一睡もできなかった朝、遠坂邸の門前で、黒いバンの扉が開いた。
カララ、と無機質な音を立てて滑った扉の奥は、外から覗けないほど暗い。窓には黒い膜が貼られ、後部座席の向こうには荷室との仕切りまで立っている。
「さ、凛ちゃん。お迎えだぜ」
背後から金髪の男に肩を押され、凛は門柱へ手をついた。
膝が震えた。昨夜から男二人に休みなく弄ばれ、下腹には何度も注ぎ込まれた精液が残っている。喉はひりつき、制服の襟が擦れるだけでも痛い。男たちに命じられるまま着直したワイシャツとスカートは、洗うことすら許されなかった肌へまとわりついていた。
「……どこへ連れていく気?」
「乗れば分かる」
「分からないから聞いてるのよ。誰の命令?」
「質問できる立場だと思ってんのか?」
もう一人の男が凛の鞄を奪い、片手で門扉を閉めた。ガチャン、と錠の噛み合う音がする。
自分の家が、閉じた鉄格子の向こうへ離れていく。
凛は通りの端へ視線を走らせた。朝の住宅街には新聞配達の自転車が見える。助けを求めて声を上げれば、誰かは振り向くかもしれない。
だが、金髪の男がスマートフォンを胸元で揺らした。
「大人しく言うこと聞け。美綴ちゃんにも、また遊びに来てもらいたくねえだろ?」
凛は門柱から指を離した。
今ここで宝石を使い、二人を倒すことはできる。だが映像の保存先も、黒いバンの運転席にいる人間も、その背後にいる魔術師も分からない。誰か一人でも見逃せば、士郎か美綴が巻き込まれる。
「……最低」
「褒め言葉として受け取っとくよ」
男に肘を掴まれ、凛はバンへ足を掛けた。脚へ力が入らず、身体が傾く。腰を抱えられて後部座席へ押し上げられた瞬間、腹の奥に残った精液が、たぷん、と重く揺れた。
「触らないで……!」
尻を撫でてきた手を払いのける。だが左右から男たちに挟まれた直後、目元へ厚い布を巻かれた。
「ちょっと、何を――」
「見られちゃ困るもんがあるんでね」
目隠しの結び目が後頭部できつく締まる。
扉が閉まり、黒いバンが動き出した。
凛はシートの縫い目を指先で探りながら、身体に伝わる揺れを数えた。最初の右折。長い直進。小さな段差が三つ。左折して、舗装の荒い道へ入る。
けれど、睡眠不足で思考が何度も途切れた。男の膝が太ももへ触れるたび、進路の記憶が飛ぶ。エンジン音に紛れて低い笑い声がする。
「道、覚えようとしてるぜ」
「無駄だって。ほら」
顎を掴まれ、顔を上へ向けられた。唇へ指が押しつけられる。
「離しなさい」
「目的地まで寝てりゃいいのにな」
「眠れるわけ、ないでしょう……!」
指へ噛みつこうとすると手は離れた。その代わり、スカート越しに下腹を押される。
「うっ……!」
「いい具合に重そうだ」
凛は両膝を閉じ、男の手を睨む代わりに暗闇へ顔を向けた。
止まる。曲がる。加速する。
数え直すたびに、どこから数えていたか分からなくなる。
やがて黒いバンは速度を落とし、砂を踏むような音を立てて停まった。
「着いたぞ」
扉が開く。朝の冷たい空気と、湿った土の匂いが入り込んできた。
目隠しを外された凛の前にあったのは、木々に囲まれた公衆トイレだった。
白い壁。色褪せた案内板。人気のない朝の公園。
「……ここ?」
「そう、ここ」
男たちは凛の両腕を取り、足元の定まらない身体を公衆トイレへ引きずっていった。
◇
個室へ押し込まれた途端、背後でガチャリと鍵が回った。
「まずは俺たちの分、追加しとくか」
「朝飯をやらねえとな」
「ふざけないで。私は――んむっ!」
金髪の男に後頭部を掴まれ、もう一人がスラックスを下ろした。鼻先へ熱いペニスを押しつけられる。汗と体液の臭いが、狭い個室に広がった。
「口、開けろ」
「んんっ……んっ!」
顔を背けると頬を叩かれた。ぱしん、と乾いた音が壁へ返る。
「昨夜は上手にできてたじゃねえか」
凛の顎から力が抜けた瞬間、ペニスが唇を割って押し込まれた。
「んぐっ……!」
じゅぽっ、じゅるるっ、じゅぽっ。
髪を掴まれ、顔を前後に動かされる。腫れた喉へ亀頭が触れるたび、鋭い痛みが走った。
「ん゛っ、ぐ……ぅっ……!」
「そう、それ。奥まで咥えろ」
息ができない。唾液が唇の端から垂れ、ワイシャツの胸元へ落ちる。舌を引けば喉を突かれ、押し返そうとすれば後頭部を強く引き寄せられる。
「出すぞ。飲めよ」
「んんーっ!」
びゅるっ、びゅるるっ。
苦く熱い精液が舌の上へ広がり、喉へ直接流れ込んだ。むせることすら許されない。ごくっ、ごく、と飲み下す音が、他人の音のように耳へ響く。
ようやく口から抜かれた時には、息を吸うだけで喉が焼けた。
「げほっ……けほ……っ」
「休憩には早いぜ」
肩を掴まれて便座の蓋へうつ伏せに押しつけられる。スカートが腰まで捲り上げられ、下着が膝へ引き下ろされた。
「や……待ちなさい、もう……入らない……」
「まだまだだろ。ちゃんと受け取れ。空にするなよ」
後ろから熱い亀頭が膣口へ押し当てられた。昨夜から濡れと精液が残る入口へ、太いペニスが容赦なく割り入ってくる。
ぬぷっ……ぐちゅっ。
「あっ、ああっ……!」
腰が便座へぶつかる。ぱんっ、ぱんっ、ぬちゅっ。狭い壁に肉の音と凛の悲鳴が何度も跳ね返った。
「やめ……奥、突かないで……っ、そこ、あっ!」
「締めてんじゃねえか」
「違う……! 身体が、勝手に……っ」
子宮口を突かれるたび、下腹の奥で熱が弾ける。拒絶しているのに、疲弊した身体は刺激を逃がせず、膣がペニスへ痙攣を返してしまう。
「ほら、またイくぞ」
「や……いやっ、あああっ!」
絶頂に腰が跳ねた瞬間、男の動きも止まった。
びゅるっ……びゅるるるっ……!
精液が子宮へ注ぎ込まれる。ドクン、ドクン、と脈打つたび、昨夜から溜まっていた熱へ新しい熱が重なった。
「あ……ぁ……」
ペニスが抜ける。白い精液が、とろりと太ももを伝い、便座へ滴った。
床へ崩れそうになった凛を、金髪の男が脇から抱き起こした。
「よし。俺らはこんなもんでいいだろ」
「もう行くんすか? まだ使えそうですけど」
「あとはここに置いておけって言われてる」
凛は荒い息の間から顔を上げた。
「……誰に?」
「上からのお達しだからな。俺たちも時間厳守なんだよ」
「上って……誰よ。資産家? それとも――」
「詮索すんな」
男の声から、さっきまでの軽さが消えた。
凛の背筋を冷たいものが走る。
この男たちは、自分たちの欲望だけで動いているのではない。だが、誰に従っているのかは口にしない。
「何をするつもり……?」
「俺たちは、置いていくだけさ」
便座へ座らされる。凛は男たちの靴と扉までの距離を測り、立ち上がろうとした。だが膝が震え、腰が浮く前に肩を押さえ込まれた。
「離しなさい……お願い。せめて、服は――」
返事の代わりにワイシャツのボタンが引き千切られた。
ぷつっ、ぷつっ、と白いボタンが床へ散る。ワイシャツ、スカート、下着の順に剥ぎ取られ、鞄も男の腕へ渡った。最後に靴と靴下まで脱がされる。
床には、靴一足さえ残らない。
「やめて……裸で、どうしろっていうのよ……!」
「どうもしなくていい。座ってろ」
黒いベルトが床へ落ち、金属の金具が硬い音を立てた。
凛の両足を便器の左右へ大きく開き、足首と膝上へ一本ずつベルトが巻かれる。
カチ、カチ。
「いやっ……脚、閉じさせて……!」
「駄目だ。見えやすくしとかねえとな」
両手首も、それぞれ太ももの外側へ固定された。
カチッ、カチッ。
手を腿の外へ引かれた姿勢では、腰を引くことも脚を閉じることもできない。冷たい便座の縁へ熱を持った尻が触れ、剥き出しの膣から精液が一筋、ぬるりと落ちた。
「んっ……見ないで……」
「見えなくなるから安心しろよ」
目隠しが巻かれた。朝の白い光が消える。
「誰が来るの……? 答えなさい!」
続いてギャグボールを口へ押し込まれた。大きな球が舌を押さえ、顎を強制的に開く。
「んんーっ! ん゛っ、んんーっ!」
声が出ない。
ベルトが後頭部で締められると、すぐに涎が口の端から垂れた。たらっ、たらっ。顎を伝い、胸の先へ落ちる。
「これでよし」
「いい客に恵まれるといいな、凛ちゃん」
「んんんーっ!」
男たちが笑いながら離れていく。ガチャリ。個室の扉が閉まる。
足音が遠ざかる。
裸で便器へ固定され、目隠しとギャグボールで視界も声も奪われた凛だけが残された。
◇
最初に聞こえた足音は、凛の前を通り過ぎた。
隣の個室で扉が閉まり、衣擦れと排尿、水洗の音が続く。やがて靴音は離れていった。
凛は鼻から長く息を吐いた。
(普通の人が来る場所なのよ。誰かに気づいてもらえれば――)
だが、次の足音が近づくたび、期待と恐怖が同時に胸を締めつけた。
気づいてほしい。
見られたくない。
士郎にだけは、知られたくない。
ガチャリ。
「ん……?」
扉が開き、濡れた床を踏む靴音が入ってくる。ガチャ、と内側からまた施錠された。
足音は便器の正面で止まった。
「んんっ……んーっ!」
助けて、と叫んだつもりだった。ギャグボールに潰され、鼻へ抜ける呻きにしかならない。
ざらついた手が太ももを撫でた。たばこと汗の匂いが近づく。
「本当にいる……」
知らない声だった。
「ん゛っ、んんーっ!」
「静かにしろよ。すぐ終わるから」
ベルトを引く音がする。次いで、熱く硬いものが膣口へ触れた。
(待って。お願い、やめて――)
ぬぷっ……。
「んぐぅっ!」
ペニスが押し入ってくる。精液でぬめった膣壁を擦り、逃げ場のない奥へ進んだ。
ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぐちゅっ。
男の腰が動くたび、固定具がカチッ、カチッと鳴る。凛は両手を握り、手首を捻った。だがベルトは太ももの外側へ食い込むばかりで、脚は開いたまま動かない。
「んんっ……ふぅっ、ん゛っ!」
声を殺そうとしても、突き上げられるたびにギャグボールの脇から喘ぎが漏れる。
「感じてんのか」
(違う。違うのに……!)
拒絶と身体反応は別だと、何度も自分へ言い聞かせる。けれど、子宮口を亀頭で叩かれるたび、下腹へ熱い痺れが広がった。
「出るぞ」
「んんーっ!」
びゅるっ……びゅるるっ……!
中出しされた精液が子宮へ放たれた。ドクン、ドクン。誰なのかも分からない男の熱が、すでに溜まっているものへ混じっていく。
身体がびくんと跳ね、固定具が一斉に鳴った。
カチッ、カチッ。
「本当にイくんだな」
「ん゛……ぅ……」
ペニスが抜かれた直後、太ももへ冷たいものが触れた。
すうっ。
ペン先の感触だった。肌を短く、真っ直ぐに撫でる。
「ありがとよ」
男はそれだけ言って出ていった。
扉が閉じる。
息を整える間もなく、また扉が開いた。
ガチャリ。
別の靴音が入り、胸を掴んだ。指が乳首を摘み、潰すように転がす。
「まじか、こんなに可愛いのに」
「んっ、んん……!」
次のペニスが、精液の溢れる膣へ入ってくる。
ぬぷっ、ぐちゅっ。
「すげえ。中、ぐちゃぐちゃだ」
ぱんっ、ぱんっ、ぬちゅっ。
一人目より速い。固定された身体が便座の上で揺さぶられ、胸が上下に跳ねる。凛は目隠しの下で強く目を閉じた。
「ああ、締まる……!」
びゅるっ、びゅるるっ。
「んあ゛っ……!」
中出しと同時に子宮が痙攣し、また絶頂が身体を貫いた。
ペニスが抜け、冷たいペン先が太ももへ戻る。
すうっ。
前の線の近くへ、もう一画。
(……書いてる。何を……?)
二人目が去り、三人目が来た。
今度の男はほとんど喋らなかった。太いペニスを膣口へ押しつけ、凛の反応も待たず体重を掛ける。
ぬぷっ……ぐちゅっ!
「んぐうぅっ!」
無理やり拡げられた痛みに、背が反る。男は凛の腰を掴み、短く激しく突き込んだ。
ぱんっ、ぱんっ、ぐちゅっ、ぬちゅっ。
ギャグボールを噛む歯が軋む。喉の奥から、ひゅう、ひゅう、と細い呼吸が漏れた。
「ん゛っ、ふぅっ、うぅっ……!」
びゅるるっ……!
熱が奥へ散り、精液が溢れる。男が抜いた後、三人目の冷たい線が太ももを走った。
すうっ。
その線が、前の線を横切った。
凛は理解した。
(正の字……)
一人が果てるたび、一画。
見えない来訪者を、凛自身の身体で数えている。
正。
正。
正。
次の足音が聞こえた。
◇
一画が増えるたび、次の足音が来た。
革靴の硬い音。底を擦る歩き方。急いで駆け込む足音。周囲を窺いながら忍ばせる足音。
顔も、名前も分からない。
分かるのは、手の硬さ、息の臭い、ペニスの太さ、腰を振る速さだけだった。
「んぐっ……んんっ、ふぅっ……!」
ぬぷっ、ぬちゅっ、ぐちゅっ。
「そんな締めるなよ。すぐ出ちまうだろ」
「んんーっ!」
びゅるっ……ドクン、ドクン。
中出しの熱が子宮へ重なり、冷たいペンが肌を走る。
すうっ。
扉が閉じ、また開く。
「こんな格好で待ってたのか」
「ん゛っ……!」
胸を揉まれ、乳首を引かれ、太いペニスで奥を抉られる。
ぱんっ、ぱんっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ。
「あ、イったな」
「んあ゛っ、あぁっ……!」
絶頂に膣が収縮したところへ、精液を注ぎ込まれる。
びゅるるるっ……!
すうっ。
次。
また次。
犬の鳴き声と子どもの笑い声が、目隠しの向こうを通り過ぎた。
朝の公園は、凛のいる個室だけを置き去りにして普通に動いている。
「んんーっ! んんんーっ!」
助けを求めて身体を揺らす。カチッ、カチッ、とベルトの金具が鳴る。その音に気づく者はいない。
代わりに次の男が入り、ギャグボールの上から凛の頬を撫でた。
「外まで声、聞こえてたぞ」
「んっ……んん……」
「もっと聞かせろよ」
膣口へペニスが押し込まれる。
ぬぷっ……ぐちゅっ。
「んあ゛っ! ふぅっ、んっ、んんっ!」
太ももの線が増えていく。
すうっ。すうっ。
目隠し越しの光が、いつの間にか白から赤みを帯びていた。
何人に犯されたのか、もう分からなかった。
太ももだけでは足りなくなったらしい。ペン先が下腹へ移り、お腹や胸にも正の字が書かれていく。
すうっ、すうっ。
線が重なるたび、肌がひりひりした。
途中、誰かが極太のバイブを持ち込んだ。
「これで奥へ押し込めってさ」
膣口へ冷たい先端が触れる。
「んんーっ!」
ぬぷっ……ぐちゅっ、ゴポっ。
膣に溜まっていた精液が、極太のバイブに押されて子宮の奥へ動く。白濁した熱が内部を遡るような感触に、凛は便座の上で大きく身を震わせた。
「んあ゛ああっ!」
「またイったぞ」
器具が抜かれると、今度はペニスが入る。
ぬちゅっ、ぐちゅっ、ぱんっ、ぱんっ。
中出しされる。
びゅるっ、びゅるるっ。ドクン、ドクン。
また極太のバイブで押し込まれる。
ぬぷっ……ぐちゅっ、ゴポっ。
誰かの精液と次の誰かの精液が、子宮の中で区別を失っていく。
身体は刺激のたび絶頂した。意思とは無関係に膣が締まり、腰が跳ね、掠れた喘ぎがギャグボールの隙間から漏れる。
「ん゛っ、ふぅっ……あっ、あぁっ……!」
凛はそのたび、心の中で否定した。
(私が望んだんじゃない)
次の一画。
(私が選んだんじゃない)
次の足音。
(士郎……見ないで。お願いだから、知らないで……)
日が落ちたことは、目隠しの向こうの光が消え、公園から人の声が減ったことで分かった。
けれど、まだ足音は途絶えなかった。
◇
「おい、見てみろよこの腹」
聞き覚えのある声が戻った時、凛は反応する力も失いかけていた。
「まじかよ。こんなに溜まってんのか」
目隠しだけが外された。
朝から閉ざされていた視界へ、個室の白い照明が突き刺さる。
涙で滲む目を瞬く。
最初に見えたのは、妊婦のように白く膨らんだ自分の腹だった。
次に、太ももを埋め尽くす黒い正の字。下腹から胸へ、数え切れない線が重なっている。ペンの跡で汚された肌の上を、涎と汗と精液が鈍く光っていた。
(……これが、私の身体……?)
冷たい一画としてしか感じられなかった数が、すべて目の前の現実へ変わる。
「どうだ、凛ちゃん。自分の体、よく見ろよ」
「ん゛ーっ……」
ギャグボールはまだ口を塞いでいる。凛は首を振った。見たくないのに、目を逸らす先がどこにもない。
金髪の男が、床に置かれた極太のバイブを持ち上げた。
「仕上げだ」
太い先端が、精液の溢れる膣口へ押し当てられる。
「んんーっ! ん゛っ!」
腰を引こうとしても、両手首と脚のベルトが身体を便座へ縫い止めている。
ぬぷっ……ぐちゅっ……ゴポっ。
「んあ゛あああっ!」
極太のバイブが膣壁を限界まで拡げ、子宮の奥へ精液を押し込んだ。腹の中で白濁した熱が動く。苦しさと刺激が一つになり、凛の腰が大きく跳ねた。
カチッ、カチッ。
「苦しいか? でもこれで蓋だ。精液、逃げられねえぞ」
「ん゛っ……ふぅっ、あぁっ……!」
ぐいんっ……ぐいんっ……。
極太のバイブが低く振動する。深く押し込まれた先端が子宮口へ当たり続け、凛の膣が器具へ痙攣を返した。
「んあっ、あっ、い……いぎぁっ!」
絶頂が突き抜ける。視界が白く弾け、全身が便座の上で震えた。
「イったな。感じてるじゃねえか」
振動は止まらない。
ぐいんっ、ぐいんっ……。
「んがっ、んぐぁがが……」
まだギャグボールに塞がれた言葉は、呻きにしかならなかった。
男たちはベルトを解いた。足首、膝上、手首の順に拘束が外れる。自由になったはずの脚は力を失い、凛は便座から落ちかけた。
「支えろ。次はこっちだ」
両脇を抱えられたまま、金属の貞操帯を腰へ回される。
極太のバイブを膣へ深く差し込んだまま、股間を覆う金属板が押し当てられた。
カチ、カチ。
貞操帯の鍵が回る音。
カチャリ。
熱を持った肌へ冷たい金属が食い込み、器具も精液も体内へ閉じ込められた。
ギャグボールが外される。涎でべっとり濡れた顎を、布で乱暴に拭われた。
「げほっ……一週間、外すって……そう言ったでしょう……」
掠れた声を絞り出す。
「俺はそう言った。けど、上が変えたんだ。文句ならそっちへ言え」
「その上が……誰なのよ……」
「もうすぐ会えるさ」
凛は顔を上げた。
答えを問い返す前に、極太のバイブが強く震えた。
ぐいんっ……ぐいんっ……ぐいんっ。
「あっ、うぅっ……!」
膝が折れる。器具の脇から、押し留められた精液がわずかにとろりと漏れ、貞操帯の内側へ広がった。
「立てるか?」
「見りゃ分かるだろ。肩貸せ」
男たちに左右から肩を支えられ、凛は夜になった公園を歩かされた。
一歩目。右足を出すと、極太のバイブが子宮口へ当たる。
「んっ……!」
二歩目。左足を出すと、膨れた腹の重みがたぷんと揺れる。
ぐいんっ……ぐいんっ……。
「あっ、あぁ……待って、歩けな……」
「車までだ。頑張れよ」
黒い正の字に埋められた裸身へ、夜気が刺さった。衣服は返されない。男たちの上着を肩へ掛けられただけで、金属の貞操帯も、胸や太ももの線も隠し切れなかった。
公園の端に停められた車へ辿り着き、後部座席へ横向きに押し込まれる。
シートへ腰が沈んだ瞬間、バイブの角度が変わった。
「ああっ!」
ぐいんっ、ぐいんっ。
車体が動く。小さな振動まで貞操帯の内側へ伝わり、器具が子宮を押す。凛は膨れた腹を両腕で庇い、歯を食いしばった。
「んっ、ふぅっ……あっ……!」
「またイってんのか。始末が悪いな」
「黙り……なさい……」
どれほど走ったのか分からない。
やがて車が停まり、ドアが開いた。冷たい夜気が吹き込む。
また目隠しをされ、左右から肩を抱えられて降ろされた。
裸足の裏へ、ざらついたコンクリートの硬さが触れる。
「段差だ。上がれ」
「……ここ、どこ?」
「前向いて歩け」
「何をする場所なのよ」
答えはない。
靴音が長く反響する。外気が消え、閉じた廊下の匂いへ変わった。右へ曲がり、金属扉の開く重い音をくぐる。
ガチャリ。
扉が背後で閉じた。
凛の首へ、冷たい金属が触れる。
「何……?」
カチャリ。
首輪が取り付けられた。
「外しなさい!」
手を伸ばす前に両腕を押さえられる。首輪へ鎖が繋がれ、じゃらりと床を這った。軽く引かれた瞬間、喉へ金属の圧迫が掛かる。
「ぐっ……」
「暴れるな。首、締まるぞ」
鎖の端が別の金具へ留められた。カチャン、と重い音がする。
背後の膝を押され、ベッドのような柔らかいものへ座らされた。その拍子に極太のバイブが傾く。
ぐいんっ……ぐいんっ……。
「あっ……いく……っ、ああっ!」
絶頂に身体が震え、貞操帯の隙間から精液がわずかに溢れた。
「まだイくのか。感度、上がりすぎだろ」
男たちの笑い声が遠ざかる。
目隠しが外された。
薄い照明。
継ぎ目の少ない壁。
窓のない天井。
首輪から伸びる鎖は、ベッド脇の金具へ繋がれている。
逃げ道を探した視線が、正面のソファで止まった。
ガウン姿の資産家が、葉巻をくわえて深く腰掛けていた。白い煙の向こうで、穏やかな目だけが凛を見ている。
「よく来たね、遠坂凛」
声は静かで、優しかった。
凛は鎖を握った。立ち上がろうとすると、首輪が喉へ食い込む。膨れた腹が重く、極太のバイブは今も低く震えている。
ぐいんっ……ぐいんっ……。
「長い一日だったでしょう。少し、休むといい」
休めるような身体ではない。
休ませるための首輪でも、鎖でもない。
それでも男は、明日の予定を決めるような穏やかさでそう告げた。
その優しい声を聞いた瞬間、凛は悟った。
この部屋は、一晩のためではない。