走りながら依頼に記された座標地点へ移動するユラ、サガタ、カーチの三人はいずれ来るであろう破壊の走り屋…ディスペラのメンバーよりも先に遺物を回収しようとしている。この辺一帯の廃ビル群を容易に破壊出来るであろう火器を備えた彼らのロケットバイクが、遺物を破壊しかねないからだ。
「まったくもう!狂った走り屋の連中の考えてる事はほんとに分からないわね…ていうかあんな物騒なモノ取り付けるのは走りに必要無いでしょって、空気抵抗云々は気にならないのかな?」
「確かに、そこん所はよく分からんな…まあアレじゃないか?レースに邪魔な障害物があったら破壊するってイメージなんだろう。狂ったやり方だが」
「だからって過剰よ…流石、メトロポリスでもイカれたバイク乗りの集団って呼ばれるわけね」
「ざ、座標地点に来ました!あっ…あれ、見てください二人とも!あそこに浮いてるのは遺物じゃありませんか!?」
三人は、だだっ広いアーチ状の岩構造物が乱立する広い空間に出た。
そしてカーチの指さす方向には、ふわふわと空中に浮いている指輪のようなものが見て取れる。それは周囲の瓦礫と岩を浮遊させており、まるで遺物を中心として重力が働かなくなっているように思えた。
「アレだ、間違いない。遺物の周辺は大体おかしな現象が起きてるもんだが…今回のは重力関係か、取りに行くのは面倒だな」
厄介そうな表情をしているサガタと、興味津々になって目の前の力場を観察しているユラ。
「本物の遺物…初めて見るわ。市場で売られたりしているのは見た事あるけど、こうして見ると凄いものね」
サガタはカーチとユラを見ると、真面目なトーンで説明を始めた。
「ユラ、良いか?遺物はああやって周囲に力場を生成してることが多い。例えば常に放電してたり、周りの物が燃えてたりとかな。だが手に入れてしまえば力場は消え去って無害になる…」
そう説明している途中、ユラがハッとしたような顔で力場を見つめている。何かに気づいたようで目を凝らしては瞬きを繰り返す。
「…ん?ねえ、あの遺物なんだけど、動いてないかな」
「何?」「えっ?」
ユラの口から出てきた言葉に驚いた二人は、同じように力場に目をやる。すると中心にふわふわと浮いていた指輪が突然瞬間移動でもしたように消え、光と共に離れた位置に再出現した。少しするとまた同じように消えては現れるを繰り返している。
「…参ったな、移動するタイプの遺物か。こいつはランダムで力場の中を移動するから回収に時間が掛かるんだよなぁ」
「…なんかでっかい網かなんかでバッと捕れたりしないの?おじさん」
「無茶言うなよユラ、網なんて持って来てる訳ないだろ?それに…手で掴まないと力場は消えないから意味が無いんだ。どうしてかは分からないが、前に周囲を燃やす遺物を回収した連中の話だと…棒状のもので回収しようとしたら棒が燃えて炭化した事があったらしくてな」
「じゃあ、あのランダムに消えては現れる指輪を取らなきゃいけないっての!?」
「そう、なるな…」
会話しているユラとサガタをよそに、カーチは力場を移動している指輪をじっと見つめていた。そしてその動きになんらかの法則が働いているのだと理解する。目で追う動きの正確さが段々と高くなり精度が研ぎ澄まされていく。
「(指輪は…一定の感覚で動いて消えてを繰り返してる。そして何度か瞬間移動した後は…真ん中に。もしタイミングよく捕まえたら無力化出来るかな…)ユラさん、僕が合図したら全力であの力場に飛び込んでくれませんか?その…多分遺物を捕まえられると思うんです」
「えっ!?…勝算はあるの?ずーっとあそこでふわふわ浮かんでどうしようも無くなるのは私も嫌よ?」
「そんな事にはならないと約束します。…お願い出来ますか?」
カーチの瞳の中には確信にも似たような強い意志が見えている。その顔を覗き込むようにして見つめ、少し悩んだ後…ユラは力強く頷いた。
「よし、分かった!私は…カーチ君を信用してあの中に突っ込むよ。出来るだけ速いほうがいい?角度とかはある?」
「あの遺物が最初に浮いていた真正面の空間、あそこに僕が合図したら突入してください。きっと、遺物はあの位置に来る筈です」
「了解…!エレ、バッテリー使って。一本だけ!」
『ラジャー。バッテリーを消費します』
ユラのブレード鞘に取り付けられたバッテリーマガジンの残量が1つ減って青い雷が身体に纏わりつく。バチバチと身体が鳴り始めると彼女は猫科の生き物のように四足の前傾姿勢を取る。
「──いつでも!」
ユラの声を聞いたカーチは、再び瞬間移動をする遺物へと目を凝らす。無重力空間内の空中や地面を行き来しているソレは捉え所のないように見える。
「(1、2、3、4、…)」
頭の中で数を数えていたカーチ。そして遺物が4回目の転移を終えた後、元々あった中央の空間地点が揺れているのが確認できた。極限まで集中していたカーチの目には、それは酷くゆっくりに見える。
「……今です!ユラさん!跳んで!」
「──ふんっ!」
土煙と雷の尾を残しつつ、ユラは目にも止まらない速さで前方へ突進すると無重力空間に入る。そして目の前に光を放ち空間の揺らぎから現れた遺物をぶん取るように掌で掴み取る。
「やった!遺物を手にした…ってわぁ!?」
ゲットした喜びも束の間、顔をキラキラ輝かせていたユラは唐突に解除された力場の影響をモロに受けてしまい地面に叩きつけられるようにして落ちる。
「いててて…。でもちゃんと取れたわよ、遺物!」
「でかしたぞ、ユラ!」
ユラが自信満々に見せつけてきた遺物は、装飾も宝石も付いていないただの黒い指輪だ。しかしそれ自体が何かしらの力を帯びているのは確かで、得体の知れないオーラを放っている。
「遺物があの位置に来ると…カーチ、何故それが分かった?」
「あの遺物はでたらめに消えたり現れたりを繰り返しているように見えますけど、実はそうじゃないんです。ある程度ランダムに現れた後は必ずあの真ん中に出現してるのが見えました。…賭けでしたけど」
「…なるほどな、ユラが遺物を獲得出来たのもお前の鋭い観察眼による手柄だ。行動パターンの把握して結果で…ただの運で開かれた道では無いことは確かだと俺は思う。自信持っていいぜカーチ、お前の眼は大したもんだ」
褒められたカーチは悪い気がしないのか、軽く照れながら後頭部を指でポリポリと掻いた。ユラは遺物を太陽に照らして軽く眺めた後、サガタに手渡した。
「よっしゃ、こいつを…こうして、これに入れてと」
手の平サイズの小さな四角い箱に遺物を収納し、指紋によるロックをかけて懐へとしまい込んだサガタ。それを見たユラは不思議そうな顔をしている。
「今のって…遺物を入れる専用の箱?えらく厳重にロックをかけてたけど」
「ん?これか?そうだ、遺物はものによってはほんの少しの衝撃でぶっ壊れちまう物も多くてな。こうやって専用の箱に入れて持ち帰ったほうがその心配も無いって訳だ」
「えっそうなの!?…もし、遺物が壊れたらどうにかなっちゃう感じ?」
「あー、何も起きないことが大抵だが…ちょっと前にあるスウェイラーが誤って遺物を割った結果周囲に不可逆的な空間のねじれが多発して何もかもが物理的に"ねじ曲げられた"って噂は聞いたことあるな…まあ、碌なことにしかならないのは確かだ」
「装着して力を得たり、コレクターが集めてるだけの品物かと思ったら壊れた場合でも危ない力を秘めてるとはね〜、やっぱり集めてる奴の気がしれないわね、遺物なんて」
箱に入った遺物をじーっと睨みつけるユラ。
それを見たサガタは鼻で笑いながら
「ま、幸いこんな危険なものでも金持ち連中は挙って集めてる。せいぜい稼がして貰おうぜ」
と返すと力場が発生していた場所から離れる。
「さ、急いで帰るぞ!あんまりモタモタしてたらディスペラの連中が戻って来るのもあるが、そもそもここは封鎖区域だ…スナッチャーがやって来るかもしれん」
「急いで帰りましょう!…あれ、ユラさんどうしました?向こうの方を見て…」
二人が会話している途中、ユラが耳を動かして東の方を見た。吹き荒れる風と土埃の舞う音に紛れて、彼女の獣耳に何かが飛んでくるような羽音が混ざって聞こえる。
「東の方からこっちに何か来てる。羽音みたいなのが─」
「羽音、だと?…カーチ!ユラの見てる方角にスキャンだ!急いでくれ!」
「は、はいっ!」
ウェアラブル端末を操作し、頭に取り付けたバイザーを起動させてユラが見つめていた方角をズーム、スキャンを始める。すると遥か遠くからこちらへ向かって飛んでくるナニカが観測できた。
人型の形をして、しかしその四肢は細長く
身体は光を反射しており、ひと目で見ればそれは人間なのかと勘違いしてしまうようなものだった。
だがカーチのバイザーにはそれが人間ではない事を知らせる特徴が記されている。人間の頭部らしきものがある場所には、六つの光る目のようなものがギョロギョロと蠢いているからだ。それは真っ直ぐにこちらを見つめているようにも見えて、とても不気味だ。
「ふぉ、フォージです…空を飛んでる奴ですよ!識別名スナッチャー、こちらに向かって来てます!」
「まだこっちは発見されてない、か…?」
「いや、もう遅かったみたい。来るわよ…速い!」
会話している最中にも距離を詰めてきたスナッチャーは、風を巻き起こしながら三人の前へと降り立つ。その形状は人間のようにも見えるが節々には虫のような体節が確認出来ており、まさに異形と言っても差し支えないような外見だ。
「■■■■■■■■■」
キチキチ、と口から虫のような声を出しながら六つの目を全員に向けている。だらんと垂れ下がった腕の甲には空洞のようなものが二つ空いているのが見える。捕捉された三人はまったく動けず、ただその場でじっとするしか出来ずにいた。
ユラは額から冷や汗を垂らして相手の出方を伺っている。もし相手が危害を加えるようならばすぐにでも攻撃を仕掛けて逃げる隙を作るようにするが、それすらも叶わないのではないかという嫌な予感が頭を埋め尽くしている。間近で見る特異個体の凄まじさ、強さを五感を通して理解し始めていた。
「(でもここでずーっとこのままという訳にもいかないし、モタモタしてたらディスペラの奴らが戻って来る。一か八か…!)」
ユラは目配せをして二人が先に逃げるように、と視線で伝えるとブレードに手をかける。そして鞘のスイッチを押してバッテリーを1つ消費、雷を纏った刃を目の前に棒立ちしているスナッチャーに向けて真横に斬りかかった。
「──でやぁっ!!」
紫電一閃。しかしその刃は虚しくも空を切る事になった。バックステップのような動きで躱したのち、幽鬼のように目の前でゆらゆらと揺れているスナッチャーは、ユラを嘲笑うようにキチキチと鳴いた…その後。
スナッチャーが手の甲をユラへ向けて、光を放った。
それと同時に彼女が二人の後方に跳ね飛ぶ。
「う、っ!?」
「ユラ!?くそっ、こいつ…!」「ユラさん!?」
仰向けに倒れたその体からは煙のようなものが出ており、肩を掠めて衣服を焼き焦がしている。高温の物質がまるで通ったような焼け跡を残しており、傷口からは血が焦げたニオイをさせている。肩を押さえてユラは立ち上がり動きに問題が無いことを確かめる。
「瞬間飛び退いたから助かった…直撃してたら肩ごと持って行かれてたわねっ…。多分アイツよ、私たちが見つけた道中のアンドロイドを襲撃して破壊した張本人は。」
「あのアンドロイドの穴はあれが原因か…スナッチャー手の甲から発射されたのは、間違いなくプラズマだった」
「俺が奴を引きつける!お前らは逃げろ!」
「おじさん!」
懐からリボルバーを取り出したサガタは、スナッチャーへ向けて数発気を引くための射撃を行った。しかし発射されたプラズマ弾はスナッチャーの体へ命中するも大きなダメージを与えることは無かった。相手も手の甲をサガタへ向けるとプラズマ弾を放ち、牽制を始めるがサガタも建物の影に転がり込むと弾丸を回避した。
「今ので分かった、コイツは身に纏ってる虫のような甲殻で防御してやがる、プラズマ弾が効いてねえ!実弾も恐らく似たような感じで逸らされる!」
「防御は完璧って訳ね…。なら隙間を狙うしかないわ」
「悪いユラ、結局任せちまう事に…!カーチ急ぐぞ!ホバーバイクを取りに行く!」
「ユラさん、どうか気をつけて!」
青い雷を身に纏い、今度はサイドステップを踏まえた移動を行うユラ。スナッチャーは腕を前に向けて先程と同じように手甲からプラズマ弾を放つ。光ると同時に地面に焼けたような穴が開くが、その射線上にはユラはもう居ない。
「同じ手は、二度と食わないわよ」
ジグザグに走りながら相手の目前に現れたユラは、身を屈めるとスナッチャーの視界から消えて下からの斬り上げを見舞う。超高温の刃が前に伸ばされた腕の節をを捉えると食い込む。だが勢いが足りなかったのか刃が止まった。
「ダメ押しッ!!」
刃の通りが甘かったと判断したユラは、刃の背を片手で押すようにして力を乗せて無理やり焼きながら切断、相手の右の腕が空中に吹き飛んでいった。
「■■■■■■■■■■」
痛みを感じたのか、口から体液を散らしつつ切断された右腕を眺めるスナッチャー。相変わらずキチキチと虫のような声を上げており何か敵意のようなものを向けている。
「アンタ、痛みとか感じるんだ?あとそうやって怯んでる暇無いんじゃない…のっ!!」
電球でブーストした肉体の速さと持ち前のパワーを生かし、胴体に蹴りを2発打ち込む。本来弾丸の軌道を反らせて受け流す造りの装甲は力によって無理やり粉砕され、ミシミシと音を立てて中身ごと崩壊していく。背中の翅を展開したスナッチャーを見て、ユラは逃げると判断した。
「(コイツ、弾丸には強いけど打撃や斬撃には弱いわね。体の作りがそっちに特化してるからかしら)逃がすもんか!」
スナッチャーが翅を広げて飛ぼうとした所を、逃さず背後に回って跳び上がり回転しながらブレードを振るって溶断するユラ。驚いたように目を激しく揺らしながら片方の腕でプラズマを打ち込むスナッチャーの弾をブレードで受け、逸らしていく。
「動作が見えたのなら、後はもう防ぐだけ…それなら私にだって出来ること」
目を見開き、飛び上がった状態のままブレードを上に構えると落下する勢いと体重を乗せて頭から下までを唐竹のようにバキバキと音を立てて斬り裂く。堅固な装甲ごと肉体を焼き切られたスナッチャーは、叫び声のようなものを上げて鳴いた。それは超音波にも似たような高音で、ユラの常人の可聴範囲を超える耳を麻痺させてダメージを負わせた。
「ぐっ、五月蝿いわね…!大人しくなりなさいよっ!」
手首でブレードを返し、今度は横にジグザグと斬り裂く。頭のてっぺんまで微塵に斬り刻まれたスナッチャーは、コアごと切断されたようでフォクス細胞の活動を停止。その場で砕けると灰となって散り巻き起こる風に乗って消えた。
『オーナー、スナッチャーの討伐を確認しました。これは快挙ですね。戦闘データも遺しておきました』
「っ…(頭がぼーっとして、ぐわんぐわんする…さっきの声みたいなのがどーも悪さしたわね、これじゃ何処から何が来ても分からない)」
「ユラ!迎えに来たぞ!乗り込め!」
「ユラさん!急ぎましょう!…ユラさん?」
頭を手で押さえ、ふらふらと歩くユラの後ろ姿を見たカーチが真っ先にバイクから降りると駆け寄った。
「…顔色が悪いし獣耳から出血してる、もしかして鼓膜をやられたんですか!?」
「カー…チ?ごめん、何を言ってるのか分かんない…」
「!説明してる暇は無い、ですね。ごめんなさい!」
「(おじさんのホバーバイク…そっか、ディスペラの連中が来るから逃げなきゃなんだ)」
無理やりユラの手を引いたカーチは、急いでサガタのバイクへと近づいて行く。ユラも状況を理解したのか駆け出すとカーチを抱えてバイクに飛び乗ると補助席に移った。
「うわっ、!?」
「よし!全員乗ったな、とっとと此処からずらかるぞ!」
ホバーバイクのスイッチを押して反重力を起動させ、急いでその場から離れた一行は、遠くからディスペラ達の駆る重たいバイク音を耳にしながら振り向く事なく最大速度で脱出した。
封鎖区域を抜けてから数分と経たずに、派手な爆発音と建物が崩れて大地を揺らす感覚が伝わった。振り返れば先ほどまで居た場所のビルが倒壊しているのが見える。
「なんて野郎たちだ、本当にぶち壊して行くとは…やっぱディスペラの連中は無法者ばっかだ。誰も手を出さないのが理解できるぜ…カーチ、ユラの体調はどうだ?大丈夫か?」
バイクの補助席に乗った後、カーチはユラの体をスキャン、モニターしており常に最新のバイタルサインを確認している。
「脈拍と血圧、呼吸は正常ですけど、その…耳が聞こえないみたいで。多分スナッチャーとの戦闘で何かしらの傷を負ったんだと思います」
「何だと!?…いや、命が無事ならそれで良い。帰って医者に診てもらわないとな、鼓膜くらいなら治せるだろう」
「(目が霞む…うう、二人ともちゃんと逃げ切れたらしいし、ちょっと疲れちゃったから寝よう…)ふわぁぁ、ちょっと…寝るぅ…着いたら起こしてぇ…」
かくん、と頭を傾けて大きな鼾をかき始めるユラ。
それを見て安心したのか、彼女の寝顔を見つめるカーチとサガタは胸をなで下ろすのだった。
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時を同じくして、バベルの地上監視部門。
特異個体であるスナッチャーの反応が消えたことを、モニターが伝えていた。
「検体53号、スナッチャーの消失を確認。恐らく何者かに討伐されたものだと思います」
モニターしていた職員が部長らしき男性に通達すると、男は驚いたような顔をした。
「えっ、マジで?政府軍がまあまあ手を焼いてた奴だよ?いきなり誰かに倒されるなんて…いや、あり得るかぁ。アイツの体は一昔前の戦車にあった傾斜装甲みたいなもんで、プラズマ弾や通常の弾丸は湾曲した甲殻によって弾かれる。だから倒されたとしたら近接攻撃…粉砕なり切断なりでどうにかなる、けどもそれは犠牲になった人間が持ち帰った戦闘記録から導き出した話だ」
「コイツを単独、或いは数人で倒した人間がいるとは驚きだね。後で付近のログを記録、丸々こっちに寄越して」
「了解しました」
軽い声でちょいちょいと手を動かして指示した後、男はため息を吐いた。
「こりゃ、政府軍のメンツに傷が付いちゃうかもね。まあフォージをこの世から消してくれるんなら傭兵連中なり政府軍なり、企業の連中なり使い回すけど…さ」
座った椅子でくるくると回りながら、ただ独り言のように呟くのだった。