ドラクエ4の世界に異世界転生したら進化の秘法で巨大金玉男にされたので憧れのマーニャ に連続種付けする 作:古のもの
宿の二階、薄暗い廊下の奥にある部屋の前で、一行は足を止めた。
健太がドアを軽くノックする。中から、覇気のない声が返ってきた。
「……どちらさんですかー」
「制作中の船の件で、お話が……」
健太が答えると、短い沈黙の後に力のない声が続いた。
「どうぞ〜。開けて入ってきて下さい」
ドアを開けると、狭い部屋にベッドが一つ。その上に、太った中年の男が横になっていた。顔色は悪く、目の下に隈が浮かんでいる。トルネコだ。ベッドの脇には、小さな子供が座っていた。おそらく、息子のポポロだろう。健太は『トルネコの大冒険』に登場したポポロの記憶をわずかに思い浮かべた。
トルネコはゆっくりと上体を起こし、虚ろな目で一行を見た。
健太は言葉を選ぶように口を開いた。
「あのー……船は、もう作らない感じですか? 別に私達には関係ない話というか……関係あるというか……」
上手い言葉が出てこない。トルネコを仲間にして船を手に入れたいとも言えず、かといって船の工事をしているわけでもない。曖昧なまま黙り込むと、トルネコが小さく息を吐いた。
「船なんて、もうどうでもいいんですよ。……ちょっと聞いてもらえますか?」
健太が頷くと、トルネコは天井を見つめながら、ゆっくりと話し始めた。
「この街に来てしばらくして、造船の進み具合とかを見るのに滞在していたんです。ところがある日、エンドールから来た知り合いが、私の愛する妻ネネが若い男とくっついて街を歩いてるって言うんです。それも頻繁に。私達の家にも出入りしているようだと」
彼は一度、言葉を切った。
「私はすぐさま、エンドールにあるゴールド銀行兼自宅へと戻りました。そこで見てしまったのです。若い男と妻ネネが、その……している最中を」
部屋に重い沈黙が落ちる。
「ネネは、悪びれる様子もなく言いました。『私、今この方に夢中なの♡ 悪いけど、出ていって頂戴。ポポロも連れていってね』と。……信じられませんでした」
トルネコの声が、わずかに震える。
「本来なら私が家を出て行く必要なんてなかったのですが、その場に少しでも居たくなくなって……息子を連れて、ここへ戻ってきました。今は、こんな状態です」
彼は力なく肩を落とした。
「すいませんが、船の事は諦めて下さい。何か灯台に魔物もいて、どうせ船も出せないでしょうし」
一行は気まずい雰囲気のまま、静かに部屋を出た。
廊下に出ると、ミネアが小さく呟いた。
「……酷い話ですね。息子さんが可哀想」
マーニャは腕を組んで、どこか達観したように言った。
「幾つになっても、オンナはオンナなのねー」
健太は何も言えなかった。ただ、胸の奥がざわついている。
(一体、何が起きているんだ? トルネコ一家は円満な家族なはずだ。何かイレギュラーなことがない限りは……)
よく考えれば、自分自身もこの世界にとってはイレギュラーな存在だ。ドラゴンクエストIVの世界に、何かが起きているのか——。
その答えを、健太はまだ知る由もなかった。