※この作品はR-18です。

世界一狭いダンジョン 〜で、最悪高慢エルフたちへの復讐が始まった件〜   作:菜種K

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1.最悪の転生

 最悪の最期だ。

 

 僕は髪の薄い太ったおっさんと体を密着させ、汗だくになりながら思った。

 

 東関東自動車道は大渋滞。

 事故に巻き込まれた僕の車のまわりでは、消防隊員や救急隊員が駆け回っている……音が聞こえる。

 

「聞こえてますか?! わかりますか?! 今、救出しますからね!」

 

 エンジンカッターの轟音が車内にまで轟く。

 でも、多分間に合わない。

 暑さと圧迫感の中で僕は悟っていた。

 

 死ぬんだ。

 目の間のクソ上司と一緒に。

 

 悪い人ではないのだが、とにかく話が長いし説教はしつこい。

 同じことを何度も繰り返すし、二言目には「俺の頃は……」だ。

 で、大抵同じ言葉で終わる。

 

「君も、チームの一員としての自覚を持てよ」

 

 なんなんだ、自覚って。

 自分なりに真面目にやってたけど、それだけじゃダメなのか?

 

 わからないまま、一緒に営業活動。

 運転を任されて、心身ともにくたびれ果てて、挙げ句の果てがこの有様。

 事故は僕のせいじゃない……と思う。

 疲れてはいたけど意識ははっきりしてたし、ちゃんと車間距離も取っていた。

 後方からの激しい衝撃を感じたと思ったら、車両は一回転して逆さまに着地したのだ。

 

 とにかく、これでもうあの説教も聞かなくて済むのだろう。

 

 どこか出血してるのか、意識がだんだん朦朧としてきた。

 さっきまであんなに蒸し暑かったのに、寒い。

 

 さよなら世界。

 

 そして──

 

 僕は新しい世界で目覚めた。

 

 深い森と城と城下町。

 戦士と魔法使いと魔物が跋扈する、美しくも恐ろしい世界で。

 見も知らぬ国王が支配する「王国」で。

 

 何もかもが変わった……と思ってた。

 だが、僕の立場は変わっていなかった。

 職種こそ「戦士」となったが、未熟者として鍛えられる日々は続いていたのだ。

 

「貴様! 腰が入ってないぞ! そんなことではゴブリンも斬れんぞ!」

 

 王立戦士ギルド訓練所という施設で、ゴリラのような教官に罵倒されながら、戦士としてのスキルを叩き込まれる日々。

 無双ともチートとも無縁の転生に泣きたくなるのを堪えながら、僕はなんとか二級戦士という肩書きを得た。

 

 二級戦士はギルドによって実際の任務を与えられる。

 

「ほれ、この紹介状を持って、明朝噴水広場に出頭しろ。そこでパーティと合流だ。せいぜい、がんばれ」

 

 ギルド手配士の気のない励ましに送り出され、僕は辺境の魔物討伐という小さな任務に就くため、パーティと合流した。

 

 最悪のパーティと──

 

「なんだ。人間じゃないの」

 

 そのパーティのメンバーは、開口一番そう言った。

 言ったのは魔法使いのアハーレ。

 褐色の肌を露わにした、踊り子のような衣装の女エルフだった。

 

「せめて、ドワーフならよかったのに」

「仕方がありませんわ。人手不足で戦士の数が足りてないんですから。荷物運びくらいの役には立つでしょう」

 

 そう言って笑ったのは尼僧のチチェーラ。

 やはり女エルフで、黒いヴェール付きの尼僧服を着ているが、スカートの左右は大きく割れて太ももを露わにしている。

 

「今回の任務くらいなら問題ない。終わったらギルドに入れ替えを依頼する。行くぞ、人間」

 

 冷たい言葉を投げてきたのは、リーダーで勇者のキンジェラ。

 胸と肩、腰回りを革の防具で包んだ戦士スタイルの、これも女エルフだった。

 

 つまりパーティは僕以外、皆、女のエルフ。

 しかも全員が美女ぞろいのエルフ=プレだった。

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