ポケモン世界に転生したらハーレムができていた件 作:天野蒼夜
・エル
10月31日。この日はハロウィンということで、ハムレシティでは年に一度のハロウィン式バトルロイヤルが開催されていた。ルールと仕様は以下の通り。
①必ず仮装して参加すること。
②使用できるのはゴーストタイプが含まれるポケモンのみ。
③時間制限は夜明けまで。バトルエリア内で拾える及びバトルに勝利して獲得できるパンプキンコインをできるだけ多く集めること(パンプキンコインの役割は賞金コインと一緒)。
④バトルに勝利した人数に応じて上昇する倍率の上限が4倍になる(通常上限は2倍)。
⑤バトル前にお菓子かイタズラかを聞かれた時、お菓子と答えればパンプキンコイン1000枚を相手に支払い(この場合、バトルを回避することができるが、これによって賞金の上昇倍率を上げることはできない)、イタズラと答えればバトル開始の合図となる。
⑥バトルを仕掛けられるのはイタズラと答えた相手のみ。
⑦お菓子と答えた相手に攻撃するとペナルティが発生し、所持している賞金の4分の1を失う。これを3回行うと失格となる。
⑧自分が質問する前及び相手が質問に答える前に攻撃するとペナルティが発生し、賞金の4分の1を失う。⑦と合わせて3回行うと失格となる(例:⑦を2回、⑧を1回行うなど)。
「トリックオアトリート! お菓子かイタズラか!」
幽霊の仮装をしたスクールボーイが現れ、ルールに則って質問をしてきた。ちなみにレムは伝説のルカリオ使いであるアーロンのコスプレをしている。
「じゃあ、イタズラしちゃおうかな?」
レムがそう答えると、スクールボーイは口元を釣り上げてモンスターボールを取り出す。イタズラとはバトルの合図。バトルエリア内の賞金を集めてちびちび稼ぐという手もあるが、そんなのつまらない。バトルロイヤルという名であるようにここではバトルが醍醐味なのだから。
「ゲンガー! シャドーボール!」
スクールボーイの指示でゲンガーから漆黒の球が放たれる。弾速とソウブレイズの素早さを考えれば回避は可能だろう。だが、レムはソウブレイズに防御させて受けさせた。
ゴーストタイプの技はソウブレイズにとって相性が良くも悪くもあるが、彼の耐久力なら耐えられると考えたのだ。
「……よし」
シャドーボールが命中した瞬間、ソウブレイズが纏っている鎧がひび割れ、砕けた。彼の特性ーーーくだけるよろいが発動した合図だ。
「シャドーボールを受けた!?」
「シャドーダイブ!」
レムから指示を受け、ソウブレイズは影に潜む。それから目にも止まらぬ速さでゲンガーに接近すると腕の剣で斬り裂くとゲンガーは吹き飛んだ後に倒れ、そのまま動かなくなった。
「ゲンガー!」
【ゲンガーの戦闘不能を確認。よってこの勝負、レムの勝利となります】
勝利が決まると、レムはソウブレイズをボールに戻す。
「いいバトルだったよ」
「……シャドーボールを受けたのは、このため……?」
「ゲンガーの素早さに対抗するにはあれしかなかったからね」
ゲンガーに高い素早さでかく乱されれば、ソウブレイズが不利になる。そうなる前にレムはくだけるよろいでソウブレイズの素早さを上げ、早期決着に持ち込んだのだ。
「……そっか。僕の負けだよ。でも次は負けないからね!」
「楽しみにしてるよ」
スクールボーイと別れ、バトルエリア内を歩く。受け身では面白くないので次は自分から仕掛けようと考えていると、女性に言い寄っている男性グループを見かけた。レムは気になって足を止め、その様子を伺う。
「いや〜キミ可愛いねぇ〜」
「あの……やめてください……」
「いいじゃ〜ん、ちょっと付き合ってよ」
「そこの店でお茶するだけだからさぁ〜」
そう言ってナンパするチャラ男3人組だが、女性の方は眉を下げて迷惑そうな顔をしている。となれば見逃すわけにはいかないと、レムはチャラ男達に近づき、声をかけた。
「あ? 何だよお前?」
チャラ男の1人が“邪魔すんな”って言いたげな目で睨みつけてくる。だが、そんなことで引き下がるレムではない。
「その人、迷惑そうな顔してるの分かりません? しつこい男は嫌われますよ?」
「お前の目は節穴か? こいつはただ照れてるだけなんだよ。あともう少しで落とせるんだから邪魔すんな!」
節穴はお前だろ。と言ってやりたいが、面倒なのでそれをグッと飲み込み、モンスターボールを取り出した。
「ところで今日はハロウィンですけど、あなた達は彼女達に何をあげるつもりですか? お菓子ですか? イタズラですか?」
「そんなのイタズラに決まってるだろ! イタズラであんなことやこんなことを……」
鼻の下を伸ばして、いやらしい顔になるチャラ男。だが、彼は気づいていない。まんまとレムの誘導尋問に乗せられたことを。
「バトルですね。分かりました」
「は? 何言ってんだお前?」
「あなたさっき言いましたよね? イタズラだって。ここに来たならバトルロイヤルのルールくらい把握したほういいですよ?」
チャラ男は乗せられたとはいえ、たしかにイタズラと答えた。それはつまり、レムとのバトルが成立したということだ。
「そんなに痛い目に遭いてぇか? いいだろう受けてやるよ。ただし!
こっちは3人でやらせてもらうがな!」
「1人相手に3人!? そんなの卑怯だわ!」
女性から抗議の声が上がるが、それは無視。
「それで構いませんよ。その代わり負けたら彼女のことは諦めてください」
「いいだろう。勝てたらの話だけどなぁ!」
そう言うと、チャラ男達は同時にポケモンを繰り出す。ヨノワール、デスバーン、オスのブルンゲルだ。
数的に不利ではあるものの、これは自分が承認したこと。逆にこのバトルに勝てばチャラ男達も大人しく引き下がるだろう。
「来い、ソウブレイズ」
レムがボールを放るとソウブレイズが静かに立ち上がる。先ほどのバトルで砕けた鎧はすでに修復され、赤い眼光が夜の街に浮かぶハロウィンのランタンを映していた。
「1匹だけかよ? 舐めてんじゃねぇぞ!」
「3人がかりでないと女の子1人すらナンパできない人に言われたくないですね」
レムの言葉にチャラ男達が顔を赤らめ、同時に技を指示する。ヨノワールのシャドーボール、デスバーンのゴーストダイブ、ブルンゲルのハイドロポンプ。3方向から放たれる攻撃は、ソウブレイズの前で無力だった。
「シャドーダイブ」
レムの短い指示でソウブレイズが影に溶ける。ハイドロポンプが空を切り、シャドーボールが地面を穿つ。ゴーストダイブを仕掛けたデスバーンが影から現れた瞬間、ソウブレイズの剣がその背を捉えた。
「デスバーン!」
「次」
振り返る間もなくソウブレイズはヨノワールへと迫る。相手のシャドークローを鎧で受け、砕け散った破片がキラキラと宙を舞う。くだけるよろいが発動し、素早さが跳ね上がったソウブレイズの剣閃がヨノワールを薙いだ。
「ブルンゲル、潮吹き!」
残ったブルンゲルが大量の水を噴き出す。だがレムは落ち着いていた。
「剣の舞からのシャドーダイブ」
ソウブレイズがその場で旋回し、剣を掲げる。高まった力が青黒い剣となってブルンゲルを襲い、水しぶきとともに相手を吹き飛ばした。3体のポケモンが揃って地面に転がり、動かなくなる。
【ヨノワール、デスバーン、ブルンゲル共に戦闘不能を確認。レムの勝利です】
「うそだろ……おい、起きろよ!」
「3人がかりで負けた……?」
チャラ男たちが慌ててポケモンをボールに戻す。レムはソウブレイズを労わるようにボールへ収め、彼らに向き直った。
「約束ですよ。彼女にはもう近づかないでください」
有無を言わせぬ静かな声に、男たちは逃げるように去っていった。残されたのは、レムと少し離れた場所で一部始終を見ていた女性だけだった。
「あの、助けてくれてありがとうございました」
女性が近づいてくる。ハロウィンらしく魔女の仮装をした彼女は、黒い三角帽子の下から大きな瞳をのぞかせていた。先ほどまでの困惑した表情は消え、頬がうっすらと赤く染まっている。
「いえ、ルールに則っただけですから」
「でも、私のためにあんなに強引な人たちと戦ってくれて……」
彼女は胸の前で指を組み、少し躊躇うように視線を揺らしてから、意を決したように顔を上げた。
「あの、私、エルって言います。よかったらお礼させてください」
あえてスルーしていたが、レムはひと目見た時から彼女の正体には気づいていた。変装してはいるもの、彼女から出ているクイーン特有のオーラは完全には隠しきれない。しかもレムはそんな彼女の姿をアニメで何度も見てきたので見ればすぐに分かるのだ。
「近くにいいホテルがあるんです。そこで少し休みませんか?」
「ホテル?」
レムが聞き返すと、エルは慌てて付け加えた。
「あ、違うんです! 変な意味じゃなくて……。今日は寒いですし、バトルで疲れてるだろうなって思って。それに、夜明けまでまだ時間ありますし……」
言葉が尻すぼみになっていく。レムはその様子を微笑ましく思いながら、確かに体が冷えていたことを自覚した。バトルロイヤルは夜明けまで続く。休めるうちに休むのも悪くない。
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
レムが頷くと、エルの顔がぱっと輝いた。
「よかった! こっちです、すぐそこなので」
エルが歩き出す。その足取りは少し弾んでいて、レムはその後ろをついていく。ホテルの明かりが見えてきたところで、エルが振り返った。
「あの……さっき、すごくかっこよかったです。3匹相手に1匹で勝っちゃうなんて」
「相手の出方を見てから動いただけですよ」
「そういうところも、余裕があって素敵だなって思いました」
エルの瞳が、夜の街灯よりも明るく輝いて見えた。レムは照れくささを誤魔化すように、コスプレの襟元を直す。
「最上階なんですけど、夜景がきれいなんですよ」
エレベーターの中でエルは少しだけレムとの距離を詰めた。肩が触れそうで触れない、その微妙な距離感が心地よい。
「今日は本当にありがとうございました。あの人達、しつこくて困ってたんです」
「気にしないでください。それより、エルさんは一人でこのイベントに?」
「一緒に来れる人がいなくて……」
エルがそう言って苦笑する。エレベーターの扉が開き、彼女が先に降りて廊下を案内する。部屋の前で鍵を開け、中へと招き入れた。
「どうぞ、狭いですけど」
部屋に入ると、大きな窓から街の夜景が一望できた。ハロウィンの飾りつけがされた街並みが、オレンジと紫の光で彩られている。エルは窓辺に立ち、振り返って微笑んだ。
「あの……」
「はい?」
「敬語、使わなくていいよ。見たところ私と歳が近そうだし」
本人が言うなら断る理由はない。
「分かった。じゃあ、そうするよ」
「うん。私……今日のこと、一生忘れないと思う」
その声は、先ほどまでの弾んだものではなく、静かでどこか熱を帯びていた。レムは窓辺に近づき、並んで夜景を見下ろす。
「大げさだよ」
「大げさじゃないよ。だって、好きになっちゃったから」
エルの指が、そっとレムの袖に触れた。
「だから、お礼をさせて欲しいの。ホテルに連れ込んだからには、ちゃんと責任取るから……」
いたずらっぽく笑うエルの顔が、窓ガラスに映る夜景の光を受けて輝く。レムはその言葉の意味を理解し、少しだけ驚きながらも断る理由は見つからなかった。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
レムがそう答えるとエルは嬉しそうに目を細め、そっと部屋のカーテンを閉めた。
エルがカーテンを閉めると部屋の中は街の明かりから切り離され、ベッドサイドのランプだけが柔らかな光を落とす。魔女の仮装をまとったままのエルが振り返り、三角帽子をそっと脱いでベッドの端に置く。
「脱がなくていいの?」
レムが尋ねると、エルは首を横に振った。
「今夜はこのままでいたいの。だって、この姿で出会ったんだもの」
そう言ってエルはレムに近づくと両手を彼の胸に添え、アーロンのコスプレをしたレムの上着に指をかけた。
「脱がせてあげる♡」
エルの手つきは丁寧だったがどこか焦れったくもあり、レムは身を任せた。上着が床に落ち、捲り上げられるインナー。露わになった素肌に、エルの唇がそっと触れる。
「寒くない?」
「大丈夫」
レムの返事を聞くと、エルは自分の仮装のワンピースの肩紐に手をかけてゆっくりと下ろした。黒い布がはらりと落ち、白い肌が露わになる。下着も同じく黒で、ハロウィンの夜にふさわしい装いだった。
「見てほしいな♡」
エルがベッドに腰かけレムを手招く。レムが近づくと、彼女はその手を取って自分のおっぱいに導いた。指に伝わる柔らかな感触。それをレムがゆっくりと形を確かめるように動かすと、エルは小さく息を漏らし目を閉じた。
「気持ちいい……」
やがてエルはレムの腰に手を回し、彼をベッドに押し倒すようにして跨った。下着を外したおっぱいがレムの眼前で揺れる。エルは自分のおっぱいでレムのものを挟み込むようにして、ゆっくりと上下に動かし始めた。
「これ、してあげたかったの」
柔らかなおっぱいの谷間がレムを包み込む。エルは少し照れくさそうにしながらも、時折先端にキスを落とし舌先で舐めるようにして奉仕を続けた。レムの息が自然と荒くなる。やがてエルは胸から口へと移り、レムのものを口に含んだ。
「んっ……♡」
熱い吐息がかかり、舌が這い回る。エルは慣れない様子ながらも一生懸命に頭を前後させ、時には喉の奥まで迎え入れた。レムの手がエルの髪に触れ、その動きを優しく導く。
「エル……それ、気持ちいい」
「ふふ、よかった♡」
口元を拭いながらエルが顔を上げ、悪戯っぽく笑う。それからレムの上から降り、四つん這いになってベッドの上で振り返った。
「後ろから……してほしい」
レムはエルの背後に回り彼女の腰を支える。ゆっくりと己を沈めていくと、エルの背中がしなりシーツを掴む指に力がこもった。
「あっ……♡」
最初はゆっくりとリズムを上げていく。エルの仮装の名残である黒いソックスが、ベッドの上で不規則に動いた。魔女の衣装のスカートが腰のあたりでたくし上げられ、レムの動きに合わせて揺れる。
「レム……もっと……♡」
エルの声に応えるようにレムは腰を深く打ちつける。パンッと肌のぶつかる音が部屋に響き、エルの甘い声がそれに重なった。やがて2人の体勢は変わり、エルが再び上に跨る。騎乗位の体勢で、エルは自分のペースで腰を揺らし始めた。黒いソックスのままの脚がレムの腰を挟み、上下に滑る。
「こういうの……好きなの♡」
エルが息を弾ませながら囁く。レムはその姿を眺めながら、彼女の腰に手を添えて動きを支えた。エルの動きに合わせて、3人の呼吸が重なっていく。
「エル、そろそろ……」
「うん……私も……」
やがて限界が近づき、レムが体を起こしてエルを抱きしめる。エルも彼の背中に腕を回し、互いの体温を確かめ合うようにして、2人は同時に頂点へと達した。
「はぁ……」
エルがレムの胸に顔を埋めしばらく荒い息をついていた。レムは彼女の背中を優しく撫でる。時計を見ると、まだ夜明けには早い時間だった。
「ねえ、もう一回……いい?」
エルが顔を上げ少し赤らんだ顔でそう尋ねる。レムはその瞳の熱に、自然と頷いていた。
それから2人は、夜明けまで何度も互いを求め合った。エルの魔女の仮装は途中で完全に脱げ落ち、レムのコスプレもすっかりベッドの下に散らばっていた。ソックスだけを残したエルの姿が、薄暗い部屋の中で艶めかしく映る。
「もう夜明けだね」
窓の外が白み始めた頃エルがレムの腕の中で呟いた。バトルロイヤルの終わりを告げる鐘の音が、遠くから聞こえてくる。
「楽しかった」
「僕も」
エルはレムの胸に頬を寄せ、満足そうに目を細めた。
「ねえ、これからも……会ってくれる?」
「もちろん」
レムの答えにエルは微笑み、そっと口付ける。朝の光がカーテンの隙間から差し込み、散らかった仮装の衣装を照らしていた。