ドラクエ4の世界に異世界転生したら進化の秘法で巨大金玉男にされたので憧れのマーニャ に連続種付けする 作:古のもの
聡美は健太を、城の奥まった一室へと案内した。
窓から差し込む光で部屋は明るい。机の上には見慣れない道具や書類が雑然と積まれている。壁には図面のようなものが何枚も貼られていた。
「栗林聡美よ」
彼女は静かに自己紹介をした。
「転生者に会うのは、あなたが初めて。あなたは?」
健太は少し間を置いて答えた。
「健太だ。……あんたを含めたら、五人ってとこかな」
聡美の目が、興味深そうに細められた。
「この城を探りに来たの?」
健太は素直に頷いた。
「一体、この城で何が起きてるんだ? あんたも関わってるのか? あの妙な兵士達は……進化の秘法で産み出したのか?」
聡美はわずかに眉を上げ、驚いたように口元を緩めた。
「あら、結構知ってるのね。そうよ。私が進化の秘法の研究の代表よ。前世では遺伝子工学の研究者だったの。進化の秘法とも共通点が多くてね」
健太は棍棒の柄を握り直した。
「何が目的なんだ? 世界征服でもするつもりか?」
「そんな事に興味はないわ。ただ、究極の生命を作り出したいだけ」
聡美はまっすぐ健太を見つめ、淡々と言った。
「邪魔したいなら、ここで私を殺せばいいんじゃない」
部屋は静かだった。聡美は無防備に立っている。健太は棍棒に一瞬目をやった。しかし、無防備な女を殴ることはできなかった。それに、騒ぎを嗅ぎつけられて囲まれても面倒だ。
健太はゆっくりと力を抜いた。
「……賢明な判断ね」
聡美は小さく微笑むと、踵を返した。
「こっちに来て」
二人は中庭に出た。石畳の間に小さな花壇があり、土が柔らかく盛られている。聡美は懐から小さな種を取り出した。黒く、つややかで、どこか異様な存在感を放っている。
「コレ、何かわかる?」
「いや、わからん」
「黄金の腕輪は知ってるかしら?」
健太は思わず息を飲んだ。
「あぁ……進化の秘法の完成には欠かせないアイテムだ」
「見つかったのよ。そして、コレがその第一号」
聡美は近くに立てかけてあったシャベルを手に取り、花壇の土を掘った。種を丁寧に埋め、土を被せる。
「どうなると思う? 楽しみよね」
健太は嫌な予感が胸をよぎった。しかし、いくら進化の秘法を使ったとしても、種を一つ埋めたくらいで大きな問題は起きまい、と判断した。
「今日は部屋を用意しておくから泊まっていきなさい。これからどうするか、ゆっくり考えなさい」
夜。
健太は与えられた一室のベッドに横たわり、天井を見つめていた。
研究を止めなければ、これからもっと大変な事になる。あの兵士たちだけでもすでに脅威だ。種が何を生むのかなど、想像したくもない。
だが、自分がそれを背負うべきなのか。
モンバーバラに戻れば、ルカもマーニャも待っている。自分一人でどうにかできる問題なのか。それとも、放置して逃げるべきなのか。
答えは出ないまま、健太は浅い眠りに落ちた。
翌朝。
城内の騒音と、断末魔のような叫びで健太は飛び起きた。
廊下に飛び出すと、そこには異様な光景が広がっていた。
木の蔦のようなものが、床を這い、壁を走り、天井まで張り巡らされている。さらに進むと、例の妙な兵士たちや使用人たちが、蔓に絡め取られて拘束されていた。体はぐったりと力なく垂れ下がり、精気を吸い取られたかのように青ざめている。
「……まさか、栄養を吸収してるのか?」
その瞬間、健太にも蔓が伸びてきた。素早く棍棒を構え、ボタンを押して電撃を走らせる。火花が散り、蔓が弾かれる。だが、次から次へと新たな蔓が襲いかかってくる。
健太は後退しながら応戦した。城門へ向かう。しかし、門は固く閉ざされ、びくともしない。
閉じ込められた。
「コレは一体、何なんだ……」
疑問が脳裏をよぎると同時に、昨日、中庭に埋められた種の記憶が鮮明に蘇った。
まさか。
健太の頬を、嫌な汗が伝った。
コーミズを発ったはるなは、キングレオ城へと向かう街道を黙々と歩いていた。
玉砕覚悟で乗り込むつもりなどない。ただ、じっとしていられなかったのだ。ライアンを殺した連中がまだあの城にいる。仇を取りたいという衝動と、何か起きているのではないかという不安が、彼女の足を前へ進ませていた。
そして、城が見えた瞬間、はるなは足を止めた。
城全体が、異様な植物に覆われていた。
石壁を這い上がる太い蔦。窓から溢れ出す緑の葉。まるで城そのものが、巨大な植物に飲み込まれているようだった。蠢くように、ゆっくりと動いているのがわかる。
「……一体、何が?」
はるなはデーモンスピアを握りしめ、青ざめた。このまま近づいても何もできない。まずは健太に報告しなければ。
彼女は踵を返し、モンバーバラへと急いだ。
モンバーバラに着いたはるなは、街を探し回った。
しかし、健太の居場所など全く見当がつかない。宿をいくつか回っても「そんな男は知らない」と言われ、途方に暮れて広場に立ち尽くしていた。
そのとき、劇場のほうから人々が流れ出てくる。公演が終わったらしい。その中に、銀の胸当てに橙色の腰布をまとった女性の姿があった。
「あれ? あなた、どっかで会ったわよねー? 確か灯台だったかしら?」
マーニャが、はるなのほうへ歩み寄ってくる。
はるなもすぐに思い出した。大灯台で、健太と一緒にいた女性だ。
「あ……あの、健太さんは?」
「今、キングレオ城に行ってるわ」
はるなの顔から血の気が引いた。
「た、大変!」
彼女は早口で、城が植物に覆われている異様な光景を説明した。マーニャの表情が、みるみる険しくなる。
「ケンちゃんを助けなきゃ!」
二人はすぐにルカを探し出し、事情を話した。ルカは斧を手に取り、即座に頷いた。
「行きましょう」
マーニャが手を上げ、ルーラの呪文を詠唱する。光が三人を包み、次の瞬間にはキングレオ城の眼前にいた。
城は、さらに植物に覆われていた。
石壁も門も、太い蔦と葉に埋め尽くされ、まるで生き物のように蠢いている。三人は思わず絶句した。
「……これが、はるなの言ってた……」
ルカが斧を構え、城門を覆う蔦に斬りかかった。しかし、固く絡み合った蔦は簡単には切れない。時間がかかりそうだった。
「下がって」
マーニャが静かに言った。彼女は両手を前に出し、詠唱を始める。
「ベギラゴン!」
炎の帯が奔り、城門の蔦を容赦なく焼き尽くす。黒煙が上がり、炭化した蔦が崩れ落ちる。何とか人が一人通れるくらいの隙間が開いた。
「急ぎましょう」
三人は中へ入り込んだ。
城内はさらにひどい有様だった。廊下を埋め尽くす蔦に、兵士や使用人たちが絡め取られ、ぐったりと力なく垂れ下がっている。精気を吸われているように青ざめた顔。
マーニャはすぐに駆け出した。
「早くケンちゃんを見つけなきゃ!」
彼女は城の構造をある程度知っていたのか、隠し扉のスイッチを素早く押し、玉座の間へと飛び込んだ。
そこには、棍棒を構えて息を弾ませている健太がいた。
「ケンちゃーん!」
マーニャは走って健太に抱きついた。健太も彼女の体を強く抱き返し、熱いキスを交わす。短い、しかし確かな感触。
「あ、あの……今は急がないと」
ルカが少し慌てた声で促した。はるなもデーモンスピアを構え直している。
四人はすぐに城門へ向かった。
城門付近には、数体の妙な兵士が控えていた。その一人は、はぐれメタル一式に身を包んでいる。顔は怪物のように歪んでいるが、目だけが鋭く光っていた。
ラムダだ。
彼は健太たちに気づくと、ニヤニヤと口の端を歪めた。
「オマエらは……あの時の冒険者か」
はるなの目が一気に怒りに染まった。
「それはライアンさんの装備!」
彼女はデーモンスピアを高速で投擲した。空気を裂く鋭い音。ラムダは隣の兵士を掴み、盾代わりにする。槍は兵士の胸を貫き、その体は絶命して崩れ落ちた。
ラムダは肩をすくめ、残りの兵士たちと共に城門をくぐり出ていく。
「また、会おう」
はるなは悔しげに歯を食いしばったが、追う余裕はない。植物はさらに成長を続けているようだった。
四人は城門の隙間を抜け、外へと出た。
背後では、城を覆う緑が、ゆっくりと、しかし確実に広がり続けていた。
城の外、小高い丘の上。
聡美は一人、静かに立っていた。
いち早く異変に気づき、使用人たちに紛れながら城を抜け出していたのだ。背後では、かつて自分が研究の拠点としていたキングレオ城が、緑色の津波に飲み込まれていく。
太い蔦が石壁を締め上げ、窓から溢れ出す葉が陽光を遮り、城全体が生き物のように脈動している。断末魔のような叫びはすでに遠のき、代わりに、湿った葉擦れの音だけが風に乗って届いてきた。
聡美は目を細め、その光景を眺めた。
恍惚とした笑みが、ゆっくりと唇に浮かぶ。
「素晴らしい成果だ」
声は小さく、しかし确かな熱を帯びていた。
「究極の生命」
彼女は自分の腹に手を置いた。白と黒のメイド服の下、わずかに膨らみ始めたその場所を、優しく撫でる。
「……この子が、どんな子に成長するかも、楽しみね」
風が髪を揺らす。城を覆い尽くす緑は、さらに広がり続けていた。
聡美はただ、その成長を、静かに見つめ続けた。
御愛読ありがとうございました。ピサロ討伐以降は風呂敷広げ過ぎて難しかったです。続きや次回作の要望があればコメントしてください。