ドラクエ4の世界に異世界転生したら進化の秘法で巨大金玉男にされたので憧れのマーニャ に連続種付けする 作:古のもの
健太はすぐに切り出した。
「すいません、ちょっと二人だけでいいですか?」
その言葉に、ライアンが鋭く反応した。重い鎧を軋ませながら一歩前に出る。
「なんだ? 勇者様と二人きりで、何を話すというのだ?」
「勇者様……?」
健太だけでなく、ソロ、マーニャ、ミネア、ホフマンまでが同時に声を上げた。特にソロの表情が強張っている。
(勇者様? いや、どうなってるんだ? ソロが勇者なはずなのに……)
健太はとっさに状況を整理し、はるなの腕を軽く取って聖火台の影へ移動した。ライアンやブライの視線を感じながらも、声を低くして切り出す。
「あの……沢口はるなさんですよね? 金メダリストの」
はるなの目が大きく見開かれた。槍を握る手がわずかに強くなる。
(体は大きいがまだ、あどけなさをも残る顔をしている。確かまだ、20代前半だったはず)
「は、はい……もしかして、あなたも転生してきた方ですか?」
健太は深く頷いた。
「ええ。それで……ドラゴンクエスト4って知っていますか? あるいは、プレイしたことはありますか?」
はるなは首を横に振り、申し訳なさそうに答えた。
「いえ、名前くらいしか……聞いたことはなくて。すいません」
健太は内心で小さくため息をついた。
(最近の人は、マジでドラクエやらないのか……)
彼は少し言葉を選んで続けた。
「えーっと、実はこの世界は、そのドラゴンクエスト4の世界なんです。僕らと一緒にいた、緑色の髪の若い子が勇者様で、デスピサロから世界を救うはずなんですよ。……はるなさんが『勇者様』って、どういうことなんですかね?」
聖火台の影で、二人の声だけが低く響いていた。
はるなの表情に、明らかな戸惑いが浮かんでいる。
はるなは聖火台の影で、静かに自分の経緯を話し始めた。
「私、海辺の村に突然現れて……そこですぐに受け入れてもらって、普通に暮らしてたんです。釣りを手伝ったり、荷物を運んだり。ある日、ライアンさんが村に立ち寄って、しばらく滞在することになって。色々話をしました。勇者が世界を救うとか、長いこと探してるんだとか」
彼女は少し視線を伏せた。
「その後、村が魔物に襲われたんです。ライアンさんが応戦してる中、私は咄嗟に海釣り用のハープーンを掴んで、ただもう、無我夢中で投げて……気づいたら魔物を何体も倒してました。そしたらライアンさんが『あなたこそ、私が探していた勇者様だ!』って。どうしても一緒に旅に出ようって説得されて、断りきれなくて……」
「しばらく旅をしてるうちに、サントハイムの城に一人でいるブライさんを見つけました。事情を聞いたら、城の人たちが突然いなくなって、帰れなくなったって。旅の仲間のクリフトさんも亡くなった後で、一人で途方に暮れてたみたいで。ブライさんの方から『旅に出たい』って申し出があって、それから三人で行動するようになったんです」
ブライはサントハイムの人々が消えた本当の理由を、まだ知らないままだった。
健太は黙って聞いていた。胸の奥で、複雑な感情が渦巻いている。
(ライアンさんに『こっちが本物の勇者だ』と言っても、信じてもらえないだろう。ソロ君が正真正銘の勇者だという証拠も、今はない。天空の武器や防具が装備できれば証明できるかもしれないが、まだ手に入っていない。ストーリーの進行フラグ上、ライアンさんとブライさんは最悪、メンバーにいなくても進められるはずだ……)
彼は小さく息を吐き、はるなを見た。
「はるなさん。今は、別部隊として別れましょう。はるなさんには悪いけど……とりあえず、頑張ってくださいとしか、言いようがありません」
はるなは少し寂しそうに、しかし理解したように頷いた。
「……わかりました。あなたたちも、気をつけて」
二人は仲間たちの元へ戻った。ライアンはまだ納得いかない顔をしていたが、ブライが「今はそれぞれの道を行くがよい」と静かに制した。簡単な別れの挨拶を交わし、健太たちの一行は大灯台を後にした。
螺旋の階段を下りながら、誰からともなく会話が始まる。
「なんか……変な感じですね」
ソロが呟いた。マーニャが健太の腕を取り
「他にも転生者がいるなんて、ケンちゃんの世界も大変ね♡」
ミネアは何も言わず、ただ静かに俯いている。ホフマンは「デカくて強くていい女だったな……」と感想を漏らした。
健太は手すりに手を置き、低く続く自分の足音を聞きながら思った。
(ドラゴンクエストIVのサブタイトルは『導かれし者たち』。なのに、導かれし者たちが、もう破綻し始めている……)
灯台を出ると、夕陽が海を赤く染めていた。船は手に入った。灯台の光も戻った。だが、この世界は確実に、健太が知っている公式から外れつつあった。