一人称が「俺様」の褐色爆乳美女は好きですか? 作:ビジュゲイト推し
「じゃあ、いいか」
ザビーダが笑った。緊張を隠すような笑みではなく、本当に、今からこの男に触れられるのが嬉しいという顔だった。
「俺様、抱いてほしい」
ミクリオは一度だけ目を閉じて、開けた。
「分かった」
彼はゆっくりと身体を起こす。左脇腹を打っているため、いつもより動きは慎重だった。それでも、ザビーダの肩に手を置き、そっと近づいた。唇が触れる。何度目かのキス。それだけで、互いの呼吸が少し深くなる。
「横になれるか」
「お前こそ」
「僕は大丈夫」
「無理すんなよ」
「君が無理をしていないか、僕が確認する」
「…真面目かよ」
「今さら」
ザビーダが小さく笑い、ベッドの上で身体を横たえた。ミクリオは片手をつき、彼女の上に覆い被さらないよう、横から寄り添う形を取る。銀の髪がシーツの上に広がった。琥珀色の瞳が、真っ直ぐにミクリオを見上げている。
「きれいだ」
ミクリオが言った。
「急に何」
「前から思ってた」
「…お前、そういうの今言うタイプだっけ」
「今言いたいから言った」
ザビーダの頬が少し赤くなる。
「反則だろ」
「反則じゃない」
ミクリオは微笑んで、もう一度キスをした。今度は深く。舌が触れ合うと、ザビーダの指がミクリオの背中へそっと回る。壊れないように、けれど確かに欲しがる強さで。
「触っていいか」
「どこ」
「胸」
「…いいぜ」
ミクリオの指が、サラシの上からゆっくりと輪郭をなぞる。ザビーダの身体が僅かに強張る。それでも、目は閉じない。
「このまま触ってほしい?」
「ああ。…お前の手が、あったけえ」
「当たり前だろ」
「そうだな」
ミクリオがサラシを外そうとする。ザビーダが少しだけ笑った。
「解き方、分かんねえだろ」
「分かる」
「自信あんな」
「これくらい」
本当に、数秒で解いた。ザビーダが目を丸くする。
「お前、慣れてんじゃねえの」
「研究した」
「何の研究だよ」
「君の装束」
「いつ」
「正式契約の前から」
「…変態」
「違う、対魔士として必要だと思ったから」
「本気で言ってる?」
「本気で言ってる」
「だろうなあ!」
からかい合いながら、肌が露わになっていく。豊かな乳房が外気に触れ、ザビーダが小さく息を吐いた。ミクリオの指が、鎖骨から胸元へゆっくりと下りていく。
「痛くしない」
「知ってる」
「本当に?」
「お前がそう言うなら、そうなんだろ」
ミクリオの手が止まった。
「信じてるの?」
「何だよ、急に」
「君は、今まで誰かに触られる時、痛くされることを前提に身体を作ってたんじゃないかって思ってる」
ザビーダの唇が少し開いた。返事が遅れる。
「…そうかもな」
「だから、違うって覚えてほしい」
「今、ちゃんと触ってる」
ザビーダが笑う。
「俺様、お前が触るなら痛くてもいい、じゃなくて」
「痛くない」
「…ああ」
「それだけで、すげえ」
ミクリオは何も言わず、胸の頂に触れた。優しく、何かを確かめるように。ザビーダの身体がびくっと震え、喉から吐息が漏れる。恥ずかしさではない。快感でも、まだ少し曖昧な感覚。それでも、逃げなかった。
「声、出していい」
「知ってる」
「無理に我慢しなくていい」
「…お前こそ、我慢しなくていいからな」
ミクリオの手が腰へ移動する。長い黒のロングパンツの留め具を外し、するりと下ろす。露わになる褐色の肌。無数の古い傷。それらを、ミクリオは目で追い、指でなぞる。
「きれいだ」
「またそれ」
「本心」
「…傷ばっかだぜ」
「君が生きてきた証だ」
「詩人かよ」
「遺跡で読んだ古い文献にあった」
「ロマンチックか」
「そう見えるなら嬉しい」
ミクリオの指が、太腿の内側に触れた。ザビーダが反射的に足を閉じようとして、やめた。
「このまま触ってほしい?」
「触ってほしい」
「続けてもいい?」
「ああ。お前、しつこい」
「君が自分の気持ちを確かめるまで、何度でも聞く」
「…くそ真面目」
ザビーダは笑いながら、自分の足を開いた。そこには、過去の暴力が刻まれている。けれど、彼女は目を逸らさなかった。
「触れ」
「ああ」
ミクリオの指が、ゆっくりと入り口へ触れた。ザビーダの呼吸が一瞬止まり、それから長く吐き出される。
「冷たい?」
「違う」
「痛い?」
「…まだ分かんねえ」
「分からないなら、言って」
「分かんねえ」
二人で少し笑う。ミクリオが指を動かし始める。湿り気は、まだ少ない。それでも、彼の指は急がず、中の温度を確かめるようにゆっくりと往復する。
「ミク坊」
「何」
「お前、意外と上手いな」
「勉強した」
「また勉強」
「何の」
「君を傷つけない方法」
「…ほんと、お前は」
ザビーダの声が微かに震える。指が奥の方を掠めたとき、腰が跳ねた。
「あっ…」
「ここか」
「分かんねえ」
「分かったら言って」
「分かんねえっつの」
ミクリオは少し笑い、指をもう一本増やした。ザビーダの内壁がきつく締まる。痛いほどではなかった。むしろ、その圧迫感が、自分の身体がまだ生きていると教えてくれるようで、目頭が熱くなる。
「ザビーダ」
「…何」
「泣いてる」
「泣いてねえ」
「目、潤んでる」
「お前の指がうまいからだろ」
「そういうことにしておく」
ミクリオの親指が、上の芽に触れた。ザビーダの背中が弓なりにしなる。
「あ…! ま、待て」
「待つ」
「待てって言ったけど、やめろとは言ってねえ」
「どっち」
「ゆっくり…」
「分かった」
ミクリオは本当にゆっくりと、しかし確実にそこを撫でた。ザビーダの口から、何度も吐息が漏れる。自分で自分を慰めたことは何度もある。でも、他人の手でここまで丁寧に触れられるのは、千年前のアイゼン以来だった。あの時と同じ。なのに、違う。アイゼンは、もっと男臭くて、荒っぽくて、それでも優しかった。ミクリオは、すべてを確認しながら、一ミリも傷つけないように触れる。それが、嬉しい。
「ミク坊」
「何」
「もういい」
「挿れて」
ミクリオの手が止まった。
「本当に」
「ああ」
「痛くなったら言え」
「言う」
「言わなかったら怒るからな」
「何だよそれ」
「君が我慢するのはもう見たくない」
ザビーダの胸の奥が、ぎゅっとなった。
「…ああ、分かったよ」
ミクリオが自分の衣服を緩める。左脇腹を打っているため、上着を脱ぐ動きも慎重だった。ザビーダが笑う。
「手伝うか」
「大丈夫」
「見てるの、じれったい」
「怪我人に言う言葉か」
「怪我人でも男だろ」
ミクリオが少しだけ赤くなる。
「そういう問題じゃない」
ようやく下半身を露わにし、二人は向かい合う。ザビーダが目を向ける。すでに昂っている。当たり前だ。今までのやり取りで、彼も限界近くまで高まっていた。それでも、確認する。
「挿れるよ」
「ああ」
「最後にもう一度だけ聞く。本当にしたい?」
「しつけえ!」
ザビーダが声を上げて笑う。
「したいっつってんだろ。俺様がお前に抱かれたい。今、この瞬間、お前と繋がりてえ」
「分かった」
ミクリオの先端が、入り口に触れた。ザビーダが息を吸う。
「力を抜いて」
「分かってる」
「無理に呼吸しなくていい。普通に」
「お前、ほんとインストラクターみてえだな」
「そうかもしれない」
ゆっくりと、ミクリオが腰を進める。ザビーダの中が、熱い。狭い。けれど、さっきまで指で解されていたおかげで、受け入れることができた。
「っ…」
「痛い?」
「…違う」
「苦しい?」
「…違う」
「何か言いたいことは」
「お前、気持ちよさそうな顔してる」
ミクリオが笑う。
「君こそ」
全部入った。二人の呼吸が重なる。ザビーダの足が、ミクリオの腰に絡んだ。
「動いていい」
「ああ」
「…ゆっくりな」
ミクリオが腰を引く。それだけで、内壁が擦れて、ザビーダの口から甘い吐息が漏れる。何度か繰り返すうちに、身体の強張りが解け、代わりに快感が広がっていく。
「あ…っ、ミク坊」
「何」
「気持ちいい」
「…僕も」
「お前、声出せよ」
「出てる」
「もっと」
「無理」
「何で」
「恥ずかしい」
「俺様の方が恥ずかしいわ」
笑い合いながらも、腰の動きは止まらない。ミクリオは脇腹へ無理な力をかけないよう身体を支えながら、ザビーダを抱きしめるようにして、何度も最奥を突いた。
「あ…あっ、そこ…!」
「ここ?」
「知らねえ…でも、やめんな…」
「やめない」
ザビーダの指が、シーツを掴む。涙が零れそうになるのを、もう我慢しなかった。快感と、嬉しさと、千年ぶりの「自分から望んだ行為」が、全部混ざって、感情が溢れる。
「ミク…リオ…」
「ザビーダ」
「好きだ」
「僕も好きだ」
ミクリオが一度だけ深く突き入れ、ザビーダが先に達した。内壁が強く締まり、ミクリオが低く呻く。彼は寸前で外そうとしたが、ザビーダが足を離さなかった。
「いい」
「でも」
「中に出して」
「……本当に?」
「俺様は妊娠しねえ。知ってるだろ」
「ああ」
「それでも、お前がしたくねえなら外せ」
「僕も、そうしたい」
ミクリオはザビーダの腰を抱きしめ、最奥で果てた。
しばらく、二人は動けなかった。ミクリオが先に我に返り、ザビーダの顔を見る。
「大丈夫か」
「大丈夫」
「途中で、気持ちは変わらなかったか」
「変わってねえ」
「本当に」
「…ほんと、お前は」
ザビーダが笑いながら、目尻の涙を拭う。
「最高に気持ちよかったし、嬉しかった。これでいいか」
「…うん」
ミクリオが微笑む。その顔を見て、ザビーダはまた少し泣きそうになった。
「ミク坊」
「何」
「これからも、こうしてくんの?」
「君が望むなら」
「望む」
「じゃあ、何度でも」
「…お前、ほんと卑怯だな」
「何が」
「俺様の心をぐちゃぐちゃにしやがる」
「それはお互い様だと思う」
二人はしばらく、裸のまま寄り添って横になった。ザビーダはミクリオの胸に頭を預け、彼の心臓の音を聞く。生きている。昨日、失いかけた音が、今ここにある。それだけで、涙が滲む。
「ミクリオ」
「何」
「俺様、お前の所有物じゃねえ」
「知ってる」
「でも、お前の恋人ではいたい」
「ああ」
「…お前の傍に、いたい」
「僕も」
ザビーダは目を閉じた。千年前、自分が守れなかったものがあった。でも、今度は、守れるかもしれない。この男の傍で、自分が選んだ相手と、自分が選んだ生き方を、少しずつ取り戻していけるかもしれない。
「ミク坊」
「何」
「明日、スープ作って」
「僕が?」
「お前が」
「怪我人に作らせる気か」
「冗談だよ。俺様が作る」
「君、料理できたのか」
「見てろ」
二人は笑った。
夜がかなり深くなった頃。二人は同じベッドに横になっていた。ザビーダはミクリオの胸へ頬を寄せる。
「痛くない?」
「脇腹?」
「ああ」
「少し」
「やっぱ無理させた?」
「無理なら止めてた」
「本当?」
「君だけが止める権利持ってるわけじゃないだろう」
ザビーダは少し黙ってから答えた。
「……そっか」
「うん」
「お前も嫌って言っていいもんな」
「ああ」
「したくない時はしない」
「うん」
「俺様が誘っても?」
「その時は断る」
「へえ」
「何」
「なんかいいな」
「断られるのが?」
「違えよ」
笑う。
「お互い選んでんのが」
ミクリオも少し笑った。
「僕も好きだ」
「そういうの」
「ああ」
ザビーダは目を閉じた。
身体が少し疲れている。でも、嫌な疲れではない。何かを耐えた後の。空っぽになるような疲れではない。むしろ、満たされている。
「ミク坊」
「何」
「俺様さ」
「うん」
「何人に使われたか、もう覚えてねえけど」
ミクリオの身体が少しだけ固くなる。
ザビーダは続けた。
「愛し合ったのは」
少しだけアイゼンの顔を思い出す。
笑っている。大きな手。自分が勝手に触って、嫌ならどけと言って、どけなかった男。大事だった。今も。
「アイゼン以来だった」
ミクリオは静かに聞いていた。
「……そう」
「うん」
「それ、嫌?」
「少しだけ嫉妬はする」
ザビーダが笑う。
「正直」
「でも」
「うん」
「嫌じゃない」
「何で」
「君が誰かを愛したことまで、僕が消したくないから」
「……ミク坊」
「何」
「そういうとこ」
「何?」
「好き」
ミクリオが少し黙る。
「僕も」
「知ってる」
「なら言わせるな」
「言いたいだろ?」
「……言いたい」
「ははっ」
ザビーダは少し身体を寄せた。
「じゃあ」
「うん」
「愛したのは、お前で二人目だ」
ミクリオの呼吸が止まった。
「……」
「ミク坊?」
「待ってくれ」
「また整理?」
「今のは」
「うん」
「かなり」
「かなり?」
「嬉しい」
ザビーダは笑った。
「そっか」
「ああ」
「じゃあ覚えとけ」
「忘れない」
「研究記録には書くなよ」
「書かない!」
「絶対?」
「絶対!」
二人で笑う。
***
しばらくして、部屋が静かになる。ザビーダはミクリオの心臓へ耳を寄せた。生きている。昨日も確認した。今日も、でも、今日は、それだけではない。
「ミク坊」
「何」
「俺様、今日したかった」
「うん」
「ちゃんと」
「うん」
「お前と」
「ああ」
少し声が震えた。
「……嬉しかった」
ミクリオの腕が回る。
「僕も」
「そっか」
「ザビーダ」
「ん?」
「ありがとう」
「何に」
「僕を選んでくれて」
ザビーダは目を開けた。
それから、少し笑う。
「お互いだろ」
「……そうだな」
「お前も俺様を選んだ」
「ああ」
「俺様もお前を選んだ」
「うん」
「だから」
もう一度胸へ頬を寄せる。
「今日はこれで寝る」
「分かった」
「朝までいる?」
「いる」
「明日も?」
「いるつもり」
「その次は?」
「未来は保証できない」
「真面目だなあ」
「でも」
「うん」
「明日も、その次も、君の隣にいたい」
ザビーダは目を細めた。
それでいい。絶対なんていらない。
「俺様も」
小さく答える。
「おやすみ、ミク坊」
「おやすみ、ザビーダ」
今度は心臓の音を確認し続けなくても、眠れた。