※この作品はR-18です。

【公式不倫 R-18二次創作】消せないラスト・ノート   作:ひよこレモン

13 / 14
13 救済

カーテンの隙間から差し込む朝陽に照らされて、私は目を覚ます。

 

昨夜の狂乱がすべて夢に思えてしまうような、爽やかな、朝。

 

だけど、部屋の中の惨状は、それが現実に起きたことだと、雄弁に事実を突きつける。

 

裸のままで毛布に包まる私。

じっとりと濡れた布団から漂う、饐えたような酸っぱい匂い。

床に散乱したティッシュ。

破り捨てられた避妊具のパッケージ。

そして…使用済みのゴムが、3つ。

 

3つ…?

 

私はなんとか昨夜のことを思い出す。

この部屋で交わした情事のことを。

最初は正面からタカヒロさんを迎え入れた。

2回目は対面で、膝に座る格好で、自分から彼を受け入れた。

 

…。

私の記憶は、2回目の行為までで途切れている。

 

だけど、この部屋には使用済みのゴムが、3つ。

 

もう一度、昨夜のことを全部ちゃんと思い出そうと目を閉じる。

でも、喚び起こされるのは、めくるめく快楽の記憶ばかりで、言うことを聞かない私の身体がまた鈍く疼き始めてしまう。

 

これじゃ、いけない…。

 

…私は、昨夜の自分と向き合うことを諦める。

ひとつ大きな深呼吸をし、気を取り直して、新しい1日の方に向き直る。

 

そうは言っても、こんな風に裸のままで過ごすわけにはいかない。

部屋の中を見渡すと、壁際のハンガーに、昨日着ていたオーバーサイズのTシャツとハーフパンツがぶら下げられている。

 

ずっしりと重たい身体を引きずりながら、立ち上がってそれを手に取ろうとしたとき、かちゃっ、と部屋のドアが開く。

私は咄嗟に毛布を拾い上げて肌を隠す。

 

「ちなみ、起きたのか」

 

顔を出したタカヒロさんは、既に小ざっぱりとした格好に着替えている。紺色のVネックのTシャツに、同じ色のジャージ生地のハーフパンツ。いつものように気取らないラフな服装だ。

 

「…ノックくらい、してください」

「昨日あんなにしておいて、今さら恥ずかしいも何もないだろう」

「そういう問題じゃありませんから」

 

このデリカシーのなさも、いつも通り。

 

どれだけ親密に肌を重ねたところで、やっぱり、私と彼の心の距離が縮まることはない。

 

「テーブルに食べるものが用意してあるから、どうぞ。僕はもう食べてしまった」

 

一方通行で投げかけられる言葉。これじゃ会話ではなく、ただの業務連絡みたいだ。

 

「ありがとう…ございます。でも、先にシャワー、浴びさせてください。洗濯したい物もありますし」

「君の好きなようにすればいい。一緒に入ろうか?」

「もう。そういうのはなしです」

 

彼の軽口を相手にせず、私は必要なものを持ってバスルームに向かう。

ハンガーにかけられた着替え一式、そして身だしなみセットの入った自分のバッグ。

昨日タカヒロさんが買ってきた替えの下着も、そこに突っ込んで持っていくことにする。

 

と、その前に、部屋に散乱したゴミの類を拾い集める。きれいになった後で触るのは嫌だった。

新しいティッシュを数枚取り出して、使用済みのゴムをそれに包み、下着が入っていたコンビニの袋に放り込む。始末は後でいい。

 

バスルームに入ると、そこにも使用済みのゴムが1つ落ちている。

あちこちに散乱している、昨夜の情事の残滓。

…付き合い始めの高校生じゃないんだから。

見境のない性欲に、自分で自分が恥ずかしくなる。

 

それをつまみ上げてコンビニの袋に捨てると、私は熱めのシャワーで、全身にこびりついた汗、そして愛液の跡を、自分のボディソープを使ってきれいに洗い流す。シャンプーで髪を洗い、コンディショナーでしっかりケアをする。

 

こうして、昨日の行為の記憶までをも洗い流してしまおうとする。

 

でも、昨夜ここで、私はタカヒロさんの上に自ら跨り、はしたなく腰を振っていたのだ。

それだけじゃない。

これまでも、このバスルームで何度もタカヒロさんと交わり、絶頂し、そこら中に潮を撒き散らかした。

それが床のマットに染み付いていて、今でもいやらしく雌の匂いを放っているのではないかと、そんな気がする。

 

どれだけ身を清めようとしたところで、積み重ねたセックスの痕跡は、残り香は、消せはしない。

 

身体を洗い終えると、気分も少しだけさっぱりした。

けれど、昨夜あれだけ激しく交わったせいなのか、まだ私の下半身はほんのりと熱を帯びていて、じんじんとした異物感が、大事なところに残っている。

そっとおへその下に手を当てると、そこに昨夜の交接の名残が感じられて、私は自分に呆れたように、はぁっと溜め息をつく。

 

シャワーを浴び終え、濡れた身体をバスタオルで拭く。ぽんぽんと叩くようにして、髪の毛の水気も拭き取る。

脱衣所のマットに上がって足を拭き、替えの下着を取り出そうと、しゃがんでバッグの中に手を伸ばす。

 

「…」

 

少し手を止めて考えた後、私は取り出したショーツを穿き、ブラをつける。その上からTシャツとハーフパンツを身につけ、長い髪は後で乾かすことにして、簡単に後ろでまとめ、部屋に戻って洗濯物を回収する。

 

じっとり濡れた布団の汗取りマット。

こうなってしまうことは初めからわかっているので、いつも敷き布団の上から、2枚重ねで被せてある。それを引きはがし、同じように濡れた枕のカバーと一緒に洗濯機まで持っていく。全部いっぺんには入らなさそうだ。

 

私は早く片付けたい自分の服から洗うことにする。ところどころ乾いて白く跡の残ったワンピース。お気に入りの一着だったのに、今はしわくちゃで、無残なぼろ雑巾のように汚れている。これを着て外を歩くわけにはいかない。上下の下着も丁寧に折りたたみ、それぞれ洗濯ネットに入れて、ドラム式洗濯機の中へ投げ込む。扉を閉じ、スイッチを入れる。

手際よく洗濯を始めてから、私は半乾きになった髪の毛にドライヤーをかける。

熱風と冷風を交互に当てながら、ポーチから出したブラシをかけ、ゆっくり、優しく乾かしていく。

 

ちなみさんの素敵な黒い髪が好きだよ、と史也さんが言ってくれた、私の大切なロングヘアー。

 

身支度が整うと、ようやく食卓につき、遅めの朝食を取る。コンビニのメロンパンと、無糖のカフェラテ、そしてヨーグルト。昨日の晩とは違い、ひとりでゆっくりといただく食事。

 

こっちの方が…落ち着く。

 

タカヒロさんはもう自分の部屋に戻り、机に向かって仕事を始めている。まだ部屋はちっとも片付いていないのに、そんなことは全く気にならないようだ。

ふと時計に目をやると、針は9時過ぎを指していた。

 

いったい、昨夜、私は何時まで…?

 

ごくり、と生唾を飲み込む。

 

自分はそんなに羽目を外すような人間じゃないと思っていた。

ちゃんとした分別のある大人になったつもりだった。

それなのに、夫も子どももいる身でありながら、他の男と、夜通し何度も交わり、しかもそれを覚えていないなんて…

 

また昨夜の淫靡な記憶が亡霊のように蘇ろうとする。

私は目を瞑ってぶんぶんと首を振り、それを追い払う。

 

この家の中にいると、おかしくなってしまいそうだ。

とにかく、何か、身体を動かしていないと…。

 

私は食べ終わった朝食のごみを、さっきのコンビニの袋に入れ、他のごみと一緒にまとめると、自分のバッグに押し込む。それから、洗面台の下にしまわれている雑巾を取り出し、蛇口の水で濡らし、ぎゅっと絞る。

 

こんこん、と扉をノックし、返事も聞かずにタカヒロさんの部屋に入っていく。

 

「今から片付けとお掃除をしますから」

「ああ」

 

気のない返事。

 

「タカヒロさんは自分のお仕事をしててください」

 

まずタカヒロさんの部屋の窓を全開にし、こもった空気を入れ替える。朝のうちならまだそこまで蒸し暑くはない。湿気を含んだ布団は、南を向いたリビングの窓辺に運び、カーテンを開けて、陽射しが当たるように床に広げておく。

部屋に戻ると、床一面を雑巾で拭き上げ、昨日の情事の痕跡を消していく。

 

次はバスルーム。マット、壁面、床、それぞれに洗剤をかけて、ごしごしとスポンジでこすっていく。シャワーで泡を洗い流してから、排水口を開けてチェック。長い髪の毛が少し溜まっているが、明るい色の髪はなるせさんのものだ。長い黒髪はほとんど見つからない。ここはそのままにしておこう。普段のタカヒロさんは、こんなところに気がついて掃除なんてしないだろう。

 

そうしている間に、最初の洗濯が終わっている。ネットに入った洗濯物を取り出し、ワンピースの方はハンガーに吊るしてしわを伸ばしておく。下着は畳んでポーチに入れ、バッグの中へしまう。布団のマットと枕カバーをそのまま洗濯機に放り込み、2回目のスイッチを押す。

 

それから、リビング、キッチン、脱衣所と、順番に掃除機をかけていく。

 

できるだけ痕跡を残さないようにするのが、私なりの最低限の礼儀のような気がして、自分の家と同じように、いや、それ以上に、しっかりときれいにする。

 

掃除が一段落したところで、ダイニングの椅子に座って休息を取ることにする。

タカヒロさんの部屋から自分のバッグを持ってきて、スマートフォンを取り出すと、メッセージが何件か届いていた。

 

そのうちのひとつは史也さんからだった。

 

「おはよう」

 

たった4文字のメッセージ。だけど、普段と変わりのない、夫婦のやり取り。宝物のような日常。胸の中がほっとあたたかくなる。私の表情も久しぶりに緩んでしまう。

 

「おはようございます」

「掃除をしていたら、気づくのが遅くなっちゃいました」

「体調は大丈夫ですか?」

「お仕事、がんばってくださいね」

 

どこにも嘘は書いていない。

立て続けに返信を送るが、既読はつかない。きっと仕事の真っ最中で忙しくしているのだろう。

 

幼稚園からの連絡も届いていた。なーくんは昨夜、消灯後すぐに入眠、そのまま朝の7時までぐっすり。今日も朝から元気にお友だちと遊んでいます、という先生からの報告だった。こっちも何事もなさそうで、安心する。

 

他に大事な通知がないことを確認し、メッセージアプリの画面を閉じる。スマートフォンの時計は11時少し前になっていた。

 

今日のなーくんのお迎えには史也さんが行ってくれる。出張先から新幹線で戻ってくるのが16時頃で、そこから車で直接幼稚園に向かう、と言っていた。早ければきっと17時過ぎには帰ってきてくれるはずだ。

 

…なるせさんの方はよくわからないけれど、戻るのは「今日の夕方」とタカヒロさんは言っていた。さすがの彼も、妻の帰宅時間くらいは把握しているだろう。

 

慌ててここを出ていく必要はなさそうだ。

ふぅ、と大きく息をつく。

 

そうしている間に洗濯機から2回目のブザーが鳴る。私は乾燥の終わった布団のマットを取り出してぽんぽんと畳み、タカヒロさんの部屋へと持っていく。

 

彼は仕事に集中しているようで、私には目もくれない。

昨夜とは別人のようだ。

 

部屋を出ると、私はふと玄関の方に目を向ける。

ホールの床に、昨日タカヒロさんが外したゴムが、蝉の抜け殻みたいに転がったままになっている。

ここはまだ片付けていなかった。

 

私は使用済みのゴムをつまみ上げてティッシュにくるみ、ポーチのゴミ袋に入れておく。

そして、床に膝をつき、ごしごしと拭き掃除を始める。

昨日私が盛大に噴き散らかしたものが乾いて、跡を作っている。

 

白く残った、情事の痕跡。

濡れ雑巾で拭くたびに、ふたたび水分を含んだそれから、むせ返るような蒸れた匂いが立ちのぼる。

 

ふたりの交接の、残り香。

 

その匂いが私の本能を刺激する。

鎮まっていたはずの内なる火種が、ちりちりとまたくすぶり始めてしまう。

意識しないようにすればするほど、昨日ここで繰り広げられた光景が鮮やかに蘇ってきて、少しずつ、心拍数が上がっていく。

 

「っ……ふぅ……」

 

いつもとは違った、ゆっくり、焦らすような挿入。

私の奥でどくどくと脈打つ、彼のもの。

立ったままの姿勢で後ろからめちゃめちゃに犯されたこと。

最後に口の中にぶちまけられた、大量の…精液。

 

全部、私の身体が覚えている。

覚えてしまっている。

 

「……うぅッ…」

 

鮮明な映像と一緒に、この肉体に刻まれた快楽までもが次々と再生されていく。

子宮がきゅんきゅんと切なく鳴いている。

あそこがじわりと濡れてくるのがわかる。

そこにいったん意識が向いてしまうと、不慣れな下着の締めつけがさらなる刺激となって、私の腰はひとりでにぴくぴくといやらしく蠢き始める。

 

理性と本能とがせめぎ合う。

 

だけど。

 

残念ながら、戦う前から結果はわかっている。

 

私は一心不乱に玄関の拭き掃除を片付けると、洗面台で雑巾を洗い、石鹸で手を洗う。そのままお手洗いに駆け込み、慌ただしくハーフパンツと下着を脱ぎ捨てると、便座に腰掛けて鍵をかける。

 

「はぁ、はぁ、はぁっ」

 

もう身体は上気して、息も荒くなっている。

私はわなわなと震える手で、ウォシュレットのボタンを押す。

 

しゃぁぁっっ…

 

「ん゛んんッッ…!」

 

柔らかなビデの水流が、敏感なところを撫でるように洗う。

私はそれが気持ちいいところに当たるように自ら腰を動かし、スイッチを押して水勢をちょうどいい強さに調節する。

 

「あぁんっ、ん゛…んッ……あぁッ! はぁぁッッ」

 

くいくいと腰をくねらせるたび、入口を、クリトリスを、ノズルから吐き出された水流がなぞる。思わず大きな声を出してしまい、私は慌ててTシャツの裾をまくり上げて口に咥える。

露わになった胸。既につんと硬く上を向いた両方の乳首を、指先でくりくりと弄ぶ。

 

「……っッ───!!」

 

上半身から、下半身から、それぞれ送り込まれる、絶えることのない快感。

すっかり仕上がって、熱を持て余した私の身体は、あっという間に軽く達してしまう。脚先で便器をがっしりと挟み、全身をぶるぶると痙攣させる。股間からはおしっことは違う液体が勢いよく流れ出し、びちゃびちゃと水音を立てる。

私は歯を食いしばって声を殺し、天を仰ぐ。

 

…まだ、足りない。

 

ビデのスイッチを切ると、私は背中をタンクに預けた格好になり、便座の上で脚を持ち上げる。左手で乳首をいじりながら、右手を脚の間に伸ばし、指の腹でクリトリスに触れる。

 

「んんッ、んん──っッッ…!」

 

すぐにあそこからとろりと透明な蜜が溢れてくる。それを指先で掬い、クリトリスに塗りつけて刺激を続ける。親指と中指で包皮を開いて、真っ赤に充血した秘珠を露出させ、人差し指で優しく触れると、弾けるような快感に全身を射抜かれる。

 

「──ッッッ───!!」

 

大声を出さないよう、必死になってTシャツを噛み、塞がった口の代わりに、鼻から激しく息を吸う。

 

ほしい

 

ほしい

 

なかに、ほしい

 

私はもう暴走した性欲を抑えることができない。2本の指を膣の中に突っ込んでじゅぽじゅぽと出し入れする。指を奥まで入れて少し曲げ、気持ちいいスポットを中からぐりぐりと押す。同時に手のひらの腹の部分をクリトリスに当てて、両側から性感帯をいじめ、絶頂へと一直線に駆け抜ける。

 

「───っッッ! んッ───ッッ!!」

 

噴水のような勢いで潮が噴き出し、壁をしとどに濡らす。私は力なく便器のタンクにもたれかかり、床にだらりと脚を垂らして、ぴく、ぴくと、絶頂の余韻に身を任せている。

 

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…

 

口を開け、大きく息を吸う。息が整うまでに少し時間がかかる。

ようやく身体を動かせるようになると、私はトイレットペーパーをからからと手に取り、濡らしてしまったトイレの壁をやっとの思いで拭き取る。

最後に自分のこともきれいにする。ビデで洗い流そうとして、ウォシュレットのスイッチに手を伸ばすが、少しためらい、結局それを使うのはやめておく。もう一度トイレットペーパーを巻き取り、これ以上の刺激を加えないよう、細心の注意を払いながら、そっと、優しく拭く。

 

お手洗いの外で、かちゃっ、と扉の開く音が聞こえる。

 

「ちなみ?」

 

タカヒロさんが部屋から出てきて、私のことを探している。

 

「ちなみー?」

 

私は内側からお手洗いの扉をこんこんとノックし、自分の存在を知らせる。

 

「あぁ、トイレか」

「…すみません」

「仕事もおおかた片付いたから、そろそろ昼にしようかなと。ちなみはどうする?」

「あ…。ちょっと待っててください。すぐ行きます」

 

私は脱ぎ散らかした服を急いで身につけ、トイレの水を流してそこを出る。リビングでは、タカヒロさんが買い物に出かける準備をしている。

 

「すまないね、何もないから」

「いえ…お仕事は終わったんですか?」

「まぁ、今日中にやらなきゃいけないことは、大体ね」

「そうですか」

 

 

…私はごくりとひとつ息を呑み込み、覚悟を決める。

 

 

「…」

 

「ちょっと外で何か買ってくるよ。欲しいものがあったら…」

 

タカヒロさんがその言葉を言い終わらないうちに、私は彼のシャツの裾をぐっと掴み、出かけようとする彼のことを引き止める。

 

 

「…ちなみ?」

 

 

私は恥ずかしさで彼の顔を直視することができない。

うつむいて斜め下に視線を落とす。

 

「…欲しい、もの」

 

自分の顔が羞恥心で真っ赤に染まっているのを感じる。

 

「欲しいもの…ですよね」

 

私は両手でTシャツの裾を持ち、彼の目の前でゆっくりとたくし上げ、誘うように胸を見せつける。

 

ごくり、と、タカヒロさんが生唾を呑む音が聞こえる。

 

 

「貴方が、欲しいです」

 

 

そのままTシャツを脱ぎ捨て、すとん、と、ハーフパンツも床に落として、私は下着だけの姿になる。

 

それは彼が昨日買ってきた、色気のないものとは似ても似つかない、黒の卑猥なランジェリーだった。

 

胸の下半分だけをわずかに覆う、小さなカップのブラ。

ほとんど紐みたいな、布面積の心もとないショーツ。

ごく薄いシースルーの生地は、ぜんぜん肌を隠す役に立っていない。

ブラの下には濃いピンク色の乳首が。

ショーツの下には淡い陰毛が透けて見える。

 

私の乳首はぷっくりと勃起し、ショーツはもう愛液でびしょびしょに濡れている。

 

「ちなみ、それは…」

 

私はうつむいて視線を逸らしたまま、もじもじと手を後ろで組む。

 

 

「私は…悪い女、です」

 

 

そして、背中に手を回す。

 

 

「夫を、夫だけを愛しているのに、他の男の家に上がり込んで、夜通し抱かれてしまうような、悪い女」

 

 

後ろ手でホックを外し、ぽとっ、とブラを床に落とす。

 

 

「それでも足りなくて、夫のために買ったはずの下着で、貴方を誘惑してしまうような、悪い女、です」

 

 

ショーツの紐にそっと手をかける。

 

 

「でも」

 

 

結び目を解くと、支えを失い、ただの布となったショーツが、はらりと床に落ちる。

 

 

「私をこんな悪い女にしたのは、タカヒロさんです」

 

 

秘部から溢れ出した愛液が、床に落ちたショーツへ、つつーっ、と淫靡な糸を引く。

 

 

「私がこんな悪い女になったのは、貴方のせいです」

 

 

私は縋り付くように彼の下半身に手をかける。ベルトを外し、ズボンを下ろし、もう大きくなっている彼のおちんちんに夢中でかぶりつく。その先端からはぬるぬるとした先走り汁が流れ出していて、私は蜜を舐める蝶のようにそれをぺろぺろと味わう。

 

何回しても枯れることのない彼の精力に、私は恍惚となって淫らな微笑みを浮かべる。

 

バッグから避妊具を取り出し、それを手際よく彼のおちんちんに着ける。

私はくるりと背を向けて、ダイニングテーブルに手をつく。腰をくいっと上げて、真っ赤に腫れてぬらぬらと蠢く淫裂を、淫らに堕ちてしまった身体を、彼に捧げる。

 

 

「もう、これなしでなんて… 生きていけない、です」

 

 

タカヒロさんが、背後から無言で歩み寄る。

 

 

「どうして、くれるんですか」

 

 

彼が自分のものをそこに当てがう。

 

 

「ちゃんと、責任……取ってください」

 

 

私の眼から滲んだ涙が、頬を伝ってぽろりとこぼれ落ちる。

 

 

 

ずぶぶぶっっ

 

 

 

その瞬間、彼が奥まで押し入ってきて、私はまた遥かに遠い別の世界へと連れて行かれる。

 

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