※この作品はR-18です。

濁った宝石   作:湖畔R

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第19話 姉のための初仕事

 鏡の中の自分は、姉を捜しに来た学生には見えなかった。

 

 胸元が大きく開いた接客用衣装は、薄い布でかろうじて乳房を包んでいるだけだった。短いスカートは太腿の半ばにも届かない。腰を屈めれば、下着まで見えてしまう。

 

 間桐桜は胸元を隠しかけた手を、ゆっくり下ろした。

 

(これを着て、仕事をすれば――姉さんの居場所を教えてもらえる)

 

 金髪の男は、そう言った。

 

 約束を信じていい相手ではない。それでも、遠坂凛を見たことがあるという男へ繋がる手掛かりは、今はこれしかなかった。

 

「着替え終わったか。さっさと出ろ」

 

 扉の外から黒服に急かされる。

 

「……はい」

 

 返事をし、桜は着替え用の奥扉を開けた。

 

 音楽と笑い声が一気に押し寄せる。赤紫の照明が肌を舐め、酒と煙草、香水、それに男女の体液が混じった甘い匂いが鼻へまとわりついた。

 

 フロアへ踏み出した足が、小さく震える。

 

 視線が集まった。胸へ、腰へ、剥き出しの太腿へ。値段を測るような目に晒され、肌が熱くなる。

 

(先輩は、まだ外にいるのかな)

 

 十五分だけ、と約束した。

 

 けれどスマホを確かめることも、事情を伝えに戻ることも許されていない。今、店の外に士郎がいるのかさえ、桜には分からなかった。

 

「新人、こっちだ。名前は?」

 

 商談らしい話をしていた二人組のうち、スーツ姿の営業マンが指を鳴らした。

 

「……桜です。本日はよろしくお願いします」

 

 頭を下げる。

 

 向かいには、接待されている技術者風の男がいた。その膝の上では、別の女性が男と向かい合って跨り、首へ腕を回している。

 

 ちゅぱっ、じゅるっ。

 

 絡んだ舌の隙間から、唾液の音が漏れる。女性が腰をゆっくり擦るたび、技術者風の男が落ち着かなげに肩を揺らした。

 

「ぼうっと立つな。ここ」

 

 営業マンが自分の腿を叩く。

 

「膝の上に座れ」

 

「はい……失礼します」

 

 桜はスカートの裾を押さえ、男へ背を向けるようにして膝へ腰を下ろした。

 

 座りきる前に、両手が伸びてきた。

 

「んっ……!」

 

 右手が胸を、左手が尻を掴む。衣装の上から乳房を持ち上げられ、指が深い谷間へ沈んだ。尻は形を確かめるように揉みしだかれ、逃げようと浮いた腰を男の膝へ引き戻される。

 

「柔らかいな。いい身体してる。初めてか?」

 

「……はい」

 

「顔、見せろよ」

 

 顎を向けようとした途端、後頭部を掴まれた。

 

 振り向いた桜の唇へ、男の口が重なる。

 

「ん、むっ……!」

 

 ディープキスだった。

 

 舌先が唇を割り、歯列の内側へねじ込まれる。逃げた舌を追って絡みつき、引き寄せ、口内を掻き回す。

 

 ちゅぱっ、じゅるっ、れるっ。

 

 頭を固定されているため、顔を背けられない。鼻から浅く息を吸うたび、男の酒臭い呼気まで入ってくる。

 

「んんっ……ふ、ぅ……!」

 

「舌、動かせるか? そう。客を待たせるな」

 

 命令され、桜は恐る恐る自分の舌を動かした。

 

 これは接客だ。姉の情報を得るための仕事だ。

 

 胸元の布越しに、乳首を指で摘まれる。びくりと肩が跳ねた。反対の手は尻から内腿へ回り、短いスカートの上から秘部へ押し当てられる。

 

「あっ……そこは……」

 

「ここがいいのか?」

 

 下着と衣装を隔てたまま、指の腹がクリトリスへ円を描く。

 

 さわっ、くちゅっ。湿りを含んだ布が擦れ、乳首を摘む指と同じ速さで刺激が重なる。

 

「違……んっ、あ……!」

 

 嫌だと思うより先に、腰が男の膝の上でくねった。

 

 身体の奥に熱が集まる。舌を吸われ、乳首を捻られ、クリトリスを狙って擦られるたび、膝を閉じても刺激が深くなる。

 

(必ず、姉さんの情報を持って帰るんだ)

 

 そのために耐えているだけだ。

 

 そう繰り返した瞬間、クリトリスを指先で弾かれた。

 

「あっ……!」

 

 軽い絶頂が下腹を駆け抜けた。腰が跳ね、男の腿へ尻を押しつけてしまう。

 

「感じたな? 可愛い声が出るじゃねえか。めちゃくちゃエロいよ、君」

 

「……ありがとうございます」

 

 礼を言えば接客が進む。

 

 そう割り切ったはずなのに、上ずった声が自分から媚びたように聞こえ、胸が痛んだ。

 

 感じたくない。濡れたくない。

 

 それでも、男の手が止まらない。膝の上へ座らされたまま、熱の残る胸と尻をまた揉まれる。

 

「もっと触っていいか? 中も」

 

 問いの形をしていても、拒めば仕事を終えられない。

 

 桜は唇を噛み、かすかに頷いた。

 

「……はい……」

 

「素直でいいな」

 

 衣装の隙間から指が潜り込み、今度は乳首を直接摘まれた。

 

「ひゃっ……!」

 

 同時に、もう片方の手がスカートの中へ入る。下着の上から秘部を撫でられると、くちゅっ、と濡れた音がした。

 

「濡れすぎだろ。こんなに感じてるのかよ」

 

「ごめんなさい……あっ、ん……!」

 

 謝る必要などないはずなのに、口から出てしまう。

 

 下着の縁を横へずらされる。冷えた空気が濡れた割れ目へ触れ、すぐに熱い指がクリトリスを弾いた。指先は入口を浅く掻き、溢れた蜜を拾って上へ塗り戻す。

 

 ぬちゅっ、くちゅっ。

 

 男の舌が再び入り込み、唇を塞いだ。

 

「んむっ……んんっ!」

 

「いい子だ。ちゃんと感じろ。俺の膝の上でイけ」

 

 乳首を捻る指と、クリトリスを擦る指が同時に速くなる。

 

 頭を振れない。腰を引けば、尻を掴む腕に戻される。上下から入ってくる刺激に思考が白く霞み、桜の喉から潰れた喘ぎが漏れた。

 

「んっ、んぅ……あ、あぁ……!」

 

 二度目の軽い絶頂が来た。

 

 びくっ、びくん、と身体が震え、膝の上で小さく跳ねる。口の端から涎が垂れ、開いた胸元へ落ちた。

 

 男はようやく唇を離すと、満足げに笑った。

 

「最高だな。なあ、隣のお兄さん、大切なお客さんでさ。今すごく重要な商談中なんだよ」

 

 営業マンが向かいを顎で示した。

 

「あっちも満足させてやってくれない? 君みたいな子なら喜ぶぞ」

 

 断れば、この席の仕事は終わらない。

 

「……分かりました」

 

 桜は乱れた衣装と下着を直し、先客の女性と位置を交換した。

 

   ◇

 

 今度は、技術者風の男の膝に乗った。

 

「し、失礼します……」

 

 男は目の置き場に困ったように視線を揺らし、それでも桜の胸元へ何度も戻してしまう。

 

「凄いな……君みたいに可愛い子もいるんだね。俺、まだあんまりこういうところに慣れてなくてさ。リードしてもらっていい?」

 

「は、はい。わかりました……」

 

 強く掴んでくる営業マンとは違い、この男は桜の動きを待っていた。

 

 桜は相手の肩へ片手を置き、唇を重ねる。おずおずと舌を差し入れると、男の舌がすぐ絡みついてきた。初めは遠慮がちだった動きが、呼吸を重ねるほど深くなる。

 

 ちゅっ、じゅるっ。

 

「ん……」

 

 キスを続けながら、桜は相手の乳首をシャツ越しに探り、指先で軽く弄った。

 

「あっ……そこ、いい」

 

 分かりやすく息が弾む。

 

 早く満足させれば、この席を終えられる。仕事を終えれば、姉の情報へ近づける。

 

 先ほどの絶頂の余韻で下腹はまだ熱かったが、今度は相手の反応を観察し、自分で終点までの手順を作る。

 

 桜は股間へ手を伸ばした。ズボンの上から形を確かめる。すでに硬くなったペニスの熱と脈が、生地越しに掌へ伝わった。

 

「ここも、触って大丈夫ですか?」

 

「う、うん。お願い」

 

 ファスナーを下ろし、下着の中へ手を入れる。熱いペニスを直接握って取り出し、皮を剥いて根元から先端へ扱いた。

 

 ぬるっ、ぬちゅっ。

 

 親指で先端を擦ると、男の背が震える。

 

「すごい……上手だね。もう少しだけ、同じ速さで……」

 

「……こう、ですか?」

 

「うん……それ。もっとして……」

 

 桜は速度を変えず、握る強さだけを相手の息に合わせた。上下させるたび、ペニスの脈が速くなる。腰が膝の下で浮き、先端が桜の指の輪へ突き上がった。

 

「もう、出る……!」

 

「はい。どうぞ……」

 

 びゅるっ、びゅるるっ。

 

 熱い精液が桜の手の甲へかかった。続く射精が指の間へ溜まり、白濁した筋になって手首へ垂れる。

 

「あっ……ご、ごめん」

 

「大丈夫です。拭きますね」

 

 桜はタオルを取り、自分の手についた精液を拭った。それから萎え始めた客の股間も、残らないよう根元から先端まで優しく拭く。

 

「上手だね……ありがとう。すごく良かった。また指名したい」

 

「ありがとうございます」

 

 客が満足そうに息を吐いたことで、桜はほんの少しだけ肩の力を抜いた。

 

 一つ、仕事を終えた。

 

 これで姉の情報へ近づける――そう思った。

 

 汚れたタオルを片づけながら顔を上げると、フロアの端に金髪の男がいた。

 

 こちらを見たまま、スマホを耳へ当てている。

 

「……を調べに来た子…………あれは上玉ですね。……ええ、後輩と名乗ってますが、それ以上………………ます。……はい、連れて行きます」

 

 店内の音楽に削られ、聞こえたのは断片だけだった。

 

 通話相手の声も、返事の内容も分からない。

 

 金髪の男は短く笑い、スマホを下ろした。

 

 席から離れようとした桜を、別の黒服が呼び止めた。

 

「新人、次の卓。グラス空いてるぞ」

 

「……はい」

 

 その後もしばらく、別の客の隣へ座らされた。

 

 酒を作り、胸元へ向かう視線に笑みを返し、太腿へ置かれた手を拒まずに話を聞く。

 

 耳元へ熱い息が触れたのは、桜が空いたグラスへ酒を注いでいる時だった。

 

「次はVIPだ」

 

 金髪の男が、背後から低く囁く。

 

 桜の手が止まり、氷がグラスの中でカランと鳴った。

 

「次……ですか? 私、もうお二人の接客を――」

 

「もっと上客。満足させたら、遠坂凛の居場所を教える」

 

 VIPと聞いて、嫌な予感がする。

 

「もし、満足してもらえなかったら……?」

 

「情報はなし。それだけだ」

 

 桜の顔から血の気が引く。グラスを持つ指先が冷たくなった。

 

 ここで拒めば、今まで耐えたことも無駄になる。姉へ繋がる唯一の手掛かりを、自分で捨てることになる。

 

(他に、方法はない)

 

 少なくとも、今の桜には見つけられなかった。

 

「……分かりました」

 

 桜は頷いた。

 

   ◇

 

 金髪の男に腕を掴まれ、フロアの奥へ連れて行かれる。

 

「あの、少しだけ待ってください。外にいる人へ連絡を――」

 

「必要ない」

 

「でも、心配して――」

 

「VIPを待たせるな。情報が欲しいんだろ?」

 

 腕を引かれ、桜は廊下を歩いた。

 

 一歩ごとの靴音が、やけに大きく響く。フロアの音楽は背後へ遠ざかり、代わりに前方の扉から複数人の声と酒、それに濃い体液の匂いが漏れてきた。

 

 金髪の男がVIPルームの扉へ手を掛ける。

 

 桜はスマホへ触れることもできないまま、胸の中で姉の名を一度呼んだ。

 

(姉さん)

 

 深く息を吸う。

 

 扉が開いた。

 

 甘い匂いと精液の匂い、酒臭さが固まりになって押し寄せる。

 

 床と大きなソファには、複数の女性が倒れていた。衣服を乱し、手足を投げ出したまま動かない。眠っているのか、意識を失っているのか、入口からでは分からなかった。

 

 その間に、男が二人いる。

 

 一人は、仕立てのよい服を着た初老の男。部屋も女たちも自分のものだというように、中央のソファへゆったり腰を下ろしている。資産家らしい落ち着きと、値踏みする目を持っていた。

 

 もう一人は、外国人風の男だった。

 

 年齢は読み取りにくい。男は名乗らず、桜を見た瞬間、わずかに目を細めた。

 

 顔ではない。胸でも脚でもない。

 

 身体の奥を透かし見るような視線だった。

 

「初めまして。君の名前を聞いても?」

 

 初老の男が、穏やかに尋ねた。

 

「さ、桜です……」

 

「桜さんか」

 

 男の目が、さらに細くなる。

 

「では、遠坂凛さんとは、どんな関係なのかな?」

 

「……っ! ね、遠坂先輩を知ってるんですか!?」

 

 思わず声が上ずった。

 

 ようやく、情報へ届いた。

 

 一歩踏み出そうとした桜へ、初老の男は微笑むだけだった。

 

「あの男から聞いただろう? 私が凛ちゃんを知っているかどうか、それは君次第だ。で、どういう関係?」

 

 姉妹だと明かしていい相手なのか分からない。

 

 桜は指を握り、先ほどと同じ答えを選んだ。

 

「……学校の先輩です……」

 

「本当に?」

 

 柔らかな声なのに、疑いだけは隠していない。

 

 桜が黙っていると、男は肩をすくめた。

 

「まあ、今はそれでいい。こちらへ来て、まず私を気持ち良くさせてくれないか」

 

 初老の男がズボンの前を開いた。

 

 差し出されたのは、大きな半勃ちのペニスだった。

 

 すでに複数の女性と交わった後なのか、表面は精液にまみれている。白濁した液体が亀頭から根元までぬらりと覆い、むせるような匂いを放っていた。

 

「……それを、ですか」

 

「口で頼むよ。上手に」

 

 嫌だ。

 

 臭い。そんなものを、口に入れたくない。

 

 桜は振り返り、出口を確かめた。

 

 半開きの扉の外には、金髪の男が立っている。目が合うと、顎で室内を示された。

 

 ここで拒めば、凛へ繋がる二人を同時に失う。

 

 桜は初老の男の前へ進み、絨毯へ膝をついた。毛足が両膝の下で沈む。濃い匂いが、さらに近づく。

 

(姉さんを、見つけるためです)

 

 震える息を吐き、口を開いた。

 

   ◇

 

 ぬるっ、と精液に濡れた亀頭が舌へ乗った。

 

「ん……ぅ……」

 

 生温かい塩辛さと強い匂いが、口いっぱいに広がる。

 

 桜は唇でペニスを挟み、舌を這わせた。付着した精液ごと先端を舐め、根元へ向かって頭を沈める。

 

 じゅるるっ、ちゅぱっ。

 

「おおっ……これは……! なんという技だ……」

 

 半勃ちだったものが口内で急速に硬くなり、太さを増す。

 

 初老の男の手が、桜の後頭部へ置かれた。

 

 次の瞬間、喉の奥まで押し込まれる。

 

「んごっ……!」

 

 喉が狭まり、涙が滲む。桜は絨毯についた膝をずらし、少しでも呼吸できる角度を探した。それでも男の手は頭を逃がさない。

 

(満足してもらわないと。姉さんの居場所を、聞くまでは……)

 

 鼻から息を吸い、舌をペニスの裏へ押しつける。喉で締め、唇で吸い上げた。

 

「うっ……いい。続けてくれ」

 

 背後で靴音がした。

 

 外国人風の男が前屈みになり、跪く桜の後ろへ回ったのだ。

 

 短いスカートが持ち上げられ、下着の上から尻を撫でられる。すぐに布の内側へ指が入り、熱い掌が剥き出しの尻を掴んだ。

 

「んんっ!?」

 

 桜が振り向こうとしても、口には太いペニスが入り、頭は初老の男の手に押さえられている。

 

「おお、君のお眼鏡にもかなったかね」

 

 初老の男が、笑みを含んで言った。

 

「そんなに目を輝かせているのは、凛ちゃん以来だな」

 

「……んご……んんっ!?」

 

 凛の名に、桜は目を見開いた。

 

 外国人風の男の指が尻へ食い込み、身体の形を測るように腰骨まで辿る。

 

「ええ。この方も、あなたが好む意味で特別ですよ」

 

「そうか。どうりで……!」

 

(特別……? 姉さんと、私が?)

 

 意味がわからない。

 

 何が同じなのか。外国人風の男は、桜の身体の何を見つけたのか。どうして二人とも凛を知っているのか。

 

 聞きたい。

 

 だが、口を塞ぐペニスはさらに熱を帯び、硬く膨らんでいく。

 

「最高の舌使いだ……そろそろ出るぞ。全部、零さず飲むんだ」

 

「んっ、んん――!」

 

 初老の男が桜の頭を手で固定した。

 

 逃げようと首へ力を入れた瞬間、亀頭が喉奥へ押しつけられる。

 

 びゅるっ、びゅるるるっ……!

 

 大量の精液が口内へ放出された。

 

「んぶっ……ごほっ、んんっ!」

 

 勢いに咳き込んでも、頭を後ろへ引けない。精液が口から溢れ、鼻へ逆流する。むせ返る匂いと熱が呼吸を塞ぐ。

 

 ドクン、ドクン。

 

 長い射精が続くたび、桜は必死に喉を動かした。

 

 ごくっ、ごくっ。

 

 飲み込んでも、次の白濁が舌の上へ溜まる。

 

 その最中、背後の手が桜のパンツを腿まで引き下ろした。

 

 濡れた秘部へ冷たい空気が触れる。

 

「――んっ!?」

 

 外国人風の男が、硬いペニスを入口へ押し当てた。

 

 拒絶を口にする間もない。

 

 ぬぷっ……ぐちゅっ。

 

 熱く太いものが割れ目を押し開き、一気に奥まで沈んだ。

 

「んんぉっ……!」

 

 両膝は絨毯についたまま。上体は初老の男の脚の間へ引かれ、背後からは腰を掴まれる。

 

「すみません、我慢できませんでした。お先に失礼します」

 

 外国人風の男が、初老の男へ穏やかに言う。

 

「ああ、もちろんいいとも」

 

 初老の男はまだ射精しながら答えた。口内へ、また精液が流れ込む。

 

「んぐっ……! ん、ぅ……!」

 

 ぱんっ、ぱんっ。ぬちゅっ、ぐちゅっ。

 

 背後の男が腰を引き、深く突き戻す。尻へ男の下腹がぶつかるたび、膣奥をペニスで抉られ、桜の身体が前へ押し出された。

 

(姉さんを、どうして知っているんですか。どこにいるんですか)

 

 質問したい。

 

 けれど口は塞がれ、頭を固定されている。背後から腰を掴まれ、前後へ引かれるため、喉から出るのは言葉にならない声だけだった。

 

「んんっ、んぅっ……あ、んんっ!」

 

 奥を突かれるたび、下腹の熱が急激に膨らむ。

 

 堪えようと膝を閉じても、腿の間に男の脚が入り込み、腰の動きを止められない。

 

「んんぉ……ッ! んんん……っ!」

 

 最初の絶頂に、桜の身体が大きく震えた。

 

 膣が勝手に収縮し、背後のペニスを締めつける。情報のために耐えているだけなのに、快感は理由を聞かず身体を駆け上がった。

 

「我慢せずにイきたまえ」

 

 初老の男が楽しげに言う。

 

 射精を終えても、ペニスを桜の口から抜かない。頭を掴む手を前後へ動かし始めた。

 

 じゅぽっ、じゅぽっ、じゅるるっ。

 

 イラマチオへ変わる。

 

 亀頭が喉を直接突き、引かれるたびに精液と唾液が糸を引く。

 

「んごっ、ぉえっ……んんっ!」

 

 背後の男も腰を速めた。

 

 ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。ぬちゅっ、ぐちゅっ。

 

 口と膣を前後から突かれ、桜の身体は二人の間で揺さぶられる。呼吸を奪われた苦しさと、奥を擦られる熱が混ざり、絶頂が収まる前に次の波が押し寄せた。

 

「あ、んんっ……! んぅぅっ!」

 

 二度、三度と膣が痙攣する。

 

 びしゃっ、と愛液が腿を濡らし、絨毯へ落ちた。さらに深く突かれると、びしゃびしゃ、と潮が吹き出す。

 

「潮吹きとは、なかなか変態だね、桜ちゃん」

 

 違う、と言いたかった。

 

 身体が反応しても、姉を捜すために払っている代価であることは変わらない。

 

 だが、舌も喉も、男のペニスに塞がれていた。

 

「そろそろイクよ。受け止めて」

 

 外国人風の男の声が背後から落ちる。

 

 腰の勢いが増した。膣奥へ突き込まれたペニスが、ドクドクと脈打つ。

 

「ん――っ!」

 

 びゅるっ、びゅるるっ……!

 

 熱い精液を膣内へ中出しされた。奥へ押しつけられたまま射精が続き、溢れた白濁が腿の内側へ伝う。

 

 ほとんど同時に、初老の男も桜の頭を引き寄せた。

 

 口内へ、二度目の精液が大量に放たれる。

 

「んぶっ……ん、んんっ……!」

 

 鼻へまた逆流する。飲み込もうとしても喉は痙攣し、息を吸える隙間がない。

 

 二方向から続く熱。膣奥を満たす精液。口と鼻を塞ぐ白濁。遠ざかる男たちの声。

 

 桜の視界が暗く狭まっていく。

 

(姉さんの居場所を、まだ……)

 

 聞けていない。

 

 意識を手放した。

 

 最後まで残ったのは、外国人風の男も姉を知っている――その断片だけだった。

 

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