女神様に【真の】願いを叶えてもらいました。やったね!(ヤケクソ) 作:かりん2022
なんとか知り合いの帝王切開を、内密に行って欲しいと言うのを飲ませた。
信用のおける産婦人科医を紹介してもらえる事になった。
なんでも帝王切開はやった事ないから、とのこと。
一人での治療も無理という事で、口止め料にクッソ掛かった。
まったりニート予定だったけど、金策考えないとだ。
あと、縛りも結んでもらえなかった。最悪。
何か事情があるなら、神矢さんの家の力に頼れば、とのアドバイスも貰ったが、そこが一番ばれてはならないんですね……。
こんな隠キャオタの中身腐女子の男と子供がいつの間にかポップしてるとか可哀想すぎる。普通に発狂ものである。絶対にバレたらいけない。
「は? 患者ってお前かよ。中身妖魔か?」
「中身に傷つけたらぶっ殺しますよ? 普通に帝王切開して黙っていてくれたらそれでいいです」
「はぁ……。事情は話せよ」
「必要ないでしょう。守秘義務の縛りもないんですから」
ムッとした顔してるけど、二ヶ月ももったいぶりやがって死ぬかと思ったんだぞまじで、十ヶ月で生まれて来る所を十二ヶ月だからとても心配である。
「全身麻酔? 子供大丈夫なのそれ」
「ああ、問題ない」
しっかり契約結んでからにしたいけど、流石にお腹に留めすぎだしなぁ。
不安はあるけど、任せるしかない。
『起きて! 起きなさい!! 赤ちゃんが!』
女神様の声で目覚める。
「起きるのが早いな。あれは妖魔だった。こちらで処分しておいた。残念だったな」
「は?」
女神様ご自身でご準備なさった赤子が妖魔なわけないだろふざけんな。
ポーションをキュッとやって傷を癒やし、気配探知で魔力の位置を探し、採血させられる所だった赤ちゃんを確保した。女神様に言われて、状態異常解除のスキルも使う。信じられない。やっぱり麻酔ダメだったんじゃん。生まれたばかりの赤ちゃんに何してんだ。なんかぐだぐだ言ってた赤ちゃん誘拐犯の退魔師はボコった。
慌てて追いかけてくる硝子ポジ、天馬。
いや、硝子ポジなんて言ったら硝子に失礼だ。彼女は誠実だった。
「瑠璃っ」
「貴方はちゃんとした医者だと思ってました。せめて守秘義務くらいは守ってください。私を敵に回したくないならね」
とても残念である。
子供を確保して退散退散。
しかしヤバいな……。保育園に預けるのダメかも。
ミルクとおしめ。この基本さえ抑えればなんとかなるやろの精神で頑張った。
普通にダメだったので、ルシアから禁断の秘術、「一番危険な時期スキップ魔法」を習い三歳になってもらった。
役所には落ち着いたら自分が父親だと言って子供を認知するつもりである。
だが、あのボコった退魔師が、お前の子を有効活用してやろうというのだ、みたいなことを言っていた。私の切り札の秘密を探るとか。
それに、よくよく考えれば、呪術廻戦では呪力を持つ子の誘拐が普通に発生していた。
とても困った。
マイルームで頑張って世話をしたが、お金の問題もあるしなぁ。
それに子供を攫いに来た奴らの仕事をもらいに行きたくなかった。
困った末、ネット検索したり、記憶へ投網を投げていると、夏油ポジの草葉さんの事を思い出した。教祖ではないが、フリーの退魔師団体を率いていた。特殊能力を持つ子供も引き取っているという。
頼ってみようか。
もはや選択肢はないのだからと、私は草葉さんを頼った。
はえーイケメン。
さすが夏油ポジ。こちらもイケメンである。
ただ、神矢さんは五条悟と同じく人外を超えたイケメンである。
それはそれとして草葉さんイケメン……。
「散々な目にあったみたいだね、お母さん?」
「守秘義務も守らなかったんだ?」
私はムカムカして思わず口走った。
「まあまあ、人の口に戸は立てられないものさ。私と上の一部が知ってるだけだし」
「かなり高額の口止め料を巻き上げられてる」
「そこは聞いてなかったな。妖魔の疑いがあったから仕方なく退魔師を呼んだら上に赤ちゃんを差し出すよう要求されて仕方なかったって聞いたよ」
「全身麻酔でも大丈夫って事前に言ってた。そのせいで赤ちゃんも死んだ。私には妖魔だから処分したとも言った。麻酔使ったのは天馬の判断。ダメなら断れば他の方法考えられたのに、無駄に時間も引き延ばされた。上に逆らえないなら依頼きた時点で断ればよかった。全然仕方なくない」
赤ちゃんが死んだというのはもちろん嘘だ。
だが、子供を狙われるのは困るのだ。
「それは……すまなかった。もし私のところに来たら、謝罪させてくれって天馬が言ってたけど、どうする?」
「返金されても無理。医者じゃないって。今思うと変な検査とかもされてたし」
「そうか……。天馬ももう少し立ち回りが上手いと思ってたけど……。わかったよ。私からの仕事の斡旋だけど、歓迎するよ。私は君みたいな上と揉めた人が円滑に仕事をできるように活動しているのだからね」
「ありがとう」
「いや、今の私がいるのは君のおかげだからね。君を裏切らないと縛ろう」
「えっ いいの?」
「いいよ。私は君に救われた」
……。
「話、聞いてくれる?」
「ああ。聞かせてほしい。君の様子が変わった理由もね」
「じゃあ、ここだと不安だから、ちょっときて欲しいところがある」
そうして、私はマイルームへと草葉さんを招待した。
ベビーベッドでは琥珀が私を見て泣きつこうと柵に引っ付いた。
「ここは……!? この子は、いや年齢が違う。それに何故か柘榴に似ている……!?」
「まま、ママー!」
「一人にしてごめんね。おいで」
私はベビーベッドの琥珀を抱き上げた。
「ずっと昔、ここではないけどここに似た場所で、ゲームをしてばかりの女の子がいました。そして、女の子はゲームのデータと融合して、勇者として異世界に召喚されました。魔王を倒すようにお願いされたのです」
「は?」
草葉さんは戸惑った様子を見せる。草葉さん、ゲームとかもしなさそうだもんね。
エンタメがわからない人にはちょっと話が難しいかもしれない。
「ゲームキャラの力を手に入れた勇者は、依頼された通り魔王をぶっ倒しました。そして、魔王を倒した瞬間、女神様に願ったのです。お家に帰りたいですと」
「まあ、拉致して傭兵にされたようなものだしね。いやでも、ゲームオタクがゲームキャラと融合したからって戦える? 無理だろ」
頭ごなしに否定せず、むしろ草葉さんは戸惑いつつも気遣いを見せてくれた。
「転生して赤ちゃんの時から鍛えられたので。そして、女神様は言いました。遠慮せずともいい。真の願いを叶えてあげる、と」
「そうなんだ……。転生ってことは、体を異世界に移動できなかったってことかな。時間も経ちすぎてるし、家に帰るのは無理そうだね……。それで、真の願いって?」
考察しつつも、草葉さんは聞いてくる。
「イケメン退魔師とイチャラブ男性妊娠がしたいのでしょう、と。ちなみに女の子の世界に妖魔はいませんでした。そして確かに女の子は勇者召喚される前、そんな内容のえっちな本を読んでました」
「待って」
言っていることが理解できなかったようで、草葉さんはしばし固まる。
そして、咀嚼すると、笑ってはいけないとこらえつつも、どうしても笑いが抑えきれないようだった。
「まwww 待ってwwwww まさか、それ、それ君?」
「ちなみにキモオタにイケメン退魔師と縁は繋げないので妊娠するまではオート操作です。私が自分の意識を取り戻したのは朝チュン場面でした。いや、魔王退治の一瞬後が朝チュンだったぐらいの感覚でした。目覚め次第記憶を死ぬ気で思い出すと、玉藻を倒すのと引き換えに抱いてくださいとイケメン退魔師にお願いしたらしいのです」
「w w w w ちょ、ちょっと待ってくれ。君、じゃあ、実質一歳ってこと?」
いやでも、酷すぎないか? などと呟きながらも、笑ったり同情したりと忙しい草葉さん。
「その発想はなかった。この世界に来て一年と言えば確かにそう。前前世と前世を足したら老人とも言えるかもだけど。なので、申し訳ないけど、あなたは女神様設定のオート操作中の私に救われたのです」
「若くして異世界に呼ばれて若くしてこちらに転生させられたなら、老人とは言えないよ。ちゃんと壮年としての経験を積んでないからね。いいとこ渡航したばかりの外国人、かな」
「一応、言葉は同じ平行世界っぽい場所に送ってもらってて本当によかったです」
「そうだね。いきなり言葉がわからない場所に放り込まれなくて本当に良かったね。相手はわかるよ。柘榴だろ。彼は確かに選ばれるだけあるイケメン退魔師だ」
「そうです」
「この子、年齢が違うようだけど」
「赤ちゃん育てるの無理ゲーだったので、異世界の友人に年齢操作してもらいました。あれから20年経ってましたが、まだ普通に生きてたので。ちなみに独身だったのが孫持ちになってました。あ、死んだって言ってすみません。私の子供、狙われているようだったので秘密にしたかったんです」
「君は女神様に文句言っていいよ。それとこの子が無事で本当によかった」
「実在する神様に逆らうとか無理ぽ。まあ最初泣きじゃくりましたけど、慰謝料も貰えたし、異世界の仲間から報酬も送ってもらえたので」
「w w w 構わないよ。君の懸念も尤もだし、君は全て話してくれた。笑ってしまってごめんね、君からしたら大変なんだろうけど」
くつくつと笑う草葉さん。騙してたのに、赤ちゃんを無事で良かったって言ってくれる所、本当にイケメン。
「大丈夫です。それで、どうか助けて欲しいです。記憶を掘り出すにも限界があって」
「話はわかった。市井の迷える新人能力者を導くのもやっぱり私の仕事だからね。任せて欲しい。君も私を助けてくれると嬉しいな。ああ、初めまして。草葉 清照。退魔師だよ。平行世界のお嬢さん」
「氷柱 瑠璃。元勇者です。初めまして」
私と草葉さんはがっちり握手した。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
返信不要の場合は返信不要と書いておいてください。
https://odaibako.net/u/karin2022v
リクエスト、返信不要の匿名感想はこちらにお願いします。