世界一狭いダンジョン 〜で、最悪高慢エルフたちへの復讐が始まった件〜 作:菜種K
「ううぅう……」
なんとか意識を取り戻した僕は、岩の上にうつ伏せで寝そべっていた。
重い。
何かが体に乗っている。
正確には、尻の上に誰かがまたがっているのだ。
「重い……重いよ。誰? どいてくんない?」
「無理ですわ。とても狭くて、立ち上がれる高さもありません」
チチェーラは言った。
彼女の言葉と一緒に、岩の間から滴る水がピチャン、ピチャンと降ってくる。
僕は首をめぐらして、あたりの様子を見ようとした。
だが、ぼうっと暖色系の光を放つ岩は目の前の四方を埋め尽くしていた。
足元もほとんど空間がない。
そして立てる高さもないということは、ほぼ棺桶の中のような狭い空間に──
チチェーラと二人きりで閉じ込められたということだ。
「とりあえず、苦しいから仰向けになるぞ」
「ダメです! こっちを向かないで!」
尼僧はにべもなかった。
「どういう格好になるか、わかるでしょう。恥ずかしい真似はおやめなさい」
「そんなこと言っても……このままじゃ息もしにくい。もうそっち向くからな。よっと!」
「あっ! ダメ!」
僕はお構いなしに体をひねって仰向けになった。
腰の上にまたがる形になったチチェーラが、世にも不快なものを見るような目で僕を見下ろしていた。
「神よ、このような汚らわしいものにまたがる姿勢をお許しください。不可抗力です」
「言ってくれるな。そんなに人間が汚らわしく見えるのか」
「人間というか……その……男性そのものにまたがるなど、尼僧にあるまじき……あっ! 何をしているのです!」
「何もしてないよ」
チチェーラが何を言ってるのかは分かった。
それはそうだろう。
キレイで肉感的な女エルフの太ももが、そこを挟んでいるのだ。
股当ては捲れ上がっていて、ズボンが直に触れている。
熱く立ち上がるのは当然のことだ。
「やめ……なんとかしてください。これを……」
「無理だよ。自分ではどうにもできない。自然の成り行きなんだから」
「まったく……人間て本当にケダモノですね。自分の欲望を抑えることもできないんですか」
僕は憤りと失望を感じていた。
尼僧であるチチェーラはこれまで露骨に僕や人間を貶めることをあまり口にしておらず、それほど不快な女には思っていなかった。
だが、こういう状況になった途端、本音が出始めたようだった。
アハーレと同じだ。
「欲望じゃないって言ってるだろ。欲望に従うっていうのはこういうことだ」
僕は自分の腹の横に伸びた尼僧の両の太ももに触れた。
スリットを割って剥き出しになった素肌を、手のひらでゆっくり撫でる。
「ああっ! ダメ! やめて!」
「驚くことないだろ。僕は君が思ってる通りのケダモノなんだから」
「こっ! こんな風に! アハーレのことも犯したのですね!」
「そうか、聞いたんだ」
「聞きましたよ。彼女の体ばかりか……忌まわしい過去まで掘り起こして、陵辱するような真似を……!」
「過去?」
チチェーラは、まるでアハーレの恨みを引き継いだような目で僕を見ながら言った。
「アハーレが人間を……あなたを強く蔑んでいたのは、人間に辱めを受けた過去のせいだったのですよ」
「は? それにしちゃ彼女、人間の男は初めてみたいだったぜ?」
アハーレを辱めたのは人間の男ではなく、女だった。
チチェーラの話では、アハーレにはかつて深く愛し合った同族の男がいたという。
その男が人間の女の誘惑に負けて愛してしまい、アハーレを捨てて逐電したのだ。
アハーレは人間に劣る女と見なされたショックで故郷を捨て、冒険者の道に入ったのだった。
「わかりますか? あなたは彼女の誇りを二重に傷つけたのです。かわいそうなアハーレ」
「そんなの……逆恨みだよ。僕には関係のない話じゃんか」
「関係……なくても……はあ、はあ……」
チチェーラの様子がおかしかった。
話を聞いている間、僕はずっと彼女の太ももを撫でていたが、いつの間にかチチェーラは口を半開きにしたまま、息を荒げていた。
太ももは、じっとりと汗をかいている。
どう見ても「その気」になっているようだが、この程度の愛撫でこんなにも燃え上がるものだろうか?
「暑い……暑い……」
不意にチチェーラは被っていたベールをかなぐり捨て、長い髪を振り乱した。
さらに何を考えたか、もどかしく尼僧服も捲り上げて、白い柔肌をあらわにした。
「暑い……! 熱いぃいぃぃい!」
尼僧は叫びながら大きくのけぞり、汗に艶かしく光るたわわな乳房を震わせた。