3年みっちり修行して、退魔師協会に顔を出した。
「今まで電話にも出ず、一体何をしてたんですか!」
「修行って言ったが?」
「貴方は退魔師なのですよ!」
そんな感じでめちゃくちゃ怒られた。そしてそれだけ修行したならと2階級あげるテストをすると依頼を渡された。
普通に2階級上は死んでもおかしくない案件である。
「ああ、それと。依頼では万一があるので、お子様は当協会で預かります」
「何それ。独身だけど」
「わかっているんですよ。雨竜さんが孕られたから姿を消したんですよね」
「何それ」
「もうみんなバレてますよ」
「いや、違うけど。どうでもいいや、さっさと依頼用意して」
「弓祓家の子供を隠し立てする気ですか?」
「誰それ」
「誰それ」
「誰それ」
「はぁ!? 心当たりがあるでしょう!?」
「あ、あのキモいレイプ魔ジジイ!」
あっ そうか、幻惑魔法使った後に姿消したからか!
「あー。幸い、子供はできなかったので」
「あ、あー。本当に最悪がなくてよかったわね」
「そ、そんな事を言っていいんですか?」
「だっていう事を聞かないと家族が危ない目に遭うって脅してきたけど、いうこと聞いても別に刺客なくならなかったし。詐欺師の言う事聞いても……」
「そうよねぇ。別にうまみなかったものねぇ」
それから、待てと言われてしばし。
「依頼はここに行ってもらいます。今からです」
「三件バラバラ……」
「当たり前でしょう。監視はつけますが、手助けはしませんから」
「まあいいや。がんばろー」
「「おおー!」」
と言うことで、依頼へ。
「待て」
そこでジジイが現れた。
思い出した。母さんを妾に求めてきたキモい中年だ。
もう今は完全にジジイである。うわっ こんなのに粘着されて雨竜かわいそう……!
「今、膝を折れば、もらってやっても良いぞ」
「いや、いらないです。家族の安全だの身の安全だの秘密にしてやるだの、貴方が取引に出したの全部嘘っぱちだったし。膝を折っても敵なら最初から敵でいいです」
「詐欺師のエロジジイの庇護なんていらないわ!!! 私がダメだからって息子に手を出そうとするキモい変態!!」
「行こう、母さん」
私達はさっさと行った。
特級妖魔だった為、私の貧弱な霊力では何度も攻撃しなくてはならず大変だった。
でも攻撃が全く効かない訳ではなかったので倒せた。
母さんと雨竜が切り札なしで倒せるか心配だったが、何とか倒せたようだった。
母さんが一番苦労したようで、心配した。
でもボロボロになって帰ってきた。後でポーション分けるね。
帰ってきたらすごく驚かれて、なんか家宅捜索したと事後通告された。
他に隠し部屋はあるかとも聞かれた。
流石にブチ切れた。
でも暴れたら犯罪者として処分されて負けなので、移籍する、海外に行くって言ったら特級退魔師にしてやるから文句言うなと言われた。
特級退魔師なんて興味ないんだわ。権限? それ本当にあるの?
私の知ってる漫画だとクソな労働環境だったが?
そもそも私達に特級ほどの力はないが? 格上にぶつけて殺す気満々だろ。
「はいはい、落ち着いて。特級かどうかの試験だったら、僕がやってあげようか?」
現れたのは、美しい男だった。声には壮絶な色気があり、私の心に冷や水が掛けられる。
その威圧感すら感じさせる美しさにグッとなる。
「私は三級が適正なんですけどね? 等級違いで1級だの2級だのホイホイぶつけて三級だって言い張る搾取してくるから、それくらいならって仕方なく等級上げることを承諾したんです。特級なんて絶対に嫌です。適正等級じゃないし。特級妖魔の任務しこたま詰め込んで早く死ねってやるつもりでしょ。流石にわかるよ」
「まあまあ、落ち着いて。特級妖魔を下しておいて三級は無理だよ。まあ、倒したのは特級の底辺だったみたいだけど」
「どうでもいい。どこだってここよりはマシ。移籍する。外国で妖魔退治して借金返すわ」
「雫くんが一人ぼっちになるよ?」
「雫が望むなら連れてきますが。そっちの方が借金減らしやすいだろうし」
「おっと、ごめん、僕が失言だった。僕の言葉が原因で最愛のお嫁さんが出て行ったなんて事になったら光也に殺される」
ブルリと震えて見せる男。
「最愛の旦那ではないみたいだけど」
「ごめんって。最近ようやく仲直りしたみたいだから、その辺にしてくれ。いや、子は鎹とはよく言ったものだね」
疑わしい。とはいえ、確かに子供がいたら絆されるかもしれない。
子供に八つ当たりするのは違うしね。
「それにさ、君らも悪いよ。強いなら強いって言えばいいのに、弱いふりしてるから。ちゃんと強さを見せればそれに見合った尊重をしてくれたはずだよ」
「強くても舐めてくる奴は舐めてくるでしょ。なら実力は把握させない方がいいと思ったんだよ。実際、実力を掴ませなかったから、最底辺の特級ですんだのだし。こちとら一般人だから、蛮族の作法なんて知らないし。そっちはやりたい放題するくせに、やり返すと犯罪者でしょ? やり返していいっていうなら、やり返すけど。証拠はなくても弓祓は状況的に父の仇だし」
「わかった。僕の負け。そうだね。やり返されるのは困る」
勇者の時、散々な思いをしたからね。魔王を倒せる強さを示してるのに、どうすれば良かったというのか。切れたら負けだが何かしないと舐められる。むずすぎるでしょ。無理筋の要求を掲げて粘着してくる相手にまともに対応し続けるのは私には無理だった。
「こうしよう。僕と君達が勝負して、僕が勝っても君達が勝っても、君達にもう手は出させない。ちゃんと等級通りの依頼も回す。この僕、特級術師、星宮 乃亜の名において誓う。多少のミスはあるかもだけど」
本当でござるかぁ?
「それで貴方に何のメリットが?」
「君が危惧してるように、僕忙しいから、強い人が増えて仕事減らしてくれると助かる。君達に移籍されるのは困るんだ。それに、嫌だろうけど、君達の力をしっかり測っておきたい。こういう組織だからね。所属メンバーが万一犯罪者になった時の為の備えは必要だ。君達は月明家にも力を黙ってた。信用はないよ」
「……それで、貴方に勝ったり負けたりしたら?」
「僕が勝ったら、君達はこの辺で矛を納めてほしい。君達が勝ったら、君達の訴えをちゃんと調べて処罰しよう。どちらにしろ、それで恨みっこなし!」
「……。それ書面に残せます?」
「いいよ!」
「ああ、三人の中で一番強いのは私です。そして、戦うのは私一人で十分です」
「待って。お母さんにも戦わせて。仇をとらせて」
「気持ちはわかるけど邪魔。大丈夫。必ず勝つから」
「……へぇ」
ということで、勝負する事になった。
あと、月明家に行った。
話が行っていたらしく、会わせてもらえなかった。
光也くんに絶対会わせない、連れて行かせないと言われてしまった。
甥っ子達には会えた。また増えてた。
かなり霊力が強い子達で、猫可愛がりされていた。
「生まれてくる時はちっちゃいけど、成長しちゃえば全員優秀だったんだよな。もう霊力で遊んでるし。さすが雫と俺の子だな! 先が楽しみだし、母上も喜んでる」
「こだなー」
光也の膝の上で誇らしげにするお子様が可愛い。
「待遇は」
「大事にしてるに決まってるだろ、大事にすればするほど借金増えてどこにもいけなくなるし」
「妻の生活費払ってあげないの……?」
「あいつ、戸籍が男だから結婚できないし」
それはそう。
「あと、養子縁組断られたし」
振られてんじゃねーか。
「雫のこと好き?」
「大好きー!」
ペかー! と笑顔で子供が笑ったから、とりあえずよしとしよう。
母親が虐待されてたら笑顔にはならないはずだ。
それに、光也くんの雫への愛を信じよう。それだけはまっすぐ感じ取れるし……。
それから1週間後。
私は乃亜をボコった。
魔王倒した勇者に人間一人倒せないわけがないでしょ。妖魔は霊力しか効かないのが面倒だっただけで、そういう縛りのない人間相手なら楽勝なんだわ。
私を倒したかったら軍団もってこい。
マシュマロ
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