※この作品はR-18です。

人造人間の悪魔   作:女主人公スキー

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本日2話目の更新です。


05.人造人間は少年と契約する

  -デンジ視点-

 

 

 

「んがぁ」

 

 

 

 あの時とは違い、ぐっすりと熟睡できた俺は窓から差す太陽の光で目が覚めた。

 

 起き上がろうと、右手に力を入れるとむぎゅっと何か柔らかいものに触れる。

 

 

 

「あ~? なんだ……あ」

 

 

 

 隣には18号さんがいた。そして俺の右手は18号さんの左乳をむんずと掴んでいた。

 

 

 

「おわぁぁぁ!! す、すいません!!」

 

 

 

 俺は慌てて胸から手を離す。その騒ぎで18号さんも目を覚ました。

 

 

 

「朝からやかましいな……寝相ならいいって言っただろ」

 

 

 

 18号さんは起き上がって軽くあくびをして、ベッドから抜け出して立ち上がる。

 

 

 

「朝飯にするぞ」

 

「ハイ!」

 

 

 

 テーブルについて、数分待つときつね色に焼けた食パンが並ぶ。

 

 そこに更にバターとジャムなどたくさんの調味料が食卓に追加される。

 

 

 

「夢だったんだろ?」

 

「おお……これ、好きなだけ塗っていいんすか!?」

 

「ああ」

 

 

 

 俺は食パンにこれでもかとパンとジャムを塗りたくる。

 

 しかも、テーブルを汚さないよう丁寧にだ。18号さんに嫌われたくないしなァ……!

 

 

 

「最強のパンが完成しちまったぜ……ポチタも食うか?」

 

「ワン!」

 

 

 

 興奮して尻尾をブンブンと振り口からは涎を垂らすポチタに、半分に割った最強のパンを分ける。

 

 

 

「美味え~!!」

 

「ワフ~」

 

 

 

 俺達がパンに夢中になってる間に18号さんはパンを食べ終わっていた。

 

 

 

「昨日も言ったが、今日はアメリカの病院に行って……そのあとチェンソーマンになる実験だ」

 

「うっす」

 

「私はもう出掛けるからな」

 

 

 

 そう言うと18号さんはベランダに出て、空を飛んで行った。

 

 

 

「はぁ~……とんでもねーことになったなァ。ちょっと前の俺に行っても鼻で笑うだろーな」

 

「ワン!」

 

「ああ、わかってる。こっからだよな……よし、とりあえず18号さんの下着でも漁るか!」

 

「ワフッ!?」

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 -18号視点-

 

 

 

「マキマ様のご紹介の18号様ですね。こちらへどうぞ」

 

 

 

 私は舞空術で単身アメリカへ渡る。マキマがコネを持っている大病院に辿り付き、スムーズに診察室へ向かう。

 

 医者と引き合わされた時点でデンジとポチタを自室から召喚する。

 

 

 

「あ~っ」

 

 

 

 デンジは手に持っていたものを慌ててポケットに隠す。

 

 

 

「お前……」

 

「な、何もしてないっすよ……?」

 

 

 

 目が泳いでいるし、ポケットから下着の一部がはみ出ている。

 

 

 

「はぁ……まぁいい。コイツだ、診てやってくれ」

 

「では検査しますので、どうぞこちらへ」

 

 

 

 デンジの身体が巨大な機械によって検査されていく。1時間ほど待って、結果が出た。

 

 やはり心臓移植は必要らしく、適合するドナー提供者を待たねばならないと医師は言う。

 

 

 

「分かった。他の患者には悪いが……なるべくコイツを優先してやってくれ」

 

「はい、心得ております。症状を抑える薬を出しておきますので、これを飲んでいればしばらくは問題ないかと」

 

 

 

 私はデンジとポチタを伴って病院から出る。

 

 

 

「じゃあ、次は実験だな……誰もいないとこでやるぞ」

 

「ハイ」

 

 

 

 デンジを抱えて空を飛び、周囲に人のいない荒野に降り立つ。

 

 

 

「さて……」

 

 

 

 私はデンジとポチタをチェンソーマンにする方法を知らない。なので原作の悪魔を呼び出すことにした。

 

 

 

「久しぶりだね、18号」

 

「ああ」

 

「何スかこいつ……本が喋ってる」

 

「原作の悪魔――お前を助けるために私を呼び出した悪魔だ」

 

「へぇー。てことはコイツがいなかったら俺はあの時死んでたワケですか」

 

 

 

 デンジの言葉に対し、私の代わりに原作の悪魔が答える。

 

 

 

「そうだよ。そして、契約によってポチタがキミの心臓になって――キミはチェンソーの武器人間になってたはずだった」

 

「あ? 武器人間?」

 

「契約で心臓として悪魔を取り込んだ人間のことだよ。魔人はその逆、人間を乗っ取った悪魔」

 

「は~ん、なるほど。そうか、ポチタが心臓に……」

 

「クゥー……」

 

 

 

 原作の悪魔は咳ばらいをして話を元に戻す。

 

 

 

「本来、チェンソーマンとはチェンソーの武器人間のことを言うんだ。でも、この方法は取れない」

 

「俺もやだぜ。ポチタはこのままいてくんねーと……なぁ?」

 

「ワン!」

 

「だったら、どうするんだ?」

 

 

 

 私の質問に直接答えず、原作の悪魔はデンジのほうへ向き直る。

 

 

 

「僕の考えた方法は疑似的かつ一(・)時(・)的(・)な(・)武(・)器(・)人(・)間(・)化(・)だ。デンジ、キミは食道だか胃だかに口に入れたモノを消化せずに一時的に置いておく特技があったよね」

 

「あ、ああ……タバコとかな。ちょっとしたものならできるぜ」

 

「その特技を使って、ポチタを飲み込むことでチェンソーマンに変身できないかな? 手順は――

 

 

①ポチタが小さくなってデンジの口の中へ

 

②ポチタは体内からデンジの身体に取り付いて、スターターを引く

 

 

――みたいな感じかな。質問はあるかい?」

 

 

 

 デンジが首を捻りながら、原作の悪魔に質問する。

 

 

 

「ポチタって小さくなれんのか?」

 

「心臓になれるんだからなれるはずだ」

 

「おお、まぁそうか……」

 

「ワン」

 

 

 

 今度は私が原作の悪魔に質問を投げる。

 

 

 

「スターターを引くのは? こいつ手足短いから尻尾まで届かないだろ」

 

「彼はチェンソーマンとして地獄で悪魔を殺し回ってたんだよ? 自分でスターターが引けないなんてことはあり得ない」

 

「それもそうか……なら理論上は問題ないのか」

 

「ワンワン!」

 

 

 

 ポチタが力強く吠えて、自信をのぞかせる。その様子を見て原作の悪魔は頷く。

 

 

 

「ただし、こんな方法は誰もやったことはない。けど、デンジとポチタの信頼があれば――僕は可能だと思っている」

 

「お~、まぁな。俺とポチタは刑務所でもないのに臭い飯を食った仲だからなァ」

 

「ワフッ」

 

「よし……それじゃ、やってみろ」

 

 

 

 私の合図で、まずポチタが手のひらに乗るぐらいのサイズまで小さくなる。

 

 

 

「手乗りポチタじゃん!! かわいい~」

 

「ワフゥ」

 

「ポチタ、俺の体内にしっかり掴まってろよ。俺も留めとくけど、下手したらゲロかうんこで出てくることになっからよー……」

 

「ワン!」

 

 

 

 デンジがポチタを口の中に入れ、飲み込んだ。

 

 

 

「ポチタ……!」

 

 

 

 デンジの体内からブゥゥゥンとスターターを引く音が響く。

 

 

 

「いっ――てええええええ!!!」

 

 

 

 デンジの頭部と両腕からチェンソーが生えると同時に、血がどっと噴き出る。

 

 

 

「言い忘れたけど、物凄く痛いと思う」

 

「先に言えよ……」

 

「出血もするから、一日にそう何度も変身はできない。それに、武器人間と違って手足が欠損しても治らないかもしれない」

 

「あぁそう……まぁ何とかなんだろ」

 

 

 

 デンジは腕のチェンソーを振り回して、変身した身体の状態を確かめている。

 

 

 

「デンジ、胃だか食道に留めておくのは何分ぐらいいけそうなんだ?」

 

「あ~……まぁ10分くらいすかね」

 

「ってことは変身時間も制限ありか」

 

「ポチタのほうで耐えれて精々15分ってところかな……正直このままじゃ武器人間よりはかなり弱い」

 

 

 

 そこで原作の悪魔が私のほうを向いた。私は黙って頷く。

 

 

 

「私がデンジとポチタと契約すればいいんだろ」

 

「おお、ついにっすか!」

 

「ともかく、変身はうまくいったみたいでよかったよ」

 

「ああ、助かったよ。またな」

 

 

 

 私は原作の悪魔を地獄へ送還した。

 

 

 

「デンジ、ポチタ。今は変身はもういい。解除しろ」

 

「へ……あ、ハイ」

 

 

 

 チェンソーがドロリと溶け、デンジの身体が元に戻る。デンジがえずくと、ポチタが口の中から戻ってきた。

 

 

 

「デンジ、ポチタ……契約だ。お前らに私の戦闘技術と体内にある『永久エネルギー炉』の力を分け与える」

 

「ハイ」

 

「それによりお前らは無尽の体力と気のコントロールが出来るようになる」

 

「ワン!」

 

「――契約には代価が必要だ。お前達の人生と、その過程で得た全ての金を捧げろ」

 

「ハイ!! 捧げます!!」

 

「ワォーン!!」

 

 

 

 迷いなく宣言したデンジとポチタと、私の間で契約が結ばれた。

 

 

 

「よし……これで契約できた。デンジ、ポチタ。気合を入れてみろ」

 

「へ? は、はい。いくぞポチタ」

 

 

 

 デンジとポチタは拳をぐっと握って、身体全体に力を入れて叫ぶ。

 

 

 

「はああああああ……!! うおお、何だこりゃ!?」

 

 

 

 予想通り、デンジとポチタの身体からエネルギーが迸る。

 

 

 

「それは私の世界で「気」と呼ばれているものだ。私のそれは人工的に精製されたものだから、正確には違うがな」

 

「これが気……すか。18号さんの世界、っつーのは?」

 

「そういえば言ってなかったか……私はこの世界とは別の世界から来たんだ」

 

「別の世界……そっちでも18号さんは最強なんですか?」

 

「上澄みではあるが……私より強い奴は少なくとも3人はいる。死んだ奴、いない奴を含めればもっとだな」

 

「どんな魔境なんすか、その世界……」

 

 

 

 遠い目をするデンジ達に、私はかねてより考えていたことを話す。

 

 

 

「いいか、デンジ。この世界で私はなるべく戦わない。身を守る程度はするが、矢面に立つのはお前らだ。何でか分かるな」

 

「俺達が活躍して、金を稼ぐためってことっすね」

 

「そうだ。そしてそのためにはお前が強くならないとな。私との契約は強力だが、それだけじゃ駄目だ」

 

 

 

 私は戦いの構えをとる。

 

 

 

「というわけで、これからお前らを鍛える。しばらくは修行だな」

 

「修行っすか……あんまり好きじゃないけど、18号さんのためならやりますよ」

 

「意欲が湧かないか? なら、手合わせの間に触(・)れ(・)ら(・)れ(・)る(・)な(・)ら(・)胸でも尻でも好きに触れていいぞ」

 

「な~んかめちゃくちゃ意欲が湧いてきました! さぁ、早くやりましょう!!」

 

「現金な奴……頭のほうも鍛えたほうが良さそうだな」

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

 それから、日が暮れるまで私とデンジとポチタで手合わせと気のコントロール修行を続けた。

 

 

 

「くっそ~全然、指先一つも触れらんなかった~!!」

 

「当たり前だバカ……そろそろ帰るぞ。舞空術はもう使えるな?」

 

「ハイ、それはもうバッチリ」

 

「それじゃ、一緒に帰るぞ。ゆっくりめに飛んでやるから、ついて来い」

 

 

 

 私達は連れ立って空を飛び、アメリカから日本まで戻っていった。

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