ドラクエ4の世界に異世界転生したら進化の秘法で巨大金玉男にされたので憧れのマーニャ に連続種付けする 作:古のもの
翌朝、地下牢に薄い光が差し込んだ頃、先代のキングレオ王が静かに口を開いた。
「……そこの箱を見ろ」
健太が視線を向けると、牢の隅に小さな木箱が置いてあった。先代は力のない声で続けた。
「中に乗船券が入っている。ハバリアからエンドール行きだ。ワシが密かに用意しておいたものだ。……そして、その箱の下を調べろ。石が緩んでいる。抜け道が通っている」
マーニャが素早く箱を開け、中から古びた乗船券を取り出した。ミネアとオーリンも警戒しながら近づく。健太が箱をどかすと、確かに石畳の一部がわずかに浮いていた。指をかけて持ち上げると、狭い下り坂が闇の中へと続いていた。
「ワシはもう、逃げる体力がない。お前たちだけでも逃げろ」
先代は静かに目を閉じた。マーニャが何か言いかけたが、オーリンが首を横に振る。
「……行きましょう。王の好意を無駄にはできません」
四人は次々と抜け道に潜り込んだ。狭く、湿った通路を這うように進む。しばらくすると、出口らしき光が見えた。石壁を押しのけると、城の裏手の森に出た。
しかし、すぐに騒ぎが起きた。
「脱獄者だ! 捕まえろ!」
城の兵たちが気づいたらしい。複数の足音が近づいてくる。オーリンが立ち止まり、身構える。
「私は残って兵士たちを食い止める」
「オーリン!?」
マーニャが叫ぶ。オーリンは振り返らず、力強い声で言った。
「私はいいから、逃げてくれ! マーニャもミネアも、そしてそちらの男も……生きて、ハバリアまで行け!」
彼は兵士たちに向かって走り出した。金属のぶつかる音と怒声が森に響く。健太は一瞬立ち止まったが、マーニャが彼の腕を掴んだ。
「行くわよ! オーリンの気持ちを無駄にしないで!」
三人は森を抜け、道なき道を走り続けた。
道中、何度もモンスターに遭遇した。
最初は森の奥で、緑のスライムが複数現れた。健太は石を拾って投げつけ、マーニャが扇を振るって炎の呪文を放つ。ミネアはローブの袖を翻し、回復の光を二人にかけた。スライムは次々と消滅したが、すぐに次の敵が現れる。
「キメラだ……!」
翼を持つ怪物が空から急降下してきた。健太が身を挺してマーニャを庇い、鋭い爪が彼の肩を裂く。痛みが走るが、進化した身体はすぐに熱を帯び、血の流れが止まるのを感じた。マーニャが怒りを露わにして強力な炎を放ち、キメラを撃ち落とす。ミネアが健太の傷に手を当て、優しい光で癒やした。
「……大丈夫?」
「ああ……ありがとう、ミネアさん」
さらに岩場がちな道を進む三人。
今度は金属の軋む音が響いた。
「……来るわよ」
マーニャが低く囁く。岩陰から現れたのは、錆びついた甲冑を纏った人型の魔物——しごくのよろいだった。中身のない甲冑が、重い足音を立てて近づいてくる。両腕の刃が鈍く光り、殺気を放っている。
「しごくのよろい……厄介ね」
ミネアがローブの裾を握りしめ、構える。健太は石を拾い、身を低くした。
しごくのよろいが突然加速し、刃を振り下ろす。健太が身を転がして避け、マーニャが扇を振るって炎の呪文を放つ。炎が甲冑に当たるが、金属の表面を滑るように弾かれた。しごくのよろいは怯まず、今度はミネアに向かって突進する。
「ミネア!」
健太がとっさに飛びかかり、刃を肩で受け止めた。鋭い痛みが走るが、進化した身体がすぐに熱を帯び、出血を抑える。マーニャが怒りの表情で連続の炎を叩き込み、ミネアが回復の光を健太にかけた。
「……大丈夫?」
「ああ……動ける」
三人で連携を取り、しごくのよろいの隙間を突く。マーニャの強力な炎がようやく内部を焼き、甲冑がガタガタと振動した末に、中から黒い煙を吐いて崩れ落ちた。
(……勝てた。45歳の俺が、本物の魔物と戦ってる。異世界に来てから、身体の動きがおかしいほど軽い……進化の秘法の影響か)
息を整え、三人は再び歩き出した。
夜を二度超え、ようやく港町ハバリアの近くまでたどり着く。遠くに海の匂いがし、帆船のマストが見える。乗船券を握りしめたマーニャが、息を整えながら言った。
「……ハバリアよ。ここまで来れば、とりあえずは安全ね」
ミネアがローブの裾を整え、静かに頷く。健太は肩で息をしながら、二人の後ろ姿を見つめた。
(オーリンさん……無事でいてくれ。先代の王も……)
三人は港の入り口へと足を向けた。背後には、まだ城の追手が続いているかもしれない。だが、少なくとも今は、ハバリアの街灯が三人を迎えていた。