私が可愛がってもいい子供可愛いー!
今まで産んだ子供は乃亜の実家に取られてたのだ。
そして無責任なかわいがりは許されなかった。名家なので。
でもこの子、海斗は別! どれだけ甘やかしてもいいのだ!
時雨家に伝統なんてないしね。私が教えて行く伝統はあるけど、それも女神様を崇めて幾つかの技を教えるくらい。いくら甘やかしてもよし! 可愛い〜!
雫に自慢しに行こう〜!
「可愛いがってもいい子供か、可愛いね」
海斗は私の腕の中でキャッキャと笑っている。
子供は最初からデカいが成長率が私のお腹で産んだ子よりゆっくりだ。
霊力もお腹で育てた子の方が多い。マイエリアを持ってるかはわからないが、完全な男で子宮は持ってない。まあ、別に一般人の家系なのだから、戦いが苦手なら別の職についてもいい。
雫が手を伸ばして撫でようとすると、凄い勢いで小さい子がハイハイしてきてその手を奪取した。さっきから様子を伺っていた事は気づいていた。なんなら他の子達も見てる。
よその男に触れるのは赤ちゃん相手でも浮気判定になるらしく、光也くんが不機嫌そうにその腕の中に雫をしまいこむ。
雫は二人とも可愛いよと言って、頭をポンポンとして宥める。
それを見て隠れてみていた子供達がわぁっと寄ってくるので、順番にヨシヨシする雫。
ちなみに光也くんがいない時には面会は許されない。子供達すら五歳以上は会えない。そして光也くんは毎日必ずラブラブタイムを取るのでその時も会えない。なので今はお母さんに甘えられる貴重な時間なのだ。光也くん暴君すぎる。
いつまで新婚ラブラブマックスが続くんだ……。
ちょっと優しくしてあげると大喜びする可愛い性質に気づいた雫は今は穏やかである。籠の鳥だけど世界で一番愛されてる事は疑いないからね。それは事実。でもマザコンはなんとかしよう……。
光也くんが雫を世界で一番可愛くてエッチな存在として扱うから、子供達に刷り込まれちゃってるんだよな。大体光也くんが悪い。普通のご家庭では幼児は「俺可愛い」なのに、月明家では「雫可愛い」なのだ。不憫といえば不憫である。
もっと子供達に愛情あげて。いや、光也くんも鍛錬したり抱っこしたりしてあげてるのは知ってるけど。
「そういえば、聞いたかな。雨竜の子供が力に目覚めたから、雨竜の旦那さんの実家に子供を預けなければいけなくなったって」
「旦那さんとご実家折り合いが悪いんじゃなかったっけ」
「それでも事故が起こったら大変だから、こればかりはね……。月明家で預かるのは角が立つし。檻重(おりがさね)家の相伝が二人も出て、片方を当主にするって話が出てて、空(から)さんも揺れてるらしくて。子供が認められるならって」
なんか結界の名家で、何もないって意味のからって名前をつけられたぐらい期待されてなかったらしい。マイエリアもあるし、相性はいいかもね。
「私達兄弟、子供ガチャSSR確定チケットって呼ばれてるらしくて。絶対霊能者が生まれるって」
「まあそうだろうね。女神様の加護あるし、両親ともに霊能者の素養があればそりゃそうよ。腹で育てたら倍率ドン!だし。流石に複数の術式継ぐ事はないだろうけど、そうそう無能力はないよ」
「えっ そうなんだ。じゃあ本当に、レア確定チケットではあるんだ」
「そうなの。女神様を崇めなさい」
監視する代わりに、普段は大人しく雫の上着の一部と化してる光也くんだが、ここで話に加わってきた。
「女神様って名前とあんの? そんなに加護のある女神様なら俺も祀りたい」
「名前を知っちゃうと気安く呼んじゃうでしょ。だから名前を知ったらダメなの」
「なんかしきたりとかある? ほら、うちでも引き継いでいかないと」
「んー。まあ、光也くんならいいか。女神様へのお祈りをすること。幻惑魔法を悪用しないこと。マイエリアやアイテムボックスは血縁に譲り渡せる事。そして、お役目として、ダンジョンコアから魔物を召喚して倒す事。こんなものかなぁ。あと、私たちは霊力だけじゃなくて、魔力とステータスって呼ばれる力も持ってるよ。それぞれ系統が違う力だから、鍛えるときに知っておくと楽かな」
「んー。マイエリアって血縁に譲れるって事は……。例えば俺も子供から貰えるってこと?」
「どうだろう。マイエリア持ちの子供を身籠ると影響を受ける事はあるだろうけど。やってみる?」
「今すごい重要なこと言ったの気づいた?」
「一応星宮さんにもいた方が良くないかな。アイテムボックスは悪用できるし、マイエリア使えるようになっても悪用しませんって契約ちゃんとした?」
「してない」
うっかりしてたな。
実験の結果、男親にも直接の子供ならマイエリアを引き継げる事がわかった。
元の持ち主に戻す事はできても、更にお爺ちゃんに受け渡し、とかは出来なかった。
「私のマイエリアを子供経由であげるよ。私、二つ持ってるし」
「さんきゅ。で、幻惑魔法って?」
「身を守る為の、ナンパされてどうしても避けられない時にエッチしたと思わせる魔法」
「え」
雫をキュッと抱きしめる光也。
「じゃあ、誤魔化されたこともあるかもってこと……?」
「女神様にも君にも失礼だからしたことないよ。意に沿わない相手に無理やり迫られてた雨竜とは違うんだから」
光也はそれを聞いて、だんだん顔が赤くなった。
ぎゅっと雫を抱きしめ、このあとベッドなと耳元で囁く。
「いや、今日は一家団欒の約束だろ」
「意に沿わない相手なわけじゃないんだろ」
「君は大事だけど、子供も大事なんだよ。夜ならいいから」
「あとダンジョンコアね。雫がたまに運動してる奴」
「それはわかるんだ」
「前、怪我をしててだいぶ問い詰めたんだ。格下だけって約束で許可してる。運動になるし」
「それでいいよ。怪我して欲しいわけじゃないし。じゃあ私はそろそろ帰るね」
「おお。有意義な話だった。うちでも女神様祀るわ」
「幻惑魔法は本当に悪用はダメだからね」
「わかった。下手な奴には教えないし徹底する」
それから、私は雨竜の所によって、時雨の家の伝統の話をして、乃亜の所に帰った。
乃亜に相続の件について激詰めされた。
わ、私は若いから、まだ相続問題は大丈夫だよ。マイエリアとかまだ私使うし……。
海斗のお母さんはマイエリアと極小のアイテムボックスを手に入れていた。
契約が増えたし、すぐ結婚相手が決まった。
なんか私たち兄弟と子供達に見合いの話がめっちゃ来た。
もう売約済みなので……。
20年後にまた来てね。
マシュマロ
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