鏡の中の自分は、姉を捜しに来た学生には見えなかった。
胸元が大きく開いた接客用衣装は、薄い布でかろうじて乳房を包んでいるだけだった。短いスカートは太腿の半ばにも届かない。腰を屈めれば、下着まで見えてしまう。
間桐桜は胸元を隠しかけた手を、ゆっくり下ろした。
(これを着て、仕事をすれば――姉さんの居場所を教えてもらえる)
金髪の男は、そう言った。
約束を信じていい相手ではない。それでも、遠坂凛を見たことがあるという男へ繋がる手掛かりは、今はこれしかなかった。
「着替え終わったか。さっさと出ろ」
扉の外から黒服に急かされる。
「……はい」
返事をし、桜は着替え用の奥扉を開けた。
音楽と笑い声が一気に押し寄せる。赤紫の照明が肌を舐め、酒と煙草、香水、それに男女の体液が混じった甘い匂いが鼻へまとわりついた。
フロアへ踏み出した足が、小さく震える。
視線が集まった。胸へ、腰へ、剥き出しの太腿へ。値段を測るような目に晒され、肌が熱くなる。
(先輩は、まだ外にいるのかな)
十五分だけ、と約束した。
けれどスマホを確かめることも、事情を伝えに戻ることも許されていない。今、店の外に士郎がいるのかさえ、桜には分からなかった。
「新人、こっちだ。名前は?」
商談らしい話をしていた二人組のうち、スーツ姿の営業マンが指を鳴らした。
「……桜です。本日はよろしくお願いします」
頭を下げる。
向かいには、接待されている技術者風の男がいた。その膝の上では、別の女性が男と向かい合って跨り、首へ腕を回している。
ちゅぱっ、じゅるっ。
絡んだ舌の隙間から、唾液の音が漏れる。女性が腰をゆっくり擦るたび、技術者風の男が落ち着かなげに肩を揺らした。
「ぼうっと立つな。ここ」
営業マンが自分の腿を叩く。
「膝の上に座れ」
「はい……失礼します」
桜はスカートの裾を押さえ、男へ背を向けるようにして膝へ腰を下ろした。
座りきる前に、両手が伸びてきた。
「んっ……!」
右手が胸を、左手が尻を掴む。衣装の上から乳房を持ち上げられ、指が深い谷間へ沈んだ。尻は形を確かめるように揉みしだかれ、逃げようと浮いた腰を男の膝へ引き戻される。
「柔らかいな。いい身体してる。初めてか?」
「……はい」
「顔、見せろよ」
顎を向けようとした途端、後頭部を掴まれた。
振り向いた桜の唇へ、男の口が重なる。
「ん、むっ……!」
ディープキスだった。
舌先が唇を割り、歯列の内側へねじ込まれる。逃げた舌を追って絡みつき、引き寄せ、口内を掻き回す。
ちゅぱっ、じゅるっ、れるっ。
頭を固定されているため、顔を背けられない。鼻から浅く息を吸うたび、男の酒臭い呼気まで入ってくる。
「んんっ……ふ、ぅ……!」
「舌、動かせるか? そう。客を待たせるな」
命令され、桜は恐る恐る自分の舌を動かした。
これは接客だ。姉の情報を得るための仕事だ。
胸元の布越しに、乳首を指で摘まれる。びくりと肩が跳ねた。反対の手は尻から内腿へ回り、短いスカートの上から秘部へ押し当てられる。
「あっ……そこは……」
「ここがいいのか?」
下着と衣装を隔てたまま、指の腹がクリトリスへ円を描く。
さわっ、くちゅっ。湿りを含んだ布が擦れ、乳首を摘む指と同じ速さで刺激が重なる。
「違……んっ、あ……!」
嫌だと思うより先に、腰が男の膝の上でくねった。
身体の奥に熱が集まる。舌を吸われ、乳首を捻られ、クリトリスを狙って擦られるたび、膝を閉じても刺激が深くなる。
(必ず、姉さんの情報を持って帰るんだ)
そのために耐えているだけだ。
そう繰り返した瞬間、クリトリスを指先で弾かれた。
「あっ……!」
軽い絶頂が下腹を駆け抜けた。腰が跳ね、男の腿へ尻を押しつけてしまう。
「感じたな? 可愛い声が出るじゃねえか。めちゃくちゃエロいよ、君」
「……ありがとうございます」
礼を言えば接客が進む。
そう割り切ったはずなのに、上ずった声が自分から媚びたように聞こえ、胸が痛んだ。
感じたくない。濡れたくない。
それでも、男の手が止まらない。膝の上へ座らされたまま、熱の残る胸と尻をまた揉まれる。
「もっと触っていいか? 中も」
問いの形をしていても、拒めば仕事を終えられない。
桜は唇を噛み、かすかに頷いた。
「……はい……」
「素直でいいな」
衣装の隙間から指が潜り込み、今度は乳首を直接摘まれた。
「ひゃっ……!」
同時に、もう片方の手がスカートの中へ入る。下着の上から秘部を撫でられると、くちゅっ、と濡れた音がした。
「濡れすぎだろ。こんなに感じてるのかよ」
「ごめんなさい……あっ、ん……!」
謝る必要などないはずなのに、口から出てしまう。
下着の縁を横へずらされる。冷えた空気が濡れた割れ目へ触れ、すぐに熱い指がクリトリスを弾いた。指先は入口を浅く掻き、溢れた蜜を拾って上へ塗り戻す。
ぬちゅっ、くちゅっ。
男の舌が再び入り込み、唇を塞いだ。
「んむっ……んんっ!」
「いい子だ。ちゃんと感じろ。俺の膝の上でイけ」
乳首を捻る指と、クリトリスを擦る指が同時に速くなる。
頭を振れない。腰を引けば、尻を掴む腕に戻される。上下から入ってくる刺激に思考が白く霞み、桜の喉から潰れた喘ぎが漏れた。
「んっ、んぅ……あ、あぁ……!」
二度目の軽い絶頂が来た。
びくっ、びくん、と身体が震え、膝の上で小さく跳ねる。口の端から涎が垂れ、開いた胸元へ落ちた。
男はようやく唇を離すと、満足げに笑った。
「最高だな。なあ、隣のお兄さん、大切なお客さんでさ。今すごく重要な商談中なんだよ」
営業マンが向かいを顎で示した。
「あっちも満足させてやってくれない? 君みたいな子なら喜ぶぞ」
断れば、この席の仕事は終わらない。
「……分かりました」
桜は乱れた衣装と下着を直し、先客の女性と位置を交換した。
◇
今度は、技術者風の男の膝に乗った。
「し、失礼します……」
男は目の置き場に困ったように視線を揺らし、それでも桜の胸元へ何度も戻してしまう。
「凄いな……君みたいに可愛い子もいるんだね。俺、まだあんまりこういうところに慣れてなくてさ。リードしてもらっていい?」
「は、はい。わかりました……」
強く掴んでくる営業マンとは違い、この男は桜の動きを待っていた。
桜は相手の肩へ片手を置き、唇を重ねる。おずおずと舌を差し入れると、男の舌がすぐ絡みついてきた。初めは遠慮がちだった動きが、呼吸を重ねるほど深くなる。
ちゅっ、じゅるっ。
「ん……」
キスを続けながら、桜は相手の乳首をシャツ越しに探り、指先で軽く弄った。
「あっ……そこ、いい」
分かりやすく息が弾む。
早く満足させれば、この席を終えられる。仕事を終えれば、姉の情報へ近づける。
先ほどの絶頂の余韻で下腹はまだ熱かったが、今度は相手の反応を観察し、自分で終点までの手順を作る。
桜は股間へ手を伸ばした。ズボンの上から形を確かめる。すでに硬くなったペニスの熱と脈が、生地越しに掌へ伝わった。
「ここも、触って大丈夫ですか?」
「う、うん。お願い」
ファスナーを下ろし、下着の中へ手を入れる。熱いペニスを直接握って取り出し、皮を剥いて根元から先端へ扱いた。
ぬるっ、ぬちゅっ。
親指で先端を擦ると、男の背が震える。
「すごい……上手だね。もう少しだけ、同じ速さで……」
「……こう、ですか?」
「うん……それ。もっとして……」
桜は速度を変えず、握る強さだけを相手の息に合わせた。上下させるたび、ペニスの脈が速くなる。腰が膝の下で浮き、先端が桜の指の輪へ突き上がった。
「もう、出る……!」
「はい。どうぞ……」
びゅるっ、びゅるるっ。
熱い精液が桜の手の甲へかかった。続く射精が指の間へ溜まり、白濁した筋になって手首へ垂れる。
「あっ……ご、ごめん」
「大丈夫です。拭きますね」
桜はタオルを取り、自分の手についた精液を拭った。それから萎え始めた客の股間も、残らないよう根元から先端まで優しく拭く。
「上手だね……ありがとう。すごく良かった。また指名したい」
「ありがとうございます」
客が満足そうに息を吐いたことで、桜はほんの少しだけ肩の力を抜いた。
一つ、仕事を終えた。
これで姉の情報へ近づける――そう思った。
汚れたタオルを片づけながら顔を上げると、フロアの端に金髪の男がいた。
こちらを見たまま、スマホを耳へ当てている。
「……を調べに来た子…………あれは上玉ですね。……ええ、後輩と名乗ってますが、それ以上………………ます。……はい、連れて行きます」
店内の音楽に削られ、聞こえたのは断片だけだった。
通話相手の声も、返事の内容も分からない。
金髪の男は短く笑い、スマホを下ろした。
席から離れようとした桜を、別の黒服が呼び止めた。
「新人、次の卓。グラス空いてるぞ」
「……はい」
その後もしばらく、別の客の隣へ座らされた。
酒を作り、胸元へ向かう視線に笑みを返し、太腿へ置かれた手を拒まずに話を聞く。
耳元へ熱い息が触れたのは、桜が空いたグラスへ酒を注いでいる時だった。
「次はVIPだ」
金髪の男が、背後から低く囁く。
桜の手が止まり、氷がグラスの中でカランと鳴った。
「次……ですか? 私、もうお二人の接客を――」
「もっと上客。満足させたら、遠坂凛の居場所を教える」
VIPと聞いて、嫌な予感がする。
「もし、満足してもらえなかったら……?」
「情報はなし。それだけだ」
桜の顔から血の気が引く。グラスを持つ指先が冷たくなった。
ここで拒めば、今まで耐えたことも無駄になる。姉へ繋がる唯一の手掛かりを、自分で捨てることになる。
(他に、方法はない)
少なくとも、今の桜には見つけられなかった。
「……分かりました」
桜は頷いた。
◇
金髪の男に腕を掴まれ、フロアの奥へ連れて行かれる。
「あの、少しだけ待ってください。外にいる人へ連絡を――」
「必要ない」
「でも、心配して――」
「VIPを待たせるな。情報が欲しいんだろ?」
腕を引かれ、桜は廊下を歩いた。
一歩ごとの靴音が、やけに大きく響く。フロアの音楽は背後へ遠ざかり、代わりに前方の扉から複数人の声と酒、それに濃い体液の匂いが漏れてきた。
金髪の男がVIPルームの扉へ手を掛ける。
桜はスマホへ触れることもできないまま、胸の中で姉の名を一度呼んだ。
(姉さん)
深く息を吸う。
扉が開いた。
甘い匂いと精液の匂い、酒臭さが固まりになって押し寄せる。
床と大きなソファには、複数の女性が倒れていた。衣服を乱し、手足を投げ出したまま動かない。眠っているのか、意識を失っているのか、入口からでは分からなかった。
その間に、男が二人いる。
一人は、仕立てのよい服を着た初老の男。部屋も女たちも自分のものだというように、中央のソファへゆったり腰を下ろしている。資産家らしい落ち着きと、値踏みする目を持っていた。
もう一人は、外国人風の男だった。
年齢は読み取りにくい。男は名乗らず、桜を見た瞬間、わずかに目を細めた。
顔ではない。胸でも脚でもない。
身体の奥を透かし見るような視線だった。
「初めまして。君の名前を聞いても?」
初老の男が、穏やかに尋ねた。
「さ、桜です……」
「桜さんか」
男の目が、さらに細くなる。
「では、遠坂凛さんとは、どんな関係なのかな?」
「……っ! ね、遠坂先輩を知ってるんですか!?」
思わず声が上ずった。
ようやく、情報へ届いた。
一歩踏み出そうとした桜へ、初老の男は微笑むだけだった。
「あの男から聞いただろう? 私が凛ちゃんを知っているかどうか、それは君次第だ。で、どういう関係?」
姉妹だと明かしていい相手なのか分からない。
桜は指を握り、先ほどと同じ答えを選んだ。
「……学校の先輩です……」
「本当に?」
柔らかな声なのに、疑いだけは隠していない。
桜が黙っていると、男は肩をすくめた。
「まあ、今はそれでいい。こちらへ来て、まず私を気持ち良くさせてくれないか」
初老の男がズボンの前を開いた。
差し出されたのは、大きな半勃ちのペニスだった。
すでに複数の女性と交わった後なのか、表面は精液にまみれている。白濁した液体が亀頭から根元までぬらりと覆い、むせるような匂いを放っていた。
「……それを、ですか」
「口で頼むよ。上手に」
嫌だ。
臭い。そんなものを、口に入れたくない。
桜は振り返り、出口を確かめた。
半開きの扉の外には、金髪の男が立っている。目が合うと、顎で室内を示された。
ここで拒めば、凛へ繋がる二人を同時に失う。
桜は初老の男の前へ進み、絨毯へ膝をついた。毛足が両膝の下で沈む。濃い匂いが、さらに近づく。
(姉さんを、見つけるためです)
震える息を吐き、口を開いた。
◇
ぬるっ、と精液に濡れた亀頭が舌へ乗った。
「ん……ぅ……」
生温かい塩辛さと強い匂いが、口いっぱいに広がる。
桜は唇でペニスを挟み、舌を這わせた。付着した精液ごと先端を舐め、根元へ向かって頭を沈める。
じゅるるっ、ちゅぱっ。
「おおっ……これは……! なんという技だ……」
半勃ちだったものが口内で急速に硬くなり、太さを増す。
初老の男の手が、桜の後頭部へ置かれた。
次の瞬間、喉の奥まで押し込まれる。
「んごっ……!」
喉が狭まり、涙が滲む。桜は絨毯についた膝をずらし、少しでも呼吸できる角度を探した。それでも男の手は頭を逃がさない。
(満足してもらわないと。姉さんの居場所を、聞くまでは……)
鼻から息を吸い、舌をペニスの裏へ押しつける。喉で締め、唇で吸い上げた。
「うっ……いい。続けてくれ」
背後で靴音がした。
外国人風の男が前屈みになり、跪く桜の後ろへ回ったのだ。
短いスカートが持ち上げられ、下着の上から尻を撫でられる。すぐに布の内側へ指が入り、熱い掌が剥き出しの尻を掴んだ。
「んんっ!?」
桜が振り向こうとしても、口には太いペニスが入り、頭は初老の男の手に押さえられている。
「おお、君のお眼鏡にもかなったかね」
初老の男が、笑みを含んで言った。
「そんなに目を輝かせているのは、凛ちゃん以来だな」
「……んご……んんっ!?」
凛の名に、桜は目を見開いた。
外国人風の男の指が尻へ食い込み、身体の形を測るように腰骨まで辿る。
「ええ。この方も、あなたが好む意味で特別ですよ」
「そうか。どうりで……!」
(特別……? 姉さんと、私が?)
意味がわからない。
何が同じなのか。外国人風の男は、桜の身体の何を見つけたのか。どうして二人とも凛を知っているのか。
聞きたい。
だが、口を塞ぐペニスはさらに熱を帯び、硬く膨らんでいく。
「最高の舌使いだ……そろそろ出るぞ。全部、零さず飲むんだ」
「んっ、んん――!」
初老の男が桜の頭を手で固定した。
逃げようと首へ力を入れた瞬間、亀頭が喉奥へ押しつけられる。
びゅるっ、びゅるるるっ……!
大量の精液が口内へ放出された。
「んぶっ……ごほっ、んんっ!」
勢いに咳き込んでも、頭を後ろへ引けない。精液が口から溢れ、鼻へ逆流する。むせ返る匂いと熱が呼吸を塞ぐ。
ドクン、ドクン。
長い射精が続くたび、桜は必死に喉を動かした。
ごくっ、ごくっ。
飲み込んでも、次の白濁が舌の上へ溜まる。
その最中、背後の手が桜のパンツを腿まで引き下ろした。
濡れた秘部へ冷たい空気が触れる。
「――んっ!?」
外国人風の男が、硬いペニスを入口へ押し当てた。
拒絶を口にする間もない。
ぬぷっ……ぐちゅっ。
熱く太いものが割れ目を押し開き、一気に奥まで沈んだ。
「んんぉっ……!」
両膝は絨毯についたまま。上体は初老の男の脚の間へ引かれ、背後からは腰を掴まれる。
「すみません、我慢できませんでした。お先に失礼します」
外国人風の男が、初老の男へ穏やかに言う。
「ああ、もちろんいいとも」
初老の男はまだ射精しながら答えた。口内へ、また精液が流れ込む。
「んぐっ……! ん、ぅ……!」
ぱんっ、ぱんっ。ぬちゅっ、ぐちゅっ。
背後の男が腰を引き、深く突き戻す。尻へ男の下腹がぶつかるたび、膣奥をペニスで抉られ、桜の身体が前へ押し出された。
(姉さんを、どうして知っているんですか。どこにいるんですか)
質問したい。
けれど口は塞がれ、頭を固定されている。背後から腰を掴まれ、前後へ引かれるため、喉から出るのは言葉にならない声だけだった。
「んんっ、んぅっ……あ、んんっ!」
奥を突かれるたび、下腹の熱が急激に膨らむ。
堪えようと膝を閉じても、腿の間に男の脚が入り込み、腰の動きを止められない。
「んんぉ……ッ! んんん……っ!」
最初の絶頂に、桜の身体が大きく震えた。
膣が勝手に収縮し、背後のペニスを締めつける。情報のために耐えているだけなのに、快感は理由を聞かず身体を駆け上がった。
「我慢せずにイきたまえ」
初老の男が楽しげに言う。
射精を終えても、ペニスを桜の口から抜かない。頭を掴む手を前後へ動かし始めた。
じゅぽっ、じゅぽっ、じゅるるっ。
イラマチオへ変わる。
亀頭が喉を直接突き、引かれるたびに精液と唾液が糸を引く。
「んごっ、ぉえっ……んんっ!」
背後の男も腰を速めた。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。ぬちゅっ、ぐちゅっ。
口と膣を前後から突かれ、桜の身体は二人の間で揺さぶられる。呼吸を奪われた苦しさと、奥を擦られる熱が混ざり、絶頂が収まる前に次の波が押し寄せた。
「あ、んんっ……! んぅぅっ!」
二度、三度と膣が痙攣する。
びしゃっ、と愛液が腿を濡らし、絨毯へ落ちた。さらに深く突かれると、びしゃびしゃ、と潮が吹き出す。
「潮吹きとは、なかなか変態だね、桜ちゃん」
違う、と言いたかった。
身体が反応しても、姉を捜すために払っている代価であることは変わらない。
だが、舌も喉も、男のペニスに塞がれていた。
「そろそろイクよ。受け止めて」
外国人風の男の声が背後から落ちる。
腰の勢いが増した。膣奥へ突き込まれたペニスが、ドクドクと脈打つ。
「ん――っ!」
びゅるっ、びゅるるっ……!
熱い精液を膣内へ中出しされた。奥へ押しつけられたまま射精が続き、溢れた白濁が腿の内側へ伝う。
ほとんど同時に、初老の男も桜の頭を引き寄せた。
口内へ、二度目の精液が大量に放たれる。
「んぶっ……ん、んんっ……!」
鼻へまた逆流する。飲み込もうとしても喉は痙攣し、息を吸える隙間がない。
二方向から続く熱。膣奥を満たす精液。口と鼻を塞ぐ白濁。遠ざかる男たちの声。
桜の視界が暗く狭まっていく。
(姉さんの居場所を、まだ……)
聞けていない。
意識を手放した。
最後まで残ったのは、外国人風の男も姉を知っている――その断片だけだった。