※この作品はR-18です。

女神様に【真の】願いを叶えてもらいました。やったね!(ヤケクソ)   作:かりん2022

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氷結王子、精密機械、笑ったことがないと言われていた瑠璃。

一般出で、プライベートが欠片も見えず、ただ呪霊を祓うマシーン。

助けられたものは数知れず。

その癖一人を好み、食事すら共にできたものはいない。

そもそも食事だってサプリメントとかが多い。

それでも、親友であり初恋の人が心を奪われてしまった時は驚きつつも納得したものだ。

 

最終決戦。

珍しく、本当に珍しく話がしたいと言われた。

 

「玉藻を倒す策があります。ですが、それには条件があります」

「条件?」

「私を今夜、抱いてください。一晩だけでいいのです」

「……口説いてる?」

「はい。口説いてます」

 

 表情は無表情のままだった。

 お断りだ。そう言おうと思った。

 でも、断ったらあいつに振り向いてしまうかも知れない。

 僕は、玉藻を倒すためだから、とそれを承諾した。

 交わっている最中も、瑠璃は無表情だった。

 瑠璃。無機質で綺麗な石。何が目的なんだろう。

 それでも、顔立ちは整っているし立たないほどではなかった。

 中に出して、もう一回という所で、唐突に瑠璃の様子が変わった。

 まるで、深い眠りから覚めるように。洗脳から目覚めるように。

 引き締められたオーラがグッと緩くなった。

 瑠璃は驚愕して、まず僕を見てぽかんと見惚れ、状況を確かめるように自分の体や周囲を見た。

 

「ん? どうしたんだ、瑠璃?」

「誰!??? ここどこ!???」

 

 唐突なそれに洗脳の可能性を思い浮かべる。

 馬鹿な。だとしたらいつから? まさか。

 

「女神様だからって許されることと許されないことがあるでしょ、違う???? ライン超えてんでしょ、これ」

「えーと、一応、これは君からお願いされたことだけど」

 

 予防線を張っておく。

 子供の時に女神と名乗る妖魔に魅入られて、僕と交わることで解呪された?

 精を受けることで女神が満足したのか、単に中に霊力を注がれて解呪されたのか。

 

「えっと、落ち着いて聞いてください。たった今女神様のオート操作が切れたんです」

「オート操作? どういう事?」

「つまりこれは私の意思じゃなかったっていうか、抜いてくださいっていうか」

 

 顔を赤らめて、表情が硬いのは表情筋が退化してるからだろう。

 でも声で感情は十分に感じ取れた。瑠璃に心が宿っていた。

 逆に言うと、やっぱり以前の瑠璃には人の心が宿ってなかったと言うことになる。

 

「ん、もっかい イってからね」

「や、あの、私、あっ それは困るっていうか、ああっ」

 

 焦った声は思いの外可愛かった。

 

 

 

 

 

 

 そうして話してくれたのは、気の毒としか言いようがない身の上だった。

 

 ゲームとエッチな本が大好きな何の取り柄もない女の子が、ある日突然適合率がいいという理由で、プレイしていたゲームのキャラと融合して中世ヨーロッパファンタジーの世界に転生させられ、魔王退治のために生まれた時から訓練漬けの日々。

 

 やっとの事で魔王を倒して褒美がもらえると思ったら、読んでたエッチな本を引き合いに出され、エッチな妄想を叶えると言い出し、そして今。

 

 しかも女神の言葉から、授精後で男性妊娠。

 あまりにも哀れすぎた。

 大人で一度も性欲処理をしなかった者はいないだろう。

 ちょっと妄想するのなんて誰もがやっている事である。

 実際にやらなければ、ちょっとニッチなえっちな本を読むくらい別に誰でもあることだ。

 そこを突かれた。あまりにも人の心がない。

 しかし、そうか。中身は女の子か。なら僕はゲイではないね。

 しかもその子、三つの人生で今回のエッチが初めてらしい。

 本当に可哀想。

 

 こんな酷いことをされたのに女神様に暴言を吐かないところとか、即座に戦う選択をする所。短い間だが、僕は好感を持っていた。

 

 今までは言わば空っぽ。別人だ。

 あいつは人形に恋をしたのだから、僕が中身を好きになって付き合っても、親友から奪った事にはならないだろう、多分。

 

女神様から選ばれし、勇者に相応しいいイケメン、と言うのに選ばれたことに関しては、ちょっぴり自尊心をくすぐられていた。

 

 シャワーを浴びた後、向かい合って瑠璃は言った。

 

「まず、私の名前を教えてください。後、お部屋漁るの手伝ってください」

「まさか、記憶、全然ないの?」

「人間の頭って、思い出そうとして今までの人生全部詳細に思い出すようにできてないんですよ……」

「記憶喪失って事にする?」

「お願いします……。後、喉乾いたからジュース飲みたいです。頂けますか?」

「ジュース? ああ、中身別人だもんね。いいよ」

 

 私はジュースを飲んで、すぐさま気づいた。

 

「なんか味が変……。あっ ジュースがダメって訳じゃなく! 私の味覚がなんか違うなって!」

「ああ、水とサプリメントばっかりだったしね。味覚が発達してないんじゃない?」

「ひゅおおおおおおお」

 

 失神しかけた瑠璃の為に、僕は軽く検索する。

 

「あ、味覚は大人になってからでも育つって。それに訓練と戦闘だけはみっちり積んでたから、筋力はあるよ」

「味は、味は、食べるのだけが趣味なので……。娯楽のない中世世界で、食べることだけが私の希望だったので……あっ なんかお腹ぐるぐるしてきた」

「胃腸も未発達なんだね。食べるのジュースから初めてお粥で訓練かな」

「私、悪い事しましたか? 一生懸命御命令に従ったのに? う、嘘でしょ?」

「よしよし。 乗りかかった船だから、とことん協力するよ」

「とりあえず霊力の練り方教えてください。今日はそれだけ習得します」

 

 瑠璃は教えるとすぐに霊力を器用に捏ねだした。綺麗に抑えてまるで一般人のようだ。勇者というのは伊達ではないらしい。

 

「体が覚えてるって感じがします。よかった。練習しつつ家探ししましょう。明日は実戦したいです」

「じゃあ、簡単な妖魔退治から行こうか。勇者様のお手並み拝見させてもらうよ」

 

 パスワードや霊能力についてや人物が描かれた引き継ぎノートが見つかり、瑠璃は安堵のあまりへたり込んだ。どうやらとっかかりがあれば思い出せるようだった。

 親友はイケメンお相手候補その2だった。

 ……僕が選ばれて良かった。この仕事を受けてよかった。

 

 僕は考えて、結論を出した。

 

「瑠璃。とりあえず、知り合いの医者と友達に教えていいかな。君をフォローしてくれると思う。どっちみち、出産の時に絶対助けてもらうことになるし。後、ちょっと記憶が混乱していることにもしよう」

「お願いします……」

 

 不謹慎だけど、僕は楽しくなり始めていた。

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