※この作品はR-18です。

世界一狭いダンジョン 〜で、最悪高慢エルフたちへの復讐が始まった件〜   作:菜種K

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7.最悪のトンネル

「はあ……はあ……バカぁああぁ……」

 

 エルフ=プレの魔法使いは喘ぎながら涙をこぼし、僕の背中に回した手を放してぐったりと岩に身を預けた。

 

「自業自得だろ」

 

 僕は我ながら欺瞞に満ちてると思うセリフを吐き捨てながら、なんとかしゃがみ込んでアハーレの衣装を拾おうとした。

 見ると、アハーレの体は彼女と僕の汗でドロドロだった。

 エルフの秘所に恥毛は無い。

 その奥からは、今しがた僕が放ったものが潮と混ざって滴り落ちていた。

 熱と湿気にむせかえりながら、僕は立ち上がってアハーレに衣装を押し付けた。

 

「そら、身繕いしろよ。キンジェラたちに知られたくないだろ」

 

 アハーレは力のない視線でチラと僕の顔を見ると、目を逸らして衣装を身につけ出した。

 

 しばらくして、周りの岩が動き出した。

 断絶していた空間が再びつながり、狭い通路にキンジェラとチチェーラの姿が現れた。

 キンジェラが叫んだ。

 

「急いで集まれ! 岩が落ち着く前に集まるんだ!」

 

 僕たちは再度距離を詰めて集合し、なんとか元の状態に戻ることができた。

 魔蟲たちもどこかに消え失せている。

 チチェーラがアハーレに声をかけた。

 

「あ、あなたたち同じ場所に閉じ込められてたの?」

「う、うん……」

 

 チチェーラはアハーレにいつもの姦しさが無いのを気にしているようだった。

 僕の方とチラと見ながら問い正す。

 

「何か……あったの?」

「別に。長く閉じ込められてちょっと疲れただけ」

 

 それを聞いたキンジェラが指示を出した。

 

「チチェーラ。殿(しんがり)でアハーレの後ろについて回復魔法をかけてやれ。ニンは私の後ろに付け。行くぞ。遅れを取り戻すんだ」

 

 尼僧は何があったか敏感に感じ取っているようだったが、キンジェラは全く気づいていないらしい。

 

 再度、ダンジョン踏破を進めていくと、天井から水が滴り落ちてきた。

 地下水にしては、妙に粘り気がある。

 ほのかに輝く積み石といい、このダンジョンにはどこかそれ自体、生き物めいたところがあった。

 僕は背後の魔法使いと尼僧が、何やら囁き声で話をしているのを感じた。

 エルフ同士だけで通じる言葉を使ってるらしく、意味はわからない。

 もし、僕がアハーレにしたことを知られたら──

 

「止まれ」

 

 先頭のキンジェラが制した。

 

「先が坂になってる。傾斜路だ」

 

 彼女の肩越しに見ると、確かに下へ向かう通路がカンテラに照らされていた。

 斜路は滴る液体で濡れており、気をつけて進まないと足を取られそうだった。

 しかも、結構傾斜がきつい。

 

「みんな手を繋げ。滑り落ちても手を離すな」

 

 斜路はこれまで通ってきた通路より少し広くなっており、完全に円形のトンネルになっていた。

 その内面を何かの配管のように太い管が一本、螺旋状に這いながら奥へと消えている。

 

 一行は慎重に歩を進めながら斜路を下っていった。

 キンジェラに遅れないよう気をつけながら、僕は妙なことに気づいた。

 てっきり、トンネルの一部だと思っていた壁面の管が──

 

「なあ。この管、なんか動いてないか?」

「管が?」

 

 キンジェラは浮かぶカンテラを操作して、壁の方へと近寄せた。

 そこにあった管は、確かに動いていた。

 脈動していると言った方が正しいかもしれない。

 そして、カンテラの光に照らされた管の表面を覆っているのは──

 鱗だった。

 

 キンジェラは足を止めると、声を落として言った。

 

「まずいな……こいつは……」

 

 勇者の首がぐるりとトンネルの内側を見渡す。

 

「……魔蛇だ」

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