快楽負けメインの趣味短編小説集(仮題)(ノンフィクション有り) 作:ところてんβ
「ああああっ!♡」
雄々しいペニスが春香の柔らかな蜜壷の奥をエグった瞬間。もう何度目になるか分からない絶頂が彼女を容赦なく襲った。
どくどくと、薄いゴム越しに男の熱が注がれている感覚に、彼女は更に軽く身体を痙攣させる。
「んううふぅ……♡」
ゆっくりとペニスが抜かれるだけで、彼女は物欲しそうに腰を捩った。
「どう?彼氏のと比べて」
「やっ……っ!そんなの。言えません……」
「じゃあ言うまでやめてあげない」
「そんなっ……。ああっ♡」
達したばかりの敏感な身体に打ち付けられる、容赦の無い男の腰。
(なんでこんなことになっちゃってるんだろう。もう、分からないや……)
だらしない嬌声と涎を撒き散らしながら、彼女はひたすらに快楽を貪っていた……。
――――――
「失礼しまーす」
放課後、所属する文化創作部の扉を開け、少し躊躇いがちな声で挨拶をするのは、この大学に通うごく普通の女子大生、春香(はるか)だった。
齢は二十。黒髪のおかっぱに地味な眼鏡をかけた、一見すると目立たない素朴な顔つきをしている。だがその身体は顔に似合わず凶悪で、両手で包み切れない豊満な胸と窮屈そうなジーンズからも窺える肉付きの良い太股は、常に男達の視線を惹いた。
その煽情的な身体を活かし、SNSでコスプレイヤーとして活躍している一面も持つ。
女に縁の無い乾いた男子部員達にとって彼女は天使のような存在であり、毎日のようにオカズにしていたのだが、口説こうとする者は居なかった。何故なら、このサークルの部長が春香の彼氏だったからだ。
「蒼太(そうた)、新しい同人誌できた?」
部室に入るや否や、部室の奥で机に向かう細身の彼氏へと歩み寄った。彼は春香の幼馴染でもあり、小学生からずっと学校が一緒だ。高校生の頃から付き合いだしており、告白したのは春香からだった。
「うん、これだよ……」
蒼太が少し照れくさそうに差し出してきた冊子を受け取り、春香はページをめくる。それは、技術的にはまだ拙い部分も多く、SNSに載せた反応もイマイチだったようだ。
実際、彼がイベントに出展しても作品はいつもほとんど売れ残ってしまうのが現実だった。それでも、春香は蒼太の描く漫画が大好きだった。何より、どれだけ結果が出なくてもへこたれず、次に向けて明るく頑張る彼の姿が愛おしくてたまらなかった。
気の弱い彼女がコスプレを始めたのも、彼が絶対に似合うからと勧めてくれたのが理由だ。今では自分の肌を晒す事にもそれなりに慣れ、イベントの際には蒼太の売り子として参加し彼の漫画家への道を応援してもいる。
「蒼太の漫画、今回も凄く面白いよ!売れると良いね♪」
「うん!ありがとう!」
今日も今日とて惚気てくれるカップル二人に、枯れ木のような部員達は辟易しながらもその空気を楽しんでいた。
――――
「ね~ね~。蒼太。まだいける?」
「んん……。ちょ、ちょっと休憩……」
夜。一人暮らしの蒼太の部屋で、裸の二人がベッドに並んで寝転がっていた。二人とも頬は紅潮しており、甘い疲労感を声に滲ませている。
春香はその柔らかな肢体を蒼太の細い身体に押し付けながら、彼の気の抜けてしまったモノに指を絡めるが、蒼太の口から情けない声は漏れるものの勃つことは無かった。
「ご、ごめん。もうちょっと体力が有れば……」
「ううん、いいの。私、幸せだよ?」
唇と唇が触れ合う。心地良い感触に、春香の表情が蕩けた。
彼らのセックスはいつもこうだ。蒼太があっという間に達してしまい、春香の身体には泥のような物足りなさが残る。しかし、こうして愛しい男と一緒に抱き合えるだけでも心は満たされていた。
「あ、そうだ。これどうかな?」
春香が向けてきたスマホを覗き込むと、コスプレをした春香の自撮りが映っていた。猫耳のくノ一姿をした彼女の胸元は大きく開き、短いスカートからは艶めかしい太股が存分に曝け出されている。
投稿されているSNSの反応はなかなかのもので、多くの好意的なコメントが寄せられていた。
「うおお~!『セッちゃん』だ!え!?どうしたのコレ!?」
「えへへ……。次の売り子をする時に着ようと思ってるの。どう?似合う?」
「似合うどころの話じゃないよ!ホンモノみたいだ!やっぱり春香のコスプレは最高だなぁ……」
あ、と春香が声を上げる。堅くなった蒼太のモノが、彼女の太ももを撫でていた。
「……もう一回、する?」
答えを待つより早く、蒼太は春香に挿入していた。
「あん……♡」
淡い嬌声が薄暗い部屋に静かに響く。
甘く幸せな日々が、今日も彼らの上を通り過ぎていた。
――――
創作イベントまで残り数週間と迫った頃。
春香は今日も自撮り写真をSNSにアップしていた。
彼女のコスプレはそれなりに過激ではあるものの、局部は晒したりせず、あくまでも全年齢を対象としている。それでもやはりしつこい出会い厨やセクハラ野郎は湧いてくるもので、その対処に苦労することもあった。
そんなある日の風呂上り。生乾きの頭をタオルで拭きながらいつものように変態じみたメッセージを削除している最中、とある一通の表題に手が止まる。
「……えっ。この人って……」
送り主は、界隈でも圧倒的な知名度を誇る人気の同人カメラマンだった。
『次のイベントの際、ぜひ【よたりん】さんを撮影させてほしいです』
情熱的な文章を要約するとそういう事らしい。驚きと興奮が冷めないまま、翌日の夜。春香は蒼太の自宅で過ごしている際、彼にそのメッセージを見せた。
「……ねえ蒼太、これ凄くない?」
「えっ、マジで!?あの人に撮影されたコスプレイヤーって、みんな一気に有名になるって噂だよ?中にはプロになって雑誌に載りまくってる人も居るとか……。やったじゃん!やっぱり才能あったんだよ!」
「うん……!嬉しい!」
自分のことのように喜んでくれる蒼太の笑顔を見て、春香は胸を弾ませた。
――そして迎えたイベント当日。
蒼太のブースで売り子をこなした春香は、午後から行われるコスプレエリアの撮影会に参加する為に一時間だけ離席することになった。
「楽しんできてね!」
「うん♪」
軽い足取りで駆けて行く春香。ブースに居た時もそうだったが、彼女の煽情的な衣装と身体はイヤでも他人の目を引いた。
待ち合わせの場所に到着してすぐ、例のカメラマンが春香の前に姿を現す。
「あ!ど~も!『よたりん』さんですか?」
「あ……!『ぼんち』、さん……?」
「そうですそうです!初めまして!うわぁ!それ『セッちゃん』のコスでしょ!?めっちゃ似合ってますね!」
「え、えへへ……」
目の前に現れたカメラマンは、短い髭を生やした筋肉質でワイルドな雰囲気の男だった。ソフトモヒカンの金髪と両耳のピアス。そしてこんがり焼けた小麦色の肌も相まって少しチャラついた雰囲気はあったが、気さくな挨拶と丁寧で明るい話し方に、ビジネスライクな意味でだがすぐに打ち解ける事ができた。
「いやぁ、『よたりん』さんって、写真よりリアルの方が遥かに綺麗で可愛いね!マジでびっくりしちゃったよ!」
「そ、そうですか?『ぼんち』さんみたいに凄い人に言われると、ちょっと照れちゃいます……」
「ちょっとじゃなくてたくさん照れて欲しいな!よぉし!気合入れて撮影しちゃうよ!」
その後、春香は『ぼんち』と呼ばれるカメラマンの指示通りにポーズを取り、本格的な機材で撮影してもらった。
他のコスプレイヤーが甘えるような声で『ぼんち』に撮影を求めていたが、その日の彼は春香以外をレンズに捉える事は無かった。その真っすぐな感情が、少しだけ春香の心をくすぐった。
「いやぁ、最高の写真が撮れたよ!今日はありがとう!」
「いえ……こちらこそ。ありがとうございました」
その後、二人は連絡先を交換し、お互いの本名も教え合って解散した。カメラマンの名は和樹(かずき)というらしい。歳は三十二らしいが大学生と言われても違和感のない若々しさだった。
数日後、和樹がSNSにアップした春香のコスプレ写真は瞬く間に拡散され、大きな反響を呼び、春香のフォロワーも過去一番の伸びを見せた。
一躍、注目の的となった春香のもとに、再びそのカメラマンから連絡が入る。
『良かったら今度、個人撮影しない?もっと君の魅力を引き出してみたいんだ。なんなら、次のイベントに向けて写真集の企画も考えてみないか?』
それは春香にとって非常に魅力的な提案だったが……。
『でも、私には付き合っている彼氏がいるので……。二人きりでの撮影は少し……』
『はは、心配ないよ。俺はプロとして、春香ちゃんの魅力を最高の形で作品にしたいだけなんだ。他のパートナーがいるモデルさんたちも、活動のステップアップとして普通に受けていることだよ。キミがもっと有名になれば彼氏さんのサークル活動の宣伝にもなって、いい助けになるんじゃないかな?』
春香の心は揺れた。思い出されるは少し前に参加したイベント。今回も蒼太の同人誌の売り上げは芳しくなかった。それは蒼太の実力不足が招いたことなのだが、彼女はそれを自分の力不足のせいだと思い込んでいた。
(私が有名になれば、蒼太の作品もたくさんの人に知ってもらえるきっかけになるかもしれない……)
大好きな彼のため。その一心で、春香は個人撮影の依頼を受けることに決めた。蒼太にも正直に話し、彼は嫉妬するどころか喜んでいたが、春香は「絶対に何も無いから。私が好きなのは蒼太だけだから」と念押しした。
「や!春香ちゃん!今日はよろしく!」
「……よ、宜しくお願いします」
誘いがあった週の末日。大学から少し離れた町の駅前で二人は落ち合った。春香はなるべく変な気を起こされないよう地味な服を選んだつもりだったが、無駄な装飾や模様が無い分、余計に彼女の身体を際立たせてしまっていた。
「じゃ、行こうか」
「は、はい……」
身長がほとんど同じ蒼太とは違い、顔一つ分は背の高い男と並んで歩く。
撮影は和樹の言葉通り平穏に進んだ。彼は一日貸し切ったスタジオで、特に変な要求をすることも無く真面目に撮影をこなした後、少しおしゃれなレストランで春香に少し遅めのランチを振る舞い、創作活動について熱心に語った。
その真摯に見える態度に春香の警戒心はかなりほぐれた。更に、今回撮影したコスプレ写真もまたSNSで大きな反響を呼び、更にフォロワーが増えた事で彼に対する信頼感も増した。
『今日はありがとう!良かったらまた撮影させてもらっても良いかな?今度は、本格的に写真集用のヤツを撮りたいと思ってるんだ!』
その誘いを春香は二つ返事で承諾した。
数週間後。彼女は活動への期待を胸に、二回目の撮影へと向かう。
再び同じ駅前で合流し、和樹に案内される。
……が、しかし。今回は前回と場所が違った。
「ここだよ」
「え?ここって……」
案内されたのは、ビジネスホテルのように落ち着いた外装の、ラブホテルだった……。