世界一狭いダンジョン 〜で、最悪高慢エルフたちへの復讐が始まった件〜 作:菜種K
「ニン、そこをどけ」
僕の下でキンジェラが言った。
僕たちは、ちょうどさっきまでのチチェーラと僕のような体勢になっていた。
ただし、今度は僕の方が上になっている。
「どきたいけど……狭くて無理だよ」
僕はキンジェラの尻にまたがったまま上半身を起こしたが、やはり立ち上がることはできなかった。
革のアーマー越しでも、尻の柔らかさが伝わってくる。
「じゃあ、せめてもっと足元の方へ行け。そしてむこうを向け」
「なんで?」
「仰向けになりたいからだ。その時、顔を合わせたくない」
「やれやれ……嫌われたもんだな。僕が突き飛ばしてこうならなきゃ、岩に潰されてたぜ?」
「おかげで助かった。だからむこうを向け」
可愛くない。
助かったと思っているなら、愛想のいい顔を見せてもよさそうなものなのに。
僕はなんとか身をひねって反対側を向くと、エルフ戦士の膝あたりまでずりずりと移動した。
見ると、目の前の岩の重なりに、わずかな隙間があった。
そこからアハーレの声が聞こえた。
「そこにいるのはニン?」
小さな隙間から、かすかに魔法使いの顔が見える。
そばにはチチェーラもいるようだ。
「キンジェラは? 彼女もそこにいるのですか?」
「ああ、いるぞ」
仰向けになったキンジェラが答えた。
「そっちも無事か? とりあえず、第一段階は成功したみたいだ。ニンにしては上出来……つっ! 痛っ!」
どうしたのかと見下ろすと、キンジェラの剥き出しの足の間から黒い生き物が這い出してきた。
「魔蟲だ!」
僕は胸の鞘から短剣を抜いて、壁を這い上り出したそいつを刺し殺した。
「キンジェラ! 噛まれたのか?!」
体をずらしながらキンジェラの足をあらためると、右の太ももから出血していた。
傷はさらに
僕はベルトのポシェットから布と血止め薬を取り出して手当てしようとした。
「おい、自分でやる。いいから触るな」
人がせっかく……とは思ったが、場所が場所だから無理もない気はする。
「できるのか? 僕もこれ以上どけないぞ」
「もう少し起きれば……」
なんとか上半身を起こそうとするキンジェラは、妙に脂汗をかいていた。
呼吸も荒い。
「ああ……」
岩に寄りかかりかけたまま、ずりずりと倒れるキンジェラの姿に、僕は体をひねって彼女の方を向いた。
「どうした? 大丈夫か?」
「何があったのですか?」
チチェーラが聞いた。
「キンジェラが魔蟲に噛まれた。様子がおかしい。解毒薬が効いてないのか?」
岩越しに、アハーレの息を呑む様子が伝わった。
「解毒薬は魔法で調合してあるのよ! 魔法が無効になった場所では効き目も失くなるわ!」
「ニン! 傷から毒を吸い出して! キンジェラ! 嫌だろうけど我慢してください!」
尼僧様のお許しを得て、僕はキンジェラのベルトを外し、
「やめ……て……だめ……大丈夫だから……」
「何言ってるんだ。命がかかってるんだぞ。我慢しろ」
腰回りの防具を全て外し、キンジェラの下帯があらわになった。
野営での稽古で半裸の彼女は見ていたが、この状況で間近に下着姿を見るとどうしても固くなる。
しかも傷はかなり股の奥で、下帯に隠れそうな位置だった。
「キンジェラ、これも脱がすぞ。傷に届かないから」
「だめ! いや!」
キンジェラは僕の手を払い除けようとしたが、どうにも力が入らない。
難なく下帯はするりと解け、すべて剥き出しになった。
無毛でツルツルの秘宮への入り口が。
「はあ……はあ……やめ……ろ……」
「仕方ないだろ。我慢しろよ」
これは救護だ。
救護なのだ。
僕は自分にいい聞かせながら、秘所のすぐ下に開いた傷口に唇を当てた。
「はぁあぁああぁん!」