「ほら、出してやれ」
びゅるっ、びゅるるっ……!
二人目の精液が、先に注がれた熱へ重なる。
抜かれれば、また次。
立たされ、両腕を左右から掴まれる。片脚を持ち上げられ、開いた膣へ三人目が入る。
ぬぷっ、ぬちゅっ。
ベッドへ膝をつかされ、背後から腰を掴まれる。別の男が胸元のボタンを確かめ、精液が飛ばないようワイシャツを押さえる。
中へ出される。
抜かれる。
また別のペニスが、溢れかけた精液ごと奥へ押し込む。
「んあっ……もう、入らな……っ、あぁっ!」
「まだ入るだろ。ほら、締めろ」
ぱんっ、ぐちゅっ、ぬちゅっ。
誰の腰が背後にあるのか、もう振り返る力もない。ただ、男が替わるたびに腕を持つ手と腰の角度が変わり、膣の中へ新しい熱が加わっていく。
「中に出すぞ」
「や……もう、やめ……」
びゅるっ、びゅるるっ……!
「あぁっ……!」
腹の奥が重い。
何人分もの精液が、洗ったばかりの奥へ重ねて注ぎ込まれていく。
最後の男が抜けると、凛は両側から腕を支えられたまま立っていられなかった。膝が落ち、ベッドの縁へ崩れる。
膣からどろりと白濁が垂れ、腿を伝った。男の一人がスカートの裾を持ち上げ、液が布へ触れないよう笑いながら避ける。
「制服は無事だぞ」
「上出来じゃねえか」
制服は破れていない。外側に精液もついていない。
凛の内側だけが、重く満たされていた。
「……早く、つければ」
凛は途切れる息の間から言った。
「ゲームに失敗したんでしょう。貞操帯を……また、つけるんじゃないの」
金髪の男は、仲間たちの顔を見回した。
「どうする?」
「もういいんじゃねえ? 今日は満足したし」
「俺も。たっぷり入れたからな」
笑いながら交わされる声を、凛は理解できなかった。
金髪の男が肩をすくめる。
「だとさ。俺たち、満足したからよ。外したままでいい」
「……何を、言ってるの」
「ゲームは失敗。でも今日は気分がいい。だから外したまま。何か問題あるか?」
成功すれば外す。
失敗すれば約束を失う。
そう信じて、二人分を口で受け、三人目へ必死に縋った。
だが、成功も失敗も最初から意味はなかった。
条件も罰も、男たちが凛へ希望を持たせ、奪い、反応を眺めるための道具にすぎない。
「映像は……」
「それは別の話だ。また連絡する」
金髪の男は美綴を肩に抱き、主室と廊下を隔てる扉へ歩き出した。
「待ちなさい。その子は置いて行って」
「取って食やしねぇよ。隣の部屋に置くだけだ。ここで起きられちゃ、匂いでバレるぞ。そうなったら凛ちゃん、困るだろ」
金髪の男は扉を開けたまま、美綴を隣室のソファへ寝かせた。凛の位置から、乱れのない制服と、ゆっくり上下する胸が見える。
男は廊下へ戻り、ニヤニヤと口元を歪めた。
「良かったな、凛ちゃん。じゃあな」
男たちの笑い声と足音が、廊下の向こうへ遠ざかっていく。
扉が閉まり、部屋が静かになった。
凛はしばらく動けなかった。
やがてベッドの縁を掴み、震える脚で立ち上がる。胸元のボタンを確かめ、腰まで上がったスカートを下ろした。
外から見れば、制服に目立つ乱れはない。
口元を手の甲で拭い、髪を指で整える。深く息を吸っても、膣の奥に溜まった大量の精液が重く揺れた。下着がないため、少し力を抜けば腿へ流れ落ちてくる。
それでも先に、美綴を確かめなければならない。
凛は開いた扉を抜けて隣室へ入り、ソファの美綴へ近づいた。
美綴の制服に乱れはない。首元にも傷はなく、脈は規則正しい。呼吸も安定している。
「美綴。起きなさい」
肩を揺する。
「美綴」
「……ん……」
美綴の瞼がゆっくり開いた。焦点の合わない目が天井を見て、それから凛の顔で止まる。
「……遠坂?」
「立てる?」
「あたし、お前を追って……このビルまで来て……」
美綴は額へ手を当て、眉を寄せた。
「中に入って、それから……何だ? 思い出せない。どこだよここ……」
建物へ入った後の記憶が欠けている。
凛は膝の震えを押し殺し、背筋を伸ばした。いつもの遠坂凛の顔を作る。
「何もなかったわ。もう解決した」
「何もなかったって、お前……」
美綴の視線が、湿った凛の髪からワイシャツ、スカートへ下りていく。
「顔、真っ青じゃないか。声も酷いぞ」
「シャワーを借りただけよ。あんたが巻き込まれたのは想定外だったけど、本当にもう終わった」
「じゃあ、ここは何なんだ。さっきまで誰が――」
「美綴」
凛は強く名を呼んだ。
それ以上聞かないで。
言葉にしなかった懇願が伝わったのか、美綴は口を閉じた。納得した顔ではない。それでも今ここで凛を問い詰めることはしなかった。
凛がソファから離れようと一歩踏み出す。
膣の奥で精液がたぷんと揺れ、濁った液が腿を伝った。
「っ……」
足から力が抜け、壁へ手をつく。
美綴は何も言わずに立ち上がり、凛の左側へ回った。それから、自分の腕を差し出す。
「肩、貸す。嫌だって言っても貸すからな」
「……強引ね」
「お互い様だろ」
いつもの歯切れのよい声だった。
凛はその腕を振り払わなかった。
鞄を肩へ掛ける。底にある高純度宝石は、封印されたままだ。男たちを制圧することも、映像を奪うこともできなかった。
それでも、貞操帯もバイブもローターも外れている。
得たのではない。
男たちの気分で、いつまで続くかも分からないまま、一時的に返された身体だった。
美綴の肩へ体重を預け、二人で部屋を出る。廊下を進むたび、制服の内側では大量の精液が腿を濡らした。
外から見える制服だけは、綺麗なまま。
凛は何もなかった顔を崩さず、美綴に支えられて雑居ビルを出た。