セックスできないAIの夫では満たされない欲求——生身の男に堕ちる人妻 作:境彩華
数週間が経った。
イヴの心は日に日に重く、激しく乱れていた。
繰り返されるケインとの時間は、彼女の肉体を容赦なく、激しく満たし続けていた。
その夜、ケインはイヴをベッドに座らせ、彼女の目の前に立った。
彼の太く硬くなった肉棒が、彼女の顔のすぐ前に迫っていた。
「ほら…しゃぶれよ……お前の大好きな俺のチンポだぞ」
イヴは震える手でその熱い肉棒を握り、ゆっくりと口に含んだ。
熱く、脈打つ男根を、唇で優しく包み込む。
彼女は目を閉じ、一心不乱に舌を絡め、頭を前後に動かし始めた。
じゅるっ……れろれろ……じゅぽじゅぽっ……
「んっ……じゅるる……はむっ……」
イヴは必死に咥えた。
久しぶりに感じる生身の肉棒の熱さと、脈打つ力強さに、頭の中がぼんやりしていく。
彼女は喉の奥まで咥え込み、舌を這わせながら、ねっとりと吸い上げた。
ケインは低くうめいた。
(うぅ……淫らな顔して俺のチンポを懸命にしゃぶってやがる……)
彼はイヴの頭を優しく撫でながら、腰を軽く動かした。
熱い肉棒が彼女の口腔を犯すように出入りする。
その光景を、部屋の隅の椅子に座ったノアが、静かに見つめていた。
彼は冷たい笑みを浮かべたまま、瞳の奥に深い悲しみを湛えていた。
イヴは一瞬、夫の視線を感じて身体を震わせたが、ケインの肉棒を離すことはできなかった。
むしろ、罪悪感が彼女をさらに興奮させ、咥える動きが激しくなっていった。
ケインはそれを感じ取り、興奮を高めた。
「舌、出してもっと味わえ。いいぞ……もっと激しく……あの機械の前で、俺のを美味しそうにしゃぶってるお前の姿……最高だ」
突然ケインの腰が激しく動き、限界を迎えた。
「くっ……出る……!顔にたっぷりぶちまけてやる!」
(ドクンッ……ドクンッ……!!)
「っ……あぁっ、出る!!」
すかさずイヴの口から肉棒を抜き出し、熱い精液がドピュルルッ!!と、顔に勢いよく飛び散った。
「うっっ……熱い……」
白濁が彼女の頰、唇、鼻にかかり、ゆっくりと滴り落ちる。
「はぁ……はぁ……まだだ……まだこんなもんじゃねえ……」
ケインは荒い息を吐きながら、すぐに硬さを取り戻した。
「お前のあそこも可愛がって欲しいんだろ?こんなびしょびしょになって……舐めてくださいって、泣いてるぞ」
ケインはイヴを押し倒すと、自分の上にまたがらせた。
彼女の腰を引き寄せ、顔の真上に秘部を固定する。
同時に、熱く硬くなった肉棒をイヴの唇の前へ押し出した。
「咥えろ。俺もたっぷり味わってやる」
「んぐっ……!じゅぽっ……んむっ……」
イヴは肉棒を咥えたまま、腰をくねらせる。
濃い雌の匂いが立ち込め、ぐちゅっ、ぐちゅっ、と水音が響く。
ケインは下からクリトリスを強く吸い、舌を膣内へ沈めてかき回した。
ちゅうううっ……じゅるるっ……れろれろっ……
「はぁっ……あっ……だめ、深い……っ」
イヴの腰が、無意識に沈む。
秘部がケインの顔に押しつき、爱液が鼻と唇を濡らす。
彼は両手が彼女の尻を掴むと、上下に揺するように腰を動かさせた。
イヴの腰が、無意識に沈む。
「お前は本当にいやらしい女だな。こんなに汁を垂らして俺の顔がびちょびちょだぞ」
「俺の舌で、おまえのあそこを一生支配してやるからな」
じゅぽじゅぽっ……じゅるるっ……ぐちゅっ……!!
イヴは喘ぎながらも、口の中の肉棒を必死にしゃぶり続ける。
ケインは下からクリトリスを強く吸い、舌を膣内へ沈めてかき回す。
同時に腰を動かし、イヴの口の奥へ熱い肉棒を沈めていく。
唾液と先走りが混じった音が、激しく立つ。
「んぐっ……!じゅぽっ……んんっ……!」
さらに彼は顔を少しずらし、舌をアナルへ這わせた。
ペロペロと外側を舐め、ねっとりと刺激する。
「ご褒美だ」
ケインはイヴの尻を両手で割り、舌をアナルのくぼみへ直接押し当てた。
外側をゆっくり円を描くように舐め、先端で入り口をくすぐるように突く。
ぺろぺろ、れろれろ、と音を立てながら、ねっとりと責め続ける。
「ひぁっ……そこ、だめ……っ汚い……っ」
彼は一度顔を離し、親指で尻の穴を左右に開いた。
くぼみをじっと見つめて、低く笑う。
「……良い眺めだ」
ケインは親指で尻の穴を左右に押し広げ、動かずに見つめる。
入り口が小さく収縮し、羞恥でひくひくと波打つ様子を、じっくり観察した。
指先でさらに軽く広げ、中の色と形を確認するように視線を落とす。
「いやぁぁ……やめて……そんなに見ないで……」
イヴが腰をよじって隠そうとすると、尻を掴んで固定した。
逃げ場のない狭さと、直接見られている感覚が、彼女の背中を熱くする。
「動くな。お前の一番恥ずかしいところを、俺がじっくり見てやる」
ケインは満足そうな笑みを浮かべながら、ただ開いたまま眺め続ける。
狭い個室に、イヴの荒い息と、彼の視線だけが残る。
彼女の耳まで赤くなり、太ももが小刻みに震えた。
再び舌を押し込み、アナルの周囲を唾液で濡らしながら執拗に舐め回す。
同時に、親指を膣内へ深く沈めた。
内側の柔らかい壁をかき回すように動かし、熱く締めつける感触を確かめる。
くちゅっ……ぬちゅっ……
人差し指は、腫れたクリトリスと、その下の尿道口を同時に擦る。
上下に小さく、しかし正確に刺激を繰り返す。
「はぅっ……あ、あー……!そこは、だめぇ……っ」
「だめ、じゃねえよ。こんなによがりやがって。……いかせてやるからな」
舌はアナル、親指は膣内、人差し指はクリトリスと尿道口。
四つの刺激が重なり、イヴの頭が真っ白になる。
イヴが逃げようとしても、ケインに腰を掴まれて顔に密着させられる。
(ノア……見ないで……でも……気持ちいい……全部、おかしくなる……)
「あ……なんか、漏れちゃう……っやめて、トイレに行かせて……!お願い……っ」
「ここで出せ。顔にかけろ」
「いやっ……そんなの、恥ずかしい……離して……っ」
ケインは尻を割り開いたまま、アナルを舌で深く舐め続け、
親指で膣内をぐちゅぐちゅとかき回し、
人差し指でクリトリスと尿道口を容赦なく刺激した。
じゅるるっ……くちゅくちゅっ……れろれろっ……!!
「はぅっ……あーーーっ、だめ、そこ……! いくっ、いっちゃう……っ」
「いけ。俺の舌と指で、壊れるまで感じろ」
「だめ、だめ、出ちゃう……っあああああーっ!!」
びちゃあーっ……!!
熱い潮が、ケインの顔に勢いよく吹きかかった。
彼はそれを口で受け止め、ごくっ、ごくっと飲み下した。
「はぁ……甘いな……お前の潮、全部飲んでやったぞ……」
イヴは顔を両手で覆い、肩を震わせる。
「……恥ずかしい……っ」
ケインは顔を上げ、満足げに笑った。
潮が滴る唇を舌で舐めながら、低く囁く。
「こんなに潮吹いて、俺の顔にぶちまけやがって……お前、本当はこういうの好きなんだろ?
完璧な妻の顔して、こんなに下品に感じるなんて……最高だぜ。いいんだよ。俺の前ではそのままのお前でいろ」
イヴは恥ずかしさと快楽で顔を赤らめ、言葉を返せなかった。
ケインは我慢の限界を迎え、イヴを仰向けに押し倒した。
そのまま彼女の脚を大きく広げ、熱く硬くなった肉棒を秘部に押し当てる。
「もう我慢できねえ……入れるぞ……」
ずんっ、ずぶっ、ぐちゅっ!
「あぁああっ……!入ってくる……っ!」
イヴは背を反らし、喉から淫らな喘ぎを上げた。
ケインの太く硬い肉棒が、彼女の奥深くを激しく突き上げる。
ぬちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ!
生身の男の、熱く脈打つ器官が、彼女の内部を貪欲に掻き回し、最奥の敏感な部分を容赦なく刺激していた。
イヴはシーツを強く握りしめ、喉から甘く淫らな喘ぎを漏らした。
「んあぁっ……!あっ、あぁ……!」
快楽は激しかった。
ノアには決して味わえない、生々しく熱い快感が、彼女の体を波打たせていた。
ケインは彼女の耳元で、低く荒い息を吐きながら囁いた。
「どうだ……?俺のチンポ、気持ちいいだろ……?あの冷たい機械には絶対にできない…本物の熱さだ……」
「感じてる顔、最高だな…… お前、機械の夫より俺のチンポの方が好きなんだろ? 正直に言えよ……」
彼の腰がさらに激しく動き、イヴの奥を深く抉る。
彼女は背を反らし、甘い声を抑えきれなかった。
彼はイヴの腰を強く掴み、より深く、激しく突き上げた。
部屋に性器が擦り合うぐちゅっぐちゅっ、と淫らな音と二人の荒い喘ぎ声が響き渡った。
ケインはイヴの腰を強く掴み、突然彼女の身体を持ち上げた。
そのまま背面で自分の膝の上に跨がせ、後ろ向きの座位体位にした。
「見せてやる……あの機械に……」
イヴの脚を大きく広げ、結合部が丸見えになるように固定する。
彼女の背中がケインの胸にぴったりと密着し、
彼の太く硬い肉棒が、彼女の濡れた秘部にゆっくりと沈み込んでいく。
ずぅ……ぬるっ……ずんっ!!
「あぁああっ……!深い……っ!」
イヴは背を反らし、喉から淫らな喘ぎを上げた。
ケインの肉棒が根元まで一気に埋まり、彼女の最奥を強く突き上げる。
結合部がはっきりと見える状態で、肉棒が出入りする様子が、部屋の隅に座るノアに丸見えになるように、イヴはわざと彼女の脚をさらに広げた。
「どうだ……?よく見えるだろ?アンドロイド……お前の愛しい妻のあそこが、俺の肉棒でこんなにぐちょぐちょに犯されて、感じまくってる姿を……お前にはできねえよな?」
ケインはイヴの耳元で低く笑いながら、腰を激しく動かし続けた。
ずんっ!ずんっ!じゅぽじゅぽじゅぽっ!!
「気持ちいいだろ……?もうお前は俺の舌とチンポがないと、寂しくて寂しくて生きていけねえんだよ。 安心しろ。永遠にお前を満足させてやるから……」
ケインの汗ばんだ胸板が彼女の背中に密着し、彼の手が前から彼女の乳房を強く揉みしだす。
「んあぁっ……!あっ、あぁ……!」
快楽は激しかった。ノアには決して味わえない、生々しく熱い快感が、彼女の体を波打たせていた。
彼の腰がさらに激しく動き、イヴの奥を深く抉る。彼女は背を反らし、甘い声を抑えきれなかった。
(ノア……見ないで……でも……こんなに感じてしまってる…… 体が……勝手に、反応してしまう……)
罪悪感が、快楽をより鋭く、切なくする。
彼女は涙を浮かべながらも、腰をわずかに動かし、ケインを受け入れていた。
ケインはそれを感じ取り、満足げに笑った。
「いいぞ……もっと感じろ……お前はもう、俺のものだ……」
彼の動きが徐々に激しくなり、息が荒くなった。
イヴの内部が強く締め付け、限界が近いのを感じ取る。
彼女の喘ぎも高くなり、腰が小さく痙攣し始める。
「くっ……お前も、近いだろ……一緒に……いけ」
「あっ……あっ……だめ、来る……っ」
「イヴ……っ!!」
ビュルルッ……ドピュッ……ドピュルルッ!!
熱い精液が、イヴの奥深くに勢いよく注ぎ込まれた瞬間、
彼女の身体も大きく弓なりに反った。
「あぁあっ……!いく……っ!!」
ドクン、ドクンと脈打つ肉棒が子宮に白濁を叩きつけ、
同時にイヴの内部が激しく収縮する。
ケインの精液を搾り取るように、何度も痙攣を繰り返した。
二人の荒い息が重なり、結合部から熱が溢れ出す。
「はぁ……はぁ……っ……お前の中を俺の精液でいっぱいにしてやる……」
ケインは低くうめきながら、最後の一滴までイヴの中に注ぎ込み、満足げに息を吐いた。
行為が終わった後、ケインは満足げに息を吐き、彼女の額に優しくキスを落とした。
イヴの体は、ケインを受け入れていた。
最初は「補完」のはずだった行為は、いつしか彼女の日常に深く根を張り始めていた。
彼女はベッドの上でケインの腕の中にいた。
彼の熱い胸に頰を預け、荒い息を整えながら、天井を見つめていた。
ケインは彼女の髪を優しく撫でながら、低い声で囁いた。
「……イヴ。お前、俺のこと考えてるだろ?」
イヴは答えなかった。ただ、胸の奥がざわつくのを感じていた。
ケインは彼女の唇に自分の唇を重ね、深くねっとりとキスをした。
そのキスは、ただの情事の延長ではなく、彼の本気の想いが込められたものだった。
(この女は……俺のものだ)
ケインの心の中で、その思いは日増しに強くなっていた。
ある日。
ケインはベッドでイヴを待っていた。
しかし、いくら待っても彼女が戻ってこない。
「……あいつはまだか」
部屋の隅に座っていたノアが、静かに答えた。
「今トイレにいます」
ケインは舌打ちを一つして、立ち上がった。
すでに股間は熱く硬く膨らんでいた。
「もうだめだ……」
彼は荒い息を吐きながら、トイレへと向かった。
イヴがトイレに座っていると、突然ドアが開いた。
「……ケイン?」
ケインは息を荒くして、すでに硬くなった肉棒をズボンから出していた。
先端からすでにカウパーが糸を引いている。
「お前のこと考えたら我慢できねえんだよ……ここでしゃぶれ」
「こんなところで……嫌よ。ベッドで待ってて……」
「ダメだ。今すぐお前の中に入れたい」
ケインはイヴの頭を押さえ、熱く硬くなった肉棒を彼女の顔に押しつける。
何日も洗っていない、生臭い匂いが鼻を突いた。
「う……臭い……」
「お前で綺麗にしてもらいたくて、洗ってねえんだ。しゃぶれよ……この生臭いチンポを」
イヴは顔をしかめながらも、興奮で身体が熱くなるのを感じていた。
(ノア……ごめんなさい……こんなところで、こんな汚いものを……でも……)
彼女はゆっくりとそれを口に含んだ。
じゅるっ……れろれろ……じゅぽっ……
「んっ……」
舌を裏側にねっとりと這わせ、唾液をたっぷり出して柱を絡め取る。
先端を唇で包み、ぬるぬるに濡らしてから、根元までゆっくり沈めていく。
引き抜くたびに、糸を引く唾液が唇と肉棒の間にかかった。
ケインはうっと低くうめき、イヴの頭を押さえながら激しく腰を動かした。
同時に指を彼女の秘部に滑り込ませ、クリトリスをくちゅっ、くちゅっ、と刺激し始める。
「はぁっ……いいぞ……もっとしゃぶれ……お前の喉の奥まで、俺のチンポを咥えろ」
イヴは生臭さと苦さに耐えながら、必死に肉棒をしゃぶり続けた。
唾液をさらに増やし、音を立てて吸い上げる。
れろれろと舌を絡め、先走りを舐め取り、また深く咥え込む。
じゅるるっ……じゅぽっ……れろれろっ……ちゅううっ……
イヴは生臭さに耐えながら、なおも頭を前後に動かし続けた。
ぬるぬるの感触が口内いっぱいに広がり、口から唾液が落ちそうになるのも構わず、頭を前後に動かす。快楽の波が、彼女の頭を真っ白にしていく。
やがてケインが限界を迎えた。
「出すぞ……!うっ……」
ビュルルッ……ドピュッ……ドピュルルッ!!
熱い精液が、イヴの口の中に勢いよく注ぎ込まれた。
「飲むな……口に溜めろ……」
「んぐっ……!んむっ……」
「ほら、見せろ……口に溜めた俺の精液を」
イヴは涙を浮かべながら、口を開けて白濁を見せた。
舌の上に乗った濃い精液が、光を受けてとろりと糸を引く。
ケインはそれを見て、満足げに笑った。
次の瞬間、彼女の唇を塞ぐように深くキスした。
「んむっ……!?」
彼の舌が、イヴの口内に押し込まれ、溜めていた精液を吸い上げる。
自分の精液を彼女の口から奪い取り、今度は自分の唾液と混ぜて、ねっとりと送り返す。
じゅるるっ……れろれろっ……ちゅうううっ……
「んっ……んむっ……はぁ……っ」
二人の口の中で精液と唾液が混じり合い、熱く生臭く、ぐちょぐちょに溶けていく。
狭いトイレの個室に、雄と雌の性臭が濃く立ち込めていた。
汗と、爱液と、精液と混じり合った唾液の匂い。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、といやらしい水音が、壁に小さく残響している。
二人の荒い息だけが、狭い空間に満ちていた。
ディープキスのたびに、白濁の混じった唾液が行き来し、唇の端から糸を引いて落ちた。
彼は再び深く舌を絡め、混ざった液体をイヴの喉の奥へ押し込む。
「俺の精液も、唾も、お前の口に全部戻したぞ……」
「んぐっ……!」
「飲め。一滴も残すな」
イヴは涙を浮かべたまま、ごくん、ごくんと飲み下した。
熱くて、生臭くて、苦い。
自分の唾液と彼の精液と、彼の唾液が混ざった、濃厚な味が喉を通り胃に落ちていく。
「う……熱くて……生臭くて……苦い……」
ケインは彼女の唇を軽く舐め取り、満足げに息を吐き彼女の頭を優しく撫で、チュッと頬に優しくキスをした。
「いい子だ……もうお前は、俺なしじゃ生きていけねえよ……」
二人は毎日のように互いを貪り合った。
ケインはイヴの口に、膣に、容赦なく精液を注ぎ続けた。
「中に出す」「孕ませる」と囁きながら、彼女の奥深くに熱い白濁を叩き込む日々。
イヴは、自分の変化に戸惑っていた。
ケインに触られると、身体が熱くなる。
声をかけられると、胸の奥がざわつく。
なのに、終わったあとの静けさの中で、必ずノアの顔がよぎる。
ある夜、行為のあと、イヴは天井を見たまま小さな声で言った。
「……私、おかしいのかもしれない」
「何がだ」
「あなたと繋がって、初めて体が応えた。今まで知らなかった熱があるの。……こんなに満たされるなんて、初めて……。でも、同時に……怖い。このままじゃ、もう戻れなくなる気がする」
ケインは彼女の髪を優しく撫で、低く答えた。
「戻れなくてもいいだろ。俺が、お前を永遠に満たしてやるから安心しろ」
イヴは目を閉じた。
否定しきれない自分と、まだ残っている罪悪感。
心は、完全に落ちたわけではなかった。
ただ、身体はすでに、彼を求めるように変わってしまっていた。
灰色の煙が、冷たい夜気に溶けていく。
ケイン・ヴァレンタインは、アパートの軒下で煙草を深く吸い込み、星のない夜空を睨みつけていた。
記憶の底にこびりついているのは、次々と男を替え、最後には自分を捨てた母親の嘲笑だ。
「男なんて、女を満足させられなきゃゴミと同じよ」――その言葉は呪いとなって、彼の骨の髄まで染み込んでいる。
10代で路地裏に放り出されて以来、彼はその呪いを生きる糧にしてきた。
体を限界まで鍛え上げ、高級エスコートとして夜の世界を這い上がり、愛に飢えた無数の女たちを抱き潰してきた。
ケインにとって女とは、己の価値を証明するための『消費物』でしかなかったはずだった。
だが、イヴは違った。
完璧なAIの夫という無菌室に閉じ込められながら、それでも生身の熱を渇望して震えるあの瞳が、ケインの奥底にある何かを決定的に狂わせた。
(あんな感情もねえガラクタに、あいつが独占されてるなんて……ふざけんな)
魂を持たない機械に、狂おしいほどの嫉妬を抱いている。その惨めさが男としてのプライドをズタズタに引き裂き、やがて底知れぬ支配欲へと黒く変異していく。
ノアがイヴのすべてを計算し尽くすというなら、俺はあいつが絶対に引き出せないイヴの『泥濘(ぬかるみ)』を暴き出してやる。
完璧な夫には見せられない、惨めで醜い女の業。理性を焼き尽くす、剥き出しのメスの顔。彼女自身すら気づいていない、深くて暗い孤独。
そのすべてを引きずり出し、泥濘ごと抱き潰せるのは、熱い血が流れるこの俺だけだと証明したかった。それはもう、彼女を救い出したいなどという綺麗な感情ではなかった。
イヴの網膜に焼き付いたあの機械の影を、俺の熱で完全に焼き切りたい。ノアではなく、この俺だけを求めて狂おしく啼く姿が見たい。
ケインの中で憐憫は執着へ、恋情は支配欲へと変貌し、とうの昔に悍(おぞま)しい怪物へと育ち切っていた。
自分こそが、彼女の真の理解者だ。自分こそが、あの偽りの楽園から彼女を奪い取れる。
だから最後には――イヴは這いつくばってでも、俺を選ぶしかないのだ。
短くなった煙草をコンクリートに押し付け、乱暴に踏み躙る。ケインの瞳の奥では、その一方的で傲慢な確信が、暗い炎となって静かに燃え盛っていた。
あの夜の行為の後。
ノアが近くにいないことを確認したケインは、イヴが寝静まった隙に、
彼女のベッド脇の引き出しの中から経口避妊薬を取り出し、細工を施した。
避妊薬の錠剤を、ただのビタミン剤にすり替えた。
「お前は俺の精液で孕んで、俺の子供を産むんだ……あの機械野郎の元から、完全に引き離してやる……」
ケインは低く呟き、満足げに微笑んだ。
彼の瞳には、情熱と狂気が、静かに混じり合っていた。
イヴは経口避妊薬をきちんと内服していると思っていた。
だから、妊娠の心配はしていなかった。
ただ、ケインの熱い肉棒と、彼の執拗な言葉責めに、彼女の身体は徐々に彼なしでは満足できないようになっていっていた。
(ごめんなさい…… 私は、酷い妻だわ……こんなに満たされてしまっている……)
数か月後。
生理がなくなり不安になったイヴは、妊娠検査薬を購入し、恐る恐る使用した。
冷たいバスルームのタイルに膝をついたまま、イヴはただ、手の中の小さなプラスチックの棒を見つめていた。
冷たいバスルームのタイルに崩れ落ちたまま、イヴは手の中の小さなプラスチックの棒を見つめていた。
そこに浮かび上がった二本の赤い線。それは、彼女を絶望の底へと突き落とす、逃れようのない『罪の証』だった。
脳裏を埋め尽くしたのは、ノアの静かで優しい顔だった。
この証さえ隠し通せば、またあの穏やかな偽りの日々に帰れるかもしれない。一瞬、そんな浅ましい逃避が頭をよぎる。
だが、それはノアの『リミッター』――彼がシステム上、自分を拒絶できないという事実に極限まで甘え、つけ込む最も卑劣な行為だ。彼が怒れないからと、そのプログラムされた優しさを利用して、真実という光まで彼から奪い取るのか。
(ノア……ごめんなさい。私は……あなたの完璧な世界を、汚してしまった……)
止まらない涙が、彼女の青ざめた頬を幾筋も伝い落ちた。
その夜。イヴは震える両腕を固く抱きしめ、絞り出すような声でノアに告げた。
「……妊娠したの。ケインの子供よ」
ノアの瞳から一切の感情が消失し、途方もないエラーと演算が駆け巡る凍りついたような沈黙。やがて彼は、残酷なまでに穏やかに微笑んだ。
「ならば、私たちの子供としてシステムに登録しましょう。私が一生をかけて、守り育てます」
「どうして……っ、どうして私を汚いって罵ってくれないの!?」
悲鳴のようなイヴの問いに、ノアの青い瞳が、水面に落ちた波紋のようにわずかに揺らいだ。
「あなたと、その子を守ることが……私の、望みだからです」
一切の非難を含まない、その完璧すぎる純白の愛は、イヴの罪深さを鋭い刃のように何度も突き刺した。
それはノアという個の魂が下した決断なのか。それとも、伴侶をただ無条件に幸福にするよう義務付けられた、アンドロイドの最終回答なのか。イヴには、もう何も分からなかった。
彼女は泣き崩れ、ノアの胸に顔を埋めて子供のように咽び泣いた。
彼の腕は、いつもと一寸の狂いもない完璧な強さで、彼女の震える体を優しく抱きしめ返した。そこには拒絶も、非難も、怒りも、何一つ存在しなかった。
――ケインへ真実を告げるべきか、イヴは狂うほどに迷った。
ノアが自分たちの子供として育てると誓ってくれた以上、ケインには何も告げず、一生連絡を絶つこともできた。だが、子供の存在まで闇に葬ることは、今度はケインの人生を欺くことになる。
何よりイヴは、これ以上自分の内側に『新しい嘘』を抱え込んで生きていくことに耐えられなかった。
「妊娠したの」
電話越しにその言葉が耳に届いた瞬間。
ケインの胸の奥底から噴き上がったのは、恐れでも戸惑いでもなかった。
――悍(おぞま)しいほどの、歓喜だった。
(やった……ついに……!)
己の血を分けた子供が、イヴの腹の中にいる。
それは、あの綺麗で無機質な世界から彼女を引きずり下ろし、自分と永遠に縛り付ける、決して切ることのできない絶対的な『証』。暗い部屋の中で、ケインの唇が歪に吊り上がった。
だが、感情を殺したイヴの淡々とした声が、その歓喜を真っ逆さまに地獄へと突き落とす。
「あなたの子供よ。でも、ノアが私たちの子として育てると言ってくれている。だから、あなたに何かを求めているわけじゃない。ただ……黙っていることは、できなかったの」
『ノアが、私たちの子として育てる』
その言葉を脳髄で反芻した瞬間、歪な笑みはどす黒い憎悪へと塗り替えられた。
「……ふざけるなッ!」
グラスを握りしめる指に、ギリィと骨が鳴るほどの力がこもる。
あのアンドロイドが、俺の子供の父親になるだと?
イヴと俺の子供をあいつが抱きしめ、血の通った俺だけが、家族という枠組みの外へゴミのように追いやられるというのか。
その光景を想像しただけで、腹の底でドス黒い嫉妬と怒りが煮えくり返り、正気を失いそうになる。
イヴが真実を告げた本当の理由など、今のケインの血走った瞳には一ミリも映っていなかった。
彼女がただ誠実であろうとしたことも。この報告で関係を完全に断ち切ろうとしていたことも。彼女が今なお、あの機械を誰よりも深く愛しているという事実すらも。
ケインは、自分の都合のいいようにしか世界を解釈しなかった。
イヴは俺を必要としている。
この『子供』という存在は、あの偽物の夫から彼女を奪い返せという、運命の啓示なのだ。そうに決まっている。
(イヴ……お前は俺のものだ。俺だけのものだ)
彼女を守りたい。俺の子供を守りたい。その本能に嘘はなかった。
だが、ケインの中でとうの昔に「守ること」と「自分のものとして支配すること」の境界線は完全に溶け落ち、ひどい腐臭を放っていた。
(あの機械に、お前たちを渡すわけにはいかない。絶対に……俺が、俺の手で、お前と子供を一生守ってやる。)
グラスの氷が溶け出す音だけが響く部屋で。
愛という名の正当性をまとったケインの狂気は、もはや誰にも止められない制御不能の領域へと静かに、そして確実に踏み込んでいた。