※この作品はR-18です。

人造人間の悪魔   作:女主人公スキー

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本日更新①
19時にもう1話投稿します


06.人造人間と血の悪魔-前編-

 -18号視点-

 

 

 

「18号ちゃん。そろそろ働いてくれないと庇いきれなくなります」

 

 

 

 デンジとの契約から3日。マキマと会ってからは一週間、私は公安に籍を起きながら1秒たりとも働いていなかった。

 

 この3日はデンジとの修行に費やし、それなりに形になってきた所でマキマから呼び出された。

 

 無視してやろうとも思ったが、「来なかったら宿舎から退去」と言われては応じざるを得ない。

 

 

 

「……仕方ないな。適当な悪魔を殺せばいいんだな?」

 

「待って。公安は依頼か通報があって初めて動くの。もちろん野良悪魔と遭遇して戦うこともあるけど、それは例外だから」

 

「ちっ……面倒くさいな」

 

「それに、民間にもデビルハンターはいる。彼らの獲物を横取りすると問題になります」

 

「分かった分かった。それで、私はどうすればいい?」

 

 

 

 マキマは処理し終えた書類をまとめて顔を上げる。

 

 

 

「魔人って知ってるかな。人間を乗っ取った悪魔」

 

「ああ」

 

「公安でも理性の高い魔人は何匹か飼っててね。その内の一人、血の魔人が問題児なんだ。18号ちゃんには彼女のバディになってもらいたいの」

 

「断る」

 

「拒否権はないよ。これは上司命令――私の部下になるって言ったよね?」

 

「ちっ……分かった」

 

 

 

 不承不承、マキマの命令に従うことにする。契約には悪魔も人間も逆らえない。

 

 会話が止まったタイミングで、扉の外からドスドスといった感じの足音が聞こえてきた。

 

 

 

「来たみたいだね。入っていいよ、パワーちゃん」

 

 

 

 マキマが許可を出すと、扉が勢いよく開かれた。

 

 

 

「おうおう、ひれ伏せ人間!! ワシの名はパワー!! バディというのはウヌか!?」

 

「……コイツとバディになれと?」

 

「うん。よろしくね、18号ちゃん。とりあえずは街の巡回を――」

 

 

 

 巡回時の注意事項を説明されたあと、私とパワーは街の巡回に出かけた。

 

 しかし、悪魔は見つからない。ビルの屋上まで登って、街を見渡すが平和そのものだった。

 

 だがパワーはそれが気に入らないらしくイライラして足を踏み鳴らしている。

 

 

 

「人間、早くなんか殺させろ!! ワシは血に飢えて――」

 

 

 

 パワーがそんなことを言って頭を叩こうとしたので、私はその手を掴み、ひねって、膝で抑えつけて拘束する。

 

 

 

「いっ、痛い痛い痛い!! 何するんじゃ!?」

 

「何って……躾けだが」

 

「ワシは犬ではないわ!! 地獄で恐れられた偉大な悪魔、血の悪魔じゃ!!」

 

「雑魚相手にイキってただけだろ。それに私は人間じゃない、悪魔だ」

 

 

 

 私の言葉に「はぁ?」と返し、鼻をヒクつかせる。

 

 

 

「匂いが人間じゃ。嘘をつくな」

 

「いや、悪魔だ――そうだな?」

 

 

 

 私は手のひらに気を集めて、パワーを睨んで圧をかける。

 

 

 

「悪魔みたいな人間じゃ!!」

 

「ふん……まぁいいか」

 

「お、お前何者なんじゃ……マキマより怖いぞ」

 

「マキマより強いぞ、私は。でもマキマよりは優しいし平和主義だから、安心しろ」

 

「ぐぬぬぅ……ぬ?」

 

 

 

 パワーが再び鼻をひくつかせて何かに反応する。

 

 

 

「血の匂いじゃ!!」

 

 

 

 そう叫んだかと思うと、パワーは「勝負じゃ!勝負じゃ!」と連呼しながら走り出す。

 

 私は溜め息を吐きながら冷静にパワーを追いかける。

 

 パワーは屋上から飛び降りる。私が地上を見ると確かに悪魔が出現していた。

 

 

 

「どうじゃ、これで――…………え?」

 

 

 

 パワーは血で固めたハンマーでその悪魔を潰そうとしていたが、私が舞空術で追いついて襟を掴んで止める。

 

 

 

「落ち着け。あれは既に民間のデビルハンターが手をつけてる。私達が倒したら問題になるぞ――マキマの話聞いてなかったか?」

 

「ワシは人の話は聞かん主義じゃ!!」

 

「終わってるな、お前……」

 

 

 

 私達は巡回を終え、マキマに報告に戻った。

 

 

 

「ありがとう、18号ちゃん。パワーちゃんの暴走を止めてくれて。余計な仕事が増えるところだったよ」

 

「それはいいが、コイツとバディになれる気はしないな」

 

「ワシも無理! コイツ怖い」

 

「パワーちゃんの意見は聞いてないかな。18号ちゃん、大変だろうけどもう少し躾けを頼めるかな。次のバディ候補に引き継げるくらいには」

 

「……分かった。来い、パワー」

 

「嫌じゃあ……」

 

 

 

 そう言いながら、パワーは私の後をついてくる。

 

 喉が渇いたから、休憩所の近くの自動販売機で飲み物を一つ買う。

 

 

 

「お前も飲むか?」

 

「飲みたいが、金持っとらん。奢れ」

 

「……そのポケットの膨らみは何だ?」

 

「は? 膨らんでなどおらんが?」

 

「頭が痛くなってきたな……ほら、奢ってやるよ」

 

 

 

 缶ジュースを投げて寄越すとパワーは受け取りグビグビと飲み干す。

 

 

 

「もう一杯寄越せ!! こうなりゃヤケじゃ!!」

 

「調子に乗るな」

 

 

 

 私は2本の指を立ててパワーの眼を突き刺す勢いで向けて、寸前で止める。

 

 

 

「ひゅっ……じょ、冗談じゃ。18号はユーモアの通じん奴じゃの……」

 

「厳しい躾けが必要みたいだな?」

 

 

 

 拳を鳴らしながらパワーに近づく。パワーは手を前に出して私を止めようとしながら後ずさる。

 

 

 

「まっ、待て。ここは話し合いで解決せぬか……? ワシの悩みを解決してくれれば、オヌシと契約してやる」

 

「悩み? 契約だと?」

 

 

 

 足を止めて首を傾げる私に、パワーがほっと息を吐いて説明する。

 

 

 

「そうだ、悪魔は契約には逆らえない。契約でワシにバディの指示に従え、とでもすればワシはそうせざるを得ない」

 

「ほう……悪くない提案だ。手間が省けるしな」

 

「ただし、契約するのはワシの悩みが解決してからじゃ」

 

「成功報酬ってわけか。まぁいいだろう……で、悩みってのは?」

 

 

 

 私が促すと、パワーはゆっくりと話しはじめた。

 

 マキマに捕まる前に仲良くしていた猫がいたこと。

 

 その猫を蝙蝠の悪魔に攫われたこと。その猫を取り返してくれれば契約をする、と。

 

 

 

「その猫はニャ―コという。オヌシほどの強さなら取り返せるはずじゃ」

 

「分かった……案内ぐらいはしてくれるんだろ?」

 

「当然じゃな。ついてこい」

 

 

 

 受付で外出許可を貰い、蝙蝠の悪魔がいるという小屋へ向かう。

 

 

 

「どうやってニャーコを助け出すつもりじゃ?」

 

「押し入ってパッとやればできると思うが」

 

「脳筋すぎんか?」

 

 

 

 小屋に着くとパワーは中の悪魔に聞こえるように叫んだ。

 

 

 

「コウモリ! 望み通り人間を連れて来たぞ」

 

「逃げたかと思ったぞ……その女か。美味そうだ……でかしたぞ、血の悪魔」

 

 

 

 蝙蝠の悪魔は私に一歩近づくと、欠損した右腕を見せてくる。

 

 

 

「見ろ、この右腕の傷を……人間に刻まれた傷は人間の血で癒させてもらう」

 

 

 

 蝙蝠の悪魔はそう言って私の身体を鷲掴みにしようと手を伸ばす。

 

 その手を私は片腕で抑える。

 

 

 

「なっ……」

 

「ニャ―コはそこか」

 

 

 

 首元にぶら下げられた鳥籠。そこにニャ―コはいた。

 

 蝙蝠の悪魔の懐に潜り込み、鎖を引き千切ってニャ―コを救出してパワーに投げる。

 

 

 

「おおお、ニャーコ!! よくやったぞ18号!!」

 

「もうこいつは用済みだな?」

 

「うむ。好きにしてくれてよい」

 

 

 

 突然自身の優位性を喪ったことで動揺を隠せない蝙蝠の悪魔に、私は黙って歩み寄る。

 

 

 

「私の血で腕を取り戻したかったんだろう? 血だけならくれてやるよ」

 

「何だと……? お前、何が目的だ――」

 

「デ(・)ビ(・)ュ(・)ー(・)にはちょうどいい相手だと思ってな」

 

「デビュー……?」

 

 

 

 私は舞空術で浮き上がり、腕を切りつけて血を蝙蝠の悪魔の口に注ぐ。

 

 

 

「こっ――これは!!」

 

「よ~く味わえよ。最後の晩餐だ」

 

「美味い!!!! もっと寄越せ、人間んんん!!!!」

 

 

 

 蝙蝠の悪魔の右腕が復活し、そのまま私を再び鷲掴みにせんと迫ってくる。

 

 私はあえてそれを抵抗せずに受け入れる。

 

 

 

「あ~~~~~~~~~ん」

 

 

 

 蝙蝠の悪魔は大口を開けて、私を口の中に入れようとする。

 

 パワーが不可解な顔でこっちを見ていたが、目で何もするなと制する。

 

 私は蝙蝠の悪魔の口に入れられる寸前で、ぼそりと呟く。

 

 

 

「――助けろ、チェンソーマン」

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