女神様に【真の】願いを叶えてもらいました。やったね!(ヤケクソ) 作:かりん2022
自室に篭ると、流れるようにマイエリアを起動した。
この辺、前世と使い方が一緒でよかった。
鍵を手の中に呼び出し、虚空に差して回す。
そして現れたドアを通る。
部屋は前世で使っていたまま、雑然として、四苦八苦して描いた漫画もどきが転がっている。
私は謎に監視されてるようなので、匿名でオタ活用のアカウント作ろう。
私の今世での知り合いにオタバレするわけにはいかない。
多分妖魔に乗っ取られたって思う。今までが乗っ取られてたようなものなんだけど。
マイルーム。
アカウントハウス。
マイファーム。
ギルドハウス。
そしてマイシティ。
全部あの時のままだった。
相当気合の入れた掃除が必要だということだ。
まあ、後回しだけど。
アイテムボックスも軽く確認。
ざっと眺めていると、通信機があった。
懐かしさが募り、思わず手に取る。
「……聞こえる?」
『……勇者様? 勇者様ですか!? 転生なさったのですね、勇者様!!』
「ルシア……! 最後の挨拶もできなくて、私……!」
『全くですよ、勇者様の帰還は伝説ですよ?』
「うああああああ! やっぱりあれ聞いてたの!?」
『勇者様が、魔王を退治して即、お家帰りたいからの男とのイチャラブ男性妊娠ですよ? そういう趣味なのは薄々知ってましたが。ミリアなんて呆然としてやけ酒が酷くって』
「ごめんよー、ごめんよー。ミリアにはいい男いるよ」
『今は三男二女の母ですよ。そちらも、五条悟ばりのイケメンの子供はできましたでしょうか』
「できた。でも1週間後に決戦があるから、そうだね……一ヶ月後ぐらいにまた話したいな」
『勇者様はお忙しいのですね。わかりました。みんなを集めて、楽しみにお待ちしてます。積もる話をいたしましょう。それと』
「それと?」
『勇者様は私達のように魔法を使いたいと常々願っておりましたね』
「うん」
『魔法を使えるようになる秘薬を作って送っております。女神様の許可を得て、ちゃーんと魔王討伐の報酬もご用意しておいたので、ぜひアイテムボックスを見てください。決戦があるのなら、なおさら回復薬と強化薬の確認を』
私は感動した。
「ありがとう、ルシア……。私もみんなと話せるのを楽しみにしてる。またね、ルシア」
私の胸に、温かいものが広がっていた。
声はだいぶ年老いていたけど、最低でも20年は過ぎてるはずなので仕方ない。
アイテムボックスをさらに確認すると、わかりやすくプレゼントボックスがあった。
ありがたい。
秘薬を飲み、回復、バフアイテムを確認し、ダンジョンへと移動する。
そして記憶に投網を掛ける。
「体の中にある力を感じ取る……力二つあるな?」
霊力確認してから魔力に目覚めればよかった!
どっちがどっちかわからんとかマジで!? うわー!!!
この後めちゃくちゃ訓練した。
五日間の訓練を終え、逃亡準備と女神様にお願いしてルシア達にお礼の品を用意した。私の好きな漫画という文化を知ってほしい。並行世界に転生したので、私の好きな漫画はないからおすすめ探すの手間取っちゃったけど、あとはお酒とかレトルトとかの美味しいものとか、色々。討伐後だと逃げるのバレちゃうからね。
あとはマイエリアからでもネットに繋げるかの確認とか。
一日苦労して、妖魔との決戦の前日となったので顔を出した。
めちゃくちゃ怒られた。
「逃げたと思ったぜ、一人で戦うってまじなのか!?」
「ええまあ」
「逃亡準備してるって話だが? 色々買い込んだそうじゃねーか」
「準備に必要なものと引き換えにお使いを頼まれたので。不安なら討伐するまで逃げないと縛りますが。というか、もうすでに神矢さんに縛ってますが」
「準備?」
「討伐に必要だったので。あと、奥の手を使うので、玉藻を倒した後、無力化はするので引退はしますよ。恨みを買ってる覚えもあるので、逃亡するといえば逃亡しますね」
「無力化……!?」
「玉藻はちゃんと倒すので安心してください」
「ま、まあちゃんと準備してるならいいけどよ……。本当に倒せるのか?」
「それはまあ」
これでも魔王討伐済みの勇者である。相当大変だろうけど、勝つと言える程度に自信はある。それよりも口調が間違ってないか不安だ。
二神の加護を受けておいて、負ける方が無能だ。
そこへ、神矢さん、ザ・五条悟が来た。
「マジで一人で戦うの」
「あまり切り札は見られたくないので」
「……。僕は協力しろって言ったんだけど? 一人で戦えなんて言ってない」
「いいから引っ込んでてください。準備は私一人でするんで大丈夫です」
うう、ごめんねごめんね。渋谷事変もどきで宿儺もどきなんだ、神矢さんが真っ二つにされたら私泣いちゃう。
そして、約束の刻限。
神話級妖魔、玉藻は九つの尾を輝かせた。
『一人で妾に対峙しようというか。愚かよの』
私は聖剣を構えた。
「こっちも余裕ないから、サクサク行きますねー」
スキルと力Aと力B全部混ぜれば妖魔も倒せるでしょ、多分……。
霊力がどっちの力かわからないから、ぶっつけ本番である。
まあでもバフと回復薬全部使うつもりでいけばイケルイケル。
身代わり系アイテムも数を揃えてあるので、全部使い尽くすつもりでいこう。
玉藻はこの世界の魔王キャラ。
こいつさえ倒せばしばらく平和になるはずだ。
私は聖剣を振る。
当然のように玉藻も尻尾のうち一本を繰り出してくる。
炎の尻尾を、私の聖剣は消し飛ばした。
あ、イケるわ。宿儺ほど厄介じゃない。よかった。
マシュマロ
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