渋谷。
シノアは優を連れ、グレンとの待ち合わせ場所に到着した。
”グレン中佐!!あたしは納得いきません!!”
シノア:(あ、みっちゃんだ)
優:んぁ、なんだぁ?
三葉:なんであたしが新人ばかりの部隊に配属されるんですか!?
13の時から殲滅部隊にいるエリートですよ!!
優:...!!!...うっ、ぐうッ!!???
シノア:...え、優さん?優さん...!どうしました?!
金髪の彼女を一目見た瞬間、優の頭の中に強烈な映像が流れ込んでくる。
刀で貫かれる女性の背中。揺れる綺麗な金髪。鮮やかに広がる血飛沫。
肉を貫き骨を削りながら進む剣の感覚。苦悶の叫び声。
いてもたってもいられない、どうしようもない感情。
吐き気を催す不快感と絶望感に押しつぶされそうになる。
優:おっ、ぐうっ、うっぐっぅうう...!!!
(なんだこれ、なんなんだっ...きもちわりっ...!!)
シノア:優さん?!大丈夫ですか優さん…?!
グレン:...おい、優、大丈夫か?!
与一:優君?!どうしたの?!体調悪いの?!
君月:おいおい、朝からどうしたんだよ優!
三葉:??なんだ、この部隊は病弱坊やでも入隊できるのか?随分と舐められたもんだな...
三葉:...あ////(え?な、なんだ、こいつ......顔、めっちゃ綺麗だ...///)
優:...大丈夫、大丈夫だ、みんな、ごめん、ただのめまいだ。ちょっと大げさだった。
シノア:そんな、ただのめまいには見えませんでしたよ...?
与一:そうだよ、顔色悪いよ?!
優:ちょっとな、朝飯抜いてきたからさ、めまいしたみたいだ。
グレン:...ほんとに大丈夫なんだな?優。
優:あぁ、ごめんグレン。初日からやらかしちゃったな...
グレンによる三葉の紹介中、息を潜めて呼吸を整える優。
三葉:.../// チラッ
優:(あの時までの全てを思い出したぞ…三葉を殺した後の記憶はないが…ただ少なくとも...死ぬほど後悔したのだけは、覚えている...)
三葉:...///// チラッ
シノア:...優さん、優さん、どんな状況でも単独行動はダメですって。
優:ん、あ、あー、そうだな、控えるよ...
シノア:あら殊勝ですね、猪突猛進の割に。
三葉:...////// ジーッ
優:(これが夢じゃないとしたら、何でこの日に戻って来たんだ…俺はこれから、どうするべきなんだ、ミカ...)
三葉:...しっ、シノア...。
シノア:なんです?
三葉:あ、あの男は...?その...お前の、友達なのか...?////
シノア:...あ、もしかして...♪
三葉:...! ギクッ
シノア:(囁き声で)みっちゃんホの字ですかぁ...?? ニヤニヤ
三葉:ちっちがーう!!///....生意気そうだから気になっただけだ...!!////
シノア:ふふっ、気になるなら声をかけてみればいいじゃないですか~
三葉:ひっ一人でか...??
シノア:だって別に他意はないんですよね??厳しい先輩としてヤキ入れてやってくださいよ~ ニヤニヤ
三葉:おまえ絶対面白がってるだろ...くそ...///
三葉:...おっ、おい、おまえ!
優:ん、なんだ...?(三葉...)
三葉:そっその...///
優:...?
三葉:...あ、あたしは三宮三葉だっ、宜しくなっ...!///
シノア:(さっきグレン中佐に紹介されてましたよ...?) ケラケラ
テンパって再度名乗ってしまった三葉。
優に握手を求める。
優:(...俺にこの手を取る資格はあるんだろうか...)
優:(俺はお前を、仲間を殺したんだぞ、三葉...?)
三葉:あ、あれ...?
シノア:(ちょ、優さん、流石に握手ぐらい応えてあげないと...!)
優:(そのことを知ったら、お前は俺を拒絶するんじゃないか...?) ジッ
三葉:え、えっと...?/// (握手してくれないけどめっちゃ見てくる.../////) ドキドキ
優:(...俺はこんなにも弱かったんだな。卑怯にも、償わせてほしい、仲間としてやり直したいと思ってしまっている...)
シノア:優さん、ほら、握手!
優:...あぁ、よろしく、三葉... スッ
三葉:みっみつばっ?!/////
優:あ...(つい名前で呼んじまった...!)
シノア:あらあら優さん、初対面で名前呼びなんて、流石私たち女の敵ですねぇ...
優:そんなんじゃねぇよ...ごめん、三宮さん...?
三葉:いっいや、いい、三葉で、いいよ...?////
優:…ありがとう、三葉。俺の名前は、百夜優一郎って言うんだ。
三葉:そっか、なるほど…あたしも、みんなみたいに、優...って、呼んでいいか...?///
優:ん、好きに呼んでくれ。よろしくな、三葉。
三葉:あ、うん...よろしく、優...//////
シノア:(みっちゃんデレデレじゃないですかやだー)
優:... ウルウル
三葉:...?/// ニギニギ
シノア:...?どうしたんですか優さん
優:うっ... ポロッ
三葉:!おっおい...
シノア:優さん...?大丈夫ですか...?!
優:ごめん、目に、埃が... スッ
二人から逃げるように距離を取る優。
三葉:あ...え...?泣いちゃったぞ...?
シノア:どうしたんでしょう...さっきから...
優:(泣くぐらい、後悔すんなら、最初っからやんなよ、馬鹿野郎がっ...!!) ポロポロ
優:(あの時俺は、中身がもうほとんど人間じゃなかった...鬼だか天使だか...恐怖も、不安も、あまり感じなくなって...) グスッ
優:(本来の俺なら、三葉を、仲間を手にかけるなんて、できっこないのに...!!)ポロポロ
シノア:優さん...大丈夫ですか...?
三葉:どうしちゃったんだ...?
優:ほんとに、埃が、すごくてさ...俺、アレルギー性鼻炎なんだ...
シノア:…初めて知りましたけど...(深追いしない方がいいんでしょうか...)
三葉:あ、あたしがなんかしたか?...やっぱり、握手、嫌だった...?
優:ちっちがう、お前は悪くないよ、ほんとに、アレルギーがさ、こっちこそごめんな...
三葉:...大丈夫なら、いいんだけどさ...
三葉:(繊細な人なのかな…シノアはヘラヘラしてるし、副隊長のあたしが守ってあげなきゃ…///)
優:(すべての記憶があるとは言え、俺の行動一つで何か悪い方に変わってしまうかもしれない。とりあえずできるだけ記憶の通りに行動するか...)
与一:ほんとに世界って滅亡したんだ...
君月:そうだな、改めて見ると、すげぇ有様だ...
優:(というか俺は、確か三葉と出会って数分で顔面キックされてたよな...?ギリギリ防いだけど…でも今回は蹴られなかった…) チラッ
三葉:?な、なに...?///(また見られてる...まさか、脈あり?!///)
優:あ、いや... フイッ
優:(こいつは独断行動で仲間を死なせたトラウマがあったんだよな…)
シノア:...なんですか優さん、みっちゃんに見惚れちゃいました? ニヤニヤ
三葉:なっ.../////(やっぱり...?!////)
優:ん、いや、そうじゃねぇけど...
三葉:(違うんだ...) シュン
優:(今回は独断行動を匂わせなかったから、初対面時にキックされることなく、そのまま流れで仲間として受け入れて貰えてるのか...?)
ヨハネの四騎士に追い掛け回される少女。
優:(やはり記憶通りか・・・ここも皆怪我しないで終えられたから、普通にやるか)
優:助けに...でも...
三葉の顔を窺う。
三葉:そうだな、ここは少し冷静になるべきだ
シノア:えぇ、吸血鬼の罠でしょうからねぇ...
優:...すまん、やっぱり放っておけない。俺一人で行かせてくれ。
三葉:危ないからダメだ...!
優:だからお前らはいい、一人で...
三葉:頼むやめてくれ...!!////
優:!...絶対助け出すから、信じてくれ...!
三葉:ゆ、優っ...! (絶対死なせない...!!)
記憶の通りに助け出した後。
三葉:こらっ、優!だめじゃないか! グイッ
優:...すまん、仲間を危険に晒したのは事実だ、申し訳ない...
三葉:...反省してるなら大丈夫だな、危ないからもうだめだぞ?
優:そうだな、すまなかった
三葉:...心配だから、もうやめて...?//////
優:!...わかった。///
シノア:(な~んかむかつきますねぇ甘酸っぱくて...)
優:…シノア
シノア:?はい
優:怪我しなかったか?
シノア:え、は、はい…
優:それなら良かった フッ
シノア:あ、ありがとうございます…?///
三葉:む…
三葉:(ま、まぁまぁまぁ...シノアと優は友達?だからな、仕方ない...)
シャワーを浴びる優。
優:(やっと理解したぞ...)
優:(シノアに対するこの気持ちはなんだろうって思ってたけど...)
優:(俺は、シノアのことが、好きなんだ...///)
ついこの間までは、”大事な存在”だと思っていた。だがそれは自分の中身が人間でなく、精神構造が異なっていたから、難しい感情がわからなくなっていただけだ。
優:(さっきなんて、歴史でもシノアは怪我なんてしてないのに、心配しちまった…///)
今のほとんど人間の体でならわかる。...これは、恋だ。
優:(ミカを守りつつ、三葉を殺さない未来を選び、シノアと恋人になりたい...そんな欲張り...許されるだろうか....)
優:(なんで俺はこの日に戻ってきたんだろう。誰が与えた試練なんだろう。詳しくはまるでわからないが...三葉を殺すなっていう、未来の俺からの、メッセージなのか・・・?)
優:(言われなくったって殺すわけない...なのに、未来の、あるいは別の世界の俺はやってしまった...それは、俺が人間から遠ざかったからだ...)
それに、三葉だけじゃない...
優:...ぐ、グレン...。 ポロポロ
あいつも、あっちから頼まれたとは言え、完全に鬼化してしまう前に、俺が介錯をした。
グレンの仲間の柊深夜も、斎藤との戦いで命を落とした。
優:(仲間を、誰も、殺さなくてすむように...)
元の歴史を大きく変えないようにしつつ、要所要所で頭を使うしかない。
同じくシャワーを浴びる三葉。
三葉:なぁシノア。
シノア:なんです?
三葉:...絶対に笑わないで聞いてほしいんだが
シノア:優さんのこと好きになっちゃいました...?? ニヤニヤ
三葉:うっ///おまえっ////
シノア:笑ってはないですよぉ...?
三葉:というかバレてたのか...////
シノア:そりゃもうバレバレ、優さん以外みんな気づいてますよ...
三葉:うわぁっ.../////穴があったら入りたい...////
シノア:まぁ顔だけならイケメンですから仕方ないですねぇ
三葉:そっそうだよな、あいつが悪いよな?////
シノア:でも、優さんもなんだか様子が変でしたねぇ...
三葉:え、変というのは?
シノア:うーん、なんとなくみっちゃんのことを気にしている感じはありますねぇ
三葉:うっそ、マジで?!/////
シノア:ええ、ただ、恋愛的なそれなのかっていうと、なんとも
三葉:なっなんだよそれ、初対面で気にしてるって、異性としての意識以外、あるか...?///
シノア:...昔飼ってたペットに似てるとか?
三葉:ばっ馬鹿にしてんのか?!せめてそこは家族とかにしろよ!!
シノア:そもそも優さんの行動自体が変ですね、あの人はもっと衝動的なので...
三葉:そうなのか?あたしの印象としては、なんだか落ち着いた感じに見えるが...
シノア:うーん違和感ですねぇ、高校生活ではそんなことなかったんですけど...
三葉:へー、よく知ってるんだな...
シノア:...あら、やきもちですか?
三葉:ちっちがうわい!!////
シノア:まぁ私は優さんの監視役として、しばらく学校生活を共にしていましたからねぇ...
三葉:なんだよそれ、羨ましいな...
シノア:...言っちゃってるじゃないですか...
三葉:いやもうバレてるからなぁと思って...//////
シノア:ふふっ、素直なみっちゃんもかわいいですねぇ ニヤニヤ
三葉:…とっところで、おまえ、その...
シノア:はい?
三葉:おまえ、あいつのこと、好きだったり、しないよな...?
シノア:...まさか。
三葉:え、なんで即答しないんだ...?おいおい...!
シノア:いやいや違いますって、やめてください...///
三葉:お前、あいつのこと黙ってりゃイケメンって言ってたもんな、ちょっと待ってくれ...?!
シノア:だいじょうぶ、大丈夫ですから...///
三葉:それはあれだよな、シャワー浴びてるから火照ってるんだよな...?
シノア:もちろんですよぉ、私が嘘ついたことありますかぁ...?///
三葉:息を吐くように嘘つくことで有名じゃんか...
シノア:コホン…まぁ、男子の中では、その、一番仲いいとは思いますけど...
三葉:じゃぁそれは恋じゃないな、ちがう、恋じゃない
シノア:決めつけられるのもアレですがねぇ...
三葉:だがよく見ろ、あたしを。ぜったいこいつ恋してるだろ...?////
シノア:...自分で言ってて恥ずかしくないんですか...?
三葉:恥ずかしいよ!///恥ずかしいけど仕方ないだろ!///
シノア:いつになく必死ですねぇみっちゃん...
三葉:お前とあたしの、優への気持ちを比較したら、この感じだとたぶん、あたしの方が好きなはずだ!///
シノア:...あなた出会って初日ですよ?
三葉:ひっ一目惚れなんだからしょうがないだろ?!///今までこんなことなかったんだから!!////
シノア:まぁ、あのみっちゃんが恋?って感じですけどねぇ...
三葉:とにかく、その、あたしの方が絶対気持ちが強いんだから、譲ってよね...?///
シノア:...んー...
三葉:んーじゃない!言い淀む時点で怪しいじゃないか!!
シノア:...まぁ別に、今は違うと思っていても、後から奪うことも、できなくはないか....
三葉:おいっ、不穏なこと言うなよ...やっぱ結構好きなのか...?
シノア:すみません、正直なところ、私自身もそういった経験がなく...
三葉:...もしあいつがあたしと付き合ったら、嫌なのか...?
シノア:...いやかもしれません...
三葉:じゃぁ、そうなんじゃん...? ハァ
シノア:...モヤモヤします...
三葉:あーあ、どうしよう、お前とライバルなのか...?
シノア:...ライバルというほどでは...
三葉:じゃぁあたしがもらっていいな?
シノア:...それはちょっと待ってください
三葉:そうなるならライバルなんじゃないか...?
シノア:...好きというか、いじりたい、というか...
三葉:なんだよ、はっきりしないなぁ
シノア:童貞とかからかって、怒るのが、面白いというか
三葉:まず童貞ってからかうなよ...
シノア:それは、反応が面白くて、つい...
三葉:...というか、もうほとんどそれ、答えじゃないのか...?
シノア:え...?
三葉:早乙女とか、君月とかのことも、”童貞”って言ってからかうのか?
シノア:いや、するわけないじゃないですか
三葉:...それは、何でだよ?
シノア:だって気まずいじゃないですか...
三葉:なんで優なら気まずくないんだよ...?
シノア:なんで...?なんでって...
三葉:性的なワードをわざわざ言ってんだぞ?
シノア:うーん...
三葉:...あたしだって、恋なんてしたことなかったから、良くわからんけどさ
シノア:はい...
三葉:そういう関係になっても、やぶさかじゃないと思っているから、口に出すことに抵抗が無いんじゃないのか?
シノア:....!!
三葉:おまえがそれでも好きじゃないって言うなら、あたしが遠慮なく、その...///
シノア:... ゴクリ
三葉:童貞ってやつ、頂いちゃうけど、それでいいな...?/////
シノア:...ダメです...///
三葉:...はぁ...
深いため息をつく三葉。
三葉:お前は人をからかうときはスラスラと言葉が出てくるくせに、自分の気持ちになるとこんなにまごまごするなんてなぁ...
シノア:ぐぬぬ...///
三葉:あたしは、優のこと、好き、だぞ...?//////
シノア:...ごめんなさい、私も、す、好きです.../////
三葉:.../////
シノア:...////
三葉:じゃぁ、ライバルだな...?
シノア:はい、ライバルです...
三葉:...とりあえず風呂あがるか...
シノア:そうですねぇ...
風呂を出たシノアたち。
三葉:あ/// (優だ...)
シノア:優さん、お待たせしました~///
優:よぉ...///
優:(髪を下したシノアも可愛いな...//////...三葉もいいけど...)
優:(?!おっおい、不純じゃないか?俺はシノアのことを大事に思ってるわけで...)
君月:それじゃぁ、話を聞かせてくれないか...
吸血鬼の囮だった少女の説明を聞くシノア隊。
優:(この子は吸血鬼から脅され、家族を守るために嘘を付いていた。7人じゃない、吸血鬼は9人いるはずだ...)
優:わかったよ、話してくれてありがとな... ナデナデ
少女:はっはい... /// (どうしよう、やっぱり...)
優:(この子は悪くない、悪いのは吸血鬼だ...) ナデナデ
少女:あ、あぁ~.../// トローン
シノア:...優さん?長くないですか? イライラ
三葉:そうだな、通報されたいなら止めないが...? イライラ
優:ごっごめん、考え事してた パッ
少女:あっ... シュン
シノア・三葉:(危険な男・・・)
吸血鬼の情報を聞き終わったシノア隊。
少女:...お兄ちゃん、バイバイ.../// フリフリ
優:おう、気を付けてな フリフリ
君月と与一はすぐ部屋に戻って行った。
シノア:...優さんてば、小さい子が好きなんですか?
三葉:ダメだぞ...
優:ちげぇよ...
シノア:…でも同年代好きでもないですよね
三葉:えっ
優:…何でそう思ったんだ?
優:(ってかお前のこと好きだけど…?///)
シノア:だって、あの子の告白、断ってたじゃないですか ニヤニヤ
三葉:こっ、告白っ??!!
優:え、告白…?
シノア:ほら、高校の屋上で、吸血鬼から助けた…
優:…あ、あー、あったな…///
三葉:!!(な、なんだよ、それ…)
シノア:結構可愛い子だったのに、断ったんでしょう?すごい年下好きだから ニヤニヤ
優:ちげぇって、普通に同年代が好きだよ
シノア:なら、なんで断ったんですか?
優:え、そん時は、んな暇ねぇって思って…
三葉:じ、じゃあ時間あったら、付き合ってたのか…?!
優:な、なんだよ急に…
シノア:ふふっ、教えてくださいよ、時間あったら付き合ってたんですかぁ?
優:…いや付き合ってないだろ、タイプじゃない
シノア:ふ〜ん?(怪しい…)
三葉:ほっ…
優:(今はシノアが好きなだけに言い辛いが…もし時間あったら付き合ってたかもな…結構可愛いかったし、こいつにもグレンにも童貞とかからかわれてたし)
シノア:でも、照れてはいましたよね〜
三葉:!
優:そりゃ、照れはするだろ、好きって言われたの初めてだったし…///
シノア:好きって言われたら好きになっちゃうんですか?童貞で…すか…?///
三葉:(照れんなら煽らなきゃいいじゃんか…)
優:?…わりぃかよ…(できればお前で捨てたいけどな…///)
シノア:わ、悪いとまでは、言ってませんけど…///
優:?なんだよ、歯切れ悪いな…
三葉:ど、どんな子が、タイプなんだ…?///
優:え?なんで、そんなこと答えなきゃ…
三葉:そっそうだよな、ごめん…///
優:…?(三葉って、俺にこんなソフトだったっけ?やっぱ、もう仲間として認めてくれたのかな...) ジーン
三葉:...?///(また見つめられてる...///...期待しちゃうだろこんなの.../////)
シノア:...多分みっちゃんの勘違いですよ
三葉:...え?!何も言ってないだろ...?!///
優:(歴史では最初、嫌い嫌いって言われてたからな...俺の独断行動がそんなに嫌だったのか、すまん三葉...)
優:...それより、二人とも、ドライヤーしろよ、風邪ひくぞ...?
シノア:...え?(そんな気遣いできる男でしたか...?)
三葉:?
優:明日は表参道行くし、早めに部屋戻って休んどこうぜ、なぁ三葉?
三葉:まぁ、そうだけど...(もうちょっと話してたいのに...)
シノア:でも、今日ぐらい、タオルで十分ですよ。
優:ダメだ、お前の綺麗な髪が...あ
シノア:えっ////// バクバクバク
三葉:なっ...
優:あぁいや、家族としてな、心配だから...///
シノア:は、はい...///// ドキドキ
三葉:(ずっずるいぞシノア…)
三葉:ま、まぁそうだよな、あたしもさぁ、よく綺麗な金髪って、言われるしなぁ...?/// チラッ
優:?
三葉:あーぁ、大事にしないとなぁあたしの金髪...?/// チラッ
シノア:(露骨ですねぇ...)
優:そうだな、大事にしたほうがいいぞ
三葉:(ぐぬぬ...)
三葉:えー?!なんで大事にした方がいいんだ...?/// グイッ
優:?なんでって...自分で言ってたじゃねぇか
三葉:あたしわかんない、なんで髪大事にしなきゃなの...??
優:...綺麗だからじゃねぇの、知らねえけど...///
三葉:!!////そ、そっか、綺麗だからか!そうだよな?!///
シノア:(誘導下手すぎやしませんかねぇ...)
優:(なんだろう、流石に三葉のイメージが違いすぎるな...どうした...?)
優:とにかく、今日はもう寝ようぜ、おやすみ。
シノア:...私たちと話すの、つまんないですか...?
優:...え?
三葉:そ、そうだよ、無理してたのか?
優:なんでそうなるんだよ...(楽しいに決まってるだろ...!)
シノア:だって...(せっかく楽しかったのに...)
三葉:早く、部屋戻れって、終わらそうとするじゃんか... シュン
優:...お前らと過ごす時間は幸せだよ...
シノア・三葉:...えっ??!!////////
優:い、言わせんなよ...
優:(!やっべ、シノアはともかく、三葉は初日だった...変な奴と思われるか...?)
シノア:し、し、しあわしぇでしゅかぁ…?////
優:だっ大丈夫かシノア…?
三葉:こっこのナンパ男がっ…!////// グイッ
三葉:(うすうすおかしいとは思ってたんだ…!)
優:え。すまん…?
三葉:あれだろ、色んな子にそうやって、甘い言葉かけて、その…/////
優:…?
三葉:な、な、なんか、いかがわしいことを、しようとしてるんだろ?!全部お見通しだからな?!///////
優:は、はぁ?そんなことしてねぇよ…
優:(やっぱ変なやつと思われてる…!)
三葉:(急にど真ん中の男が現れて、どんどん距離が縮まるなんて、あたしにとって都合が良すぎるだろ…!)
三葉:言っておくけどな!あたしはそんな軽い女じゃないからな!///初対面の男に絆されてたまるかっ...!//////
優:お、おう…
三葉:あたしはお前みたいなナンパな男は断じて許さん、もっとこう、時間をかけて仲良くならなきゃ、だめだろ!///
優:は、はい…
優:(やっぱり、俺には以前の記憶があるから、変に距離感が近すぎてダメだなこりゃ...)
三葉:だからな、まずはお互いの趣味とか、好きな食べ物とか、そういう会話をだな...///
優:...えっと、ごめんな、三宮さん...?
三葉:は?!
シノア:ポカーン
優:多分、俺の距離感が近すぎたんだよな、すまん...
三葉:いや、間違ってはないけど、そういうことじゃない...!
優:でも、もっと時間をかけて仲良くって...
三葉:だからってなんで苗字で呼ぶのさ…!
優:いや、俺バカだから、そういうところから変えないと、また同じことしちゃうと思うし...
三葉:名前呼びくらいは良いだろ!減るもんじゃないし!////
”みっみつばっ...?!"
優:...でもさっき三宮さん嫌そうだったし...
三葉:いっ嫌なんて言ってないじゃんか!///名前で呼んでってば!//////
シノア:(必死すぎやしませんかねぇ...)
優:(三葉...お前は優しいからな...)
優:三宮さん、無理しなくていい、初対面なのに気安く名前で呼んだ俺が悪かったんだ...
三葉:ち、違うって...
優:そりゃ、出会ったばかりの男に名前呼びされて嬉しい女の子なんて、いるわけないもんな...
シノア:(ここにいるんですよねぇ...)
三葉:ぐ、ぐぬぬ...////// (一目惚れだなんて言えないし...!!)
優:俺はその辺り、きちっとやりたいなと思ったから...やり直すよ、ごめんな、三宮さん。
優:(寂しいけど、これは俺への罰なんだろうな...)
三葉:...やだ。名前で呼んで...
優:え…?
三葉:今更寂しいよ、なんでそんなこと言うの...
優:え、だから、俺が勝手に名前で呼んで、無理して付き合ってもらって...
三葉:...仮にそうだったとしても、もうしっくりきてるんだから、変えないでよ...
優:(それは俺もそうだ...だからこそ名前で呼んじまったわけだけど…)
三葉:距離感が近いのはそうだけど、それは必ずしも悪いわけじゃないから。もうあたしは、優に名前呼びされないと、その…ムズムズするから...//////
優:そ、そうなの...? (もしかしてこいつも、以前の世界の影響を少し受けているのか...?)
三葉:でも、さっきも言った通り、お互いのことあまり知らないから、もっとたくさん話そうよ...?///////
優:い、いいのか...? ジーン
三葉:うん、こんなあたしで良ければ、仲良くしよ...?//////
優:みっ、三葉っ...! スッ
シノア:え?
三葉:え...?!/////////
優:あ、ちが、ごめん...!
優:(なにやってんだ俺は...!)
三葉:いっ、今、ハグ、しようとしたの...?!//////
優:そ、その、ごめん、嬉しくて、つい...
三葉:そっそんなに、嬉しかったの...?//////
優:あ、あぁ、うん...///
三葉:...好きな食べ物は?
優:...?肉だけど...
三葉:ふふ、そんな感じするね。あたしはサンドイッチ。
優:そうなんだ...。
三葉:...じゃぁ、はい... /// スッ
優:え
三葉:仲良くなったから、ハグしてもいいんじゃ...//////
シノア:良いわけないでしょ チョップ
三葉:いたっ
優:だ、大丈夫か…?
三葉:うーん…
シノア:みっちゃん暴走しすぎです ボソッ
三葉:ごっ、ごめん、つい…
三葉:(そうよ、自分からハグを求めるなんて…!///)
シノア:…優さんがハグなんてしようとするから、みっちゃんはテンパってしまったんですよ…
優:ご、ごめん、俺もどうかしててさ…
シノア:…私にはしないくせに… ボソッ
三葉:!
優:?何か言ったか…?
シノア:なっ何でもありません…!///
優:そっか…
三葉:(どうしよ、優越感が…///) ニヤニヤ
優:それより、明日もはえーし、そろそろ寝ようぜ
シノア:はい…
三葉:うん...
優:じゃあ、おやすみ。
シノア:おやすみなさい
三葉:おやすみ… フリフリ
シノア:…色々ありましたね
三葉:…そうだな///
廊下で話を続ける二人。
シノア:とりあえず、初日にハグは早いですよ…
三葉:わ、わかってるって…///
シノア:ナンパ男とか言っておいて、何ふつうに受け入れてるんですか...
三葉:ち、違うの!気が動転しちゃってつい...!///
三葉:(だって危うく名前呼びが無くなっちゃうところだったんだもん...!)
シノア:というか、勘違いしないでくださいね...?
三葉:な、なにが...?
シノア:優さんは基本、吸血鬼殺すマンですから。恋愛とかにキャパを割く余裕はないはずです。
三葉:え、そうなの...?!
シノア:はい、なので、さっきの幸せ発言も、単純に仲間としてでしょうし...”お前ら”って言ってましたけど、みっちゃんは完全な棚ぼたです...! ビシッ
三葉:むぅ... (今思えばそうね…反論できない...)
シノア:ハグしかけたのも何かの気の迷いです、彼はそういう男ではありません
三葉:わ、わかってるわよ...
三葉:(シノアのやつ、珍しくキレてるわね…)
シノア:まったく… プンプン
三葉:と、とりあえず、今日はもう寝ない…?
シノア:…優さんの部屋に忍び込むとかなしですよ…?
三葉:なっ、しないってそんなこと!///
シノア:どうでしょうか、なんか平気でスピード違反してますからねぇ…
三葉:それはっ…その…///
シノア:…軽い女はすぐ捨てられますからね
三葉:な、なんてこと言うんだ!あたしは軽くないんだって!誰とも付き合ったことないだろ?!
シノア:付き合ってなくても、エロいことする人はしますからねぇ…
三葉:やめぇーい!!/// ドン
シノア:では、おやすみなさい。
三葉:なんて幕引きだよ…!…おやすみ。
それぞれの部屋へ。
ベッドで横になりながら今日を振り返る。
三葉:(実はこれ、あたしへのご褒美なんじゃないか…///?)
三葉:(最初はこんな展開、少女漫画並に都合良すぎて、怪しいなんて思ってたけど…)
“お前らと過ごす時間は幸せだよ…”
三葉:〜〜〜っ…////// バタバタ
三葉:ゆ、優っ…/// ドキドキ
今まで頑張って来た自分へのご褒美なんじゃないか?
“今まで大変だったな、よくやったな、
もう幸せになっていいんだよ”って、
神様に定められた運命なんじゃないか…?
三葉:(まぁもしそうだとしたら、シノアには悪いけどさ…)
“幸せだよ…”
三葉:(あたしと優が一緒に幸せになるってことの、伏線なんじゃないの…?//////)
止める人がいない。
三葉:やばい、人生楽しくなってきた…///
三葉:これからどーしよっかなぁ…///
さっきはハグされるところだったし、
こちらも受け入れてしまうところだった。
三葉:まだ早いって言われたら、そうかもだけど…でもいずれは、するんだからさぁ…///
ハグどころか、もっとすごいことも…
“付き合ってなくても、エロいことする人はしますからねぇ…”
三葉:…っ…!!…優…っ…///// モンモン
下卑た目で見てくる男は多い。
ほんと気持ち悪い。全員死刑にしろ。
…でも、優にだけは、なんでこうも…
三葉:…時間をかけてなんて、ただの言い訳じゃんか…///
…恐ろしいことに気が付いてしまった。
本質的には、あたしも死刑側の人間だったのだ。
対象が一人なだけだ。
三葉:ちっ、違う…!…きっと優に狂わされたんだ…!////…あたしは正常だったの!//////
出会った瞬間に一目惚れして。
初対面で名前呼びされて、髪を褒められて、
一緒にいるのが幸せだなんて言われて。
ハグされかけて、受け入れかけて。
…これ全部初日の出来事だぞ…?
あいつがそうやって、危ない扉を無理矢理こじ開けて来たんじゃないか。
あたしのせいじゃない。
そう、全部あいつが悪い。
責任を取ってもらうべきだ。
…どちらにしろ、今どうかしてるのは間違いない。
だが親友の言う通り、いわゆる”軽い女”は捨てられやすいだろう。
彼がそうするとは思えないが、可能性としては潰すべきだ。
三葉:…けど、妄想くらいは、いいでしょ…///
適当に1冊のノートを取り出し、思い付きで書き綴る。
三葉:...ついでにあたし、副隊長から隊長に変更しちゃおうっと...
シノアへのささやかな対抗心も忘れずに。
[ボーイミーツガール ~優と三葉~]
三葉:グレン中佐、納得できません、なぜこのエリートの私が、
新人ばかりの部隊に?
あの日、あたしは自分の配属にひどく怒っていた。
13歳から戦場で活躍しているあたしにはひどい仕打ちだと思った。
でも・・・
優:百夜優一郎です、よろしくお願いします。
三葉:(なっ...なにっ...この気持ちは...)
何故か初対面の彼を見て、いてもたってもいられない気持ちになる。
シノア:あ~れ~ど~しちゃいましたみっちゃん???
シノアがからかってくるが無視だ。今はこの違和感の方がひっかかる。
優:三葉、次はどうすればいい??
彼はとても素直だ、作戦中も隊列を乱さない。
端正な顔であたしに声をかけて来るたび、心臓が跳ねるのがわかる。
三葉:優、これ差し入れだ
優:おっ、ありがとう
三葉:優、寝癖ついてるぞ(嘘) サワサワ
優:あ、ありがとう ドキッ
三葉:優、この道具はこうやって使うんだ(背後から) ギュッ
優:あっ、ありがとう(むっ胸が当たってる) ドキマギ
あたしは気付いた。これは人生初めての恋だと。
出会ったあの瞬間、彼に一目惚れをしていたんだと。
あたしは次第に、彼と行動を共にすることが多くなった。
三葉:リーダー命令よ、倉庫の掃除を一緒にしなさい
優:こんな雑用が?まあ、やるけどさ...
三葉:リーダー命令よ、2人で森の探索にいくわよ
優:何か呑気だな。まあ、行くけどさ...
三葉:リーダー命令よ、手が疲れたからあ〜んしなさい…///
優:シノアとかじゃなくていいのか?
まあ、やるけどさ... ドキドキ
三葉:リーダー命令よ、作戦会議するから部屋に来なさい...////
優:えっ三葉の部屋で?
まあ、行くけどさ... ドキマギ
シノア:あっ、あれ??
焦るシノアが面白い。だがもう遅い。あたしは彼を独り占めしたいのだ。
もう止まらないわ。
三葉:リーダー命令よ、マッサージしなさい…//////
リーダー権限で彼と思いっきり距離を詰めちゃう。
できたらあっちから告白してくれないかなあ、あたしだって乙女だもん❤️
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
三葉:なーんてね。きゃ〜❤️ バタバタ
優の部屋。
優:...誰も失いたくねぇ。
あの時は、生き返らせられなきゃ、そん時は仕方ないなんて思ってたが…人間の今は違う。
俺は、本当はミカエラだった。
ミカは、本当はユウだった。
四鎌童子は、父さまだった。
…でもそれは、もう幾億も遥か彼方の記憶。
優:…失いたく、ねぇよ…。
死んで、消えていった仲間たち。
鳴海の家族。
君月の妹。
クローリー。
クルル。
深夜。
フェリド。
シノアの姉ちゃん。
グレン。
そして。
殺された茜や孤児院の仲間。
吸血鬼に、やがて鬼になったミカ。
俺が取り込んでしまった阿修羅丸。
この手で殺してしまった…三葉。
全員救いたい。ただそれだけなのに。
わがままを叶えようとしたから、バチが当たったのか。
何なら、彼らの中に、本物の悪人なんていただろうか。
孤児院の皆を殺したフェリドでさえ、今まで他にどんな酷いことをやってきたかは知らないが、最後は死にたがってた。それは欲望じゃない、疲れたんだ。
欲望で人を振り回すやつなんか、この中にいなかった。
なのに、全員死んだ。
この世は理不尽だな。
優:…今夜は、寝られなさそうだ…
優:…なんで、この日なんだ…?
三葉と出会った日だ、なら三葉を殺すなって?
わかってるよ、そんなこと。
そもそも、あの後どうなったんだ。
俺は、蘇生を成功させたのか?
シノアや与一、君月はどうなった?
俺は黒鬼の与一と君月を罪鍵にする覚悟を決めていた。
今やれるか?...やれないだろ、あいつらを生贄のようにするなんて。
生き返らせられる保証なんてどこにもないのに...家族だぞ?
当時の俺は本当にどうかしていたとしか思えない...
...いや待て、一体これは誰に対しての言い訳なんだ...?
実際に俺はそのつもりで動いていたじゃないか、ミカは散々反対してくれていたのに...
せめて二人には斎藤が手を下していて欲しいと思ってしまう。
三葉は殺したくせにな、醜い自分が嫌になる。
それとも、やっぱりシノアたちには勝てなくて、失敗したのか?
それだと、三葉は生き返らせられないことになる。
なら、一生、三葉を殺した十字架を背負いながら、馬鹿みたいに生きていくのか。
そしたら、もう二度と、彼女に会うことはできない。
強気なプライドも、時折見せる弱さも、不器用な優しさも。
もう二度と、目の前に現れることはない。
“あたしはお前のような馬鹿が嫌いだ”
“さっきは助けてくれて、ありが…やっぱりなんでもない”
“お前らなにやってる?!”
“ちょっと、少しは突っ込みなさいよ!!”
“全く、馬鹿と話してると、小さなことでくよくよ悩んでるこっちが愚かに感じるな”
“柊家はこわいところだ、気をつけろ…!!”
“よーし、優、あたしが胸を貸してやろう”
“ゆ、優!!目が覚めたか!?”
“お酒を入れると美味しいって、図書館で見たんだもん…”
“優っ!大丈夫か?!”
“だめだ優!!”
“おまえは無理ばっかりしてー”
“馬鹿が、あたしなんかかばわなくてよかったのに”
”家族と言ってくれて嬉しかった、ありがとう”
優:ぐ、お、おれは、ほんとにっ、なんてことを…!! ポロッ
優:許してくれ三葉、すまない、本当に、すまないっ…!! ポロポロ
優:三葉を、守るぞ...
一度俺が奪ってしまった命だ。
未来の出来事ならまだいい、その場合は今、こうして過去に戻ってやり直す形だ。
だが例えば、別の、並行世界とかの話であったなら、その世界で彼女は一度死を味わうことになる。
生き返る保証もない。
それなら、俺はただの人殺しだ。
そもそも、失敗した原因は何だ。
ミカを吸血鬼から人間に戻したかった。
だから、仲間とすれ違い、三葉を失った。
だが、この世界はなんだ、まるで三葉を手にかけたのが間違っていると、
俺に考えを改めさせるためのものじゃないか?
だとしたら、少なくともこの世界では、三葉を失わないのは絶対条件だ。
もしまた、そんなことは絶対にしないが、もし手にかけてしまったら、
同じく過去に戻って、やり直しをすることになるだけじゃないか。
優:今ならわかる、あの判断は間違っていた...
もう二度と、失ってたまるか。
判断を間違わせた原因は、はっきりしている。
自分の中身が、人間から遠ざかっていたことだ。
優:本来の歴史より弱体化するけど、仕方ないな...
人間としての正常な判断力を保ったうえで、
元の世界より力を抑え、なんとか最善を尽くすほかない。
俺の体は色んなものが混ざっている、これらをできるだけ刺激せず、
関係者を動かしていくしかない。
三葉を絶対に殺さないとして?
その他はどうしたらいい?
ミカを人間に戻したい。
茜たちを生き返らせたい。
君月の妹も、与一の姉も生き返らせたい。
他の仲間も死なせたくない。
...シノアと恋人になりたい。
シノアは当然守りたい。好きだからだ。
あいつが俺を好きかはわかんないけど。
だが、少なくとも、どこか甘い空気だったようにも感じる。
“ごめん、シノア…”
“嫌です、それ以上は言わないで…!”
そうして仲間の元を飛び立った時の、彼女の雰囲気。
優:…両想い、だったのかな…?
一人しかいないのに保身をする。
答えは分かっている癖に、
もし違った時に傷つくのが怖いから、
わからないフリをしてしまう。
優:…どちらにしろ、今のシノアはわからない。
もし仮に、当時の彼女が自分を好いてくれていたとしても、
この段階でのシノアは、自分を好きとは言い切れない。
むしろ全然そんなことない気もする。...だよな?
優:ずるい男になるのも、嫌だしなぁ...
元の世界では両想いだったとして。
その通りの歴史をたどって、今の世界で彼女からの好意を得るのか?
結果が分かったうえで、報酬の大きさを知ったうえで、彼女の心を見透かすように行動して、好きになってもらうのか?
...そんなの、なんだか気持ち悪い。
でも、彼女を手に入れたい。
優:二人とも、手に入れるしかないか...
俺は不器用だ。頭も良くない。
今起きていることは歴史をなぞっているから、
比較的冷静に対応できるだけだ。
イレギュラーが起きたり、三葉の死を乗り越えた先、
そこではどうなるか分からない。
なら、多くを望めば、また失敗するだけだ。
優:事件までは4か月ぐらいある。その間に解決策を探すしかないな...
最低条件は抑えた。
三葉を絶対殺さない。
シノアは手に入れたい。
ミカを守りたい。
これ以外は、まだ見ぬ方法へ頼るしかない。
だが、一人では到底難しいだろう。
絶対に協力者が必要だ。
優:...ミカしかいねぇよな...
ミカは頭が良い。
しかも一番永い時を過ごしたパートナーだ。
未来のことを知っているなんて、人に話すのはリスクばかりだけど。
あいつと俺は、二人で一つみたいなもんだから。
優:なんとかなる気が、してきたな・・・
少なくとも、ミカと出会う日、あの新宿戦までは、
歴史と大きく変わらない時間を過ごすしかない。
優:明日の表参道が終わったら、翌日が新宿戦だ...
二日後、俺はミカに会う。そこでできるだけ話そう。
哀れな男の末路を。