ひしゃげた鍵で釣った魚は、間男の給餌を受け入れる。 作:鯛と琴
「着替えたわね、早速指名が入ってるわよ、ニナさん」
あの一件があって以降、初めての出勤日。
ニナは少し後ろめたく思いながらも、司令官に報告するにはより経験がいると考えていた。
「今日は奉仕プレイというより、童貞のお客様の希望で筆下ろしをして欲しいの。よろしくね」
「承知しました。行ってきます」
ルディアはそう言うが、経験のない相手の手解きもまた、ニナにとっては奉仕である。
その本質は行為ではなく、相手を思い遣る心。一流のメイドは如何なる相手にも思い遣りを忘れないものだ。
「失礼します」
「あっ、どっ、どうぞ、へ、へへっ、あっ、かわい……に、ニナちゃん、ニナちゃん可愛いっ、へへへっ……」
2階の指定された部屋についたニナは、ノックの後に戸を開けた。
部屋には返事というにはあまりに独り言に近い譫言でこちらを物色しながら、お世辞にも整っているとは言えない容姿を破顔させる男が一人。
体格は小太りで、短い手足まで肉がついて芋虫のような見た目になっている。流石のニナもはじめは不快感を覚えずにはいられなかったが、それを顔や声に出すほどのこととも思わなかった。
逆に言えば、その容姿ゆえにこれまで縁に恵まれなかったであろうことに思いを馳せ、奉仕の心を新たにする。そう考えると、慣れない女性に思わず可愛いと言ってしまう様子はそれなりに愛おしくも思えた。
「本日担当させていただくニナです。本番の前に、お客様の事を聞かせていただいても宜しいですか?」
「えっ何で、ぼ、僕なにかダメだった……?」
「いえ、お互いのことを知った方が気持ちよくなれますから。それに私はメイドですので、今日はお客様にたっぷりご奉仕させていただきます。ご安心ください」
「メイド……」
男が生唾を飲む。
読書家の彼は、創作、あるいは伝聞でしか聞いたことのないメイドという存在に心を惹かれていた。
元はエルドラーナの豪商の息子であったが、やはりその容姿から周囲に酷い扱いを受けて心を閉ざし、ペルディオンに出奔。
人との関わりを避けながら、仕送りを元手に細々と魔術の研究をしていたが、親が亡くなったために生活が苦しくなり、前線基地に出稼ぎにきたという。
しかしやはり人と関わるのが苦手だったため、上司から娼館を勧められた、というあらまし。それを彼は辿々しくも語った。
「なるほど……それは大変でしたね。お客様が自信を持てるよう、精一杯努めさせていただきます。……しかし、私が初めてで大丈夫でしたか?」
「は、はい、もちろん。どうせ卒業できると思ってなかったし、こんな可愛いメイドさんとなんてっ、し、幸せです」
「わかりました。では、まずはキス、しましょうか」
ニナが彼の頬に手を回す。ビクリと初々しい反応を見せる彼に、ニナは微笑みながら顔を近づけていく。
彼のコンプレックスが顔であることを知って、ニナはあえて接吻を選んだ。生い立ちを知るにつれ抵抗感も薄れ、緊張をほぐしてあげたいという気持ちがニナの中には芽生えていた。
むちゅ。
不慣れにもきゅっと窄められた彼の肉厚の唇に、ニナの柔らかな唇が押しつけられる。互いの唇の弾力は弾き合うようにむちゅ、むちゅと卑猥な音を立て、次第に溶け合っていった。
彼が少しづつリラックスしてきたのを見計らい、ニナはさらに舌を捩じ込んでいく。耳年増な男はすっかり興奮して行為に夢中になり、積極的に舌を絡めてきた。
ぴちゃぴちゃと唾液を混ぜ合う水音が、じゅるじゅると激しくなっていく。もはや恋人同士でもしないような、時間をかけた口吸いは、すっかり男の心を捉えていた。
「ぷはぁっ、それではそろそろ……本番にいたしましょう。下着の方、脱がさせていただきますね」
頭に回していた手で全身を撫でながら、ゆっくりと腰の方へ動かしていく。そうして彼の衣服をずり下ろした時、ニナは思わず目を丸くした。
「……っ、お、大きっ……!?」
今の今まで隠れていたのが不思議なほどに凶悪な逸物が姿を現す。ニナの鼻先から後頭部までの長さと同じかそれ以上、司令官のものとすら比べ物にならない規格外の怪物。
それでいて未だ女を知らず、皮の中に隠れている亀頭。その先っぽだけが目前の雌に釣られて顔をひょっこりと出し、今か今かとその全貌を現そうとしていた。
「あ、あの、何か変、かな……?」
「あ、いえ、その……とても、大きくて、驚いてしまいました。申し訳ありません」
怒張の脈動と同じように、どくんどくんと高鳴るニナの心臓。普段客のものを挿入すること自体多くないというのに、子宮にこれを納めてしまったらどうなってしまうのか。雌の本能が否応なしに興奮を引き立てる。
決して揺らぐことのないはずだった心が、どんどんと騒つくのをニナは感じていた。メイドとして奉仕を半端にするわけにもいかないが、司令官のためにも気を確かに持たなくてはならない。
「とりあえず、皮を剥かなくては……触りますが、痛かったら仰ってくださいね」
手で握るとよりその太さがわかる。それだけに留まらず、皮の中から激しい段差のカリ首が、そして閉じ込められていた強烈な臭気が解放される。
その匂いに直に当てられたニナは、それだけで絶頂しそうになり、股座から溢れる汁が止まらなくなっていた。
咽せそうになるのをどうにか意地で堪え、彼の尊厳を傷つけないよう慎重な手つきで脱衣の手伝いを完了させる、はずだった。
「あっ、もう、射精ちゃっ……!」
びゅううぅ〜〜〜〜〜っ♡
びゅるっ、びゅるるっ、びゅるるるるるっ♡
びゅーっ、びゅっ、びゅびゅっ♡
「きゃっ!? あっ♡」
あまりにも早い暴発。予想だにしていなかったそれは、ニナの不意をついて顔面を真っ白に染め上げる。
べっとりと粘っこい精液が顔パックのように張り付いて、悪臭を閉じ込めるように鼻腔に蓋をする。
「あっ、これっ♡ イっ……♡」
こんな雄々しい射精をする人間が、少し触れただけで絶頂してしまうという事実が、強烈な匂いと共にニナの脳をぐちゃぐちゃに刺激して母性をバグらせる。
限界ギリギリだったニナの子宮も完全に痙攣し、こちらも触れることなく絶頂に至っていた。
「すっ、すみませんっ!」
「っ、お客様のちんぽ、凄いですね……♡ こんな素晴らしいものを持っているのですから、もっと自信を持ってください……♡」
ニナの本能は明確に危険信号を出していたが、それでも彼が謝るのを見て、お世辞なのか本音なのか、もはやあやふやな言葉で男のものを褒め称えながら顔を拭く。
そうして開けられるようになった目をすっかり蕩けさせながら見上げると、未だ萎えることなく屹立する逸物があった。
「まだ……元気ですね。これならまだ続けても大丈夫そうです……♡ ベッドに仰向けになって頂けますか……っ、ふぅーっ……私は、一度床を軽く拭きますので、少しゆっくりしていてください……」
深呼吸して心を落ち着ける。床を見ると、大量の精液に混じって自分の潮が撒き散らされていた。
だが身体がどれだけ惚れていたとしても、これは一夜限りの関係。どれだけ乱れたとしても、終わってしまえば全て忘れるだろう。
そう心の中で言い訳をしながら、手際よく床を拭き終えると、男へと向き直る。
ニナの言葉と反応に、男は着実に自信をつけ始めていた。先程まで無表情に、冷静沈着だった女が自らの逸物を見て心を乱している。その事実は、僅かな時間で彼の精力を回復させるには十分すぎるほどだった。
ベッドから聳え立つ塔に、ニナは胎を疼かせる。騎乗位でこんなものを咥え込んでしまえば、逃げ場もなく子宮を突かれることは明白だった。
しかし、それでも筆下ろしという名目上、メイドとして奉仕の姿勢を崩すわけにはいかなかった。覚悟を決めて彼にマウントを取り、股座を擦り付けていく。
「それでは今度こそ……童貞卒業エッチ、いたしましょう♡」
精液でドロドロの肉棒は、太くとも挿入するのに問題ないほど滑っていた。既に射精したからか、触られただけで漏らすほどの早漏でも多少は射精感を抑えられている。
焦らすほどの余裕は互いに残っていない。ゆっくりと、ニナの蜜壺に彼のものが沈み込んでいく。
「……っ♡ ふぅっ、はぁっ、あっ♡ 挿入りっ……ましたっ♡」
腹の上からでも形がわかるほど、ずっぷりと子宮の奥まで繋がり合う。
甘い快楽にニナの膣はじんわりと温められ、足に力を込めるので精一杯だった。抽送しようとゆっくり腰を持ち上げる。
だが──
どちゅ♡
「お゛っ!? お゛♡ あっ♡ イっ、く♡ イきますっ♡ 申し訳っ♡ ありませんっ♡」
動くのもままならないニナを見兼ねてなのか、あるいは目前の雌に雄の本能が覚醒したのか、男は自ら腰を突き上げたのだ。
突然の衝撃に声を濁らせて絶頂。腰砕けになって脱力したニナはさらに深くまで逸物を咥え込んでしまい、潮を吹き散らかす。
「ニナちゃんっ♡ ごめっ、僕も、またっ♡」
ぶぴゅるるるるぅ〜〜〜っ♡
びゅるるるるっ♡
びゅっ♡
「あっ♡ 膣内っ♡ やっ、駄目っ♡ ですっ♡ んっ、お゛お゛っ♡」
先ほどと遜色ない量と勢いの精液がニナを追撃する。膣内に入りきらなかった分が圧力で外に噴き出し、せっかく拭いた床を再び汚した。
「はあっ、はあっ、こ、こんなにたくさんっ……♡ 童貞卒業っ、おめでとう、ございますっ♡」
男の身体に倒れ込みながらも、執念でニナは男を祝福する。
しかしそれはむしろ男をさらに燃え上がらせ、これで終わりかと思っていたニナをさらに責め立てることになる。
ぎゅっと抱きしめられ、イッたばかりの膣内を逃さんとばかりに抽送。それは男も同じで、辿々しく肉襞の中を探索するように動かされる。
「あっ、そこっ、そこですっ♡ そこが私のっ♡ 赤ちゃん部屋、ですよぉっ♡ そこっ、気持ちいいからっ♡ もっと突いてくださいっ♡」
「うんっ♡ ニナちゃんっ、好きっ♡ ニナちゃん好きっ♡ 大好きっ♡」
もはや求めることしかできなくなったニナに、男は愛の言葉をぶつける。不器用ながらストレートな求愛は、司令官ならば決してしないことだった。
「私もっ♡ すきですっ♡ 好きっ、愛してますっ♡」
気づけばニナの頭は彼の逸物のことでいっぱいになっていた。
これだけの愛をぶつけられたのなら、もはや快楽に身を委ねることが何よりの奉仕だ……などという建前すら用意できないほどに。
「ニナちゃん好きっ♡ 結婚してっ♡ 僕のっ♡ 僕の赤ちゃん産んでぇっ♡」
「あっ、それはっ、ううっ、あっ♡ あーっ♡ そんなのっ♡ 可愛すぎますっ♡ ずるいですっ♡ んっ、んちゅっ♡」
答えを渋るニナを黙らせるようにキスをする男。母性をくすぐられるのに、それでいて男らしい行動に、ニナは本当に結婚してもいいかもしれないなどと思い始めていた。
「射精すからっ♡ 妊娠してっ♡ あっイク♡ イクイクイクイク♡」
「んんっ、うぅん♡ ふーっ♡ 私もっ、イキますっ♡ イッ、くうぅぅ〜〜〜っ♡」
ぶっ……ぴゅうううう〜〜〜っ♡
びゅくびゅくびゅくっ♡
どぴゅるるるるぅ〜〜〜っ♡
「お゛お゛っ♡ お゛っ、ほ゛ぉ〜〜〜っ♡」
びゅーっ♡ びゅっびゅっ♡
どぷどぷどぷっ♡
どくんっ♡ どくんっ♡
「ほぉっ♡ おっ♡ 射精っ♡ 長すぎっ、ますぅ……♡」
びゅっ、びゅっ、びゅうぅ〜っ……♡
普段なら絶対に上げないような獣のような声をあげて、種付けを受け入れるニナ。
こんな射精をされてしまっては本当に受精してしまうと錯覚するほどに、子宮の奥の奥まで精液の奔流を叩きつけられる。
「ニナ、ちゃんっ♡ さっき、うん、って……」
「はあっ、はあ、はあっ、すみま……せんっ、イきすぎてっ……♡ なんて言ったかは……」
意地を張る。
曖昧ながら返事が出かかったことを誤魔化して、これはあくまで娼館のプレイだと己に言い聞かせる。
司令官を裏切ることもそうだが、相手にいいようにされて奉仕を忘れたとなればメイドの名折れだと、湯だった脳みそが必死で抵抗する。
だけど。
「……すごく、気持ちよかったです♡ よければまた、いらしてください……♡ ……楽しみに、待っています♡」
ぐちゃぐちゃに解れた脳の神経回路はもう戻らない。忘れることのできない快楽に晒されて、心は完全に波立っていた。