ポケモン世界に転生したらハーレムができていた件 作:天野蒼夜
転生して早1ヶ月、この世界での生活にも慣れてきたレムが昼間にやってきたのはビーチリゾート。今は夏ということもあり、そこには多くの人々が訪れていた。
「ミホが言った通り、すごい人の数だな……」
見渡しても見渡しても目に映るのはカップル、カップル、カップル。生前の自分であれば嫉妬に狂って妨害行動をしていただろう。だが、今の自分は彼等と同じリア充。したがって、そのようは惨めなことはしない。1人で来たのだって、ミホが今日登校日で都合がつかなかっただけなのだから。
「今日はちよっと見るだけで済ませるつもりだったけど、海見たら泳ぎたくなっちゃったな」
運動音痴だった頃の自分ならここに来ることすら拒否していただろう。だが、スポーツ選手顔負けの身体能力を持った今なら海を見ただけで泳ぎたくなる。同一人物とはとても思えない変わりように自分自身が驚いてしまう。
「あの……困ります……!」
よし泳ごうと思った時、不快な光景が目に映った。チャラそうな男達がビキニのおねえさんをナンパしている光景だ。不快という単語から察せられるかもしれないが、おねえさんは誰が見ても迷惑だと分かるような顔をしている。
「いいじゃねぇか。俺等と遊ぼうぜ〜」
しかし、男達は気づいていないのか、気づいているが無視しているだけなのか。どちらにしても男達が諦める雰囲気はなかった。
しかも周りには多くの人がいるのに、彼女を助けようとする者もいない。そう、誰1人としてだ。皆見かけても目を逸らして知らないふりをしているのだ。
「はぁ……せっかくの気分が台無しだよ」
見ないふりして泳ぐことなんてできない。そう思ったレムは男達の方に歩み寄り、おねえさんの手を掴んでいる手を掴んだ。
レムはそのまま手に力を入れることで掴んでいる手を放させた。男は掴まれた手をさすりながら、レムを睨みつける。
「なんだぁ?てめえは?」
「通りすがりの者ですよ。あなた達、女性1人に寄ってたかって恥ずかしくないんですか?」
「アニキ!こいつ生意気ですぜ!アニキにこんな口の利き方!」
子分Aがそう言って、モンスターボールを取り出す。
「こんなヤツ、アニキが出るまでもなく俺がひねり潰してやる!」
子分Aがモンスターボールを放り投げると、そこからポチエナが出てきた。
「そうだな。こんなガキ相手に俺が出るまでもないか」
勝手にポケモンバトルする流れになったが、口で言うよりもこの方が手っ取り早い。
「オレが勝ったら、彼女のことは諦めてもらいますよ」
「勝てたら、な」
「その言葉、忘れないでくださいよ。来い!サンダース!」
子分同様、モンスターボールを投げてサンダースを出す。
「ポチエナ!とおぼえ!」
子分Aの指示を受けたポチエナが顔を上げ、真っ直ぐな吠え声を上げる。まずは自身を鼓舞させることで攻撃力を上げる作戦のようだ。
「たいあたり!」
吠えたことで気合いが乗ったポチエナがサンダースに向かってくる。勢いはすごいが、どんな攻撃でも当たらないと意味がない。
「サンダース!こうそくいどうでポチエナの周りを走り回れ!」
サンダースがレムからの指示を受け、ポチエナの周りを高速で走り回る。サンダースを目で追うポチエナだが、その速さに追いつけず、目を回してしまう。
「ポチエナ!?」
「今だ!エレキボール!」
口に電気を集約させ、それを球として撃ちだす。サンダースの元から高い素早さを備えている。それがこうそくいどうによって上昇したことに伴い、素早さ依存のエレキボールの威力も上昇。真っ直ぐ放たれた雷の弾丸はポチエナに命中し、周囲の砂を巻き上げた。
「嘘だろ!?」
ポチエナは倒れたまま動かない。つまり、戦闘不能だ。
「オレの勝ちですね。約束通り彼女のことはーーー」
「誰が終わりって言った?」
口元を吊り上げながら言うと、アニキはグラエナ、子分Bはポチエナを出した。
「ちょっと!後からポケモン出すなんて卑怯よ!」
バトルを見守っていたおねえさんが非難の声を上げる。それがファーストペンギンとなり、他の人達も同じように声を上げるが、2人に気にした様子はない。
「俺は“勝負に勝ったら”諦めるとは言ったが、そいつに勝ったら勝ちとは言ってないぜ?」
たしかに言ってはいないが、後出しでそれを言うのは卑怯にはならないのだろうか。
「それでも2対1なんて……なら私もーーー」
「大丈夫ですよ」
モンスターボールを出そうとするおねえさんを声で制する。
「オレがもう1体出せばいいだけなので」
そう言って、レムはもう1つモンスターボールを取り出す。
「初のダブルバトルだ。頼んだぞ、リオル!」
モンスターボールを投げ、リオルを出す。アニキはそんな彼を鼻で笑う。
「何を出したかと思えば、リオルかよ。進化前のザコじゃねえか」
【……】
リオルがゆっくりレムを見る。普段は穏やかなリオルだが、その時のリオルの目は冷え切っていた。まるでゴミを見たかのような……そんな目だ。
【あいつら殺っていい?】
「それはダメだけど、さっきのはオレもイラッとしたよ」
自分のーーーしかも一番好きなポケモンをバカにされて怒るなというのは無理な話だ。
「お前なんてすぐひねり潰してやるよ!グラエナ!かみくだく!」
「ポチエナ!とっしん!」
それぞれの指示を受け、グラエナとポチエナがこちらに向かってくる。しかし、その行動はレムにもリオルにも都合が良かった。
「サンダース!てだすけ!」
サンダースから出た虹色のオーラに包まれると、リオルは迫ってきたグラエナとポチエナの噛みつきと突進をかわした。
「はっけい!」
リオルから放たれる掌底がグラエナとポチエナを吹き飛ばす。タイプ弱点かつてだすけによるバフ効果によって威力を底上げされたはっけいの威力は凄まじく、2匹を一撃でダウンさせた。
サンダースのてだすけによるサポート。彼のサポートを受けたはっけいでグラエナとポチエナを一掃したリオル。そんな2匹のコンビネーションがギャラリーに興奮を混じりの歓声を上げさせた。しかし……。
「まだ終わってねえよ!」
戦闘不能になったグラエナとポチエナを引っ込め、アニキと子分達は入れ替わりにオニドリルとオニスズメを繰り出す。2匹目の手持ちの登場にまたしても女性とギャラリーは信じられないと言った顔をしながら目を見開く。
「いくら何でも卑怯よ!」
「ふざけんな!」
「往生際が悪いぞ!」
おねえさんを含めたギャラリーから非難の声が上がる。だが、もちろんアニキ達は気にも留めない。
「俺達の手持ちを全員倒せたらお前の勝ちだ。さあ、第3ラウンドだ!」
もう呆れて何も言えない。たとえこれで勝ったとしても、おねえさんがアニキ達になびくことはないだろう。
【……】
リオルの体が青白い光に包まれる。それが何を意味するか、当然レムは知っていた。進化だ。
リオルは進化したことでルカリオとなったのだ。
【いい加減にしろよ……このクソ野郎共】
リオルの幼い声とは打って変わり、ドスの利いた声がアニキ達の脳内に送られる。一瞬たじろいたものの、こちらは3人。しかもあっちは連戦によって体力を消耗している。ならば進化したとしてもこちらが有利であるはずだ。そう考えたアニキは笑って見せた。
「バトルは勝ちゃいいんだよ!オニドニル!つばさでうつ!」
「オニスズメ!はがねのつばさ!」
「こっちはでんこうせっかだ!」
1匹の大鳥と2匹の小鳥がそれぞれの技を繰り出しながらこちらに向かってくる。彼等があとどれだけの手持ちを持っているか知らないが、いつまでも彼等の身勝手さに付き合う気はない。
「ルカリオーーー」
向かってくるオニドリル達を見据えながら、レムはルカリオが新たに覚えた技を宣言した。
「はどうだん!」
片手に集約させた波動のエネルギーを弾として撃ち出す。真っ直ぐ飛んでいったそれはオニドリル達に命中し、大きな砂の柱を形成した。
その際に発生した爆発に巻き込まれたアニキ達は悲鳴を上げながら、吹き飛んだ。そしてアニキ達がいなくなるとギャラリーからレム達へ惜しみない歓声と拍手が送られた。
【しばらく空で反省してろ】
そう言ったのを最後に、ルカリオはモンスターボールに戻されるのだった。
本当はエロまで書く予定でしたが、意外と長くなったので分割。次回はリクエスト2連続です。
手持ちポケモン紹介
ルカリオ♂
特性:
せいしんりょく
技構成:
はどうだん
いやしのはどう
ラスターカノン
はっけい
サンダース♂
特性:
ちくでん
技構成:
エレキボール
こうそくいどう
エレキネット
てだすけ