※この作品はR-18です。

一人称が「俺様」の褐色爆乳美女は好きですか?   作:ビジュゲイト推し

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今さらでも

夢の始まりは、いつも、どこだったか分からない。天井。薄汚れた天井。ひびが、一本。二本。三本。ザビーダはそれを数えていた。

 

「次、入るぞ」

声がする。

「あいよ」

自分の声。

 

軽い。いつもの聞き慣れた声だった。扉が開く。男が入ってくる。顔は、よく見えない。知っている人間だったような。知らない人間だったような。どちらでも、よかった。

 

「今日は何人?」

ザビーダが聞く。

「あと三人」

「りょーかい」

「疲れてる?」

「別に。まだ中に出せるぜ」

「ならいいな」

「おう」

それで、話は終わる。

 

男が扉を閉める。鍵。音。ザビーダは自分から、いつもの位置へ移動した。どうすれば、相手が満足するか。知っている。何を求められるか。大体。分かる。服をどこまで外せばいいか。どの言葉を言えば喜ぶか。どのくらい声を出せばいいか。どの程度。反応しているように見せればいいか。

 

全部。覚えている。身体が勝手にやる。

 

「慣れてるな」

男が笑う。

ザビーダも笑う。

「年季入ってるからねえ。何回でも出していいぜ」

「いい聖隷だ」

「褒め言葉?」

「もちろん」

「ならどーも」

笑う。

 

男がズボンを下ろす。すでに勃起した肉棒が、跳ねる。ザビーダは跪いて、自分から口を開ける。舌で先端を舐め。亀頭をしゃぶり。一気に喉奥まで咥え込む。

 

「う……っ」

喉が抉られる。

 

精液の味が、まだ残っている。さっきの男の。それでも、頭を掴まれ。喉を犯される。

 

「ふっ……っ、くっ……」

鼻から、よだれと精液が垂れる。

 

男が腰を振るたび。喉の奥が、ぐぽぐぽと音を立てる。

 

「いい喉だな。何人でも使える」

「……んぐっ、んっ……」

天井。

 

四本。五本。六本。途中で、数が、分からなくなる。もう一度。一本。二本。三本。早く終わればいい。

――違う。夢の中で、何かが、引っかかった。

早く終わればいい? 俺様。今、そう思った?

 

「どうした」

声。

「何でもねえよ」

すぐに返す。

「平気?」

「平気平気。まだ中に出せる」

それも、すぐ。

 

出る。考えるより、早く。男が口から抜く。糸を引くよだれが、落ちる。

 

「じゃあマンコも」

「はいはい」

ザビーダは四つん這いになり自分で広げる。すでに何度も使われた穴が、緩く開いている。精液が、少しずつ垂れている。男が容赦なく突く。

 

「んっ……あっ……」

奥まで、一気に抉る。

 

腰を掴まれ。激しく。ぐちゃぐちゃに。

 

「く……っ、はぁっ……」

声が出る。

わざと少しだけ。

「気持ちいい?」

「……んっ、まあまあだな……」

嘘。

 

でも、そう言う。男が奥で射精する。熱いものが、たっぷりと注がれる。

 

「次も待ってるぞ」

「はいはい」

 

***

 

次。扉。別の部屋。天井が違う。古い。ずっと昔。窓がある。外は、雨。ザビーダは寝台の端に座っている。男が服を整えている。

 

「やっぱりお前は楽だな」

「何が?」

「嫌がらない。口もマンコも好きに使える」

「嫌がってほしい?」

「いや」

男が笑う。

「その方が使いやすい。中に出しても文句言わないし」

「あっそ」

「お前みたいなのばかりなら助かるんだが」

「俺様、優秀だから、何回でも出せるぜ」

笑う。

 

それで、いい。そういうもの。嫌がらなければ、相手は機嫌がいい。相手が機嫌よく帰れば、次も、面倒が少ない。拒んで、怒らせて、痛い目を見るより、ずっと賢い。

 

「次、待ってるぞ」

扉の向こうから、声。

「はいはい」

立つ。

 

脚が、少し重い。中に溜まった精液が、歩くたび。太ももを伝う。でも、歩ける。なら。平気。扉を開ける。次の男がもう立っていた。

 

「口からやれ」

「あいよ」

跪く。

 

また喉を犯される。

 

***

 

次。知らない部屋。次。知っている部屋。次。百年前、次。五百年前、次。いつかも分からない。服装だけが変わる。家具も、言葉遣いも、建物も、人間の顔も、全部。変わる。ザビーダだけが、同じだった。

 

「嫌じゃない?」

「別に。中に出されても平気だぜ」

「今日は休む?」

「平気。まだ穴開いてる」

「もう一人いい?」

「好きにしろよ」

「俺の相手も?」

「はいはい。二人同時でもいいぜ」

「お前は本当に――」

言葉が重なる。

 

扱いやすい。慣れている。便利。愛想がいい。壊れない。使い減りしない。長持ちする。口も、マンコも、何度でも、出せる。一つずつ。夢の中で、響く。ザビーダは笑っている。ずっと笑っている。

 

「はいはい、次どーぞ。精液まだ出せるなら出していいぜ」

誰かにそう言った。

 

その瞬間、声がした。――君は、したいのか。ザビーダの笑みが、止まった。

 

「……」

誰の声だ。

知っている。

「どうした?」

目の前の男が聞く。

「いや」

答えようとする。

「別に――」

――したいのか。

 

また声がする。

 

「……」

喉が詰まる。

男が少し苛立つ。

「何だよ」

「……」

「嫌じゃないんだろ? さっきまで喉奥まで咥えてたじゃねえか」

昔なら。

 

すぐ答えられた。別に嫌じゃない。慣れてる。平気。何でもない。でも、今は。

 

「……したく」

言葉。

小さい。

「何?」

「……したくねえ」

言った。

 

世界が、止まった。本当に止まった。男の手も扉の向こうの音も、雨も、何も、動かない。それから、部屋の端にいた。いつからいたのか分からない人間たちが、一斉にザビーダを見る。顔がない。でも、声だけは、ある。

 

「今さら?」

誰かが言う。

「何百年やってきたと思ってる。口もマンコも何人にでも開いてたくせに」

別の声。

「嫌なら最初から言えばよかっただろ」

「お前、自分で平気って言ってたじゃないか」

「慣れてるって」

「別に嫌じゃないって」

「自分から笑って、穴広げてたじゃないか」

「中に出されても『まだ出せるぜ』って言ってたろ」

ザビーダは何も、言えない。

 

全部。言った。本当に自分で言った。

 

「……そうだけど」

ようやく出た。

「じゃあ何が嫌なんだ?」

聞かれる。

 

ザビーダは口を開く。答えが、ない。何が、嫌だった?触られること?裸にされること?相手を選べないこと?終わるまで、そこにいること?笑うこと?平気な顔をすること?喉を犯されること?マンコを抉られること?中に出されること?それとも、全部?分からない。何百年も、考えなかった。

 

「……知らねえよ」

「なら平気だろ」

誰かが言う。

「嫌だって説明できないなら」

別の声。

「今まで通りでいいじゃないか。口もマンコも開けばいい」

「違――」

言い返そうとする。

 

でも、何が違うのか。分からない。自分でも。

 

***

 

場面が、また変わる。今度は見慣れた部屋。ザビーダはすぐ分かった。ミクリオの家。自分の部屋ではない。ミクリオの部屋。机。本。ザビーダが買った筆。全部。ある。だから、安心した。

 

「……ミクリオ?」

扉が開く。

 

ミクリオが入ってくる。いつもの服。いつもの顔。

 

「何だ」

「何だって」

ザビーダは笑う。

「夢、変なの」

「そうか」

「ああ」

近づいてくる。

 

ザビーダは安心する。ミクリオなら。大丈夫。そう。思った。

 

「でも」

ミクリオが言う。

「君は僕の所有聖隷だろう」

ザビーダの呼吸が止まる。

「……は?」

「書類上は」

いつもの言葉。けれど、続きが違った。

 

「なら、僕には君を使う権利がある」

「……」

笑えない。

「何言ってんだよ」

「制度上はそうだ」

「お前」

「買ったのも僕だ」

一歩近づく。

 

「口でもマンコでも好きに使える。君は何人にでも開いてきたんだから」

ザビーダは一歩下がった。

「待て」

「なぜ」

「……」

「君は今まで」

ミクリオの声。

なのに、知らない。

「何人にでも使われてきただろう。喉奥まで咥えて、中に出されて」

「……」

「僕だけ嫌なのか?」

胸。

痛い。

「そうじゃ」

ない。

 

と言いかける。でも、身体が勝手に後ろへ下がる。

 

「ザビーダ」

手が伸びる。

「平気なんだろう?」

違う。

「慣れてるんだろう?」

違う。

「嫌じゃないんだろう?」

違う。

「なら」

触れられるその前に。

 

「やだ」

声が出た。

自分でも、驚くほど、はっきり。

「……」

夢のミクリオが止まる。

ザビーダは息を吸う。

「やだ」

もう一度、その名を呼ぶ。

「ミクリオ」

喉が震える。

「それは」

嫌だ。

 

昔の誰か。顔も、名前も、覚えていない。何人いたかも、もう。数えられない。口を使われ。マンコを抉られ。中に出されても、笑って耐えた。それなのに目の前の男に同じように扱われることだけは、想像しただけで、全身が、拒んだ。

 

「やだ、ミクリオ。口もマンコも、お前には開きたくねえ」

その瞬間、目が覚めた。

 

***

 

暗い。天井。自分の部屋。ザビーダは息を吸う。浅い。速い。

 

「……」

手を自分の胸へ置く。

 

服。着ている。寝る前のまま。毛布。そのまま。誰も、いない。扉。閉まっている。鍵。かけた。自分でかけた。

 

「……夢」

声が掠れた。

 

夢だ。何も、起きていない。なのに、身体だけが、まだ分かっていない。肩が震える。息がうまく入らない。喉の奥が、まだ抉られた感覚を覚えている。奥が、熱い。ザビーダはベッドの上で、膝を抱えた。

 

「……何だよ」

自分へ吐き捨てる。

 

今さら、何だ。昔。何度でも、やった。もっと長い夜もあった。もっと人数が多い日も、雑に扱われた日も、痛かった日も、あった。多分、それでも、翌朝には、笑った。

 

「平気」と言った。

「まだ出せるぜ」

とも、なのに夢で、少し思い出しただけで、何で、こんなに。

「……」

そして、一番。

 

頭から離れない。夢の中の。ミクリオ。

 

『僕には君を使う権利がある』

そんなこと現実のミクリオは絶対に言わない。

 

分かっている。だから、余計に嫌だった。

 

「……ミクリオだけは」

呟く。

 

そこで、止まる。ミクリオだけは、何だ。ミクリオだけには、そうしてほしくない。どうして、分からない。昔の誰かと何が違う。

 

「……知らねえよ」

答えは、出なかった。

 

***

 

朝。食卓。ミクリオがザビーダを見る。

 

「眠れたか」

いつもの。

 

質問。ザビーダは反射的に笑う。

 

「まあまあ」

ミクリオが頷きかける。

ザビーダは止めた。

「……いや」

「うん?」

パンをちぎる。

「変な夢見た」

ミクリオの手が止まる。

「どんな」

聞いてから、ザビーダの顔を見る。

 

少し間を置いて、ミクリオは続けた。

「……話したくないなら、いい」

ザビーダはそれを聞いて、少しだけ息を吐いた。

「昔の夢」

「昔?」

「ああ」

「覚えていたこと?」

「知らね」

「そうか」

また、それ以上は聞かない。ザビーダはパンを食べる。一口。二口。それから。

 

「お前も出てきた」

ミクリオが顔を上げる。

「僕が?」

「ああ」

「何をしていた」

「最悪だった」

「なぜ僕が出ただけで最悪なんだ」

「夢のお前、別人だったから」

 

「俺様のこと所有物だから好きにしていいとか言ってた。口もマンコも使わせろとか」

ミクリオの表情から、笑いが消える。

「……僕が?」

「夢の話だぜ」

「それでも嫌だな」

「俺様も嫌だった」

口から、自然に出た。

 

ミクリオが少しだけ目を細める。ザビーダは自分でも、驚いた。嫌だった。もう。言える。

 

「……お前に」

ザビーダは少し躊躇う。

「そうされんのは」

ミクリオは黙って、待つ。

「すげえ嫌だった」

「そうか」

「昔の奴ら相手なら」

言ってから、また。

言葉を探す。

「夢の中でも、最初はいつも通りだったのにな。口開けて、穴広げて」

「うん」

 

「お前が同じことしようとしたら」

ザビーダは眉を寄せる。

「無理だった」

「……」

「何でだろうな」

ミクリオはしばらく答えなかった。

「分からない」

「お前も?」

「ああ」

 

「そこ推理しねえの?」

「君の感情だろう」

「そうだけど」

「僕が理由を決めるものじゃない」

ザビーダが少し笑う。

「またそれ」

「ああ」

「でも」

 

少しして、ザビーダは目を伏せる。

「現実のお前が」

言う。

「夢みたいな奴じゃなくて、よかった」

ミクリオは真面目な顔で。

「僕は」

答えた。

「君が嫌だと言うことはしない」

「……知ってる」

すぐに返せた。以前なら、本当かとどこかで疑ったかもしれない。今は知っている。あの夜、ミクリオは何もしなかった。一人になりたくないと言えばそばにいて、触れる前には確認し、嫌だと言えば止まった。何度も、何度も。

 

「知ってるよ」

もう一度言う。

 

今度は少しだけ笑った。

 

***

 

その日の午後、ザビーダは自室の机へ突っ伏していた。傍らには、真名の欄がまだ空白の紙と、ミクリオから渡された研究記録がある。

《霊力総量:高水準》

《高出力術式形成時、経路閉塞》

《原因不明》

 

それをぼんやり眺める。夢、ビジュゲイト、術、昔の自分。分からないことが増えたようで、実際は前から全部あった。ただ見ようとしなかっただけだ。

 

「……嫌だったのかな」

ぽつり。

 

誰に聞くでもなく、使われること何百年も、別にと言っていた。嫌じゃない。平気。慣れてる。口も、マンコも、何度でも、出せるって、でも、夢の中で、今の自分は嫌だと言った。

 

「……」

ザビーダは顔を上げる。

「今さらかよ」

苦笑する。

 

けれど、頭の中でミクリオの声が返ってきた気がした。今さらでも、嫌なら嫌だと言えばいい。あの男なら、きっとそう言う。ザビーダが窓を開けると、少し冷たい風が弱く入ってきた。

 

「……まあ」

呟く。

「今さらでも、いっか」

誰も、聞いていない。

 

だから、少しだけ素直に言えた。

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