私は東京の片隅で生まれた。時雨 涙と言うのが私の名前だ。
弟は時雨 雫と雨竜。
なんと両親は霊能者である。周囲には公務員という事になっている。
結構危ないらしい。えっ私の世界、ファンタジーあったのかと二度見した。
状況がわからないので力を隠したり練るように修行したが、弟までにそれを要求するのは無理ゲーだった。
弟の雫と雨竜は普通に異能を振り回し、引っ越しを余儀なくされ、その最中に父が任務で死に、困った挙句に母の所に妾の話が来た。
だが、父は既にこんな時に頼る先を遺言で残してくれており、そこに声をかけることにした。父の死には不審な点があった。雫と雨竜は預ける事となった。
「お母さん達と離れたくない! なんで!?」
「なんでー!?」
「だから力は内緒ねって言ったじゃん……」
霊能者の名家が持つような、秘密を守れる年まで匿ってやれる敷地もない。
仕方なかった。
最初は泣いていたのだが……。
「お前ら、泣き虫なんだな!」
「違うもん!」
「ちがーう!」
「俺、月明 光也! こんなの出来るんだぜ!」
手を差し出すと、ポッと光が現れる。
「僕、雫! 僕こんなのできる!」
雫が手を出すと、水の玉が浮き上がる。
「すげーじゃん! 友達になろうぜ!」
「うん!」
「あー! うりゅーも! うりゅーも!」
テーッと二人は手に手を取って走って行った。
雨竜が必死に手を伸ばす。お前はいい子で抱っこされてなさい。
すごい速さで馴染むじゃん……。
お母さんが雨竜を月明の奥さんに渡す。
「うちの子達をよろしくお願いします」
「力を持つ子は少ないですからね。当然の援助ですよ。とはいえ、生活費分は自分で退魔師として働いて返すのが条件です。大丈夫、ちゃんと死ににくいように鍛錬もします。才能もあるようですし」
「お願いします……!」
お母さんは深く頭を下げる。
「君は見えるのかな?」
「見えるよ。でも才能あるかわからないし、お父さん、お仕事で死んじゃったし。ゆっくり職業選択したいかなって」
「そう。いつでも歓迎するよ。見えるだけでも出来る仕事は多いからね。なんでも聞いて」
私はこっくり頷いた。
それから、私は月明家を頼って退魔師業界のことを聞きつつ、普通の勉強もした。
料理に興味があるので、調理師資格をとって公務員を目指そうかなと思ってる。
さて、秘密を守れない幼児二人がいなくなったので、私はお母さんに全てを話す事にした。父の死に不審な点がある以上、守りは強くしておかないといけない。
「お母さん。大事な話があるんだけど」
「なぁに?」
「私は前世で勇者だったんだ。だから、お腹を通してお母さんや雫や雨竜にもその力が移ってる」
「勇者?」
「そう。マイエリアが使えるかどうかやってみて欲しい」
私は、マイエリア……マイルームへの扉を出して開けてみせた。
「これが、お母さんにも出来るの?」
「そう。自分の中に、鍵があると思って。その鍵を使って開ける感じ」
「鍵……二つあるわ」
「私は10個持ってるよ」
マイルーム、マイハウス、マイファーム、マイギルドハウス、マイシティが二つずつである。片方は勇者時代のもの。これは血縁なら譲ることができる。
それから、お母さんにマイエリアを使えるようになってもらい、一緒に魔力の鍛錬と霊力の鍛錬をした。スキルや魔術は教えなかった。
お化けは霊力でしか倒せないそうだし、人間兵器になりかねなかったからだ。
ただ、幻惑魔法だけは教えた。
実際、妖魔の襲撃が何度かあって、片付けていたら退魔師になれとしつこい勧誘が来た。月明家に相談した所、霊力があるなら退魔師にというのは国の方針で、力があるのがバレたら仕方ないらしい。
ただ階級が上がらないようにして、簡単な仕事を回すようにしてくれるという事だった。
私と母さんはお言葉に甘え、私は調理師学校へと通った。
雫が15歳の時。
父の遺言だからと、雫と雨竜を呼んだ。
「父の遺産は二人で分けてよ。私達は私達でやるし」
「お金を渡すなんて言ってない」
「えっ 借金?」
「違う」
私は最低限の事を伝える事にした。
マイエリア。魔力。幻惑魔法。男性妊娠の体質。
秘密が守れるなら、鍛錬の道具も渡すがどうするかと問うた。
「えと、もうちょっと詳しく聞いてもいいかな」
「そんな大事な話、聞いてない。なんで?」
「秘密を守れる年齢になるのを待ってた。子供にも然るべき年齢まで内緒でいて欲しいんだけど」
「それは……」
「秘密ってこと? 月明家の人にも?」
「できればね。どれもバレたら説明に困るでしょ。特に幻惑魔法はバレたら他の人が切り札にできなくなる。あ。幻惑魔法は女神様の力を借りた術だから、悪用は絶対にダメだよ」
「女神様……。うちって女神様を崇める家系だったのかい?」
「だったの。詳しい事は、月明家の秘蔵っ子には教えられないかな」
「わかったよ……。他に言える事は?」
「万一孕まされたら相談に来て」
「必要ないとは思うけど、妊娠検査キットでわかる?」
「わからん。お腹がおっきくなって心音が鳴ったら諦める感じで。尻から出るからかなり小さい感じで出ると思う。多分妊娠しやすいから、行為をしたらもう孕んだものと思って気をつけていてくれ」
「それ、排泄と分娩の違いがわからないかもってこと? 最悪だ……」
「あと、父さんが不審死だったのと、今も月刊刺客が来てるから気をつけて」
「は?」
「僕には刺客を寄越されたくなければいう事を聞けって!」
「雨竜!?」
雨竜は声を上げ、びっくりする雫。
「ああそれ適当言ってるだけだから。普通に刺客は来てるし問題ないから、いうこと聞かなくていいし、普通に当家や月明家に相談してね」
そんなこんなで、注意事項の伝達は出来たのだった。
マシュマロ
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