※この作品はR-18です。

罪と罰   作:三百柊

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第1話

渋谷。

シノアは優を連れ、グレンとの待ち合わせ場所に到着した。

 

”グレン中佐!!あたしは納得いきません!!”

 

シノア:(あ、みっちゃんだ)

 

優:んぁ、なんだぁ?

 

三葉:なんであたしが新人ばかりの部隊に配属されるんですか!?

13の時から殲滅部隊にいるエリートですよ!!

 

優:...!!!...うっ、ぐうッ!!???

 

シノア:...え、優さん?優さん...!どうしました?!

 

金髪の彼女を一目見た瞬間、優の頭の中に強烈な映像が流れ込んでくる。

刀で貫かれる女性の背中。揺れる綺麗な金髪。鮮やかに広がる血飛沫。

肉を貫き骨を削りながら進む剣の感覚。苦悶の叫び声。

いてもたってもいられない、どうしようもない感情。

吐き気を催す不快感と絶望感に押しつぶされそうになる。

 

優:おっ、ぐうっ、うっぐっぅうう...!!!

(なんだこれ、なんなんだっ...きもちわりっ...!!)

 

シノア:優さん?!大丈夫ですか優さん…?!

 

グレン:...おい、優、大丈夫か?!

 

与一:優君?!どうしたの?!体調悪いの?!

 

君月:おいおい、朝からどうしたんだよ優!

 

三葉:??なんだ、この部隊は病弱坊やでも入隊できるのか?随分と舐められたもんだな...

 

三葉:...あ////(え?な、なんだ、こいつ......顔、めっちゃ綺麗だ...///)

 

優:...大丈夫、大丈夫だ、みんな、ごめん、ただのめまいだ。ちょっと大げさだった。

 

シノア:そんな、ただのめまいには見えませんでしたよ...?

 

与一:そうだよ、顔色悪いよ?!

 

優:ちょっとな、朝飯抜いてきたからさ、めまいしたみたいだ。

 

グレン:...ほんとに大丈夫なんだな?優。

 

優:あぁ、ごめんグレン。初日からやらかしちゃったな...

 

 

 

グレンによる三葉の紹介中、息を潜めて呼吸を整える優。

 

三葉:.../// チラッ

 

優:(あの時までの全てを思い出したぞ…三葉を殺した後の記憶はないが…ただ少なくとも...死ぬほど後悔したのだけは、覚えている...)

 

三葉:...///// チラッ

 

シノア:...優さん、優さん、どんな状況でも単独行動はダメですって。

 

優:ん、あ、あー、そうだな、控えるよ...

 

シノア:あら殊勝ですね、猪突猛進の割に。

 

三葉:...////// ジーッ

 

優:(これが夢じゃないとしたら、何でこの日に戻って来たんだ…俺はこれから、どうするべきなんだ、ミカ...)

 

 

 

三葉:...しっ、シノア...。

 

シノア:なんです?

 

三葉:あ、あの男は...?その...お前の、友達なのか...?////

 

シノア:...あ、もしかして...♪

 

三葉:...! ギクッ

 

シノア:(囁き声で)みっちゃんホの字ですかぁ...?? ニヤニヤ

 

三葉:ちっちがーう!!///....生意気そうだから気になっただけだ...!!////

 

シノア:ふふっ、気になるなら声をかけてみればいいじゃないですか~

 

三葉:ひっ一人でか...??

 

シノア:だって別に他意はないんですよね??厳しい先輩としてヤキ入れてやってくださいよ~ ニヤニヤ

 

三葉:おまえ絶対面白がってるだろ...くそ...///

 

 

 

三葉:...おっ、おい、おまえ!

 

優:ん、なんだ...?(三葉...)

 

三葉:そっその...///

 

優:...?

 

三葉:...あ、あたしは三宮三葉だっ、宜しくなっ...!///

 

シノア:(さっきグレン中佐に紹介されてましたよ...?) ケラケラ

 

テンパって再度名乗ってしまった三葉。

優に握手を求める。

 

 

優:(...俺にこの手を取る資格はあるんだろうか...)

 

優:(俺はお前を、仲間を殺したんだぞ、三葉...?)

 

三葉:あ、あれ...?

 

シノア:(ちょ、優さん、流石に握手ぐらい応えてあげないと...!)

 

優:(そのことを知ったら、お前は俺を拒絶するんじゃないか...?) ジッ

 

三葉:え、えっと...?/// (握手してくれないけどめっちゃ見てくる.../////) ドキドキ

 

優:(...俺はこんなにも弱かったんだな。卑怯にも、償わせてほしい、仲間としてやり直したいと思ってしまっている...)

 

 

シノア:優さん、ほら、握手!

 

優:...あぁ、よろしく、三葉... スッ

 

三葉:みっみつばっ?!/////

 

優:あ...(つい名前で呼んじまった...!)

 

シノア:あらあら優さん、初対面で名前呼びなんて、流石私たち女の敵ですねぇ...

 

優:そんなんじゃねぇよ...ごめん、三宮さん...?

 

三葉:いっいや、いい、三葉で、いいよ...?////

 

優:…ありがとう、三葉。俺の名前は、百夜優一郎って言うんだ。

 

三葉:そっか、なるほど…あたしも、みんなみたいに、優...って、呼んでいいか...?///

 

優:ん、好きに呼んでくれ。よろしくな、三葉。

 

三葉:あ、うん...よろしく、優...//////

 

シノア:(みっちゃんデレデレじゃないですかやだー)

 

 

 

優:... ウルウル

 

三葉:...?/// ニギニギ

 

シノア:...?どうしたんですか優さん

 

優:うっ... ポロッ

 

三葉:!おっおい...

 

シノア:優さん...?大丈夫ですか...?!

 

優:ごめん、目に、埃が... スッ

 

二人から逃げるように距離を取る優。

 

三葉:あ...え...?泣いちゃったぞ...?

 

シノア:どうしたんでしょう...さっきから...

 

 

 

優:(泣くぐらい、後悔すんなら、最初っからやんなよ、馬鹿野郎がっ...!!) ポロポロ

 

優:(あの時俺は、中身がもうほとんど人間じゃなかった...鬼だか天使だか...恐怖も、不安も、あまり感じなくなって...) グスッ

 

優:(本来の俺なら、三葉を、仲間を手にかけるなんて、できっこないのに...!!)ポロポロ

 

 

 

シノア:優さん...大丈夫ですか...?

 

三葉:どうしちゃったんだ...?

 

優:ほんとに、埃が、すごくてさ...俺、アレルギー性鼻炎なんだ...

 

シノア:…初めて知りましたけど...(深追いしない方がいいんでしょうか...)

 

三葉:あ、あたしがなんかしたか?...やっぱり、握手、嫌だった...?

 

優:ちっちがう、お前は悪くないよ、ほんとに、アレルギーがさ、こっちこそごめんな...

 

三葉:...大丈夫なら、いいんだけどさ...

 

三葉:(繊細な人なのかな…シノアはヘラヘラしてるし、副隊長のあたしが守ってあげなきゃ…///)

 

 

 

優:(すべての記憶があるとは言え、俺の行動一つで何か悪い方に変わってしまうかもしれない。とりあえずできるだけ記憶の通りに行動するか...)

 

与一:ほんとに世界って滅亡したんだ...

 

君月:そうだな、改めて見ると、すげぇ有様だ...

 

優:(というか俺は、確か三葉と出会って数分で顔面キックされてたよな...?ギリギリ防いだけど…でも今回は蹴られなかった…) チラッ

 

三葉:?な、なに...?///(また見られてる...まさか、脈あり?!///)

 

優:あ、いや... フイッ

 

優:(こいつは独断行動で仲間を死なせたトラウマがあったんだよな…)

 

シノア:...なんですか優さん、みっちゃんに見惚れちゃいました? ニヤニヤ

 

三葉:なっ.../////(やっぱり...?!////)

 

優:ん、いや、そうじゃねぇけど...

 

三葉:(違うんだ...) シュン

 

優:(今回は独断行動を匂わせなかったから、初対面時にキックされることなく、そのまま流れで仲間として受け入れて貰えてるのか...?)

 

 

 

ヨハネの四騎士に追い掛け回される少女。

 

優:(やはり記憶通りか・・・ここも皆怪我しないで終えられたから、普通にやるか)

 

優:助けに...でも...

 

三葉の顔を窺う。

 

三葉:そうだな、ここは少し冷静になるべきだ

 

シノア:えぇ、吸血鬼の罠でしょうからねぇ...

 

 

 

優:...すまん、やっぱり放っておけない。俺一人で行かせてくれ。

 

三葉:危ないからダメだ...!

 

優:だからお前らはいい、一人で...

 

三葉:頼むやめてくれ...!!////

 

優:!...絶対助け出すから、信じてくれ...!

 

三葉:ゆ、優っ...! (絶対死なせない...!!)

 

 

記憶の通りに助け出した後。

 

三葉:こらっ、優!だめじゃないか! グイッ

 

優:...すまん、仲間を危険に晒したのは事実だ、申し訳ない...

 

三葉:...反省してるなら大丈夫だな、危ないからもうだめだぞ?

 

優:そうだな、すまなかった

 

三葉:...心配だから、もうやめて...?//////

 

優:!...わかった。///

 

シノア:(な~んかむかつきますねぇ甘酸っぱくて...)

 

 

 

優:…シノア

 

シノア:?はい

 

優:怪我しなかったか?

 

シノア:え、は、はい…

 

優:それなら良かった フッ

 

シノア:あ、ありがとうございます…?///

 

三葉:む…

 

三葉:(ま、まぁまぁまぁ...シノアと優は友達?だからな、仕方ない...)

 

 

 

シャワーを浴びる優。

 

優:(やっと理解したぞ...)

 

優:(シノアに対するこの気持ちはなんだろうって思ってたけど...)

 

優:(俺は、シノアのことが、好きなんだ...///)

 

ついこの間までは、”大事な存在”だと思っていた。だがそれは自分の中身が人間でなく、精神構造が異なっていたから、難しい感情がわからなくなっていただけだ。

 

優:(さっきなんて、歴史でもシノアは怪我なんてしてないのに、心配しちまった…///)

 

今のほとんど人間の体でならわかる。...これは、恋だ。

 

優:(ミカを守りつつ、三葉を殺さない未来を選び、シノアと恋人になりたい...そんな欲張り...許されるだろうか....)

 

 

 

優:(なんで俺はこの日に戻ってきたんだろう。誰が与えた試練なんだろう。詳しくはまるでわからないが...三葉を殺すなっていう、未来の俺からの、メッセージなのか・・・?)

 

優:(言われなくったって殺すわけない...なのに、未来の、あるいは別の世界の俺はやってしまった...それは、俺が人間から遠ざかったからだ...)

 

それに、三葉だけじゃない...

 

優:...ぐ、グレン...。 ポロポロ

 

あいつも、あっちから頼まれたとは言え、完全に鬼化してしまう前に、俺が介錯をした。

グレンの仲間の柊深夜も、斎藤との戦いで命を落とした。

 

優:(仲間を、誰も、殺さなくてすむように...)

元の歴史を大きく変えないようにしつつ、要所要所で頭を使うしかない。

 

 

 

同じくシャワーを浴びる三葉。

 

三葉:なぁシノア。

 

シノア:なんです?

 

三葉:...絶対に笑わないで聞いてほしいんだが

 

シノア:優さんのこと好きになっちゃいました...?? ニヤニヤ

 

三葉:うっ///おまえっ////

 

シノア:笑ってはないですよぉ...?

 

三葉:というかバレてたのか...////

 

シノア:そりゃもうバレバレ、優さん以外みんな気づいてますよ...

 

三葉:うわぁっ.../////穴があったら入りたい...////

 

シノア:まぁ顔だけならイケメンですから仕方ないですねぇ

 

三葉:そっそうだよな、あいつが悪いよな?////

 

 

 

シノア:でも、優さんもなんだか様子が変でしたねぇ...

 

三葉:え、変というのは?

 

シノア:うーん、なんとなくみっちゃんのことを気にしている感じはありますねぇ

 

三葉:うっそ、マジで?!/////

 

シノア:ええ、ただ、恋愛的なそれなのかっていうと、なんとも

 

三葉:なっなんだよそれ、初対面で気にしてるって、異性としての意識以外、あるか...?///

 

シノア:...昔飼ってたペットに似てるとか?

 

三葉:ばっ馬鹿にしてんのか?!せめてそこは家族とかにしろよ!!

 

 

 

シノア:そもそも優さんの行動自体が変ですね、あの人はもっと衝動的なので...

 

三葉:そうなのか?あたしの印象としては、なんだか落ち着いた感じに見えるが...

 

シノア:うーん違和感ですねぇ、高校生活ではそんなことなかったんですけど...

 

三葉:へー、よく知ってるんだな...

 

シノア:...あら、やきもちですか?

 

三葉:ちっちがうわい!!////

 

シノア:まぁ私は優さんの監視役として、しばらく学校生活を共にしていましたからねぇ...

 

三葉:なんだよそれ、羨ましいな...

 

シノア:...言っちゃってるじゃないですか...

 

三葉:いやもうバレてるからなぁと思って...//////

 

シノア:ふふっ、素直なみっちゃんもかわいいですねぇ ニヤニヤ

 

 

 

三葉:…とっところで、おまえ、その...

 

シノア:はい?

 

三葉:おまえ、あいつのこと、好きだったり、しないよな...?

 

シノア:...まさか。

 

三葉:え、なんで即答しないんだ...?おいおい...!

 

シノア:いやいや違いますって、やめてください...///

 

三葉:お前、あいつのこと黙ってりゃイケメンって言ってたもんな、ちょっと待ってくれ...?!

 

シノア:だいじょうぶ、大丈夫ですから...///

 

三葉:それはあれだよな、シャワー浴びてるから火照ってるんだよな...?

 

シノア:もちろんですよぉ、私が嘘ついたことありますかぁ...?///

 

三葉:息を吐くように嘘つくことで有名じゃんか...

 

 

 

シノア:コホン…まぁ、男子の中では、その、一番仲いいとは思いますけど...

 

三葉:じゃぁそれは恋じゃないな、ちがう、恋じゃない

 

シノア:決めつけられるのもアレですがねぇ...

 

三葉:だがよく見ろ、あたしを。ぜったいこいつ恋してるだろ...?////

 

シノア:...自分で言ってて恥ずかしくないんですか...?

 

三葉:恥ずかしいよ!///恥ずかしいけど仕方ないだろ!///

 

シノア:いつになく必死ですねぇみっちゃん...

 

 

 

三葉:お前とあたしの、優への気持ちを比較したら、この感じだとたぶん、あたしの方が好きなはずだ!///

 

シノア:...あなた出会って初日ですよ?

 

三葉:ひっ一目惚れなんだからしょうがないだろ?!///今までこんなことなかったんだから!!////

 

シノア:まぁ、あのみっちゃんが恋?って感じですけどねぇ...

 

三葉:とにかく、その、あたしの方が絶対気持ちが強いんだから、譲ってよね...?///

 

シノア:...んー...

 

三葉:んーじゃない!言い淀む時点で怪しいじゃないか!!

 

 

 

シノア:...まぁ別に、今は違うと思っていても、後から奪うことも、できなくはないか....

 

三葉:おいっ、不穏なこと言うなよ...やっぱ結構好きなのか...?

 

シノア:すみません、正直なところ、私自身もそういった経験がなく...

 

三葉:...もしあいつがあたしと付き合ったら、嫌なのか...?

 

シノア:...いやかもしれません...

 

三葉:じゃぁ、そうなんじゃん...? ハァ

 

シノア:...モヤモヤします...

 

三葉:あーあ、どうしよう、お前とライバルなのか...?

 

シノア:...ライバルというほどでは...

 

三葉:じゃぁあたしがもらっていいな?

 

シノア:...それはちょっと待ってください

 

三葉:そうなるならライバルなんじゃないか...?

 

 

 

シノア:...好きというか、いじりたい、というか...

 

三葉:なんだよ、はっきりしないなぁ

 

シノア:童貞とかからかって、怒るのが、面白いというか

 

三葉:まず童貞ってからかうなよ...

 

シノア:それは、反応が面白くて、つい...

 

三葉:...というか、もうほとんどそれ、答えじゃないのか...?

 

シノア:え...?

 

三葉:早乙女とか、君月とかのことも、”童貞”って言ってからかうのか?

 

シノア:いや、するわけないじゃないですか

 

三葉:...それは、何でだよ?

 

シノア:だって気まずいじゃないですか...

 

三葉:なんで優なら気まずくないんだよ...?

 

シノア:なんで...?なんでって...

 

三葉:性的なワードをわざわざ言ってんだぞ?

 

シノア:うーん...

 

三葉:...あたしだって、恋なんてしたことなかったから、良くわからんけどさ

 

シノア:はい...

 

三葉:そういう関係になっても、やぶさかじゃないと思っているから、口に出すことに抵抗が無いんじゃないのか?

 

シノア:....!!

 

 

 

三葉:おまえがそれでも好きじゃないって言うなら、あたしが遠慮なく、その...///

 

シノア:... ゴクリ

 

三葉:童貞ってやつ、頂いちゃうけど、それでいいな...?/////

 

シノア:...ダメです...///

 

三葉:...はぁ...

 

深いため息をつく三葉。

 

三葉:お前は人をからかうときはスラスラと言葉が出てくるくせに、自分の気持ちになるとこんなにまごまごするなんてなぁ...

 

シノア:ぐぬぬ...///

 

三葉:あたしは、優のこと、好き、だぞ...?//////

 

シノア:...ごめんなさい、私も、す、好きです.../////

 

三葉:.../////

 

シノア:...////

 

三葉:じゃぁ、ライバルだな...?

 

シノア:はい、ライバルです...

 

三葉:...とりあえず風呂あがるか...

 

シノア:そうですねぇ...

 

 

 

風呂を出たシノアたち。

 

三葉:あ/// (優だ...)

 

シノア:優さん、お待たせしました~///

 

優:よぉ...///

 

優:(髪を下したシノアも可愛いな...//////...三葉もいいけど...)

 

優:(?!おっおい、不純じゃないか?俺はシノアのことを大事に思ってるわけで...)

 

 

君月:それじゃぁ、話を聞かせてくれないか...

 

吸血鬼の囮だった少女の説明を聞くシノア隊。

 

優:(この子は吸血鬼から脅され、家族を守るために嘘を付いていた。7人じゃない、吸血鬼は9人いるはずだ...)

 

優:わかったよ、話してくれてありがとな... ナデナデ

 

少女:はっはい... /// (どうしよう、やっぱり...) 

 

優:(この子は悪くない、悪いのは吸血鬼だ...) ナデナデ

 

少女:あ、あぁ~.../// トローン

 

シノア:...優さん?長くないですか? イライラ

 

三葉:そうだな、通報されたいなら止めないが...? イライラ

 

優:ごっごめん、考え事してた パッ

 

少女:あっ... シュン

 

シノア・三葉:(危険な男・・・)

 

 

 

 

吸血鬼の情報を聞き終わったシノア隊。

 

少女:...お兄ちゃん、バイバイ.../// フリフリ

 

優:おう、気を付けてな フリフリ

 

君月と与一はすぐ部屋に戻って行った。

 

シノア:...優さんてば、小さい子が好きなんですか?

 

三葉:ダメだぞ...

 

優:ちげぇよ...

 

シノア:…でも同年代好きでもないですよね

 

三葉:えっ

 

優:…何でそう思ったんだ?

 

優:(ってかお前のこと好きだけど…?///)

 

シノア:だって、あの子の告白、断ってたじゃないですか ニヤニヤ

 

三葉:こっ、告白っ??!!

 

優:え、告白…?

 

シノア:ほら、高校の屋上で、吸血鬼から助けた…

 

優:…あ、あー、あったな…///

 

三葉:!!(な、なんだよ、それ…)

 

 

 

 

シノア:結構可愛い子だったのに、断ったんでしょう?すごい年下好きだから ニヤニヤ

 

優:ちげぇって、普通に同年代が好きだよ

 

シノア:なら、なんで断ったんですか?

 

優:え、そん時は、んな暇ねぇって思って…

 

三葉:じ、じゃあ時間あったら、付き合ってたのか…?!

 

優:な、なんだよ急に…

 

シノア:ふふっ、教えてくださいよ、時間あったら付き合ってたんですかぁ?

 

優:…いや付き合ってないだろ、タイプじゃない

 

シノア:ふ〜ん?(怪しい…)

 

三葉:ほっ…

 

優:(今はシノアが好きなだけに言い辛いが…もし時間あったら付き合ってたかもな…結構可愛いかったし、こいつにもグレンにも童貞とかからかわれてたし)

 

 

 

 

シノア:でも、照れてはいましたよね〜

 

三葉:!

 

優:そりゃ、照れはするだろ、好きって言われたの初めてだったし…///

 

シノア:好きって言われたら好きになっちゃうんですか?童貞で…すか…?///

 

三葉:(照れんなら煽らなきゃいいじゃんか…)

 

優:?…わりぃかよ…(できればお前で捨てたいけどな…///)

 

シノア:わ、悪いとまでは、言ってませんけど…///

 

優:?なんだよ、歯切れ悪いな…

 

三葉:ど、どんな子が、タイプなんだ…?///

 

優:え?なんで、そんなこと答えなきゃ…

 

三葉:そっそうだよな、ごめん…///

 

優:…?(三葉って、俺にこんなソフトだったっけ?やっぱ、もう仲間として認めてくれたのかな...) ジーン

 

三葉:...?///(また見つめられてる...///...期待しちゃうだろこんなの.../////)

 

シノア:...多分みっちゃんの勘違いですよ 

 

三葉:...え?!何も言ってないだろ...?!///

 

優:(歴史では最初、嫌い嫌いって言われてたからな...俺の独断行動がそんなに嫌だったのか、すまん三葉...)

 

 

 

優:...それより、二人とも、ドライヤーしろよ、風邪ひくぞ...?

 

シノア:...え?(そんな気遣いできる男でしたか...?)

 

三葉:?

 

優:明日は表参道行くし、早めに部屋戻って休んどこうぜ、なぁ三葉?

 

三葉:まぁ、そうだけど...(もうちょっと話してたいのに...)

 

シノア:でも、今日ぐらい、タオルで十分ですよ。

 

優:ダメだ、お前の綺麗な髪が...あ

 

シノア:えっ////// バクバクバク

 

三葉:なっ...

 

優:あぁいや、家族としてな、心配だから...///

 

シノア:は、はい...///// ドキドキ

 

三葉:(ずっずるいぞシノア…)

 

 

 

三葉:ま、まぁそうだよな、あたしもさぁ、よく綺麗な金髪って、言われるしなぁ...?/// チラッ

 

優:?

 

三葉:あーぁ、大事にしないとなぁあたしの金髪...?/// チラッ

 

シノア:(露骨ですねぇ...)

 

優:そうだな、大事にしたほうがいいぞ

 

三葉:(ぐぬぬ...)

 

三葉:えー?!なんで大事にした方がいいんだ...?/// グイッ

 

優:?なんでって...自分で言ってたじゃねぇか

 

三葉:あたしわかんない、なんで髪大事にしなきゃなの...??

 

優:...綺麗だからじゃねぇの、知らねえけど...///

 

三葉:!!////そ、そっか、綺麗だからか!そうだよな?!///

 

シノア:(誘導下手すぎやしませんかねぇ...)

 

優:(なんだろう、流石に三葉のイメージが違いすぎるな...どうした...?)

 

 

 

優:とにかく、今日はもう寝ようぜ、おやすみ。

 

シノア:...私たちと話すの、つまんないですか...?

 

優:...え?

 

三葉:そ、そうだよ、無理してたのか?

 

優:なんでそうなるんだよ...(楽しいに決まってるだろ...!)

 

シノア:だって...(せっかく楽しかったのに...)

 

三葉:早く、部屋戻れって、終わらそうとするじゃんか... シュン

 

優:...お前らと過ごす時間は幸せだよ...

 

シノア・三葉:...えっ??!!////////

 

優:い、言わせんなよ...

 

優:(!やっべ、シノアはともかく、三葉は初日だった...変な奴と思われるか...?)

 

 

 

シノア:し、し、しあわしぇでしゅかぁ…?////

 

優:だっ大丈夫かシノア…?

 

三葉:こっこのナンパ男がっ…!////// グイッ

 

三葉:(うすうすおかしいとは思ってたんだ…!)

 

優:え。すまん…?

 

三葉:あれだろ、色んな子にそうやって、甘い言葉かけて、その…/////

 

優:…?

 

三葉:な、な、なんか、いかがわしいことを、しようとしてるんだろ?!全部お見通しだからな?!///////

 

優:は、はぁ?そんなことしてねぇよ…

 

優:(やっぱ変なやつと思われてる…!)

 

三葉:(急にど真ん中の男が現れて、どんどん距離が縮まるなんて、あたしにとって都合が良すぎるだろ…!)

 

 

 

三葉:言っておくけどな!あたしはそんな軽い女じゃないからな!///初対面の男に絆されてたまるかっ...!//////

 

優:お、おう…

 

三葉:あたしはお前みたいなナンパな男は断じて許さん、もっとこう、時間をかけて仲良くならなきゃ、だめだろ!///

 

優:は、はい…

 

優:(やっぱり、俺には以前の記憶があるから、変に距離感が近すぎてダメだなこりゃ...)

 

三葉:だからな、まずはお互いの趣味とか、好きな食べ物とか、そういう会話をだな...///

 

優:...えっと、ごめんな、三宮さん...?

 

三葉:は?!

 

シノア:ポカーン

 

 

優:多分、俺の距離感が近すぎたんだよな、すまん...

 

三葉:いや、間違ってはないけど、そういうことじゃない...!

 

優:でも、もっと時間をかけて仲良くって...

 

三葉:だからってなんで苗字で呼ぶのさ…!

 

優:いや、俺バカだから、そういうところから変えないと、また同じことしちゃうと思うし...

 

三葉:名前呼びくらいは良いだろ!減るもんじゃないし!////

 

 

”みっみつばっ...?!"

 

 

優:...でもさっき三宮さん嫌そうだったし...

 

三葉:いっ嫌なんて言ってないじゃんか!///名前で呼んでってば!//////

 

シノア:(必死すぎやしませんかねぇ...)

 

 

 

優:(三葉...お前は優しいからな...)

 

優:三宮さん、無理しなくていい、初対面なのに気安く名前で呼んだ俺が悪かったんだ...

 

三葉:ち、違うって...

 

優:そりゃ、出会ったばかりの男に名前呼びされて嬉しい女の子なんて、いるわけないもんな...

 

シノア:(ここにいるんですよねぇ...)

 

三葉:ぐ、ぐぬぬ...////// (一目惚れだなんて言えないし...!!)

 

優:俺はその辺り、きちっとやりたいなと思ったから...やり直すよ、ごめんな、三宮さん。

 

優:(寂しいけど、これは俺への罰なんだろうな...)

 

 

三葉:...やだ。名前で呼んで...

 

優:え…?

 

三葉:今更寂しいよ、なんでそんなこと言うの...

 

優:え、だから、俺が勝手に名前で呼んで、無理して付き合ってもらって...

 

三葉:...仮にそうだったとしても、もうしっくりきてるんだから、変えないでよ...

 

優:(それは俺もそうだ...だからこそ名前で呼んじまったわけだけど…)

 

三葉:距離感が近いのはそうだけど、それは必ずしも悪いわけじゃないから。もうあたしは、優に名前呼びされないと、その…ムズムズするから...//////

 

優:そ、そうなの...? (もしかしてこいつも、以前の世界の影響を少し受けているのか...?)

 

三葉:でも、さっきも言った通り、お互いのことあまり知らないから、もっとたくさん話そうよ...?///////

 

優:い、いいのか...? ジーン

 

三葉:うん、こんなあたしで良ければ、仲良くしよ...?//////

 

 

優:みっ、三葉っ...! スッ

 

シノア:え?

 

三葉:え...?!/////////

 

優:あ、ちが、ごめん...!

 

優:(なにやってんだ俺は...!)

 

三葉:いっ、今、ハグ、しようとしたの...?!//////

 

優:そ、その、ごめん、嬉しくて、つい...

 

三葉:そっそんなに、嬉しかったの...?//////

 

優:あ、あぁ、うん...///

 

三葉:...好きな食べ物は?

 

優:...?肉だけど...

 

三葉:ふふ、そんな感じするね。あたしはサンドイッチ。

 

優:そうなんだ...。

 

三葉:...じゃぁ、はい... /// スッ

 

優:え

 

三葉:仲良くなったから、ハグしてもいいんじゃ...//////

 

シノア:良いわけないでしょ チョップ

 

三葉:いたっ

 

 

 

優:だ、大丈夫か…?

 

三葉:うーん…

 

シノア:みっちゃん暴走しすぎです ボソッ

 

三葉:ごっ、ごめん、つい…

 

三葉:(そうよ、自分からハグを求めるなんて…!///)

 

シノア:…優さんがハグなんてしようとするから、みっちゃんはテンパってしまったんですよ…

 

優:ご、ごめん、俺もどうかしててさ…

 

シノア:…私にはしないくせに… ボソッ

 

三葉:!

 

優:?何か言ったか…?

 

シノア:なっ何でもありません…!///

 

優:そっか…

 

三葉:(どうしよ、優越感が…///) ニヤニヤ

 

 

 

優:それより、明日もはえーし、そろそろ寝ようぜ

 

シノア:はい…

 

三葉:うん...

 

優:じゃあ、おやすみ。

 

シノア:おやすみなさい

 

三葉:おやすみ… フリフリ

 

シノア:…色々ありましたね

 

三葉:…そうだな///

 

廊下で話を続ける二人。

 

シノア:とりあえず、初日にハグは早いですよ…

 

三葉:わ、わかってるって…///

 

シノア:ナンパ男とか言っておいて、何ふつうに受け入れてるんですか...

 

三葉:ち、違うの!気が動転しちゃってつい...!///

 

三葉:(だって危うく名前呼びが無くなっちゃうところだったんだもん...!)

 

 

 

シノア:というか、勘違いしないでくださいね...?

 

三葉:な、なにが...?

 

シノア:優さんは基本、吸血鬼殺すマンですから。恋愛とかにキャパを割く余裕はないはずです。

 

三葉:え、そうなの...?!

 

シノア:はい、なので、さっきの幸せ発言も、単純に仲間としてでしょうし...”お前ら”って言ってましたけど、みっちゃんは完全な棚ぼたです...! ビシッ

 

三葉:むぅ... (今思えばそうね…反論できない...)

 

シノア:ハグしかけたのも何かの気の迷いです、彼はそういう男ではありません

 

三葉:わ、わかってるわよ...

 

三葉:(シノアのやつ、珍しくキレてるわね…)

 

 

 

シノア:まったく… プンプン

 

三葉:と、とりあえず、今日はもう寝ない…?

 

シノア:…優さんの部屋に忍び込むとかなしですよ…?

 

三葉:なっ、しないってそんなこと!///

 

シノア:どうでしょうか、なんか平気でスピード違反してますからねぇ…

 

三葉:それはっ…その…///

 

シノア:…軽い女はすぐ捨てられますからね

 

三葉:な、なんてこと言うんだ!あたしは軽くないんだって!誰とも付き合ったことないだろ?!

 

シノア:付き合ってなくても、エロいことする人はしますからねぇ…

 

三葉:やめぇーい!!/// ドン

 

シノア:では、おやすみなさい。

 

三葉:なんて幕引きだよ…!…おやすみ。

 

それぞれの部屋へ。

 

 

 

ベッドで横になりながら今日を振り返る。

 

三葉:(実はこれ、あたしへのご褒美なんじゃないか…///?)

 

三葉:(最初はこんな展開、少女漫画並に都合良すぎて、怪しいなんて思ってたけど…)

 

“お前らと過ごす時間は幸せだよ…”

 

三葉:〜〜〜っ…////// バタバタ

 

三葉:ゆ、優っ…/// ドキドキ

 

今まで頑張って来た自分へのご褒美なんじゃないか?

“今まで大変だったな、よくやったな、

もう幸せになっていいんだよ”って、

神様に定められた運命なんじゃないか…?

 

三葉:(まぁもしそうだとしたら、シノアには悪いけどさ…)

 

“幸せだよ…”

 

三葉:(あたしと優が一緒に幸せになるってことの、伏線なんじゃないの…?//////)

 

止める人がいない。

 

 

 

三葉:やばい、人生楽しくなってきた…///

 

三葉:これからどーしよっかなぁ…///

 

さっきはハグされるところだったし、

こちらも受け入れてしまうところだった。

 

三葉:まだ早いって言われたら、そうかもだけど…でもいずれは、するんだからさぁ…///

 

ハグどころか、もっとすごいことも…

 

“付き合ってなくても、エロいことする人はしますからねぇ…”

 

三葉:…っ…!!…優…っ…///// モンモン

 

下卑た目で見てくる男は多い。

ほんと気持ち悪い。全員死刑にしろ。

…でも、優にだけは、なんでこうも…

 

三葉:…時間をかけてなんて、ただの言い訳じゃんか…///

 

…恐ろしいことに気が付いてしまった。

本質的には、あたしも死刑側の人間だったのだ。

対象が一人なだけだ。

 

 

 

三葉:ちっ、違う…!…きっと優に狂わされたんだ…!////…あたしは正常だったの!//////

 

出会った瞬間に一目惚れして。

初対面で名前呼びされて、髪を褒められて、

一緒にいるのが幸せだなんて言われて。

ハグされかけて、受け入れかけて。

…これ全部初日の出来事だぞ…?

 

あいつがそうやって、危ない扉を無理矢理こじ開けて来たんじゃないか。

あたしのせいじゃない。

そう、全部あいつが悪い。

責任を取ってもらうべきだ。

…どちらにしろ、今どうかしてるのは間違いない。

 

だが親友の言う通り、いわゆる”軽い女”は捨てられやすいだろう。

彼がそうするとは思えないが、可能性としては潰すべきだ。

 

三葉:…けど、妄想くらいは、いいでしょ…///

 

適当に1冊のノートを取り出し、思い付きで書き綴る。

 

三葉:...ついでにあたし、副隊長から隊長に変更しちゃおうっと...

 

シノアへのささやかな対抗心も忘れずに。

 

 

 

[ボーイミーツガール ~優と三葉~]

 

三葉:グレン中佐、納得できません、なぜこのエリートの私が、

新人ばかりの部隊に?

 

あの日、あたしは自分の配属にひどく怒っていた。

 

13歳から戦場で活躍しているあたしにはひどい仕打ちだと思った。

 

でも・・・

 

優:百夜優一郎です、よろしくお願いします。

 

三葉:(なっ...なにっ...この気持ちは...)

 

何故か初対面の彼を見て、いてもたってもいられない気持ちになる。

 

シノア:あ~れ~ど~しちゃいましたみっちゃん???

 

シノアがからかってくるが無視だ。今はこの違和感の方がひっかかる。

 

優:三葉、次はどうすればいい??

 

彼はとても素直だ、作戦中も隊列を乱さない。

 

端正な顔であたしに声をかけて来るたび、心臓が跳ねるのがわかる。

 

三葉:優、これ差し入れだ

 

優:おっ、ありがとう

 

三葉:優、寝癖ついてるぞ(嘘) サワサワ

 

優:あ、ありがとう ドキッ

 

三葉:優、この道具はこうやって使うんだ(背後から) ギュッ

 

優:あっ、ありがとう(むっ胸が当たってる) ドキマギ

 

あたしは気付いた。これは人生初めての恋だと。

 

出会ったあの瞬間、彼に一目惚れをしていたんだと。

 

あたしは次第に、彼と行動を共にすることが多くなった。

 

三葉:リーダー命令よ、倉庫の掃除を一緒にしなさい

 

優:こんな雑用が?まあ、やるけどさ...

 

三葉:リーダー命令よ、2人で森の探索にいくわよ

 

優:何か呑気だな。まあ、行くけどさ...

 

三葉:リーダー命令よ、手が疲れたからあ〜んしなさい…///

 

優:シノアとかじゃなくていいのか?

まあ、やるけどさ... ドキドキ

 

三葉:リーダー命令よ、作戦会議するから部屋に来なさい...////

 

優:えっ三葉の部屋で?

まあ、行くけどさ... ドキマギ

 

シノア:あっ、あれ??

 

焦るシノアが面白い。だがもう遅い。あたしは彼を独り占めしたいのだ。

もう止まらないわ。

 

三葉:リーダー命令よ、マッサージしなさい…//////

 

リーダー権限で彼と思いっきり距離を詰めちゃう。

 

できたらあっちから告白してくれないかなあ、あたしだって乙女だもん❤️

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

三葉:なーんてね。きゃ〜❤️ バタバタ

 

 

 

優の部屋。

 

優:...誰も失いたくねぇ。

 

あの時は、生き返らせられなきゃ、そん時は仕方ないなんて思ってたが…人間の今は違う。

 

俺は、本当はミカエラだった。

ミカは、本当はユウだった。

四鎌童子は、父さまだった。

…でもそれは、もう幾億も遥か彼方の記憶。

 

優:…失いたく、ねぇよ…。

 

死んで、消えていった仲間たち。

鳴海の家族。

君月の妹。

クローリー。

クルル。

深夜。

フェリド。

シノアの姉ちゃん。

グレン。

 

そして。

殺された茜や孤児院の仲間。

吸血鬼に、やがて鬼になったミカ。

俺が取り込んでしまった阿修羅丸。

この手で殺してしまった…三葉。

 

全員救いたい。ただそれだけなのに。

わがままを叶えようとしたから、バチが当たったのか。

何なら、彼らの中に、本物の悪人なんていただろうか。

孤児院の皆を殺したフェリドでさえ、今まで他にどんな酷いことをやってきたかは知らないが、最後は死にたがってた。それは欲望じゃない、疲れたんだ。

欲望で人を振り回すやつなんか、この中にいなかった。

なのに、全員死んだ。

この世は理不尽だな。

 

優:…今夜は、寝られなさそうだ…

 

 

優:…なんで、この日なんだ…?

 

三葉と出会った日だ、なら三葉を殺すなって?

わかってるよ、そんなこと。

そもそも、あの後どうなったんだ。

俺は、蘇生を成功させたのか?

シノアや与一、君月はどうなった?

 

俺は黒鬼の与一と君月を罪鍵にする覚悟を決めていた。

今やれるか?...やれないだろ、あいつらを生贄のようにするなんて。

生き返らせられる保証なんてどこにもないのに...家族だぞ?

当時の俺は本当にどうかしていたとしか思えない...

 

...いや待て、一体これは誰に対しての言い訳なんだ...?

実際に俺はそのつもりで動いていたじゃないか、ミカは散々反対してくれていたのに...

 

せめて二人には斎藤が手を下していて欲しいと思ってしまう。

三葉は殺したくせにな、醜い自分が嫌になる。

 

 

 

それとも、やっぱりシノアたちには勝てなくて、失敗したのか?

それだと、三葉は生き返らせられないことになる。

なら、一生、三葉を殺した十字架を背負いながら、馬鹿みたいに生きていくのか。

そしたら、もう二度と、彼女に会うことはできない。

強気なプライドも、時折見せる弱さも、不器用な優しさも。

もう二度と、目の前に現れることはない。

 

 

“あたしはお前のような馬鹿が嫌いだ”

 

“さっきは助けてくれて、ありが…やっぱりなんでもない”

 

“お前らなにやってる?!”

 

“ちょっと、少しは突っ込みなさいよ!!”

 

“全く、馬鹿と話してると、小さなことでくよくよ悩んでるこっちが愚かに感じるな”

 

“柊家はこわいところだ、気をつけろ…!!”

 

“よーし、優、あたしが胸を貸してやろう”

 

“ゆ、優!!目が覚めたか!?”

 

“お酒を入れると美味しいって、図書館で見たんだもん…”

 

“優っ!大丈夫か?!”

 

“だめだ優!!”

 

“おまえは無理ばっかりしてー”

 

“馬鹿が、あたしなんかかばわなくてよかったのに”

 

”家族と言ってくれて嬉しかった、ありがとう”

 

 

 

優:ぐ、お、おれは、ほんとにっ、なんてことを…!! ポロッ

 

優:許してくれ三葉、すまない、本当に、すまないっ…!! ポロポロ

 

 

 

優:三葉を、守るぞ...

 

一度俺が奪ってしまった命だ。

未来の出来事ならまだいい、その場合は今、こうして過去に戻ってやり直す形だ。

だが例えば、別の、並行世界とかの話であったなら、その世界で彼女は一度死を味わうことになる。

生き返る保証もない。

それなら、俺はただの人殺しだ。

 

 

そもそも、失敗した原因は何だ。

ミカを吸血鬼から人間に戻したかった。

だから、仲間とすれ違い、三葉を失った。

だが、この世界はなんだ、まるで三葉を手にかけたのが間違っていると、

俺に考えを改めさせるためのものじゃないか?

だとしたら、少なくともこの世界では、三葉を失わないのは絶対条件だ。

もしまた、そんなことは絶対にしないが、もし手にかけてしまったら、

同じく過去に戻って、やり直しをすることになるだけじゃないか。

 

 

優:今ならわかる、あの判断は間違っていた...

 

もう二度と、失ってたまるか。

判断を間違わせた原因は、はっきりしている。

自分の中身が、人間から遠ざかっていたことだ。

 

優:本来の歴史より弱体化するけど、仕方ないな...

 

人間としての正常な判断力を保ったうえで、

元の世界より力を抑え、なんとか最善を尽くすほかない。

俺の体は色んなものが混ざっている、これらをできるだけ刺激せず、

関係者を動かしていくしかない。

 

 

 

三葉を絶対に殺さないとして?

その他はどうしたらいい?

ミカを人間に戻したい。

茜たちを生き返らせたい。

君月の妹も、与一の姉も生き返らせたい。

他の仲間も死なせたくない。

...シノアと恋人になりたい。

 

 

シノアは当然守りたい。好きだからだ。

あいつが俺を好きかはわかんないけど。

だが、少なくとも、どこか甘い空気だったようにも感じる。

 

 

“ごめん、シノア…”

“嫌です、それ以上は言わないで…!”

 

 

そうして仲間の元を飛び立った時の、彼女の雰囲気。

 

優:…両想い、だったのかな…?

 

一人しかいないのに保身をする。

答えは分かっている癖に、

もし違った時に傷つくのが怖いから、

わからないフリをしてしまう。

 

 

 

優:…どちらにしろ、今のシノアはわからない。

 

もし仮に、当時の彼女が自分を好いてくれていたとしても、

この段階でのシノアは、自分を好きとは言い切れない。

むしろ全然そんなことない気もする。...だよな?

 

 

優:ずるい男になるのも、嫌だしなぁ...

 

元の世界では両想いだったとして。

その通りの歴史をたどって、今の世界で彼女からの好意を得るのか?

結果が分かったうえで、報酬の大きさを知ったうえで、彼女の心を見透かすように行動して、好きになってもらうのか?

...そんなの、なんだか気持ち悪い。

でも、彼女を手に入れたい。

 

 

 

優:二人とも、手に入れるしかないか...

 

俺は不器用だ。頭も良くない。

今起きていることは歴史をなぞっているから、

比較的冷静に対応できるだけだ。

イレギュラーが起きたり、三葉の死を乗り越えた先、

そこではどうなるか分からない。

なら、多くを望めば、また失敗するだけだ。

 

 

優:事件までは4か月ぐらいある。その間に解決策を探すしかないな...

 

 

 

最低条件は抑えた。

三葉を絶対殺さない。

シノアは手に入れたい。

ミカを守りたい。

これ以外は、まだ見ぬ方法へ頼るしかない。

 

 

 

だが、一人では到底難しいだろう。

絶対に協力者が必要だ。

 

優:...ミカしかいねぇよな...

 

ミカは頭が良い。

しかも一番永い時を過ごしたパートナーだ。

未来のことを知っているなんて、人に話すのはリスクばかりだけど。

あいつと俺は、二人で一つみたいなもんだから。

 

優:なんとかなる気が、してきたな・・・

 

少なくとも、ミカと出会う日、あの新宿戦までは、

歴史と大きく変わらない時間を過ごすしかない。

 

優:明日の表参道が終わったら、翌日が新宿戦だ...

 

二日後、俺はミカに会う。そこでできるだけ話そう。

 

哀れな男の末路を。

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