【公式不倫 R-18二次創作】消せないラスト・ノート 作:ひよこレモン
「……え……っ?」
すぐには目の前の光景を理解することができない。
つい今、3回目のセックスを終えたばかりのはずなのに。
タカヒロさんのものは、そのままの硬さで、そのままの角度で、彼の股間からそそり立っている。
ふぅ、ふぅと、肩で息をする彼の眼は、まだ性欲の炎にとらわれたまま、ぎらぎらと妖しく輝いている。
「ちなみ…」
低い地響きのような声で、彼が私の名前を呼ぶ。
「済まない」
彼の言わんとしていることを察して、私は思わず身震いする。
「まだだ」
う、嘘、でしょう…?
あれだけ全力で動き続けて。
あれだけ大量に精を放ったのに。
…まだ、足りないだなんて。
そうだった。
昔から、タカヒロさんの体力は底なしで、性欲もまったく尽きることはなかった。
どれだけ遅い時間までセックスを楽しんでも、一晩で何度射精しても、朝起きると彼は何事もなかったようにけろっとしていた。
あまつさえ、また朝から交わることも、一度や二度のことじゃなかった。
そのたびに私は、彼の無尽蔵の精力に驚き、同時に、複雑な感情も抱いていた。
どうして、この人は、こんなにも熱心に私を抱いてくれるのだろう。
どうして、どれだけがんばっても、史也さんには抱いてもらえないんだろう。
史也さんに、ほんのひとかけらでもいい、この熱情があったなら…
ぱちん。
タカヒロさんがゴムを外す音で、私ははっと現実に引き戻される。
暴れ回る性欲を御しきれない様子で、彼は荒い息のまま、私をふたたび布団の上で仰向けに転がす。
そしてそのまま、いきり立ったままのおちんちんを、私のぐしゃぐしゃに潰れたあそこに捻じ入れようとする。
「ダメっっ!!!」
私はわずかに残った全身の力を振り絞って、飛び起きるように彼の魔の手から抜け出す。
反射的に飛び出した声の大きさに、自分でもびっくりする。
私は、今日初めて、彼の要求を拒絶する。
それだけは、絶対に…
絶対にだめ。
驚いたのは彼も同じで、悪い夢から醒めたかのように、目を見開いてその場で呆然としている。
挿入を制止された彼のものも、しょげたように力を失っていく。
「ちなみ…」
「約束、したじゃ、ないですか」
私は俯いたまま、たしなめるように、ゆっくりと言葉を発する。
それは怒りに任せた叱責なんかじゃない。
「絶対に、生では、しないって」
これからも関係を続けていくために必要な、お願いごと。
「避妊なしでは、だめです」
だって。
「お願いです、タカヒロさん」
直接、つながってしまったら…。
「会えなくなるのは、困ります」
…それは、愛の行為になってしまうから。
「お願いです」
私が愛しているのは、史也さんだけだから。
「っ…」
私に制止されたタカヒロさんは、ようやく我に返った様子で、その場で腰を下ろしたまま、私の方をじっと見つめている。
私はまだ力の入らない身体をなんとか動かし、震えが止まらない手をバッグに伸ばす。
ポーチの中には、もう、避妊具はひとつも残っていない。
私はバッグの中身をひと思いにひっくり返す。
底の方から、まだ封を開けていない、箱のままの新しい避妊具が転がり出てくる。
…自分の理性なんか信用せずに、念のため、準備しておいたもの。
わなわなと震える手では開けられない。外側のフィルムを歯で食いちぎり、なんとか中から避妊具の包みを取り出す。呆けているタカヒロさんの前に、それを投げてよこす。
「ちなみ…」
私を見る彼の目には、見たことのないような感情が浮かんでいる。
それは、困惑?
あるいは、失望?
それとも…?
「君は、そんなもので、自分を…」
私は這いずるようにして彼のもとへと近づく。
まだ精液にまみれたままの、しぼんでしまったおちんちんを、口に含む。
「ん…ちゅっ、れろっ、んむ…っ」
疲れを労わるように、再度の奮起を促すように、優しく、丁寧に唇を沿わせながら、どろどろの体液を舐め取ってきれいにする。
産まれたての胎児を、草食動物の親がぺろぺろと舐めるように。
ほんのソフトな口淫でしかないのに、彼のものはすぐさま硬さを取り戻し、逆に私の口内をぐりぐりと陵辱し始める。タカヒロさんが、はぁはぁと息を荒げながら、私のことを見下ろしてくる。
私は彼を咥えたまま、上目遣いでそちらを見る。彼の眼に冷酷な光が戻っているのに気づく。
今度は何をされてしまうのだろうか。
背筋をぞくぞくさせながら待ち構える。
「そっちの口は…欲しがりなのにな」
私は口での愛撫を止めない。じゅぽ、じゅぽと、わざといやらしい音を立てながら、舐め取った精液を少しずつ飲み下していく。
「そんなに欲しいなら、いっぱいあげようじゃないか」
タカヒロさんはさっき外したゴムを布団の上から拾い上げる。
「ほら、こっちを向くんだ」
私がおちんちんから口を離し、言われた通りに彼の方を向くと、タカヒロさんはゴムを逆さまに持ち、中に溜まった大量の白い液体を、私の顔めがけてどろりと垂らす。
私は咄嗟に口を開け、はしたなく舌を伸ばし、その白濁を全部受け止める。
「あっ… んッッ…」
やっぱり、3回目にしては異常な量だ。
その逞しさと、生臭く鼻をつく匂いに、私はうっとりと頬を赤くする。
口いっぱいの彼の精液を、ひと思いにごくりと飲み干し、私はぺろっと舌なめずりをする。目を閉じ、粘ついた液体が喉を通過していく感触を味わう。
そこは本来精を受ける場所とは違うけれど、彼の子種に粘膜を犯される感覚に、私は邪な悦びを覚え、目もくらむような興奮を喚び起こされる。
ぐちゃぐちゃに突かれて疲弊しきったはずの身体に、少しずつ力が戻ってくる。
何度もいかされて消耗したはずの性欲も、またふつふつと身体の奥から湧き上がってくる。
私は、誘うような上目遣いでタカヒロさんを見上げる。
彼もまた、猛禽類のような鋭い目つきで、私のことを見つめている。
私たちふたりの間には、余計な言葉は要らなかった。
脚を崩し、胡座のような格好で座ったタカヒロさんのおちんちんに、私は丁寧にゴムを被せる。
そしてそのまま、彼の膝の上に跨るように座る。
互いの腕を背中に回し合い、ぎゅっと密着しながら、二度、三度と唇を重ね、ねっとりと舌を絡ませる。
私のおなかに当たった硬いものが、ぴく、ぴくと反応し、早く中に入りたいと訴えかけてくる。
空っぽになった私のあそこは、本当はすごく淋しがり屋で、すぐにでも入ってきてほしいと、涙をこぼす。
タカヒロさんが腰を引くのと同時に、私はゆっくりとお尻を持ち上げる。
私の秘裂の入口に、彼の先端がそっと口づけをする。
そのまま脚の力を抜くと、ずぶずぶと彼が私の中へと入ってくる。
「ふぁぁ…あぁッ! また…きたぁ……ッッ」
そこに差し込まれるべき鍵が、ぴったりと私の鍵穴に収まり、私の全身を悦びが駆け巡る。
タカヒロさんが夢中になって唇を重ねてくる。私もむしゃぶりつくようにキスを返し、舌をこじ入れて彼の口の中で絡ませ合う。
その間もきつく抱き合ったまま、ふたりの腰は忙しなく動き続け、じゅぷじゅぷと卑猥な音を立てながら、際限なく快感を生み出し続ける。
「んんッ、むぐっッ…んむッ、んんんッッ!」
口が塞がっているので声が出せず、嬌声はくぐもったようにふたりの口の中で響き、消えていく。
ずっ、ずっ、ずっ、ずっ、ずっ
ふたりとも、体力的にはとっくに限界を超えているはずなのに。
ただセックスへの、快楽への衝動だけが、性獣となったふたりの身体を突き動かしていた。
タカヒロさんに抱きかかえられたままで、私は仰向けに布団に倒れる。
彼はただひたすらに腰を振り続ける。
私もめいっぱいに脚を拡げ、いちばん気持ちいいところで、その抽送を受け止める。
「あっッ、あっ、あっ、あっ、あぁッッ…!」
規則正しいリズムで、私の身体に快感が刻まれていく。
身体を重ねれば重ねるほど、より高くへ、より遠くへとたどり着けるような気がして、私はもう何もかもかなぐり捨てて、タカヒロさんに哀願する。
「まだッ、やめ、ッ、ない、でッッ……あぁッ」
理性や常識の軛を外れた先で見つけたのは、何よりも純粋で、かけがえのない、大切なもの。
「もっと、ッ、もっと……もっと、おっッッ」
女と男。
性の悦び。
セックスの、快楽。
「ほしいッ、もっとッッ! いっ、ぱいッ、してッ、してっッッ」
神様が創った
「うれ、しいっッ、あ゛ぁッ! きたッ、いくいく、いくッ、いきそうッッ」
世界が白く霞む。何も見えなくなる。
世界が静まり返る。すべての音が遠ざかっていく。
触れ合っている肌の感触もわからなくなって、身体の境界が曖昧になり、私は彼と一体となって溶け合っていく。
ずぷっずぷっずぷっずぷっずぷっずぷっずぷっ…
残ったのは、ふたりが繋がった部分でこすれ合う粘膜の感覚と、そこから湧き上がる、とめどない快感だけ。
「あ゛ぁッッ! いくッ、いくぅッ、またい゛くぅッッ!!」
そして、すべてが消し飛ぶほどの、絶頂。
どくっ! びゅぷっっ!! びゅるるっっ!!!
「う゛あぁぁぁ─────ッッッッッ!!!!」
何もかもが真っ白な世界の向こうに消えていく。
私は快感の奔流にさらわれて、激しく痙攣しながら、ふわふわと漂うような多幸感に全身を包まれ、そのまま気を失う。
……
その後のことは、あまりよく覚えていない。
気がついたときには、カーテンの隙間から、眩しい朝陽が差し込んでいた。