※この作品はR-18です。

ポケモン世界に転生したらハーレムができていた件   作:天野蒼夜

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第5話☆

 照りつける太陽の下、海の上を進む船が一隻。レムはある目的のためにそこに乗っていた。

 

「着いたぞ、兄ちゃん」

 

 小島に停船すると、船を運転していた男性が声をかけられると、レムは小島に上陸する。

 

「ここか、海の魔物の住処は」

 

 レムがこの島に来たのはその海の魔物を捕獲するため。それはもちろんポケモンなのだが、噂を聞きつけたトレーナーをことごとく返り討ちにしたという。そんなポケモンがいると聞いたらトレーナーとして見過ごせないということで、レムは単身この島にやってきたというわけだ。

 

「ああ。ここから真っ直ぐ行ったところに洞窟があってな。海の魔物ーーーブラッディアイはその奥にいる」

「ブラッディアイ?」

「そのポケモンの通り名みたいなものだ。そう呼ばれているのはトレーナーを返り討ちにしてきたのもあるが、理由はもうひとつある」

「それはなんです?」

「百聞は一見にしかず。会ってみれば分かるさ」

 

 離陸する男を見送った後、レムは洞窟へ。男は夕方に迎えにくると言っていたので、それまでに決着を着ける必要がある。

 

「……アレか」

 

 奥へ奥へと進んでいくと、湖にたどり着く。その中心にある小さな陸地には1匹のヨワシがいるが、そのヨワシは通常個体とは違う点が2つあった。1つは体が赤いこと。もう1つは目が吊り目になっていることだ。

 

「お前がブラッディアイだな!捕獲させてもらう!」

 

 そう言ってサンダースを出すと、ヨワシが大きな鳴き声を上げる。洞窟内にその声が響いたことで周囲にいたヨワシ達が集まり、巨大な怪魚の姿を形成した。ヨワシの特性ーーーぎょぐんだ。

 

「……なるほど。だからブラッディアイなのか」

 

 むれたすがたとなったヨワシを見て、レムはこのヨワシがブラッディアイと呼ばれていることに納得した。ブラッディアイはこの姿において目の位置にいるのだが、体色のおかげでそこが赤い目のようになっているのだ。しかも他のヨワシが青い中、そこだけ赤いのでかなり目立つ。

 

「サンダース!エレキネット!」

 

 サンダースが放った電気の網が巨大な魚影に向かって広がる。網は群れ全体を包み込もうとしたが、ブラッディアイを中心にヨワシたちが素早く散開し網の隙間をすり抜けていく。

 

「そんなことまでできるのか……それにしてもすばしっこい……!」

 

 直後、ブラッディアイの号令で群れが一斉に反撃に転じる。ハイドロポンプが怪魚の口から放たれサンダースに襲いかかった。

 

「こうそくいどう!」

 

 サンダースは素早く動き回って水流をかわしつつ、身体に電気を巡らせて加速する。しかし、ブラッディアイは冷たい目でそれを見据えると、群れの一部を氷の息吹で包ませた。

 

「れいとうビームか……戻れサンダース!」

 

 サンダースが凍りつく寸前、レムはすかさずボールに戻す。冷気はサンダースのいた岩場を凍りつかせた。

 

「頼むぞ、ウォーグル!めいそうだ!」

 

 ヒスイのすがたのウォーグルが翼を広げて飛翔する。目を閉じて精神を研ぎ澄ませると、その体から超能力の波動が溢れ出した。

 

「エアスラッシュ!」

 

 ウォーグルの翼から放たれた空気の刃がヨワシの群れを切り裂く。群れは怯み、隊形が乱れ始めた。

 しかし、ブラッディアイは怯まない。鋭い鳴き声で群れを再編すると、今度はアイアンテールで反撃を指示した。鋼の輝きを帯びた尾びれがウォーグルめがけて振り下ろされる。

 

「はねやすめで耐えろ!」

 

 ウォーグルは空中で翼を休めながらもなんとか攻撃を受け止める。だが、ブラッディアイの次の指示は素早かった。群れが螺旋を描いてウォーグルに迫る。

 

「そこだ!オーラウイング!」

 

 サイコパワーを纏った翼の一撃が、群れの中心を打ち抜く。ヨワシたちが散り散りになりついにブラッディアイ本体が露出した。

 

「戻れウォーグル!頼むぞルカリオ!」

 

 赤い体が宙に浮かぶ。その好機を逃さず、レムはルカリオを繰り出した。

 

「はどうだん!」

 

 ルカリオの掌から放たれた波動弾がブラッディアイに向かって飛んでいく。しかし、ブラッディアイは空中で身を翻し、すんでのところでかわした。

 

「まだだ!はっけい!」

 

 地面を蹴って飛び上がったルカリオが掌底を叩き込もうとする。だが、レムが一歩前に出すぎていた。

 

「しまっ……!」

 

 ルカリオの動きに集中するあまり、足元の岩が濡れて滑りやすくなっているのに気づかなかった。バランスを崩したレムはルカリオとぶつかるようにして湖へと落ちていく。

 

【レム!】

 

 人語を解するルカリオが叫ぶ。冷たい水がレムの全身を包み込み、視界が暗転しかけたその時水中に赤い光が揺らめいた。ブラッディアイが、落ちてきたレムをじっと見つめていたのだ。

 その吊り上がった目は怒りでも敵意でもなく、どこか試すような光を宿していた。

 

(流石多くのトレーナーを返り討ちにしただけある……オレ達にはまだ、早すぎたのか……?)

【レム!諦めるのか!?】

 

 諦めかけたレムに一喝するかのようにルカリオがテレパシーを送りながらこちらの方に泳いでくる。その目はレムとは対照的に闘志がみなぎっていた。

 

【まだ勝負は終わってない!俺はまだ……戦える!!!】

(ルカリオ……)

 

 ルカリオはまだ諦めていない。パートナーが諦めていないのに諦めてどうする。レムは心の中で叱責しながらルカリオの方へ泳いでいく。その時だ。メガグローブにはめ込まれたキーストーンが光り始めたのは。いや、キーストーンだけじゃない。ルカリオが持つメガストーンも光り始めたのだ。まるでキーストーンと共鳴するかのように。

 

【俺達はこんなことじゃくじけない。そうだろ?相棒!!】

(ああ。あいつに見せてやろう。オレ達の力を!!!)

 

 互いの手が触れた瞬間、キーストーンの光とメガストーンの光が溶け合い、巨大な水柱を形成しながら湖の中から飛び出した。

 

「ルカリオ……?」

 

 レムをお姫様抱っこしながら湖を抜け出したルカリオは先ほどと容姿が大きく変わっていた。体がひと回り大きくなっただけじゃなく、元々あった金属質の黒い部分が流れる模様となって身体の随所を走り、頭部の房が長くなり、トゲが追加された両手両足の先端は特に力の集中する個所としてより強固となり赤く変色。加えて胴体部分の黄色い体毛も増量された逆立つものとなり、尻尾も腰回りの毛に覆われて見えなくなっていた。

 これはレムとルカリオの絆にキーストーンとメガストーンが反応したことで発現された更なる進化。ルカリオはこれによってメガルカリオにメガ進化したのだ。

 

【どうやらこいつがメガ進化というものらしい。波動の力が高まっているのが分かる】

 

 ブラッディアイが湖から飛び出してくる。その目からは“決着を着けよう”と言っているように見えた。

 

【あっちもやる気十分みたいだな】

「第2ラウンドだ!はどうだん!」

 

 メガルカリオの掌に凝縮された波動が、以前とは比べ物にならない輝きを放つ。放たれた波動弾は一直線にブラッディアイへと迫った。

 ブラッディアイは湖面を滑るように回避し、鋭い鳴き声で群れを再招集する。先ほどよりもさらに多くのヨワシが集まり、巨大な怪魚の姿が再び形成された。その目は依然として赤くメガ進化したルカリオを睨みつけている。

 

「ハイドロポンプが来るぞ!」

 

 巨大な口から放たれた高圧水流がメガルカリオに襲いかかる。しかし、メガ進化によって研ぎ澄まされた波動の力で相手の動きを先読みしていたルカリオは、最小限の動きでこれをかわす。

 

「ラスターカノン!」

 

 鋼の輝きを帯びた光線が放たれる。ブラッディアイは群れの一部を前に出して盾にしようとしたが、メガ進化で威力の増した一撃はその防御を易々と貫き、群れの隊形を大きく乱した。

 

「今だ!一気に間合いを詰めろ!」

 

 メガルカリオが地面を強く蹴り、一気に間合いを詰める。ブラッディアイが指示を出す間もなく群れの中核へと迫った。

 

「はっけい!」

 

 渾身の掌底が群れの中心を打ち抜く。衝撃波が洞窟内に響き渡り、ヨワシたちが四方に散っていく。その中で、司令塔である赤いヨワシが力なく湖面に落ちた。

 たんどくのすがたに戻ったブラッディアイはその小さな体は傷つきながらもなおレム達を見つめていた。その目からは敵意よりも、力を出し切った者の静かな誇りのようなものが感じられた。まるで、“俺の負けだ”と伝えているかのように。

 

「ブラッディアイ」

 

 レムがゆっくりブラッディアイに歩み寄る。

 

「オレと一緒に来ないか?見たところお前はバトルが好きなんだろ?この島の外には強いトレーナーがたくさんいるよ」

【捕獲されるなら、お前のような強いトレーナーがいいと思っていた。連れて行け。俺を、島の外に……と言っているな】

 

 ルカリオがブラッディアイの言葉を通訳する。ルカリオはポケモンなだけあって、他のポケモンの言葉が分かるのだ。

 

「ああ、一緒に行こう!モンスターボール!」

 

 ボールが弧を描いて飛びブラッディアイの体を赤い光で包み込む。数回の揺れの後、ボールは静かになった。

 

「よし!海の魔物!ブラッディアイ、ゲットだぜ!!」

 

 レムはモンスターボールを高く掲げる。死闘の末にポケモンをゲット。そこから味わえる達成感もまたトレーナーをやって良かったと思える場面だ。

 

「でも、ブラッディアイって呼ばれてたヤツがヨワシって名前じゃカッコつかないよな。となると……」

 

 しばらく考えた後、頭上に光る電球を浮かばせた。

 

「よし!今日からお前の名前はブラッドだ!ブラッディアイのお前にピッタリの名前だろ?」

 

 モンスターボールがわずかに群れる。どうやら気に入ったようだ。

 

「これからよろしくな。ブラッド!」

 

 洞窟に差し込む夕日が、新たな仲間を迎えた証を輝かせていた。

 

 




手持ちポケモン紹介2

ルカリオ♂
特性:
せいしんりょく→てきおうりょく(メガルカリオ時)
技構成:
はどうだん
ラスターカノン
インファイト
しんそく

ブラッド(吊り目の赤いヨワシ)♂
特性:
ぎょぐん
技構成:
ハイドロポンプ
れいとうビーム
アイアンテール
じしん

ウォーグル♂(ヒスイのすがた)
特性:
いろめがね
技構成:
オーラウイング
エアスラッシュ
はねやすめ
めいそう

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