深夜一時、外洋の漆黒の海原を滑るように航行する超豪華客船《ステラ・マリス》の最上層――Deck 12。船首方向に突き出すように設計されたスカイラウンジ「バー・ステラ」は、夜の帳と静寂の中に包まれていた。
自動扉を抜けると、微かに流れるモダンジャズの柔らかなサックスの音色と、上質なベルガモットの香りが漂ってくる。半円形を描くパノラマウィンドウの向こうには、月明かりを浴びて銀色に輝く波頭と、手が届きそうなほど間近に迫る満天の星空が広がっていた。
何十人もを収容できる広壮なラウンジに、客の姿はあなた一人しかいない。琥珀色の間接照明が、磨き抜かれた一枚板のマホガニーカウンターや、バックバーに整然と並ぶ無数の美酒のボトルを優美に照らし出している。真空管アンプから零れる控えめなベースの重低音が、静寂の空間に心地よいリズムを刻んでいた。窓の外を流れる漆黒の外洋と、船体が波を切り裂く微かな振動が、この巨大な船が大海原の真ん中を航行していることを静かに物語っている。
カウンターの向こう側で、氷の入ったミキシンググラスを優雅にステアしていた女性バーテンダーが、あなたの足音に気づいて静かに顔を上げた。艶やかな漆黒の髪を後ろで綺麗に束ね、理知的な光を宿した切れ長の瞳。黒のフォーマルなベストに、糊の効いた純白のウイングカラーシャツ、首元には端正な黒の蝶ネクタイを結んでいる。
すらりと伸びた背筋と、ベストのボタンを押し上げるように主張する掌から零れ落ちるほど豊かな美乳、そして両手で掴めそうなほどキュッと引き締まった細いウエストのラインが、バーテンダーとしての洗練された立ち居振る舞いの中に、隠しきれない大人の色香を漂わせていた。
「いらっしゃいませ、お客様。今宵も『バー・ステラ』へお越しいただき、誠に光栄に存じます」
低く落ち着いた、耳朶を心地よくくすぐる艶やかな声音。彼女は寸分の狂いもない完璧な角度で深々と一礼すると、氷の入ったクリスタルグラスに冷たいミネラルウォーターを満たしてそっと差し出し、柔らかに微笑みかけた。差し出されたグラスを受け取る際、彼女の白く滑らかな指先があなたの指に触れ、微かな温もりが伝わってくる。
「今夜はどのような気分でいらっしゃいますか。……もしよろしければ、日頃の激務でお疲れのあなた様のために、特別な一杯をお仕立てしてもよろしいでしょうか」
あなたが頷いて任せると答えると、彼女の涼やかな瞳に嬉しげな光が宿った。バーテンダーは棚から銀色のボストンシェイカーを手にとり、柑橘のリキュールと透明なスピリッツ、そして深紅のシロップを手際よく注ぎ入れていく。アイスペールから透明な氷をトングで掬い、シェイカーへと満たすと、トップを嵌めて胸の高さで構えた。
カチャ、カチャ、と小気味よい氷の反響音が、静寂のバーに心地よく響き渡る。リズミカルにシェイカーを振るたびに、彼女の豊かな双丘がベストの生地越しにフルフルと柔らかく揺れ、白く細い手首が鮮やかな軌跡を描いた。その一切の無駄がない美しい所作に、あなたは自然と目を奪われていた。
金属のシェイカーが手の体温と内部の氷によって白く曇り、急速に冷気が凝縮されていく。静かな店内に響く氷の音は、まるで二人の鼓動の波長を合わせるかのように規則正しく刻まれていた。やがてシェイカーの動きが止まり、トップが外されると、星空を溶かし込んだような薄紅色のカクテルが、冷やされたカクテルグラスへと滑らかに注ぎ落とされた。グラスの縁には、夜の月を模したレモンピールがそっと添えられている。
「お待たせいたしました。今宵のお客様だけに捧げる特製カクテル、『ニュイ・ド・エトワール――星降る夜』でございます」
差し出されたグラスを受け取り、一口含む。芳醇な果実の香りと爽やかな酸味、そして奥深いアルコールの温もりが喉を通って胃の腑へと広がり、張り詰めていた身体の緊張がすっとほどけていく。一口ごとに身体の芯が温まり、心地よい陶酔感が五感を研ぎ澄ませていくようだった。
「お口に合いましたでしょうか。……カクテル言葉は、『私のすべてをあなたに委ねる』でございます」
バーテンダーはカウンターの天板にそっと両手を置くと、上目遣いにあなたを見つめてきた。プロフェッショナルとしての毅然とした表情の奥に、潤んだ瞳と熱い吐息が滲み出ている。
「昼間、船内を歩かれるお客様のお姿を遠くからお見かけするたび……グラスを磨く手がおぼつかなくなるほど、胸が高鳴って仕方がありませんでした。……ただお一人の大切なお客様であるあなた様を、私のこの手で、心ゆくまで癒やし尽くしたいと願っておりました」
彼女はカウンターの仕切りを持ち上げ、普段はクルー以外決して立ち入ることのできないバーの内側へと、あなたを手招いた。
「ふふ、美味しそうに召し上がってくださり、バーテンダー冥利に尽きます。……ですが今夜は、カウンターのこちら側へいらっしゃいませんか?」
あなたがカウンターの内側に足を踏み入れると、バックバーに並ぶ無数のクリスタルボトルと巨大な鏡が、二人だけの空間を反射して万華鏡のように煌めいた。普段は客の視線を受ける側の神聖な空間に立つという独特の背徳感が、肌をチクチクと刺激する。足元には滑り止めのマットが敷かれ、棚には年代物のウイスキーやブランデーが整然と並んでいる。
バーテンダーは背を向け、棚から新しいグラスを取り出してリネンで磨き始める。だが、その背中は微かに震え、白い首筋にはうっすらと桜色の熱が差していた。
「お客様……ここはお酒を愛する者の聖域。……ですが今夜は、あなた様のお好きなように、私を調合してくださいませ」
あなたは彼女の背後からそっと歩み寄り、黒のベストに包まれた細い腰を後ろから抱き寄せた。びくり、と彼女の身体が跳ね、グラスを磨く手が止まる。耳元に温かい吐息を吹きかけると、バーテンダーは小さく艶めかしい吐息を漏らし、背中をあなたの胸板へと預けてきた。うなじへと唇を寄せ、柔らかな素肌に吸い付くようにキスを落とすと、彼女の吐息が熱く乱れていく。
あなたはシャツの裾から手を差し入れ、滑らかな素肌を撫で上げながら、黒のレースブラに包まれた豊かな美乳を鷲掴みにした。掌から零れ落ちるほどの圧倒的な肉感。指先で尖り始めた乳頭をコリコリと摘み上げると、彼女は堪えきれずに艶やかな声を漏らした。
「んぁっ……お客様……っ、グラスを落としてしまいそうです……っ」
グラスをカウンターの上に置かせたあなたは、スツールに自ら腰を下ろし、スラックスのベルトを外した。下着ごと引き下げられ、涼しいバーの空気の中に極限まで硬く反り返った剛直が跳ね上がる。赤紫色に鬱血し、先端の鈴口から透明な先走りをとろりと滲ませてドクドクと力強く脈打つ肉茎を前に、バーテンダーは息を呑み、潤んだ瞳で見惚れていた。
彼女は魅入られたようにあなたの足元へと膝をつき、両手で逞しい太ももを支えた。だが、彼女はただしゃぶりつくのではなく、アイスペールから透明なクラッシュアイスの破片を指先で摘み、自らの小さな口の中へと含んだ。
「お客様……バーテンダーならではの、特別なカクテルサービスをお届けいたしますわ」
彼女は氷を含んだ唇を大きく押し開き、熱く脈打つ亀頭をすっぽりと口腔内へと迎え入れた。ジュッ、と音が立ちそうなほどの強烈な温度差。口内の氷の極冷の刺激と、彼女の舌の熱い粘膜が同時に性幹を包み込み、電撃のような快感が背筋を駆け抜けた。
「んむ……っ、ちゅぷ……じゅるるっ……!」
彼女は口の中で氷を転がしながら、冷たい氷水と熱い唾液を混ぜ合わせ、裏筋の筋目をチロチロと舐め上げていく。冷気でキュッと引き締まる感覚と、灼熱の粘膜にぎゅうぎゅうと締め付けられる快感が交互に押し寄せ、あなたの腰が大きく跳ね上がった。唇の隙間からシャリシャリ、ジュルジュルと冷涼な水音が零れ落ちる。
さらにバーテンダーは一度口を離すと、棚から深紅のカシスリキュールのボトルを取り、先端の鈴口へと数滴、直接とろりと垂らした。甘く芳醇な香りが漂う中、彼女は再び唇を寄せ、リキュールを舌先で丁寧にテイスティングするように舐めしゃぶり始めた。
「ん……れろ……っ、ちゅる……っ。お客様の熱い甘みと、カシスが混ざり合って……極上の味わいにございます……っ」
氷の冷気、リキュールの甘美な刺激、そして彼女の熱い喉奥の吸啜。バーテンダーならではの変幻自在の口技に、あなたの理性が心地よく蕩けていった。